有価証券報告書-第10期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/27 13:11
【資料】
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【項目】
133項目
③気候変動への対応
a.気候変動への対応に関する戦略
当社グループは、我々の提供するSoCによって、お客様のもとでのGHG排出量の低減に貢献し続けていくことが、サステナブルな社会の実現に繋がると考えています。グローバル市場をリードする主要なお客様との開発連携や、独自のマルチコア設計技術・低電力なAIエンジン/アクセラレータ等の活用等による高性能なカスタムSoCの開発を通じて、お客様の製品の更なる小型化、高集積化、低消費電力化を実現することで、お客様のイノベーションに貢献します。
2024年3月期は、当社グループの事業活動における気候変動の「リスク」と「機会」に関し、以下のとおり認識し、シナリオ分析を通じた財務・事業インパクトの算出を行いました。
[気候変動に関連する主なリスクと機会]
区分気候変動が当社グループに及ぼす影響当社グループの対策






政策・法規制省エネ・GHG排出量削減に向けた取り組み・施策によるコスト増(カーボンプライシング等のエネルギーコスト増等)グローバルな動向・法規制の変化を早期に捉えた計画的な施策の検討・実行・評価。
サプライチェーンGHG排出量の把握、パートナーへの削減の働きかけの継続的な実施。
技術市場競争力維持・向上のための研究開発費増
市場競争力維持・向上のための製造コスト増
お客様、パートナーと連携した低消費電力・省スペースな環境配慮型デバイスとソリューションの開発・提供、及びその開発プロセスの効率化。
市場・評判環境配慮型デバイスを提供できないことによる売上減及びレピュテーションリスク
規制による材料/電力等仕入れ価格のコスト増
GHG排出量の低減に貢献する製品・サービスの開発・提供。
使用部材の見直し、再生可能エネルギーの導入検討によるGHG排出量の低減。




急性異常気象の激甚化による製造委託先・データセンターの操業停止製造委託先及びデータセンター等の操業停止を想定した拠点分散化等の事業継続計画の定期的な見直し。
事業所、データセンターにおける電力の効率利用によるコスト削減可能性の検討。
慢性水不足による製造委託先の操業停止
気温上昇によるデータセンター等の電力コスト増

資源の効率性事業所、データセンターにおける資源(エネルギー、水)の効率利用によるコスト削減SoC開発効率化(独自のマルチコア設計技術、低電力なAIエンジン/アクセラレータの活用)によるコスト削減。
製品/サービスお客様の省エネ・GHG排出量削減への貢献に寄与する低消費電力製品を中心とした需要増低消費電力・省スペースな環境配慮型デバイスとソリューションの開発・提供。
市場低消費電力技術を基盤とした新たなお客様獲得ADAS/AD/データセンター向けSoCを中心とした更なる低消費電力化・小型化の実現による新たなお客様獲得。

(a)シナリオ分析
区分シナリオ/参考情報
期間・短期:~2025年
・中期:2026年~2030年
・長期:2031年~2050年
インパクト・小:10億円以内
・中:10億円超50億円以内
・大:50億円超
※会計年度単位での影響額
シナリオ1.5℃/2.0℃シナリオ:IEAのSDS/NZE、IPCCのRCP/SSP1
シナリオ分析の進め方当社グループは、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)等が発表する「世界の平均気温がパリ協定で合意した2.0℃未満の上昇に抑えられる(一部1.5℃以内)」のシナリオでリスクと機会を分析しました。

[1.5℃/2.0℃シナリオにおける当社グループへの影響]
区分気候変動が当社グループに及ぼす影響事業活動に対する財務的インパクト
重要度
※1
発生時期影響
項目
影響度 ※2
移行
リスク
政策・法規制省エネ・GHG排出量削減に向けた取り組み・施策によるコスト増(カーボンプライシング等のエネルギーコスト増等)中・長期コスト0102010_004.png
技術市場競争力維持・向上のための研究開発費増
市場競争力維持・向上のための製造コスト増
短・中期コスト0102010_005.png
市場・評判お客様の需要変化による売上減
環境配慮型デバイスを提供できないことによるレピュテーションリスク
中・長期売上-
規制による材料/電力等仕入れ価格のコスト増中・長期コスト-
物理
リスク
急性異常気象の激甚化による製造委託先・データセンターの操業停止中・長期売上-
慢性水不足による製造委託先の操業停止中・長期売上-
気温上昇によるデータセンター等の電力コスト増中・長期コスト0102010_006.png
機会資源の効率性事業所、データセンターにおける資源(エネルギー、水)の効率利用によるコスト削減中・長期コスト0102010_007.png
製品/サービスお客様の省エネ・GHG排出量削減への貢献に寄与する低消費電力製品を中心とした需要増中・長期売上-
市場低消費電力技術を基盤とした新たなお客様獲得中・長期売上-

※1:重要度「高」「中」「低」の程度は、気候関連のリスクと機会の「発生可能性」と「影響の程度」を勘案して評価しています。
※2:試算が困難であるリスク・機会の影響度については、各項目における定性評価に留め、「-」として表示しています。
(b)リスクと機会に関する具体的な取り組み
近年、自動運転技術の発展や、生成系AIの市場利用が始まり、必要とされるコンピューティングパワーは指数関数的に増加していくと予測されており、消費電力をおさえ、GHG排出量を抑制することが社会的な課題となっています。当社グループでは、市場競争力の維持・向上及びエネルギーコスト増への対策として、開発段階から消費電力の低減に向けた取り組みを行っています。
ⅰ)LSIの消費電力の削減低減に向けた取り組み
[微細化による消費電力の低減]
お客様からのLSIに対する消費電力低減の要求に応えるため、当社グループはプロセスノードの進化(微細化や低電圧化)を追求することで、低消費電力化の対応を進めています。
先端プロセスと既存プロセスにおける消費電力を比較すると、最先端の2nm/3nmプロセスは、28nmプロセスに対し、トランジスタ当たりの消費電力は概ね1/10以下に低減されています。
[微細化/低電圧化による消費電力低減イメージ]
0102010_008.png*:縦軸は 90nm のTotal Power(Dynamic成分とLeakage成分の和)を基準とした各テクノロジーでの相対比となります。
[低消費電力化の実現に向けた設計技術]
当社グループのSoC設計は、お客様の低消費電力化に対する要望にお応えするために、多様な取り組みを行っています。低消費電力LSIを実現するためには、個々の技術だけではなく、様々な技術を組み合わせることが有効です(下図参照)。当社グループの設計環境「リファレンス・デザイン・フロー」は、様々な低消費電力化技術に対応しており、LSIの動作時と待機時双方の消費電力を削減できます。特に電源を制御することにより、低消費電力化を図る手法を体系化して開発しています。
また、当社グループはUPF/CPF(※)を採用することで、お客様の設計資産への変更を抑えつつ、低消費電力化設計を容易にしています。UPF/CPFの採用は、これまでは検証が非常に困難だった低消費電力化技術に対しても信頼性の高い設計を行うことを可能としています。
[低消費電力化技術]
0102010_009.png
詳細は当社グループのホームページを参照ください。
https://www.socionext.com/jp/products/customsoc/design/low-power.html
UPF(Unified Power Format):IEEE Std. 1801として標準化された低消費電力設計指針を記述する標準仕様です。
CPF(Common Power Format)とは、Si2にて標準化された低消費電力設計指針を記述する標準仕様です。

[低消費電力化を可能とする設計/開発プロセス及びパッケージ技術]
当社グループではお客様の製品における低消費電力化を実現するため、独自の開発フロー(「デザイン・レビュー」の仕組み)を策定し、運用しています。具体的には、お客様からの低電力要求仕様の聞き取り及び仕様決定、要求を実現するテクノロジー選択(プロセスノード選択を含む)の提案、GHG排出量の低減等の環境負荷対策に積極的なFab・OSATの選定等、製品の製造から使用に至る様々な段階でのGHG排出量の削減に寄与しています。
開発段階においては、低消費電力化及び小型化を志向した論理・物理設計、並びにパッケージ設計(2.5D・3D・チップレット戦略等)に取り組んでおり、SoC製品を通したGHG排出量の削減に貢献しています。
以上のように、当社グループは、先端テクノロジー製品や、多様な低消費電力化技術を搭載した製品の開発・提供により、お客様のもとでの消費電力の削減に貢献しています。
プロセスノード別の売上推移では、製品売上、NRE売上ともに先端テクノロジー製品(3nm~7nm)へのシフトが進んでいます。将来的な製品売上の先行指標と言えるNRE売上(2024年3月期)では、先端テクノロジー製品の比率が 71% に達しています。
[売上の内訳(プロセスノード別)]
0102010_010.png
ⅱ)小型化・省スペース化に向けた取り組み
当社グループは、LSIの小型化により使用部材(鉱物資源、化石資源)を削減し、原材料から製品にいたる、製造プロセスでのエネルギー削減に貢献しています。
LSIの小型化は、お客様の最終製品における小型化・省スペース化につながり、さらには機器動作時の発熱対策の容易性にもつながります。これは、お客様における使用部材の削減や、製造プロセスでのエネルギー削減だけではなく、最終製品を使用する段階でのエネルギー削減(例えば、電気自動車の航続距離向上、データセンターの空調機負荷軽減等)により、サステナブルな社会の実現に繋がると考えています。
近年、2.5D・3D集積技術に代表されるチップレットが実用段階に入り、LSIの微細化限界に対するブレークスルーとして期待されています。当社グループは本技術の採用を積極的に進めることで、更なる小型化・省スペース化、及び低消費電力化を推進しています。
ⅲ)データセンターにおける消費電力の削減に向けた取り組み
先端テクノロジー製品(2nm~7nm)への開発シフトによる高集積化の進展により、データセンターにおけるデータ処理量が増大し、消費電力は当社グループのGHG排出量(Scope1、2の合算値)の約半分を占めている状況であり、将来的な事業規模の拡大に合わせ、消費電力の更なる増加が見込まれます。
当社グループでは、データセンターにおける消費電力の低減施策として、CPU/サーバー等を中心に低消費電力型機器の導入・置き換えを順次進めています。また、開発プロセス・開発手法等の改善による業務の効率化により、CPU/サーバーの稼働時間を抑制し、消費電力の低減に取り組んでいます。
その他にも、データセンターの集約や、導入機器の水冷化へのシフト等による消費電力低減を進めています。

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