有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2023/02/27 15:00
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【項目】
134項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、以下のとおりであります。
① 財政状態の状況
第37期事業年度(自2021年8月1日 至2022年7月31日)
(資産の部)
当事業年度末における資産合計は4,060百万円となり、前事業年度末に比べ900百万円増加いたしました。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は2,530百万円となり、前事業年度末に比べ326百万円増加いたしました。これは主に受取手形が238百万円、仕掛品が279百万円増加したものの、現金及び預金が318百万円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は1,530百万円となり、前事業年度末に比べ573百万円増加いたしました。これは主に建設仮勘定が620百万円増加したことによるものであります。
(負債の部)
当事業年度末における負債合計は1,490百万円となり、前事業年度末に比べ834百万円増加いたしました。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は1,061百万円となり、前事業年度末に比べ594百万円増加いたしました。これは主に買掛金が228百万円、支払手形が163百万円、契約負債が144百万円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は428百万円となり、前事業年度末に比べ240百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が235百万円増加したことによるものであります。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産合計は、2,570百万円となり、前事業年度末に比べ66百万円増加いたしました。これは主に当期純利益101百万円を計上したものの、自己株式の取得で26百万円減少したことによるものであります。
第38期第1四半期累計期間(自2022年8月1日 至2022年10月31日)
(資産)
当第1四半期会計期間末における資産合計は、4,370百万円となり、前事業年度末に比べ309百万円増加いたしました。これは主として、仕掛品が366百万円増加した一方で、受取手形及び売掛金が102百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当第1四半期会計期間末における負債合計は、1,790百万円となり、前事業年度末に比べ300百万円増加いたしました。これは主として、支払手形及び買掛金が161百万円、流動負債のその他に含まれる契約負債が167百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当第1四半期会計期間末における純資産合計は、2,579百万円となり、前事業年度末に比べ9百万円増加いたしました。これは主として、四半期純利益による17百万円の増加の一方、配当金の支払いで8百万円減少したことにより、利益剰余金が9百万円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
第37期事業年度(自2021年8月1日 至2022年7月31日)
当事業年度における世界経済は、前事業年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大に終息が見えない中、欧米をはじめとした先進国ではワクチン接種を背景に経済活動の再開の動きも強まりつつあり、全体として景気は回復傾向で推移してまいりました。
他方で、原油や天然ガスなど資源価格の高騰や、半導体を中心に電子部品の世界的供給不足など、それらの状況が長引けば世界経済への悪影響が懸念される状況であります。
加えて、ロシアによるウクライナ侵攻が勃発し、エネルギー価格の高騰や多大な消費材の高騰に拍車をかけ、世界的インフレ懸念を引き起こし、今後の世界経済の先行きは非常に見通しが困難な状況となっております。
我が国経済も、新型コロナウイルス感染症の変異株オミクロン株の蔓延による第6波、第7波の感染拡大が発生し、ワクチン接種の影響で重篤化率は低下したものの、罹患者数の増加による病床の逼迫など、依然経済活動の本格的再開には至らず、先行き不透明な状況が続いております。
このような状況下の中、当社におきましては、コロナウイルス感染症の蔓延による受注減少の影響が続いていた点、部材の長納期化の影響から製造リードタイムが増加した点、加えて資源価格の高騰や円安の影響から製造原価が上昇した点により、当事業年度の経営成績は、売上高1,501百万円(前年同期比14.6%減)、営業利益97百万円(前年同期比24.7%減)、経常利益106百万円(前年同期比21.8%減)、当期純利益101百万円(前年同期比32.4%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(産業システム事業)
産業システム事業におきましては、主要取引先である自動車産業を中心とした製造業では、アフターコロナを見据え、受注環境は回復しつつあります。当社の特性上、製造リードタイムは半年程要します。そのため、設備投資の動きが鈍化していた前事業年度(2021年7月期)後半の受注額減少の影響を受けました。加えて、深刻な部材不足により製造リードタイムが長期化したことで、当事業年度(2022年7月期)の受注の多くが翌事業年度(2023年7月期)以降の売上予定となりました。その結果、当事業年度(2022年7月期)の売上高は大幅に減少いたしました。
また、アフターコロナを見据えた世界的な景気回復基調及びロシアによるウクライナ侵攻の影響から、半導体や鋼材、エネルギー資源の高騰や、部材の長納期化に対応するための代替部品の調達やそれに付随する再設計作業などにより製造原価が増加いたしました。
この結果、当事業年度のセグメント売上高は875百万円(前年同期比33.0%減)となりました。また、セグメント利益は50百万円(前年同期比60.7%減)となりました。
(保守サービス事業)
保守サービス事業におきましては、既存の定期的なメンテナンスユーザーの確保や新規ユーザーの獲得などもあり、IoTメンテナンスサービス事業は堅調に推移しました。加えて、ファーネスエンジニアリング事業及びパーツセールス事業では、アフターコロナの需要拡大へ向けた製造業での生産拡大における大型工事案件や大型保守部品の交換案件により好調な結果となりました。
この結果、当事業年度のセグメント売上高は625百万円(前年同期比38.2%増)となりました。また、セグメント利益は164百万円(前年同期比45.5%増)となりました。
第38期第1四半期累計期間(自2022年8月1日 至2022年10月31日)
当第1四半期累計期間における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症対策が進み、景気は穏やかな回復基調が続いているものの、ウクライナ情勢の長期化や、世界的な金融引き締めによる急速な円安の進行、原材料価格やエネルギー価格の高騰が続くなど、依然不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社は、主要取引先である自動車産業を中心とした製造業における設備需要の回復の影響を受け、設備売上が堅調に推移いたしました。また、半導体を中心に電子部品の世界的供給不足による部材の長納期化に関しては、回復の兆しが見えてきたものの、製造リードタイムを短縮するため、依然として部材調達には留意するよう努めてまいりました。
この結果、当第1四半期累計期間の経営成績は、売上高402百万円、営業利益34百万円、経常利益33百万円、四半期純利益17百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
(産業システム事業)
産業システム事業におきましては、自動車産業を中心とした好調な設備需要の影響から、売上は回復基調となりました。一方、アフターコロナを見据えた世界的な景気回復基調の中、半導体や鋼材不足による仕入価格の高騰、原油価格の高騰などにより、製造原価は上昇傾向となりました。
この結果、当第1四半期累計期間に属するセグメント売上高は240百万円となりました。また、セグメント利益(営業利益)は38百万円となりました。
(保守サービス事業)
保守サービス事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復基調により、各業界で生産の再開、増産に向けた設備修繕や工事の需要が拡大し、好調に推移いたしました。また、新型コロナウイルス感染症による渡航制限が緩和されたことで、海外でのメンテナンス案件が再開いたしました。
この結果、当第1四半期累計期間に属するセグメント売上高は161百万円となりました。また、セグメント利益(営業利益)は37百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第37期事業年度(自 2021年8月1日 至 2022年7月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前事業年度末より318百万円減少し、1,408百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果により獲得した資金は9百万円(前事業年度は255百万円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益が156百万円であり、売上債権の増加額257百万円、棚卸資産の増加額290百万円があった一方、仕入債務の増加額391百万円、その他の負債の増減額に含まれる前受金の増加額144百万円があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果により支出した資金は574百万円(前事業年度は632百万円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出623百万円があった一方、保険の解約による収入50百万円があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果により獲得した資金は243百万円(前事業年度は218百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入300百万円があった一方、自己株式の取得による支出26百万円、長期借入金の返済による支出21百万円があったためであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
第37期事業年度及び第38期第1四半期累計期間の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第37期事業年度
(自 2021年8月1日
至 2022年7月31日)
第38期第1四半期累計期間
(自 2022年8月1日
至 2022年10月31日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
産業システム事業1,092,90398.9339,611
保守サービス事業637,434141.5158,212
合 計1,730,338111.2497,824

(注)金額は販売価格によっており、当社はセグメント間の取引についてはありません。
b.受注実績
第37期事業年度及び第38期第1四半期累計期間の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第37期事業年度
(自 2021年8月1日
至 2022年7月31日)
第38期第1四半期累計期間
(自 2022年8月1日
至 2022年10月31日)
受注高
(千円)
前年同期比(%)受注残高
(千円)
前年同期比(%)受注高
(千円)
受注残高
(千円)
産業システム事業2,119,698259.51,644,969410.4485,5421,889,928
保守サービス事業650,875112.6199,493114.4163,621201,551
合 計2,770,574198.71,844,462320.7649,1632,091,479

(注)金額は販売価格によっており、当社はセグメント間の取引についてはありません。
c.販売実績
第37期事業年度及び第38期第1四半期累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第37期事業年度
(自 2021年8月1日
至 2022年7月31日)
第38期第1四半期累計期間
(自 2022年8月1日
至 2022年10月31日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
産業システム事業875,58767.0240,583
保守サービス事業625,716138.2161,563
合 計1,501,30485.4402,146

(注)1.当社はセグメント間の取引についてはありません。
2.最近2事業年度及び第38期第1四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第36期事業年度
(自 2020年8月1日
至 2021年7月31日)
第37期事業年度
(自 2021年8月1日
至 2022年7月31日)
第38期第1四半期累計期間
(自 2022年8月1日
至 2022年10月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社キャタラー319,18518.1241,89416.116,7094.2
草野産業株式会社188,44310.7215,74514.413,0323.2
株式会社ミタチ75,7004.354,0003.672,68818.1
大同工業株式会社1800.04850.051,87012.9
株式会社コーシンインテックス3400.01,6030.148,97012.2

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
第37期事業年度(自 2021年8月1日 至 2022年7月31日)
(売上高)
当事業年度における売上高は、1,501百万円(前年同期比14.6%減)となり、前事業年度に比べて257百万円減少いたしました。
これは、産業システム事業において、新型コロナウイルス感染症の影響から製造業における設備投資の動きが鈍化していた第36期事業年度下期の受注低迷の影響を受けております。また、アフターコロナを見据えた景気回復基調の中、半導体を始めとした各種部品の長納期化の影響により、通常6ヶ月を想定している製品リードタイムが長期化したため、当事業年度に受注した多くの案件が翌事業年度以降の受注残となったことが大きく影響しております。その結果、産業システム事業の売上高は、875百万円(前年同期比33.0%減)となりました。
一方、点検、メンテナンスを主とする保守サービス事業においては、提携企業との協調を進め、新規顧客層の獲得に注力することで、点検、メンテナンスで堅調な売上を確保するとともに、アフターコロナの需要拡大へ向けた生産拡大の動きの中で、生産設備の修繕工事やそれに伴う大型部品の需要を受け、大型案件を獲得することができました。その結果、保守サービス事業の売上高は、625百万円(前年同期比38.2%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、1,041百万円(前年同期比16.9%減)となり、前事業年度に比べ212百万円減少いたしました。これは主に産業システム事業における売上高の減少に紐づく、製造原価の減少によるものであります。一方で、価格競争の激化を受けた販売価格の低下及びアフターコロナを見据えた世界的な景気回復基調を受けた半導体や鋼材を中心とした仕入価格の高騰や原油価格の高騰による物流コストの拡大の影響、短納期の代替部品の確保やそれに伴い追加される再設計などにより売上原価率が増加したことによります。
この結果、売上総利益は459百万円(前年同期比9.0%減)となりました。特に受注環境の悪化により、価格競争が激しくなったことでファーネスプロダクツにおける製造原価率の増加が顕著であったと考えます。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、361百万円(前年同期比3.6%減)となり、前事業年度に比べ13百万円減少いたしました。これは役員報酬が減少したこと、排熱回収式熱交換器搭載型の省エネバーナー「ecoNext(エコネクスト)」の製品化研究が完了したことにより試験研究費が減少したことによるものであります。この結果、営業利益は97百万円(前年同期比24.7%減)となり、前事業年度に比べ32百万円減少いたしました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益は9百万円(前年同期比51.2%増)となり、前事業年度に比べ3百万円増加いたしました。これは主に補助金収入や為替差益が発生したことによるものであります。この結果、経常利益は106百万円(前年同期比21.8%減)となり、前事業年度に比べ29百万円減少いたしました。
(特別利益、特別損失及び当期純利益)
特別利益として保険解約返戻金50百万円を計上した結果、税引前当期純利益は156百万円(前年同期比22.1%減)となりました。また、法人税等合計は55百万円となり、前事業年度に比べ3百万円増加いたしました。
以上の結果、当期純利益は101百万円(前年同期比32.4%減)となり、前事業年度に比べ48百万円減少いたしました。
第38期第1四半期累計期間(自 2022年8月1日 至 2022年10月31日)
(売上高)
当第1四半期累計期間における売上高は、402百万円となりました。産業システム事業においては、自動車産業を中心とした、コロナウイルス感染症の蔓延からの反動需要の影響を受け、売上高は240百万円となりました。また、点検、メンテナンスを主体とする保守サービス事業は、堅調に推移し、売上高は161百万円となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、267百万円となりました。アフターコロナを見据えた世界的な景気回復基調の影響で、半導体や鋼材といった設備材料の価格高騰や原油価格の高騰などにより、売上原価は増加しました。
この結果、売上総利益は134百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、99百万円となりました。これは主に、給料及び手当23百万円、役員報酬15百万円等を計上したことによるものであります。
この結果、営業利益は34百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益は0百万円となりました。これは主に、出向者負担金受入額によるものであります。
営業外費用は1百万円となりました。これは主に、旧社屋の売却までに要した遊休資産諸費用によるものであります。
この結果、経常利益は33百万円となりました。
(特別利益、特別損失及び四半期純利益)
当第1四半期累計期間において、特別利益に該当するものはありませんでした。
特別損失は5百万円となりました。これは主に、固定資産除売却損によるものであります。その結果、税引前四半期純利益は28百万円となりました。また、法人税等合計は10百万円となりました。
以上の結果、四半期純利益は17百万円となりました。
③ 目標とする経営指標の達成状況等
当社の経営指標は変動費率55%以下、売上高総利益率29.5%以上、売上高営業利益率9%以上を目標としております。
第37期事業年度においては、変動費率、売上高総利益率、売上高営業利益率はそれぞれ50.5%、30.6%、6.5%となり、売上高営業利益率は未達となりました。これは、新型コロナウイルス感染症の蔓延による設備投資需要の停滞の影響により、産業システム事業の売上高が大きく減少したことにより、売上高に占める保守サービス事業の割合が増加したことで相対的に製造原価が減少したことにより、変動費率が減少し、売上高総利益率が増加したことによるものと分析しております。一方、売上高自体が大きく減少したことにより、相対的に販売費及び一般管理費の割合が増加した結果、売上高営業利益率は減少いたしました。
また、第38期第1四半期累計期間においては、変動費率、売上高総利益率、売上高営業利益率は、それぞれ52.4%、33.5%、8.7%となり、売上高営業利益率は未達となりました。これは、アフターコロナを見据えた世界的な景気回復基調による各種設備材料の高騰の影響により売上原価が増加したものの、産業システム事業の売上高額のうち、高利益率であるリピート品の占める割合が大きかったことにより、変動費率が減少及び売上高総利益率が増加したことによるものであります。一方で、新社屋への移転に伴う減価償却費の増加や各種諸費用の計上により、販売費及び一般管理費が増加したため、売上高営業利益率が減少したものと分析しております。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
資金需要
当社における資金需要は主に運転資金需要があります。運転資金需要のうち主なものは、当社の産業システム事業の設備製造にかかわる材料費、外注費、労務費及び保守サービス事業のメンテナンスにかかわる材料費、労務費があります。また、各事業に共通するものとして販売費及び一般管理費の人件費があります。その他に設備投資需要としまして、各種固定資産購入費用があります。
財務政策
当社は現在、運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した内部資金を充当しております。不足が生じた場合は金融機関からの短期借入金で調達するために、金融機関に十分な借入枠を有しております。
設備投資需要に係る資金につきましては、原則として自己資本により賄うこととしておりますが、必要に応じて長期借入金により資金調達を行う等、柔軟に対応することとしております。
第37期事業年度末における長期借入金の残高は、1年内返済予定の長期借入金の残高を含め、278百万円の借入であります。
手元資金の流動性について
当社は第37期事業年度末において、1,442百万円の現金及び預金を保有し、そのうち334百万円の定期預金を保有しておりますが、これは短期の定期預金のため、十分な手元流動性を確保しております。また、今後、必要に応じて金融機関との間で資金調達を検討するとともに、新規投資の時期を慎重に見極め、経費抑制によりキャッシュ・フロー管理を徹底し、十分な手元流動性の確保に努めてまいります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、新型コロナウイルス感染症、景気変動、海外情勢等、大規模災害、情報漏洩、品質管理等様々なリスクが存在するものと認識しております。そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化や、人材の確保と育成等に力を入れ、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切な対応に努め、改善に取り組みます。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針
当社が今後、事業を拡大し、継続的な成長を実現するためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環
境及び対処すべき課題等」に記載しておりますとおり、「カーボンニュートラル実現」に向けた加熱技術の省エネルギー・省CO2化、インフレによる材料価格の高騰に対する対応、新型コロナウイルス感染症の動向への対応、工業炉業界での市場規模の拡大等の課題について適切に対処していく必要があると認識しております。
それらの課題に対応するための経営者の方針として、経営者は、常に市場のニーズや内部環境並びに外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を積極的に行い、当社経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。
加えて、外部企業とのアライアンスを積極的に推進し、当社の強みを活かし、弱みを補う形で業務の拡大及び
事業補完を目指して取り組んでまいります。また、新規販路拡大や必要な人材を安定的に確保するため企業のブ
ランド力の強化を図ります。併せて、若い世代への技術継承をシステマティックに行う土壌を作成し、人材育
成・定着に注力し、基幹事業の継続体制の盤石化に注力してまいります。
さらには、IoT技術(DX)を活用したリモートメンテナンスシステムの構築、省エネ環境デバイスの開発を推進し、予防メンテナンスや省エネルギーに貢献できる商材を提供することで保守サービス事業の拡充に努めてまいります。