有価証券報告書-第52期(令和2年10月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/12/28 16:54
【資料】
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【項目】
115項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、前事業年度から続く新型コロナウィルスの流行による不安定な状態が継続しておりました。2021年2月より始まった新型コロナウィルスワクチンの接種が急速に進み、さらに政府や地方自治体による経済対策等の効果から、景気回復が期待されたものの、なおも先行きが不透明な状況でありました。特に外食産業・観光産業といった外出を伴う産業は、断続的な緊急事態宣言の発令や、まん延防止等重点措置の実施により打撃を受け、一方で、いわゆる「巣ごもり消費」の増加により、内食・中食商品の需要は好調といった現象が続いておりました。
このような環境のもと、当社は「地域を結ぶ直売広場」をコンセプトに、店舗近隣の生産者、特に今回のコロナ禍により打撃を受けた地元レストラン・居酒屋を中心とした飲食店に対する生産者の開拓を進め、弁当・惣菜といった中食商品の強化と売場の拡大を推進するとともに、生産者のためのプラットフォーマーとしての役割を高めるために、店頭に陳列される商品の一部を買取仕入方式から消化仕入方式へ取引形態の転換を進めました。さらに積極的な新規出店を続け、当事業年度に10店舗の出店と4店舗の閉鎖を行いました。これらの取組みにより、当社の重要な経営指標である流通総額(店舗におけるレジ通過額のほか、値札シールの販売代金や不動産賃貸収入等を含む総額の全体売上高)は19,109,881千円(前事業年度に比べ18.8%増加)、登録生産者数は23,516件(前事業年度末に比べ2,849件増加)、店舗数は117店舗(前事業年度末に比べ6店舗増加)となりました。
以上の結果、営業収益(流通総額から生産者へ支払う仕入代金を控除した純額)は5,528,207千円と前年同期に比べ7.0%増加した一方で、消化仕入方式への取引形態転換を進めたことにより、買取仕入による商品在庫の販売が減少し、売上原価は498,064千円と前年同期に比べ38.8%減少致しました。これにより、営業利益は689,109千円(前年同期に比べ66.4%増加)となり、さらに受取補償金210,160千円を特別利益として計上した結果、税引前当期純利益は830,506千円(前年同期に比べ93.1%増加)、当期純利益は593,800千円(前年同期に比べ108.8%増加)となりました。
なお、当社事業は単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② 財政状態の状況
a.総資産
当事業年度末における総資産は、前事業年度末と比べ483,988千円増加し、4,779,166千円となりました。これは主に、営業収益の増加に伴い現金及び預金が471,844千円、売掛金が200,680千円増加した一方で、繰延税金資産が223,412千円減少したこと等によるものです。
b.負債総額
当事業年度末における負債総額は、前事業年度末と比べ110,921千円減少し、4,743,751千円となりました。これは主に、営業収益の増加に伴い買掛金が219,335千円増加した一方で、長期借入金が243,136千円減少したこと等によるものです。
c.純資産
当事業年度末における純資産は、前事業年度末と比べ594,909千円増加し、35,414千円となり債務超過を解消致しました。これは当期純利益が593,800千円となったこと等によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末と比べ261,844千円の増加となり1,219,183千円となりました。
当事業年度における各キャッシュフローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュフロー)
営業活動により得られた資金は1,113,316千円(前事業年度は791,403千円の収入)となりました。これは主に営業総利益の大幅な増加等により税引前当期純利益が830,506千円(前事業年度は430,144千円)と伸長したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュフロー)
投資活動により支出した資金は420,024千円(前事業年度は244,960千円の支出)となりました。これは主に定期預金の預入による支出が210,000千円となったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュフロー)
財務活動により支出した資金は431,447千円(前事業年度は404,244千円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出243,136千円、リース債務の返済による支出98,352千円等によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社は、シェアショップ事業の単一セグメントであるため、以下の事項は商品の分類別に記載しております。
a.受注実績
当社は、シェアショップ事業を主体としており、受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
b.販売実績
当事業年度における販売実績を商品の分類ごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
流通総額(販売額)前事業年度比(%)営業収益前事業年度比(%)
生産者商品18,113,991124.04,532,318122.9
その他995,88967.4995,88967.4
合計19,109,881118.85,528,207107.0

(注) 1.「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①重要な会計方針及び見積り」に記載のとおり、生産者商品については、お客様から受領した販売代金を流通総額とし、生産者へ支払う仕入代金を流通総額から控除した純額を営業収益として財務諸表に表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.「その他」には、当社が直接仕入れを行い店頭で販売している商品の販売額、生産者へ販売している値札シールの販売代金や不動産収入等が含まれております。
4.主要な販売先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手がいないため、記載を省略しております。
c.仕入実績
当事業年度における仕入実績を商品の分類ごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
流通総額(仕入額)前事業年度比(%)当期商品仕入高前事業年度比(%)
生産者商品13,581,673124.3--
その他498,06463.3498,06463.3
合計14,079,737120.2498,06463.3

(注) 1.「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①重要な会計方針及び見積り」に記載のとおり、生産者へ支払う仕入代金を流通総額から控除して財務諸表に表示しているため、生産者商品に係る当期商品仕入高は「-」となっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.「その他」には、当社が直接仕入れを行い店頭で販売している商品の仕入高、生産者へ販売している値札シールの仕入代金等が含まれております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。また、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
シェアショップ事業における生産者商品に係る売上高の表示について
生産者が出品した商品(生産者商品)については、当社が所有権及び在庫リスクを有さずに販売する商品であるため、生産者商品に係る売上高は、お客様から受領した販売代金から生産者へ支払う仕入代金を控除した純額で財務諸表に表示しております。
② 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当該事業リスクが発生した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。詳細につきましては、同項を参照願います。
③ 経営戦略の現状と見通し
当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社が今後プラットフォームとしてさらなる成長と発展を遂げるためには、当社プラットフォームにおける「場」である店舗数及び「ユーザー」である登録生産者数を拡大させていくことが重要であると認識しております。
④ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社が今後も持続的に成長していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」及び「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の様々な課題に対応していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は常に外部環境の構造や変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。
⑤ 財政状態に関する認識及び分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載の通りであります。
⑥ キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
⑦ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社における主な資金需要は、継続的な生産者獲得及び継続的なサービス提供のための人件費や、知名度向上及び潜在顧客獲得のための広告宣伝費、サービスの拡充のための店舗の家賃等の維持費や設備投資資金であります。これらの資金需要に対しては、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。
⑧ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当社は、継続的に事業を拡大していくために成長性を重視しており、成長性を示す指標として流通総額、店舗数及び登録生産者数を重視しております。