有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/11/19 15:00
【資料】
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【項目】
135項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
第51期事業年度(自 2019年10月1日 至 2020年9月30日)
当事業年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善等により、3月までは緩やかな回復基調が続いておりました。しかしながら、新型コロナウィルスが日本を含めた全世界に拡散し、パンデミックが発生したことにより状況は一変いたしました。日本国内でも新型コロナウィルスに対応するため、2020年4月に緊急事態宣言が発令され、多くの小売業で一時的な閉店、営業の縮小を余儀なくされました。一方で、食品小売業は国民生活の維持に必要不可欠な業種であり、自治体各所より開店し続けるよう要請されたため、感染防止を図りつつ出来得る限り開店を維持することとなりました。さらに、新型コロナウィルス感染拡大の状況下において遠出が敬遠され、小商圏の食品小売業が大きく見直されました。また、感染が懸念される飲食店の利用が落ち込み、その反動として家庭での自炊及び中食需要、いわゆる「巣ごもり消費」の大幅な増加がみられました。
当社はこのような状況下において、「郊外型で地域に根差した中小規模の日常使いのショッピングモールへのテナント出店」という店舗展開と、「地元の人の商品を、地元の人が、地元の人に売る」地産地消を実現する店舗運営を目指すという基本方針のもとにシェアショップ事業に注力し、特に弁当・惣菜・パンといった中食需要を満たす商品を出品する生産者の登録生産者数増及びその売場拡大を推進いたしました。さらに、生産者のためのプラットフォーマーとしての役割を高めるために、買取仕入方式から消化仕入方式(「2 事業等のリスク(1)消化仕入方式について」をご参照ください)への取引形態の転換を進めました。
これらの取組みにより、当社の重要な経営指標である流通総額(店舗におけるレジ通過額のほか、値札シールの販売代金や不動産賃貸収入等を含む総額の全体売上高)は16,089,479千円(前事業年度に比べ8.8%増)、登録生産者数20,667件(前事業年度末に比べ2,265件増)となりました。また、「わくわく広場」の店舗数は、店舗のスクラップ&ビルドの推進に力を入れた結果、新規出店14店舗に対して閉店9店舗となり、当事業年度末時点で店舗数111店(前事業年度末に比べ5店舗増加)となりました。以上の結果、消化仕入方式への取引形態転換を進めたことにより、営業収益(流通総額から生産者へ支払う仕入代金を控除した純額)は5,165,967千円と前事業年度に比べ10.7%減少、売上原価は813,447千円と前事業年度に比べ53.2%減少いたしましたが、流通総額の増加により、営業利益は414,116千円(前事業年度に比べ83.6%増)、経常利益は391,728千円(前事業年度に比べ171.7%増)、当期純利益は284,381千円(前事業年度に比べ96.2%増)となりました。
なお、当社の事業は、単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第52期第3四半期累計期間(自 2020年10月1日 至 2021年6月30日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウィルスの流行が続き、外食産業・観光産業といった外出を伴う産業を中心に打撃を受け、一方で、いわゆる「巣ごもり消費」の増加により、内食・中食商品を販売する食品小売業の需要が伸びるといった現象が続いておりました。
このような環境のもと、当社は「地域を結ぶ直売広場」をコンセプトに、店舗近隣の生産者、特に今回のコロナ禍により打撃を受けた地元レストラン・居酒屋といった生産者の開拓を進め、弁当・惣菜といった中食商品の強化と売場の拡大を推進し、「巣ごもり消費」の取り込みを進めるとともに、生産者のためのプラットフォーマーとしての役割を高めるために、買取仕入方式から消化仕入方式への取引形態の転換を進めました。さらに積極的な新規出店を続け、当第3四半期累計期間に9店舗の出店と2店舗の閉鎖を行いました。
これらの取組みにより、当社の重要な経営指標である流通総額(店舗におけるレジ通過額のほか、値札シールの販売代金や不動産賃貸収入等を含む総額の全体売上高)は14,105,023千円、登録生産者数は22,705件、店舗数は118店舗となりました。
以上の結果、営業収益(流通総額から生産者へ支払う仕入代金を控除した純額)は4,097,318千円、営業利益は510,557千円、経常利益は484,768千円、四半期純利益は334,986千円となりました。
なお、当社事業は単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
②財政状態の状況
第51期事業年度(自 2019年10月1日 至 2020年9月30日)
a.総資産
総資産は、前事業年度末に比べ104,947千円増加し、4,295,177千円となりました。これは主に、流通総額、営業収益及び当期純利益の増加に伴い現金及び預金が142,198千円増加、売掛金が138,697千円増加した一方で、繰延税金資産が136,001千円減少したこと等によるものです。
b.負債総額
負債総額は、前事業年度末に比べ180,455千円減少し、4,854,672千円となりました。これは主に、流通総額の増加に伴い買掛金が175,195千円増加した一方で、長期借入金が224,704千円減少、リース債務(流動負債及び固定負債に計上した金額の合計)が100,022千円減少したこと等によるものです。
c.純資産
純資産は、前事業年度末に比べ285,402千円増加し△559,495千円となりました。これは主に、当期純利益が284,381千円となったこと等によるものです。
第52期第3四半期累計期間(自 2020年10月1日 至 2021年6月30日)
a.総資産
当第3四半期会計期間末における総資産は、前事業年度末と比べ217,435千円増加し、4,512,613千円となりました。これは主に、流通総額、営業収益及び当期純利益の増加に伴い現金及び預金が160,412千円増加、売掛金が112,436千円増加したこと等によるものです。
b.負債総額
当第3四半期会計期間末における負債総額は、前事業年度末と比べ118,456千円減少し、4,736,215千円となりました。これは主に、流通総額の増加に伴い買掛金が112,175千円増加した一方で、長期借入金が182,352千円減少したこと等によるものです。
c.純資産
当第3四半期会計期間末における純資産は、前事業年度末と比べ335,892千円増加し、△223,602千円となりました。これは四半期純利益が334,986千円となったこと等によるものです。
③キャッシュ・フローの状況
第51期事業年度(自 2019年10月1日 至 2020年9月30日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末と比べ142,198千円の増加となり957,339千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は791,403千円(前事業年度は387,800千円の収入)となりました。これは主に営業総利益の大幅な増加により税引前当期純利益が430,144千円(前事業年度は△11,159千円)と伸長したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は244,960千円(前事業年度は544,419千円の収入)となりました。これは主に新規店舗を積極的に出店したことにより、有形固定資産の取得による支出が222,341千円となったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は404,244千円(前事業年度は860,576千円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出366,568千円、リース債務の返済による支出119,457千円等によるものです。
④生産、受注及び販売の実績
第51期事業年度(自 2019年10月1日 至 2020年9月30日)
当社は、シェアショップ事業の単一セグメントであるため、以下の事項は商品の分類別に記載しております。
a.受注実績
当社は、シェアショップ事業を主体としており、受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
b.販売実績
当事業年度における販売実績を商品の分類ごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
流通総額(販売額)前事業年度比(%)営業収益前事業年度比(%)
生産者商品14,611,368122.23,687,856124.7
その他1,478,11052.31,478,11052.3
合計16,089,479108.85,165,96789.3

(注) 1.「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①重要な会計方針及び見積り」に記載のとおり、生産者商品については、お客様から受領した販売代金を流通総額とし、生産者へ支払う仕入代金を流通総額から控除した純額を営業収益として財務諸表に表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.「その他」には当社が直接仕入れを行い店頭で販売している商品の販売額、生産者へ販売している値札シールの販売代金や不動産収入等が含まれております。
4.主要な販売先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手がいないため、記載を省略しております。
c.仕入実績
当事業年度における仕入実績を商品の分類ごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
流通総額(仕入額)前事業年度比(%)商品仕入高前事業年度比(%)
生産者商品10,923,511121.4--
その他787,01748.3787,01748.3
合計11,710,529110.1787,01748.3

(注) 1.「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①重要な会計方針及び見積り」に記載のとおり、生産者へ支払う仕入代金を流通総額から控除して財務諸表に表示しているため、生産者商品に係る当事業年度における商品仕入高は「-」となっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.その他には当社が直接仕入れを行い店頭で販売している商品の仕入高、生産者へ販売している値札シールの仕入代金等が含まれております。
第52期第3四半期累計期間(自 2020年10月1日 至 2021年6月30日)
当社は、シェアショップ事業の単一セグメントであるため、以下の事項は商品の分類別に記載しております。
a.受注実績
当社は、シェアショップ事業を主体としており、受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
b.販売実績
当第3四半期累計期間における販売実績を商品の分類ごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
流通総額(販売額)営業収益
生産者商品13,346,3743,338,670
その他758,648758,648
合計14,105,0234,097,318

(注) 1.「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①重要な会計方針及び見積り」に記載のとおり、生産者商品については、お客様から受領した販売代金を流通総額とし、生産者へ支払う仕入代金を流通総額から控除した純額を営業収益として財務諸表に表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.「その他」には当社が直接仕入れを行い店頭で販売している商品の販売額、生産者へ販売している値札シールの販売代金や不動産収入等が含まれております。
4.主要な販売先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手がいないため、記載を省略しております。
c.仕入実績
当第3四半期累計期間における仕入実績を商品の分類ごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
流通総額(仕入額)商品仕入高
生産者商品10,007,704-
その他380,493380,493
合計10,388,198380,493

(注) 1.「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①重要な会計方針及び見積り」に記載のとおり、生産者へ支払う仕入代金を流通総額から控除して財務諸表に表示しているため、生産者商品に係る当第3四半期累計期間における商品仕入高は「-」となっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.その他には当社が直接仕入れを行い店頭で販売している商品の仕入高、生産者へ販売している値札シールの仕入代金等が含まれております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。また、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況 1財務諸表等 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
シェアショップ事業における生産者商品に係る売上高の表示について
生産者の出品した商品(生産者商品)については、当社が所有権及び在庫リスクを有さずに販売する商品であるため、生産者商品に係る売上高は、お客様から受領した販売代金から生産者へ支払う仕入代金を控除した純額で財務諸表に表示しております。
②経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおり、当該事業リスクが発生した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。詳細につきましては、同項を参照願います。
③経営戦略の現状と見通し
当社の経営者は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社が今後さらなる成長と発展を遂げるためには、より収益性の高いビジネスへの注力及びコスト意識を高めることにより、利益率改善に努めていくことが重要であると認識しております。
④経営者の問題認識と今後の方針について
当社が今後も持続的に成長していくためには、経営者は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」及び「2 事業等のリスク」に記載の様々な課題に対応していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は常に外部環境の構造や変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。
⑤財政状態に関する認識及び分析・検討内容
第51期事業年度及び第52期第3四半期累計期間の財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載の通りであります。
⑥キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容
第51期事業年度及び第52期第3四半期累計期間のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
⑦資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社における主な資金需要は、継続的な生産者獲得及び継続的なサービス提供のための人件費や、知名度向上及び潜在顧客獲得のための広告宣伝費、サービスの拡充のための店舗の家賃等の維持費や設備投資資金であります。これらの資金需要に対しては、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。

⑧経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通り、当社は、継続的に事業を拡大していくために成長性を重視しており、成長性を示す指標として流通総額、店舗数及び登録生産者数を重視しております。
第51期事業年度及び第52期第3四半期累計期間の状況は以下の通りであります。
第51期事業年度(自 2019年10月1日 至 2020年9月30日)
登録生産者数に関しては、特に飲食店等を中心に開拓を実施し、20,667人(前年同期比2,265人増加)の登録数を獲得しており、2020年9月末時点の店舗数は関東地方を中心に合計111店舗(前年同期比5店舗増加)となりました。この結果、営業収益は前年同期に比べ10.7%減少したものの、流通総額は16,089,476千円となり、前年同期に比べ8.8%増加しております。
当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、これら経営指標の改善及び向上を行う事を経営上の目標として、企業価値を高めるべく努めております。
第52期第3四半期累計期間(自 2020年10月1日 至 2021年6月30日)
前事業年度から継続して飲食店等を中心に生産者の開拓を実施し、登録生産者数は22,705人(前事業年度末より2,038人増加)、店舗数は118店舗(前事業年度末より7店舗増加)となりました。新型コロナウィルス感染症拡大による影響もあり、当第3四半期累計期間の出店数は目標どおりとなりませんでしたが、店舗のスクラップアンドビルドを進めました。その結果として流通総額は14,105,023千円となりました。
当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、これら経営指標の改善及び向上を行う事を経営上の目標として、企業価値を高めるべく努めております。