有価証券報告書-第92期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/27 16:18
【資料】
PDFをみる
【項目】
139項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度の世界経済は、英国のEU離脱の動きなどによる先行き不透明感が米国新政権の政策効果の見極めが定まらないこともあり、さらに高まったものの、全体としては大きな減速はなく緩やかな回復を継続しました。中国では経済構造改革が進められるなか、景気の減速が懸念されましたが、政策の下支えにより持ち直しの傾向が見られました。欧州では輸出が低迷しましたが、個人消費を中心に緩やかな回復を継続しました。米国では雇用の底堅さを背景に個人消費は堅調さを維持しました。国内経済は、雇用情勢の改善を背景に雇用者所得の回復傾向が継続し、個人消費などに持ち直しが見られました。また、為替相場については、米国大統領選挙後に円安が進行したものの、平均為替レートは前連結会計年度に比べると円高になりました。
非鉄金属業界におきましては、金価格は上昇しましたが、ニッケル及び銅価格は中国経済の減速懸念などから前連結会計年度に比べ下落しました。ニッケル価格については、一時的に上昇した局面があったものの、上値が重い状況で推移しました。銅価格については、総じて上値が重い状況で推移しましたが、当連結会計年度末にかけて上昇しました。
材料事業の関連業界におきましては、車載用電池向け部材の需要が増加し、スマートフォン向けなどの部材もおおむね堅調な販売環境が継続しました。一方で、パソコンや液晶テレビ向けなどの部材は需要が低迷しました。
以上より、当連結会計年度の連結売上高につきましては、電気銅の販売数量の増加があったものの、ニッケル及び銅価格の下落並びに円高の影響により、前連結会計年度に比べ692億61百万円減少の7,861億46百万円となりました。
連結営業利益は、当連結会計年度末にかけての円安傾向及び金価格の上昇による在庫評価影響の好転に加え、モレンシー銅鉱山の権益を追加取得したことにより、前連結会計年度に比べ166億70百万円増加の763億90百万円となりました。連結経常損益は、シエラゴルダ鉱山社において当連結会計年度も減損損失が計上されたため、持分法による投資損失が増加しましたが、連結営業利益の好転などにより、損失額は前連結会計年度に比べ111億99百万円減少し15億65百万円の損失となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、バツヒジャウ鉱山の権益を保有していたヌサ・テンガラ・マイニング社の解散に伴う投資有価証券清算益を特別利益に計上したものの、国内連結子会社である株式会社ジェー・シー・オーにおいて同社施設の廃止措置に向け、廃止措置準備引当金繰入額を特別損失に計上したこと、並びに、前連結会計年度において計上された投資損失引当金の取崩による戻入益がなかったことから、前連結会計年度に比べ182億31百万円悪化となる185億40百万円の損失となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 資源セグメント
菱刈鉱山につきましては、計画通りの操業を継続し、当連結会計年度の金銀鉱の生産量は149,959t(含有金量は6,269kg)となりました。また、販売鉱石の含有金量は前連結会計年度を下回ったものの、計画通りの6,000kgとなりました。
海外鉱山につきましては、当社グループが自ら操業を行うポゴ金鉱山(米国)の生産量及び販売量は鉱石の金品位低下により前連結会計年度を下回りました。当社が経営に参画しているモレンシー銅鉱山(米国)は、生産量及び販売量はほぼ前連結会計年度並みとなりましたが、保有権益が追加取得により28%になったことから、連結業績に取り込む生産量及び販売量は増加しました。
セグメント損益は、シエラゴルダ鉱山社において当連結会計年度も減損損失が計上されたため、持分法による投資損失の増加に加えて、銅価格の下落などにより、損失となりました。
当セグメントの売上高は、前連結会計年度に比べ36億19百万円増加の1,233億70百万円となりましたが、セグメント損失は、前連結会計年度に比べ92億77百万円増加し535億94百万円となりました。
② 製錬セグメント
銅の生産量及び販売量は前連結会計年度を上回りましたが、ニッケル並びに金の生産量及び販売量は前連結会計年度を下回りました。
コーラルベイニッケル社及びタガニートHPALニッケル社は、12月末決算会社ですが連結決算日である3月末に合わせるため、3か月の仮決算を加算したことから、前連結会計年度は15か月となっております。そのため、生産量及び販売量は、前連結会計年度に比べ下回りました。
セグメント利益は、ニッケル販売量の減少に加え、ニッケル価格の下落などによる影響はありましたが、コーラルベイニッケル社及びタガニートHPAL社におけるコスト削減などにより前連結会計年度を上回りました。
当セグメントの売上高は、前連結会計年度に比べ768億75百万円減少の5,650億57百万円となりましたが、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ80億円増加し332億58百万円となりました。
③ 材料セグメント
電池材料及び結晶材料は、車載用電池及びスマートフォン向けなどの部材の需要の伸びに対応するため増産投資を行い、生産量及び販売量は前連結会計年度を上回りました。パッケージ材料は、パソコンや液晶テレビ向けなどの部材の需要低迷から販売量は減少しました。増産投資の効果によりセグメント利益は前連結会計年度を上回りました。
当セグメントの売上高は、前連結会計年度に比べ24億64百万円増加の1,740億61百万円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ60億94百万円増加し120億66百万円となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度におきましては、たな卸資産の増加などによる収入の減少、モレンシー銅鉱山の権益追加取得による支出などがあり、長期借入による収入は増加したものの、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末から275億32百万円減少し、1,702億93百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額が減少したものの、税金等調整前当期純利益が減少したことに加え、たな卸資産の増加などにより収入が減少したことから、前連結会計年度に比べて759億8百万円収入が減少し、437億96百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、モレンシー銅鉱山の権益を追加取得したことによる支出があったことなどから、前連結会計年度に比べて503億43百万円支出が増加し、1,432億19百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式を追加取得したことに加え、社債の償還による支出があったものの、長期借入れによる収入が増加したことなどから、前連結会計年度に比べて743億95百万円収入が増加し、703億92百万円の収入となりました。
(注)「事業の状況」に記載している金額は、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」を除き、消費税等を除いた金額であります。