有価証券報告書-第82期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 11:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
165項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
長期視点を持って、人・街・暮らしの
価値共創グループとして
事業を通じた社会課題の解決に
邁進します
代表取締役社長/CEO 芳井 敬一

「生きる」をテーマに掲げ
事業戦略・経営基盤の両面でニューノーマルへの対応を推進 2020年度は、新型コロナウイルス感染症拡大がライフスタイルに大きな変化をもたらし、「生きる」ということの大切さを痛感するとともに、当社グループの使命や存在意義を改めて考える1年でした。当社は人の生活の基本である「衣食住」の「住」を提供するという役割を担っていますが、全ての事業を通じて「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、これからは「生きる」をテーマに掲げ、それを追求する企業になるべく決意を新たにしています。
<社会変化にも柔軟に対応し、業績は期初計画を超過達成>事業面ではコロナ禍において、すべてのステークホルダーの命と健康を守ることを最優先に取組みました。営業活動の制限による影響はあったものの、ニューノーマルに対応した新たな商品・サービスの提供や、Webを活用した営業手法の多様化にもいち早く取組み、その結果、2020年度は当初計画を大幅に上回り、売上高4兆1,267億円、営業利益3,571億円となりました。
セグメント別には、戸建住宅事業ではテレワークの常態化により郊外への回帰が見られ、分譲住宅で好調なエリアも出ています。住まい方の多様性は今後も変化していく可能性があると考えています。また、住宅購入の考え方・手法にも変化が出ています。これまでは住宅展示場に足を運び、現物を見て購入を検討するのが一般的でしたが、コロナ禍で行動が制限される中、Webを活用した検討が増えており、当社のWeb限定販売商品「Lifegenic(ライフジェニック)」には最大で月間20万件を超えるアクセスがありました。現在も毎月順調に成約件数を伸ばしています。Lifegenicは住宅事業の新たな販売方法としてコロナ前に事業化したものですが、今後、こうした世の中の変化への積極的な対応を加速していかなければならないと考えています。
事業施設事業については、企業の設備投資意欲の減退により、厳しい受注環境となりましたが、物流施設は、コロナ禍でeコマースが拡大したことにより投資・売却ともに順調に進捗しています。近年、物流施設は、地元の雇用創出だけでなく、災害時の一時避難施設としても使用できるよう行政との協定締結を進めており、地域社会への貢献の面からも年々存在意義が高まっています。
また最近ではデジタル化の流れから、データセンターのニーズが高まっています。当社でも1号案件として、工業団地開発用として整備した土地にデータセンター事業者を誘致し、建物建設を進めています。当社が蓄積してきた膨大な土地情報から、社会のニーズにつなげる提案ができた事例だと考えており、今後もエリアの特性を見ながら展開していきます。
コロナ禍により予期せぬ事態は様々ありましたが、どのような難局であっても、未来を切り拓く考えをずっと持ち続け、一歩でも二歩でも前へ進もうとする積極精神を持った当社グループの人財の強みを再認識しております。また、お客様や取引先に向けては、当社グループで管理している賃貸住宅のご入居者様への賃料支払猶予や、2020年4月の緊急事態宣言下における施工現場の一時休工及び期間中の補償をいち早く実施するなど、すべてのステークホルダーの皆様と共に歩んだ1年でもあり、当社グループの使命を再認識しております。
デジタルトランスフォーメーション(DX)については、「現場の無人化・省人化」をキーワードに、第6次中期経営計画よりデジタルコンストラクション・プロジェクトをスタートさせています。2020年度は事業施設・商業施設などの建築系建物について、設計業務の100%をビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)にシフトしました。2021年度は建設プロセスのデジタル化推進により、生産性を30%向上させることを数値目標としています。当初は当業界が抱える建設技能者不足という課題に対応するものでしたが、新常態への対応としてもその重要性を確信しています。革新的な技術や現場の管理体制を行政にも示すことで既存ルールの見直しを促し、業界全体のDX実現につなげていくことが私たちの目指すところです。創業より掲げている「建築の工業化」という理念の本質は「早く・良く・安く」ということであり、その精神にも立ち返りながら、建設業界全体の発展に貢献していきたいと考えています。
「生きる」をテーマに、働き方改革に関しても積極的に取組みを進めています。これからは仕事と生活する場所が一緒となることで、オン・オフの切り替えが難しくなるのではないでしょうか。「生きる」ことを大切にしている私たちがその境界を曖昧にしてはいけないと考えており、当社では自宅でのテレワークのみならず、近隣事業所でのサテライト勤務を可能にするなど、仕事と生活をうまく切り替えられる仕組みを着実に展開していきたいと考えています。今後も当社らしさを大切にしながら、従業員の働きがいの向上と多様な人財の確保を目指していきます。
新たな成長ステージに向けた基盤の強化
事業本部制を導入し、「攻めと守りのバランス経営」実現へ
私たちは、どうしたらお客様から選ばれる企業になれるのかを常に考え、創意工夫を重ねてきました。愚直に「現場」に足を運び、お客様と対話をすることで、いち早くニーズを掴み、課題解決へと導き続けてきた、そういう企業グループです。
直近10年間は、賃貸住宅、商業施設、事業施設の3事業が成長ドライバーとなり、加えて不動産開発を積極的に推進したことで、住宅・建設・不動産業界で初めて売上高4兆円を超え、飛躍的な成長をとげることができました。一方で、各事業の規模やグループ会社の数が急拡大するなかで、経営トップが迅速にすべての決断を下すことの難しさ、課題にも直面しました。責任の所在が不明瞭になっており、事業の成長速度に対応できるガバナンス体制が十分ではなかった点を真摯に反省するとともに、新たな成長ステージに踏み出すため、2021年4月より事業本部制を本格的に導入いたしました。
<事業本部長が責任を担い、バリューチェーン一体でのチャレンジを推進>事業本部制と従来の事業部制や支店制との大きな違いは、各事業本部長が業績に対してだけでなく、経営全般に対して責任を負うという点にあります。事業本部制の導入により、事業本部長に権限を委譲し、責任の所在を明確化しました。そして強固なガバナンス体制の構築において必要不可欠だと考えているのは、リスクを未然に防ぐ仕組みや体制づくりです。事業本部長が責任を持って事業グループ単位でリスクマネジメントを行っていく体制が強化され、徐々に効果が出始めていると感じています。加えて、すべての従業員へのコンプライアンス教育等を通じて、リスクに敏感な人財を育てることも並行して進めています。
また、各事業本部に関連するグループ会社を傘下に置くことで、これまで以上にグループ会社との連携が強化できる体制となっています。これにより、バリューチェーン全体に関して、よりスピード感と一体感のあるチャレンジができると考えています。一方で、支社・支店については、従来通り、事業本部間をつなぐ横軸としての役割を果たすことで、そのエリアにとって最適な提案ができる仕組みを残しています。さらにSDGsのテーマのひとつに「つくる責任、つかう責任」とありますが、私たちが提供した建物やまちについては「つくる責任」「つくった責任」があると考えています。事業本部においては、事業機会を捉えるだけでなく、事業を通じて社会的責任を果たすという考え方にも基づき、長期的な視点での価値向上にも努めていきます。
この体制変更により「攻め」と「守り」の両面を強化したことで、持続的な成長につなげていけると考えています。私自身、この新体制に大きな期待を寄せていますが、CEOとしては各事業本部長がしっかりとしたビジョンを持って事業経営に臨んでいるか、厳しく見ることで、その役目を果たしていきます。
次世代の経営人財育成
さらなる成長に向け、「事業を通じて人を育てる」
<創業者精神を受け継ぐ後継者育成はCEOとしての使命>当社は社是の冒頭に「事業を通じて人を育てること」を掲げていますが、人財育成は最も重要な経営課題です。私たちはこれからも成長を続けていく企業であり、そのためには人財はまだまだ不足しています。
当社グループでは、幅広い年齢層に加え、障がい者、さらには30ヵ国以上の国籍の人々が働いています。多様な人財が活躍することで、多様な視点でリスクを予見できる組織体制の構築と、新たな事業機会の獲得を実現していきたいと考えています。しかし、ただやみくもに数を増やして目標を達成するのではなく、着実に人を育て、育った人財に活躍してほしいと思っています。時間はかかっていますが、成果は出始めていると実感しています。今後も多様な人財の育成に力を入れ、それぞれが強みを発揮できる環境を整備してまいります。
<求める経営人財とサクセッションプラン>取締役会において、後継者育成は重要なミッションのひとつです。今般のガバナンス強化策では役員の上限年齢を設定し、特に円滑な世代交代を可能にする体制を整えました。そして事業本部長は自身の事業本部が長期目線で持続的な成長を実現するために、次世代の育成にも注力し、責任を負うこととしています。
私にとって、優れた経営手腕を発揮できる次世代の人財を育て、バトンをつなぐことは、樋口最高顧問との約束です。樋口が従業員に常に語りかけていたのは、高い倫理感と自己を律する力、そして時代の動向や経営環境、市場の変化を的確に捉える力を備え、強いイノベーション力を発揮できる人財であれ、ということでした。それを受けて私が思う次の時代を担う経営人財とは、どのような難局であってもそれを乗り越える力のある人、またスピード感をもって物事に取組める人だと考えています。創業者は常日頃「スピードは最大のサービス」だと語っていましたが、この精神を受け継いだ人財であってほしいと思っています。その力を養うためには、支店長やブロック長を経験し、横軸で経営を見ながら、さまざまな経験を積むことが必要だと考えています。経験・スキルなど多様な経営人財を輩出するために、長期的な視点で人財育成に取組んでいく考えです。当社では経営人財育成候補者の選抜・確保に向けて、次世代育成プログラムとして「D-succeed」や「大和ハウス塾」を実施しています。効果的な研修メニューや育成結果に対する組織的な評価によって、引き続き人財育成への取組みを強化していきます。
2055年に向けた長期展望
<創業者の3つの言葉に学び、これからも「世の中の役に立つ事業」を推進>2020年に樋口が会長職を退いた後、これからの大和ハウスグループがどうあるべきか、あらためて歴史を振り返りながら何度も検討を重ねてきました。「創業100周年に売上高10兆円の企業グループ」という創業者・石橋信夫の壮大な夢を託された私たちは、これからどのような道を歩んでいくのか、辿り着いた先にどのような未来を描くのか。夢の続きが、今まさに問われていると感じています。そうした思いから、私は改めて大切にしている創業者の言葉を思い返しました。
一つ目は、「儲かるからではなく、世の中の役に立つ」ということ。この精神は、私たちが事業を行う上での普遍的な考え方です。企業が生き残るためには、社会に必要とされなくてはなりません。いかに社会課題の解決に貢献できるかどうかを常に念頭に置くことが必要です。
二つ目は、「先の先を読む」こと。社会の需要が常に変化していくなかで、変化する社会に柔軟に対応していくことが求められます。より不確実性が増す現代社会において、常に「先の先」の未来を考えながら経営に取組むとともに、さまざまな変化に柔軟に対応できる経営基盤を構築してまいります。
最後に「夢」です。創業者の著書「わが社の行き方」の序文には、「夢のあるところに前進があり、企業は夢とともに伸びる」と書かれています。この言葉通り、私たちは、夢を持ち、すべてのステークホルダーと共有し、その実現に向け、あらゆる努力をもって前進してまいります。
2021年9月に石橋は生誕100周年を迎えます。ともに歩んできたステークホルダーの皆様への感謝を込めて、2021年度は10円の記念配当を予定しています。これからも私たちは、人や社会を思い、夢を追い続けた石橋の精神を受け継ぎ、多くの人の役に立ち、喜んでいただける事業を推進してまいります。
<サステナブルな暮らしの実現に向け、世界の社会課題を事業で解決>社会はめまぐるしく変化し、私たちは日々さまざまな課題に直面していますが、気候変動・脱炭素への対応は世界共通の喫緊の課題であり、私たちの長期的な経営課題の中でも重要性は極めて高いと認識しています。当社の環境長期ビジョンの最重点テーマである「気候変動の緩和と適応」では、2020年10月に発表された政府の方針を受け、「2050年までに温室効果ガス排出量をネット・ゼロ」に見直しました。具体的な取組みとしては、風力・太陽光・水力などの再生可能エネルギーによる発電を全国各地で展開しています。2020年度は、再生可能エネルギーによる発電量が当社グループの利用する電気使用量を上回り、2030年の目標を10年前倒しで達成しました。さらに、環境エネルギー事業を組み合わせた新しいまちとして、3つのR「Reality(現実)」、「Renewable energy(再生可能エネルギー)」、「Resilience(回復力・復元力)」をキーワードにした郊外型複合まちづくり「コ“Re”カラ・シティ(コレカラ・シティ)」を推進しています。その第一弾として進めてきた千葉県船橋市の大規模複合開発プロジェクトにおいて、全施設が2021年3月に完成し、再生可能エネルギー100%のまちが本格的に動き始めました。現在、全国展開する仕組みづくりと案件への実装を推進中です。今後も新しいまちづくりの可能性を切り拓き、サステナブルな暮らしを提案、創造していく計画です。
同時に私たちは、国内の社会課題への取組みも進めています。過去に当社が開発した郊外型住宅団地ネオポリスが今、直面している少子高齢化や空き家などの課題です。既に国内2ヶ所において、「リブネスタウンプロジェクト」として、このような課題を解決しながら「住み続けたいまち」「もう一度住みたいまち」と感じていただけるよう、まちを再び耕す「再耕」の取組みを進めています。今後はこれをさらに広げ、最終的には全国61ヶ所のネオポリスでの「再耕」を目指しています。まちが抱える課題は地域によって千差万別です。新しい技術も取り入れながら住民の方々や行政との対話を重ね、共に個々のまちの課題に取組んでいくことで、まちの魅力を創出し、住み続けられるまちづくりを実現していきます。
また人が住むまちや、生活・暮らしを創り出している当社にとって最も大きな影響を及ぼす変化の一つは人口動態の変化であり、非常に大きな課題です。国内人口が減少する一方、海外の一部エリアでは爆発的に人口が増えると予想されるなか、私たちはそれぞれの地域で提供できる価値を見極め、カントリーリスクも考慮しながら、事業につなげていきます。
ステークホルダーの皆様へ
これからも愛される企業であり続けるために
先に述べた「わが社の行き方」には、「愛される大和ハウスに」という創業者の言葉が残されています。すべてのステークホルダーの皆様から愛されるために、私たちはどうあるべきか。それは、まず従業員が大和ハウスグループを愛し、誇りを持って、それぞれのお客様と真摯に向き合っていくことだと私は受け取っています。私たちは、「世の中の役に立つからやる」を合言葉に、さまざまな夢や目標を持ち、追いかけ、実現してきました。今後も、しっかりと夢や目標に向かって邁進し、皆様から「大和ハウスグループで良かった」と思っていただける企業であり続けます。
創業100周年となる2055年を、そしてその先も見据えながら、さまざまな社会課題に正面から向き合うことで、「人が心豊かに生きる社会の実現」という経営ビジョンの実現に挑み続けてまいります。今後も、私たち当社グループの活動にご期待いただき、ご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。