有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/08/24 15:00
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137項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
また、第4期第1四半期会計期間より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①財政状態の状況
第3期事業年度(自 2020年7月1日 至 2021年6月30日)
(資産の部)
当事業年度末における総資産は1,397,558千円となり、前事業年度末と比較し306,941千円増加いたしました。
流動資産は1,118,044千円となり、前事業年度末と比較し296,653千円増加いたしました。これは主に、当期純利益256,939千円の計上により現金及び預金の増加299,160千円によるものであります。
固定資産は279,513千円となり、前事業年度末と比較し10,287千円増加いたしました。これは主に、大阪営業所移転に伴う敷金の増加26,970千円によるものであります。
(負債の部)
当事業年度末における負債1,007,367千円となり、前事業年度末と比較し50,001千円増加いたしました。
流動負債は612,685千円となり、前事業年度末と比較し140,848千円増加いたしました。これは主に、売上高が前事業年度と比較して262,088千円増加し、税引前当期純利益が前事業年度と比較して176,390千円増加したことに伴い、未払消費税等の増加56,897千円、未払法人税等の増加49,563千円、前受金の増加24,659千円によるものであります。
固定負債は394,682千円となり、前事業年度末と比較し90,847千円減少いたしました。これは全て長期借入金の返済、社債の償還によるものであります。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産は390,191千円となり、前事業年度末と比較し256,939千円増加いたしました。これは全て、当期純利益256,939千円の計上に伴う利益剰余金の増加によるものであります。
第4期第3四半期累計期間(自 2021年7月1日 至 2022年3月31日)
(資産の部)
当第3四半期会計期間末における総資産は1,670,073千円となり、前事業年度末と比較し272,514千円増加いたしました。
流動資産は1,404,985千円となり、前事業年度末と比較し286,940千円増加いたしました。これは主に、四半期純利益290,082千円の計上により現金及び預金の増加331,098千円によるものであります。
固定資産は265,087千円となり、前事業年度末と比較し14,426千円減少いたしました。これは主に、のれん償却に伴うのれんの減少13,679千円によるものであります。
(負債の部)
当第3四半期会計期間末における負債は982,209千円となり、前事業年度末と比較し25,157千円減少いたしました。
流動負債は648,773千円となり、前事業年度末と比較し36,088千円増加いたしました。これは主に、契約の増加による契約負債の増加85,901千円(前事業年度は前受金として表示)、広告配信を事前クレジットカード決済から請求書後払いに支払方法変更に伴う未払金の減少19,349千円によるものであります。
固定負債は333,436千円となり、前事業年度末と比較し61,246千円減少いたしました。これは全て、長期借入金の返済及び社債の償還によるものであります。
(純資産の部)
当第3四半期会計期間末における純資産は687,863千円となり、前事業年度末と比較し297,672千円増加いたしました。これは、新株の発行に伴う資本金の増加3,879千円、資本剰余金の増加3,879千円、四半期純利益290,082千円の計上に伴う利益剰余金の増加によるものであります。
②経営成績の状況
第3期事業年度(自 2020年7月1日 至 2021年6月30日)
当社は、「誰からも必要とされる会社になる」という経営理念のもと、事業を推進してまいりました。昨今においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言発令による外出自粛により、新規顧客開拓に対して一時的な影響が生じた一方、テレワークの普及などによりビジネスにおける動画の活用幅が拡がり、DXを推進するニーズも拡大したため、当社の事業機会は拡大し続けてきました。さらに、少子高齢化による労働人口の減少により、働き手の不足と長期的な賃金の上昇とのトレードオフな課題に対して向き合わなければならず、企業はより一層DXを推進することで「生産性の向上」を高めていくことが求められるものと考えております。このような環境において当社は、主に中小企業事業者や個人事業主などのSMB向けに「付加価値の向上」と「業務の効率化」の両輪をサポートすることで、企業のDXを推進する事業活動を行ってまいりました。当社の事業セグメントは、Videoクラウド事業と店舗クラウド事業となっております。当事業年度においては、動画配信プラットフォームサービスである「Videoクラウド」の販売をより一層強化するなど、積極的な事業の拡大に努めてまいりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は2,199,730千円(前年同期比13.5%増)、営業利益は373,729千円(前年同期比82.5%増)、経常利益は382,737千円(前年同期比83.1%増)、当期純利益は256,939千円(前年同期比97.9%増)となりました。
a.Videoクラウド事業
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、営業活動に一定のマイナス影響があったものの、オンライン営業システムを含むコンサルティング体制の強化を図り、事業の売上高及びセグメント利益は堅調に推移いたしました。その結果、売上高は1,837,319千円(前年同期比19.7%増)、セグメント利益は713,796千円(前年同期比27.0%増)となりました。
b.店舗クラウド事業
当事業においては、来店型ビジネスを主とする顧客がメインとなっており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言発令に伴う休業や人流抑制の影響を受け、新規顧客の獲得が低調に推移しました。その結果、売上高は362,410千円(前年同期比9.9%減)、セグメント利益は207,473千円(前年同期比15.1%減)となりました。
第4期第3四半期累計期間(自 2021年7月1日 至 2022年3月31日)
当社は、「誰からも必要とされる会社になる」という経営理念のもと、主に中小企業事業者や個人事業主などのSMB向けに「付加価値の向上」と「業務の効率化」の両輪をサポートすることで、企業のDXを推進する事業活動を行ってまいりました。
当第3四半期累計期間においては、1月からオミクロン株により新型コロナウイルス感染症が再拡大に転じるなど、先行きが不透明な状態が続いておりました。しかしながら、コロナ禍をきっかけとし社会全体としてDXへの関心やニーズは高まりを見せたことで、当社にとっては継続的に追い風の状況が続いているものと考えております。
このような環境下において当社は、引き続き「Videoクラウド」の販売に注力し、営業人員の強化など積極的な事業活動を行ってまいりました。
以上の結果、当第3四半期累計期間の売上高は1,909,874千円、営業利益は442,319千円、経常利益は448,608千円、四半期純利益は290,082千円となりました。
当第3四半期累計期間における業績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
a.Videoクラウド事業
当事業では、コロナ禍からアフターコロナにかけて、動画を含めた企業のDXニーズが引き続き高まりを見せ、引き続き人員の拡大及び販売活動の見直しと強化を図ってまいりました。
その結果、売上高は1,726,865千円、セグメント利益は697,282千円となりました。
b.店舗クラウド事業
当事業では、来店型ビジネスを主とする顧客がメインとなっており、引き続き新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けております。
ワクチン接種の進行が進むにつれて、経済活動や人流も徐々に活性化されながらも、コロナ禍以前の回復には至らず、新規顧客の獲得が低調に推移する結果となりました。
その結果、売上高は183,009千円、セグメント利益は129,029千円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
第3期事業年度(自 2020年7月1日 至 2021年6月30日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ299,160千円増加し、867,156千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は431,329千円(前事業年度は237,948千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益382,737千円(前年同期比176,390千円増加)の計上、売上高の増加による未払消費税等の増加額56,897千円(前年同期比58,062千円増加)、前受金の増加額24,659千円(前年同期比23,516千円減少)があった一方で、法人税等の支払額81,343千円(前年同期比45,968千円増加)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は33,845千円(前事業年度は28,049千円の獲得)となりました。これは主に、大阪営業所移転に伴う工具器具備品等の取得による支出5,633千円(前年同期比3,952千円増加)、敷金及び保証金の差入による支出31,530千円(前年同期比30,952千円増加)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は98,324千円(前事業年度は98,967千円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出78,324千円(前年同期比811千円減少)によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
第3期事業年度及び第4期第3四半期累計期間の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第3期事業年度
(自 2020年7月1日
至 2021年6月30日)
第4期第3四半期累計期間
(自 2021年7月1日
至 2022年3月31日)
受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
受注高
(千円)
受注残高
(千円)
Videoクラウド事業1,838,759133.6456,194135.51,839,608599,061
店舗クラウド事業239,539110.830,8621,672.874,27710,205
合計2,078,298130.5487,057143.81,913,886609,266

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメントのうち受注販売を行っているのは、制作売上のみでありますので、上記金額は、その制作の受注高、受注残高であります。
c.販売実績
第3期事業年度及び第4期第3四半期累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第3期事業年度
(自 2020年7月1日
至 2021年6月30日)
第4期第3四半期累計期間
(自 2021年7月1日
至 2022年3月31日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
Videoクラウド事業1,837,319119.71,726,865
店舗クラウド事業362,41090.1183,009
合計2,199,730113.51,909,874

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2事業年度及び第4期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(のれんの減損)
当社は、のれんについて10年間の均等償却を行っております。のれんを含むより大きな単位において事業計画どおりに業績が進捗せず、営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスとなっている場合や、経営環境が著しく悪化しているような場合には、減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
当社の財務諸表で採用する当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②財政状態の分析
財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③経営成績の分析
第3期事業年度(自 2020年7月1日 至 2021年6月30日)
(売上高)
当事業年度における売上高は2,199,730千円(前年同期比13.5%増)となりました。これは主に、国内のDX市場の成長や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うテレワークの普及等により、動画のDXにおける活用幅が拡がりを見せていることから、Videoクラウド事業のニーズが高まっていることが挙げられます。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は484,278千円(前年同期比0.3%減)となりました。これは主に、クリエイティブ部門において、納期や原価管理などの生産管理データを活用したボトルネックの改善活動により売上高外注費率が13.1%(前年同期比1.7ポイント減)へ減少、また、各事業で計上している減価償却費4,126千円減少によるものであります。
この結果、当事業年度の売上総利益は1,715,451千円(前年同期比18.2%増)となりました。売上総利益率は3.1ポイント増加し、78.0%となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は1,341,722千円(前年同期比7.6%増)となりました。これは主に、決算賞与の支給により賞与が20,052千円増加、中途採用を積極的に行ったことにより採用費が10,938千円増加したことによるものであります。
この結果、当事業年度の営業利益は373,729千円(前年同期比82.5%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度における営業外収益は15,404千円(前年同期比34.3%増)となりました。これは主に、顧客からのキャンセル増加に伴い、逸失利益の補填に係る受取補償金3,109千円増加によるものであります。また、営業外費用は6,396千円(前年同期比12.1%減)となりました。これは主に、有利子負債の減少により支払利息が984千円減少によるものであります。
この結果、経常利益は382,737千円(前年同期比83.1%増)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純利益)
当事業年度における特別利益、特別損失は発生しておりませんが、法人税等合計を125,798千円計上しております。
この結果、当期純利益は256,939千円(前年同期比97.9%増)となりました。
第4期第3四半期累計期間(自 2021年7月1日 至 2022年3月31日)
(売上高)
当第3四半期累計期間における売上高は1,909,874千円となりました。これは主に、国内のDX市場の成長や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うテレワークの普及等により、動画のDXにおける活用幅が拡がりを見せていることから、引き続きVideoクラウド事業のニーズが高まっていることが挙げられます。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期累計期間における売上原価は372,017千円となりました。これは主に、クリエイティブ部門において、エディターの採用・教育の強化を行い内製化件数の増加によるものであります。
この結果、当第3四半期累計期間の売上総利益は1,537,857千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期累計期間における販売費及び一般管理費は1,095,538千円となりました。これは主に、人材獲得のための中途採用を積極的に行ったことにより給料手当及び採用費の発生によるものであります。
この結果、当第3四半期累計期間の営業利益は442,319千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当第3四半期累計期間における営業外収益は12,537千円となりました。これは主に、顧客からのキャンセル増加に伴い、逸失利益の補填に係る受取補償金の発生よるものであります。また、営業外費用は6,248千円となりました。これは主に、有利子負債に係る支払利息、上場関連費用の発生によるものであります。
この結果、当第3四半期累計期間の経常利益は448,608千円となりました。
(特別利益、特別損失、四半期純利益)
当第3四半期累計期間における特別利益、特別損失は発生しておりませんが、法人税等合計を158,525千円計上しております。
この結果、四半期純利益は290,082千円となりました。
④キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要の主なものは、外注費、広告宣伝費、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
運転資金及び投資資金は自己資金のほか、金融機関からの長期借入により調達しております。なお、当事業年度末の借入金の合計残高は445,529千円となっております。また、当事業年度末の現金及び預金は867,156千円であり、十分な短期流動性を確保していると考えております。
⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高構成比の高い、Videoクラウド事業の収益モデルを重視しております。売上高及び営業利益の主な構成要素として下表の指標を主要な経営指標と位置付けております。
a.セールスコンサルタント数(注1)
b.納品件数(注2)
c.動画制作単価(注3)
d.内製化率(注4)
重要な経営指標2020年6月期2021年6月期2022年6月期
セールスコンサルタント数(人)6376120
納品件数(件)1,1891,3061,523
動画制作単価(千円)8601,1001,320
内製化率(%)33.634.146.6

(注)1.Videoクラウド事業(DXコンサルティングを除く。)のセールスコンサルタント在籍人数を期中平均算出
2.動画制作サービスの納品件数
3.動画制作サービスの平均制作単価であり、小数点以下は四捨五入
4.動画制作工程の「①ディレクション」「②撮影」「③編集」「④納品」のうち、「②撮影」以外の全ての工程を当社で担った案件の比率を算出
当該指標に対する今後の方針としては、中途採用を中心としたセールスコンサルタントの採用強化、それに伴う納品件数の増加、戦略的顧客ターゲット層の引き上げによる動画制作単価の向上、内製化促進による動画制作プロセスの改善とそれぞれを強化していくことで、結果として売上高、営業利益の成長に繋げていきたいと考えております。