有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/08/24 15:00
【資料】
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【項目】
142項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第21期事業年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は前事業年度末に比べ510,544千円減少し、3,310,704千円となりました。その主な要因は、ペイメントにおいて加盟店への入金サイクルを前倒ししたことによる現金及び預金の減少1,013,349千円及び前渡金の増加459,498千円によるものであります。
固定資産は前事業年度末に比べ239,380千円増加し432,536千円となりました。これは主にソフトウエアの開発に伴う無形固定資産の増加133,882千円及び保有株式の上場による投資有価証券の増加117,596千円によるものです。
この結果、資産合計は前事業年度末に比べ271,163千円減少し3,743,240千円となりました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は前事業年度末に比べ484,818千円減少し、3,404,868千円となりました。その主な要因は、ペイメントにおける加盟店への入金を前倒ししたことによる預り金の減少512,099千円によるものであります。
固定負債は前事業年度末に比べ53,966千円減少し、70,630千円となりました。これは1年内返済予定の長期借入金への振替による長期借入金の減少53,966千円によるものであります。
この結果、負債合計は前事業年度末と比べ538,784千円減少し、3,475,498千円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前事業年度末と比較して267,620千円増加し、267,742千円となりました。その主な要因は、第三者割当増資を行ったことによる資本金及び資本剰余金の増加76,497千円、当期純利益の計上による繰越利益剰余金の増加109,534千円によるものであります。
第22期第2四半期累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年6月30日)
(資産)
当第2四半期累計期間末における流動資産は前事業年度末に比べ148,909千円減少し、3,161,794千円となりました。これは主に、預り金の減少による現金及び預金の減少99,804千円及びキャッシュレス・消費者還元事業費に基づく流動資産に含まれる立替金の減少55,848千円によるものです。
固定資産は前事業年度末に比べ7,501千円増加し440,038千円となりました。これは主にソフトウエアの開発に伴う無形固定資産の増加37,894千円及び保有株式の時価下落による投資その他の資産のその他に含まれる投資有価証券の減少48,400千円によるものです。
この結果、資産合計は前事業年度末に比べ141,408千円減少し3,601,832千円となりました。
(負債)
当第2四半期累計期間末における流動負債は前事業年度末に比べ179,362千円減少し、3,225,505千円となりました。これは主に、ペイメントにおける加盟店の預り金減少による預り金の減少147,640千円によるものです。
固定負債は前事業年度末に比べ17,658千円減少し、52,972千円となりました。これは1年内返済予定の長期借入金への振替による長期借入金の減少17,658千円によるものです。
この結果、負債合計は前事業年度末と比べ197,020千円減少し、3,278,477千円となりました。
(純資産)
当第2四半期累計期間末における純資産合計は、前事業年度末と比べ55,612千円増加し、323,355千円となりました。これは主に、四半期純利益の計上による利益剰余金の増加89,175千円によるものです。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国の経済は、全世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大に端を発する幅広い経済活動の自粛により、景気の急激な落ち込み、不透明性の拡大に見舞われております。政府の緊急事態宣言等による感染拡大鈍化や政府・中央銀行の機動的かつ大胆な財政・金融政策により景気の急速な持ち直しへの期待が一時は高まりましたが、緊急事態宣言解除後の感染再拡大、2度目の緊急事態宣言の発動により先行きの不透明感が再度高まりました。
一方で、当社の事業が主として立脚する電子商取引(以下、EC)市場並びにクラウドサービス市場は、引き続き堅調な成長が見込まれております。EC市場においてはインターネットの持続的な発展、高付加価値のスマートフォンやタブレット端末のさらなる普及、物流の改革などに加えて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による消費者の外出自粛がもたらした「巣ごもり消費」に後押しされ、市場全体の堅調な成長が継続しております。また、クラウドサービス市場においては、クラウドサービスへの理解の進展や政府の電子帳簿保存法の改正によるペーパーレス化(電子化)の推進などを受け、様々なサービスが提供、消費されるようになっております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、多くの企業がテレワークの実施、BCPの再構築を迫られる中、その解決策として様々なクラウドサービスがスポットライトを浴びており、クラウドサービス市場は今後も引き続き成長が見込まれる市場として注目されております。
このような経営環境の下、ペイメントにおいては、積極的な広告宣伝の継続や営業体制の強化により新規契約が好調に推移したこと、既存顧客の取扱高がEC市場の成長に比例して順調に伸張したことなどにより、売上が順調に推移しました。他方、フィナンシャルクラウドにおいては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、一時的な問い合わせの落ち込みや対面での営業活動の自粛といった事象が生じたものの、ウェビナーの開催やオンライン商談の導入、積極的な広告宣伝や営業体制の強化を推進した結果、新規契約件数が年後半にかけ順調に積み上がり、売上は堅調に推移しました。
以上の結果、良好な市場環境と当社のビジネス拡大に向けた各施策の結果、両事業における順調な契約件数の積み上がりを主な背景として当事業年度の売上高は1,078,123千円(前年同期比18.4%増)となり、順調な売上高の拡大等を背景に営業利益は86,242千円(前年同期比186.6%増)、経常利益は79,555千円(前年同期比187.6%増)、当期純利益は109,534千円(前年同期は153,630千円の損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(ペイメント)
当セグメントにおきましては、積極的なwebマーケティング、営業体制強化により新規案件の受注件数が堅調に推移したこと、EC市場の成長に伴う既存顧客の取扱高の増加により、売上高は739,045千円(前年同期比11.1%増)となりました。セグメント利益は、主に営業人員の増加に伴い人件費が増加したものの、売上高の増加がこれを上回り408,791千円(前年同期比16.5%増)となりました。
(フィナンシャルクラウド)
当セグメントにおきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により一定の解約の増加があったものの、webマーケティングやオンラインセミナー等の様々なマーケティング施策による認知向上、営業体制強化による新規契約の増加が解約によるマイナスインパクトを吸収し、売上高は339,078千円(前年同期比38.0%増)となりました。セグメント利益は、売上高が増加したものの、主に営業人員や開発人員の増加に伴い人件費も増加し、58,753千円の損失(前年同期は89,780千円の損失)となりました。
第22期第2四半期累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年6月30日)
当第2四半期累計期間におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束しない状況が依然として続く中で、先行きの不確実性が強まり、不透明な状況が継続しております。
このような経営環境の下、「お金をつなぐクラウドで世の中を笑顔に」というビジョンの下、ペイメント・フィナンシャルクラウドにおいて提供しているサービスの継続的な機能のアップデートや拡張、導入企業拡大に向けた広告や営業等における取り組みを進めてまいりました。
ペイメントにおいては、引き続きコロナ渦において脚光を浴びている巣ごもり消費や追い風を受けている構造的なオフラインからオンラインへの移行などを背景に新規顧客獲得や取扱高が順調に推移しております。
フィナンシャルクラウドにおいては、コロナ渦において加速している顧客におけるバックオフィス業務の効率化、デジタル化の需要の盛り上がりなどを受け、新規顧客獲得が順調に推移しております。
以上の結果、当第2四半期累計期間の経営成績につきましては、売上高657,115千円、営業利益108,470千円、経常利益111,058千円、四半期純利益89,175千円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(ペイメント)
当セグメントにおきましては、積極的なwebマーケティング、営業体制強化により新規顧客獲得が堅調に推移したこと、引き続きEC市場の成長に伴い既存顧客の取扱高が増加したことにより、売上高は432,330千円となりました。セグメント利益は、新規顧客獲得のために積極的に広告宣伝費を投下し、人員も増強した一方で、売上高の伸びも順調に推移し、239,178千円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(ペイメント)
当セグメントにおきましては、積極的なwebマーケティング、営業体制強化により新規顧客獲得が堅調に推移したこと、引き続きEC市場の成長に伴い既存顧客の取扱高が増加したことにより、売上高は432,330千円となりました。セグメント利益は、新規顧客獲得のために積極的に広告宣伝費を投下し、人員も増強した一方で、売上高の伸びも順調に推移し、239,178千円となりました。
(フィナンシャルクラウド)
当セグメントにおきましては、webマーケティング、オンラインセミナー、タクシー広告等の様々なマーケティング施策による認知向上、営業体制強化により新規顧客獲得が順調に推移したこと、カスタマーサクセスの施策により既存顧客におけるアップセルが実現されたことなどにより、売上高は224,784千円となりました。セグメント利益は、新規顧客獲得のために広告宣伝費を積極的に投下し、売上高が好調に推移したことにより2,055千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第21期事業年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ、1,013,349千円減少し、2,476,314千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末における営業活動による資金の減少は、876,273千円(前事業年度は690,537千円の増加)となりました。主な要因はペイメントにおける加盟店への入金の前倒しによる前渡金の増加459,498千円及び預り金の減少512,099千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末における投資活動による資金の減少は、147,344千円(前事業年度は189,525千円の減少)となりました。主な要因は無形固定資産の取得による支出149,351千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末における財務活動による資金の増加は、10,268千円(前事業年度は27,802千円の増加)となりました。主な要因は長期借入金の返済による支出58,320千円及び第三者割当増資に基づく株式の発行による収入68,580千円によるものであります。
第22期第2四半期累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年6月30日)
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物は、2,376,509千円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における営業活動による資金の減少は、2,496千円となりました。主な要因は税引
前四半期純利益111,058千円、減価償却費22,111千円の計上により増加したものの預り金が147,640千円の減
少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における投資活動による資金の減少は、59,497千円となりました。主な要因は無形
固定資産の取得による支出59,347千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における財務活動による資金の減少は、37,810千円となりました。主な要因は長期
借入金の返済による支出35,827千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
b.受注実績
受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
c.販売実績
第21期事業年度及び第22期第2四半期累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第21期事業年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
第22期第2四半期累計期間
(自 2021年1月1日
至 2021年6月30日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
ペイメント739,045111.1432,330
フィナンシャルクラウド339,078138.0224,784
合計1,078,123118.4657,115

(注)1.最近2事業年度及び第22期第2四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成にあたっては、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項
(追加情報)」に記載しております。
(無形固定資産の減損)
当社は、無形固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社は、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況 ②経営成績の状況」をご参照ください。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の事業活動における主な資金需要は、既存事業の安定的かつ持続的な成長にかかる運転資金(主に人件費、広告宣伝費)及びソフトウエア投資であります。これらの事業活動に必要な資金については、営業活動によるキャッシュ・フローでまかなうことを基本として、必要に応じて金融機関からの調達を実施する予定であります。
また、当社の事業は仕入れ等が無く、提供するサービスに対するシステム利用料等をお客様から受領するビジネスモデルであり、短期的な資本の財源及び資金の流動性に問題はないものと考えておりますが、今後も資金の残高及び各キャッシュ・フローの状況を常にモニタリングしつつ、資本の財源及び資金の流動性の確保・向上に努めて参ります。
なお、現金及び現金同等物の残高は、当事業年度末において2,476,314千円であり、また、第22期第2四半期累計期間末において2,376,509千円であり、当社の事業を推進していく上で十分な流動性を確保していると考えております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を客観的に判断するための指標等」に記載の通り、主な経営上の重要な指標としてリカーリング収益比率、アカウント数、ARPAを重視しており、各セグメントの各指標の推移は以下の通りであります。
ペイメント
2019年12月期実績2020年12月期実績
リカーリング収益比率(%)96.395.8
アカウント数(AC)4,7775,205
ARPA(円)10,15312,363

フィナンシャルクラウド
2019年12月期実績2020年12月期実績
リカーリング収益比率(%)94.395.3
アカウント数(AC)378468
ARPA(円)63,78072,662

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、前述の「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社の経営陣は、今後更なる業容拡大と成長を遂げるには、様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。また、当社を取り巻く外部環境及び内部環境を適宜適切に把握し、市場におけるニーズを識別して経営資源の最適化に努めてまいります。