有価証券報告書-第123期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当社グループにおける経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り当連結会計年度末現在において判断したものであり、また、様々な要素により異なる結果となる可能性がある。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、経営理念として「全社一体となって、科学的合理主義と人道主義に基づく創造的な進歩と発展を図り、社業の発展を通じて社会に貢献する。」ことを掲げ、さらに、企業経営の根幹を成す品質・安全衛生・環境に関する基本方針として「関係法令をはじめとする社会的な要求事項に対応できる適正で効果的なマネジメントシステムを確立・改善することにより、生産活動を効率的に推進するとともに、顧客や社会からの信頼に応える。」ことを定めている。
こうした方針に基づく取り組みを通して、より高い収益力と企業価値の向上を目指すとともに、社業の永続的発展により株主、顧客をはじめ広く関係者の負託に応え、将来に亘りより豊かな社会の実現に貢献していく。
(2) 経営環境
当連結会計年度における世界経済は、通商問題の長期化などから景気減速がみられ、年度終盤には新型コロナウイルス感染症の影響が急速に拡大した。
我が国経済については、内需を中心に底堅さを維持していたものの、感染症拡大によるインバウンド需要の縮小や経済活動の制限などによる個人消費や企業収益への影響は避けられず、不安要素を抱える状況となった。
国内建設市場においては、建設需要が公共・民間ともに底堅く推移し、感染症による当期中の生産活動の制限は限定的な範囲にとどまり、総じて安定した環境が継続した。
新型コロナウイルス感染症は世界規模で拡大し、日本国内でも全国に緊急事態宣言が発令される事態となった。当社グループでは、感染拡大の防止と顧客や協力会社並びに当社グループ社員の安全のため、国内外の事務所、建設現場を一時閉鎖するなどの措置を講じている。更なる感染拡大や長期化も懸念されるなど、先行き不透明な状況が続くと予想されるが、事態の推移を慎重に見極めつつ的確な判断と速やかな対策の実施により、グループを挙げて生産力の維持を図り、事業計画の確実な遂行を目指している。
今後の経営環境については、国内建設市場では、持続可能な社会の実現に必要な国土強靭化や低炭素社会への移行、技術革新などに対応する投資は底堅く推移すると見込んでおり、社会のニーズに的確に応えられる技術開発、技能労働者減少を見据えた施工体制の構築及び生産性の向上などが一層求められると考えている。また、海外においては、電子商取引(Eコマース)の進展に伴う流通倉庫市場の拡大等の動きが見られる。
(3) 対処すべき課題
このような経営環境の中、当社グループは、変化する状況や市場動向に的確に対応しつつ、引き続き「鹿島グループ中期経営計画(2018~2020)」に掲げる諸施策を積極的に推進するとともに、マテリアリティ(重要課題)への取り組みを通じて、経営目標達成と企業価値向上を目指している。
① 「鹿島グループ中期経営計画(2018~2020)」の推進
2018年度に策定した「鹿島グループ中期経営計画(2018~2020)」は、安定的な業績を確保しつつ、中長期的な経営環境の変化に備えて、更なる生産性向上、多様な収益源確保、経営基盤強化を図るため、これらに資する施策及び投資を積極的に実施することを計画している。
計画の概要と進捗状況は以下のとおりである。
a 基本方針
b 事業戦略
c 具体的な取り組み事例
(注) 「※」が付されているものは、当社及び関係会社の登録商標である。
d 投資計画
国内・海外開発事業への積極的な投資に加え、生産性の飛躍的向上に資するR&D投資や国内外におけるM&A等持続的成長投資に3年間で総額5,000億円の投資を計画。
投資にあたっては、資本コストを意識した投資効率測定とリスク管理を徹底しており、当連結会計年度末までの2年間に合計2,920億円の投資を実行している。
② 持続的な成長の実現に向けたマテリアリティ(重要課題)の特定
当社グループは、事業活動を通じた社会課題の解決に積極的に取り組んでいる。
当連結会計年度には、SDGsをはじめとした社会課題と事業活動の関連を確認・整理したうえで、社会・環境への影響度が大きく、かつ当社グループの企業価値向上や事業継続における重要度が高い課題を抽出し、7つのマテリアリティを特定した。
長期的かつグローバルな視野に立ち、これらの課題に真摯に取り組むことによって、社会とともに持続的に成長し信頼される企業グループを目指していく。

(4) 目標とする経営指標
「鹿島グループ中期経営計画(2018~2020)」においては、最終年度である2021年3月期の経営目標を売上高2兆1,500億円程度、親会社株主に帰属する当期純利益800億円以上としており、株主資本コストを上回るROE10.0%以上を継続することを目標としている。また、中長期的には施策及び投資の成果等により、国内建設事業(土木事業、建築事業)において安定的な業績を維持するとともに、開発事業等、国内関係会社、海外関係会社の各セグメントにおける収益力強化により、親会社株主に帰属する当期純利益1,000億円以上を確保することを目指している。
2021年3月期の業績については、当社においては、建築大型工事の施工量が少ない時期に当たることに加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、売上高の減少とそれに伴う利益の減少を一定程度見込んでいる。国内関係会社においても、事業内容によって感染症の影響が一部あるものと考えている。海外関係会社においては、感染症の影響が顕在化しており、建設事業について一定期間の現場閉鎖とそれに伴う経費増加、開発事業について運営施設の稼働率低下等が見られる。
こうした事業展開地域・事業内容ごとの感染症の影響を見込んだうえで、2021年3月期の業績予想を、2020年5月14日に下記のとおり公表している。中期経営計画の経営目標との比較において、売上高が計画を下回るのは、工事の大型化や設計施工方式の増加により計画策定時の想定と実際の施工のタイミングが異なったことに加え、国内外における感染症の影響が要因である。親会社株主に帰属する当期純利益は、感染症の影響により海外関係会社の業績は計画策定時の想定を下回るものの、国内建設事業の売上総利益率が想定を上回る見込みであることなどから、800億円を確保する予想としている。
セグメントごとの新型コロナウイルス感染症の影響(2021年3月期業績予想)
なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り当連結会計年度末現在において判断したものであり、また、様々な要素により異なる結果となる可能性がある。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、経営理念として「全社一体となって、科学的合理主義と人道主義に基づく創造的な進歩と発展を図り、社業の発展を通じて社会に貢献する。」ことを掲げ、さらに、企業経営の根幹を成す品質・安全衛生・環境に関する基本方針として「関係法令をはじめとする社会的な要求事項に対応できる適正で効果的なマネジメントシステムを確立・改善することにより、生産活動を効率的に推進するとともに、顧客や社会からの信頼に応える。」ことを定めている。
こうした方針に基づく取り組みを通して、より高い収益力と企業価値の向上を目指すとともに、社業の永続的発展により株主、顧客をはじめ広く関係者の負託に応え、将来に亘りより豊かな社会の実現に貢献していく。
(2) 経営環境
当連結会計年度における世界経済は、通商問題の長期化などから景気減速がみられ、年度終盤には新型コロナウイルス感染症の影響が急速に拡大した。
我が国経済については、内需を中心に底堅さを維持していたものの、感染症拡大によるインバウンド需要の縮小や経済活動の制限などによる個人消費や企業収益への影響は避けられず、不安要素を抱える状況となった。
国内建設市場においては、建設需要が公共・民間ともに底堅く推移し、感染症による当期中の生産活動の制限は限定的な範囲にとどまり、総じて安定した環境が継続した。
新型コロナウイルス感染症は世界規模で拡大し、日本国内でも全国に緊急事態宣言が発令される事態となった。当社グループでは、感染拡大の防止と顧客や協力会社並びに当社グループ社員の安全のため、国内外の事務所、建設現場を一時閉鎖するなどの措置を講じている。更なる感染拡大や長期化も懸念されるなど、先行き不透明な状況が続くと予想されるが、事態の推移を慎重に見極めつつ的確な判断と速やかな対策の実施により、グループを挙げて生産力の維持を図り、事業計画の確実な遂行を目指している。
今後の経営環境については、国内建設市場では、持続可能な社会の実現に必要な国土強靭化や低炭素社会への移行、技術革新などに対応する投資は底堅く推移すると見込んでおり、社会のニーズに的確に応えられる技術開発、技能労働者減少を見据えた施工体制の構築及び生産性の向上などが一層求められると考えている。また、海外においては、電子商取引(Eコマース)の進展に伴う流通倉庫市場の拡大等の動きが見られる。
(3) 対処すべき課題
このような経営環境の中、当社グループは、変化する状況や市場動向に的確に対応しつつ、引き続き「鹿島グループ中期経営計画(2018~2020)」に掲げる諸施策を積極的に推進するとともに、マテリアリティ(重要課題)への取り組みを通じて、経営目標達成と企業価値向上を目指している。
① 「鹿島グループ中期経営計画(2018~2020)」の推進
2018年度に策定した「鹿島グループ中期経営計画(2018~2020)」は、安定的な業績を確保しつつ、中長期的な経営環境の変化に備えて、更なる生産性向上、多様な収益源確保、経営基盤強化を図るため、これらに資する施策及び投資を積極的に実施することを計画している。
計画の概要と進捗状況は以下のとおりである。
a 基本方針
| 1 | 次世代建設生産システムの構築 |
| 2 | 社会・顧客にとって価値ある建設・サービスの提供 |
| 3 | 成長に向けたグループ経営基盤の確立 |
b 事業戦略
| 戦略① | 国内建設事業 | 生産性向上と魅力ある労働環境の整備 |
| 戦略② | 国内・海外建設事業 | 有望市場・分野への取り組み強化 |
| 戦略③ | 周辺ビジネス | 上流・下流事業の取り組み推進と収益源の多様化 |
| 戦略④ | 国内・海外開発事業 | 開発事業の収益力強化 |
| 戦略⑤ | 全事業共通 | 環境・エネルギー・防災減災等 社会課題への取り組み強化 |
c 具体的な取り組み事例
| ■ 先端技術活用による生産性向上 ・自働化施工技術「A4CSEL※」(クワッドアクセル※)は2020年度本格導入に向け最終の開発段階 ・「鹿島スマート生産※ビジョン」の実証現場において施工面積当たりの労働時間を20%削減 ・ベンチャー企業とのオープンイノベーションの促進、同業大手との技術連携開始 |
| ■ 働き方改革・担い手確保 ・技能労働者の適正評価と処遇改善に資する建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及促進と活用 ・現場の管理業務を支援するグループ会社を設立 ・協力会社の若手技能者採用や育成活動に対する助成事業を創設 |
| ■ 有望市場への取り組み・収益源の多様化 ・SEP船(自己昇降式作業台船)を他社と共同して建造することを決定 ・国内初の商用洋上風力発電事業である秋田港・能代港洋上風力発電施設建設工事を受注 ・HANEDA INNOVATION CITY(東京都大田区)等 においてスマートシティへの取り組みを展開 ・当社の参加するコンソーシアムが「横浜市現市庁舎街区活用事業」事業予定者に決定 ・IoT・AIを利用した建物管理サービス「鹿島スマートBM※」を提供開始 ・ポーランドの学生寮開発運営会社を買収 |
| ■ 社会課題への対応 ・施工中CO2排出量を見える化するシステム「edes」(イーデス)の開発、施工中現場への導入 ・当社設計施工のHareza Tower(東京都豊島区)において超高層複合用途ビルとして初のZEB Ready認証(エネルギー消費量削減率50%以上)取得 ・地震時の建物安全性を診断する「q-NAVIGATOR※」の当社設計施工案件への標準装備開始 ・TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明 |
(注) 「※」が付されているものは、当社及び関係会社の登録商標である。
d 投資計画
国内・海外開発事業への積極的な投資に加え、生産性の飛躍的向上に資するR&D投資や国内外におけるM&A等持続的成長投資に3年間で総額5,000億円の投資を計画。
投資にあたっては、資本コストを意識した投資効率測定とリスク管理を徹底しており、当連結会計年度末までの2年間に合計2,920億円の投資を実行している。
| 2019年3月期実績 | 2020年3月期実績 | 中期経営計画投資総額 | ||
| 国内・海外開発事業 | 680億円 | 1,440億円 | 4,000億円 | |
| (うち国内開発事業) | (350億円) | (810億円) | (1,600億円) | |
| (うち海外開発事業) | (330億円) | (630億円) | (2,400億円) | |
| R&D投資 | 150億円 | 180億円 | 500億円 | |
| 競争力強化・持続的成長投資 | 260億円 | 210億円 | 500億円 |
② 持続的な成長の実現に向けたマテリアリティ(重要課題)の特定
当社グループは、事業活動を通じた社会課題の解決に積極的に取り組んでいる。
当連結会計年度には、SDGsをはじめとした社会課題と事業活動の関連を確認・整理したうえで、社会・環境への影響度が大きく、かつ当社グループの企業価値向上や事業継続における重要度が高い課題を抽出し、7つのマテリアリティを特定した。
長期的かつグローバルな視野に立ち、これらの課題に真摯に取り組むことによって、社会とともに持続的に成長し信頼される企業グループを目指していく。

(4) 目標とする経営指標
「鹿島グループ中期経営計画(2018~2020)」においては、最終年度である2021年3月期の経営目標を売上高2兆1,500億円程度、親会社株主に帰属する当期純利益800億円以上としており、株主資本コストを上回るROE10.0%以上を継続することを目標としている。また、中長期的には施策及び投資の成果等により、国内建設事業(土木事業、建築事業)において安定的な業績を維持するとともに、開発事業等、国内関係会社、海外関係会社の各セグメントにおける収益力強化により、親会社株主に帰属する当期純利益1,000億円以上を確保することを目指している。
2021年3月期の業績については、当社においては、建築大型工事の施工量が少ない時期に当たることに加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、売上高の減少とそれに伴う利益の減少を一定程度見込んでいる。国内関係会社においても、事業内容によって感染症の影響が一部あるものと考えている。海外関係会社においては、感染症の影響が顕在化しており、建設事業について一定期間の現場閉鎖とそれに伴う経費増加、開発事業について運営施設の稼働率低下等が見られる。
こうした事業展開地域・事業内容ごとの感染症の影響を見込んだうえで、2021年3月期の業績予想を、2020年5月14日に下記のとおり公表している。中期経営計画の経営目標との比較において、売上高が計画を下回るのは、工事の大型化や設計施工方式の増加により計画策定時の想定と実際の施工のタイミングが異なったことに加え、国内外における感染症の影響が要因である。親会社株主に帰属する当期純利益は、感染症の影響により海外関係会社の業績は計画策定時の想定を下回るものの、国内建設事業の売上総利益率が想定を上回る見込みであることなどから、800億円を確保する予想としている。
| 連結業績予想 単位:百万円 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 |
| 2021年3月期 | 1,870,000 | 111,000 | 118,000 | 80,000 |
セグメントごとの新型コロナウイルス感染症の影響(2021年3月期業績予想)
| セグメントの名称 | 新型コロナウイルス感染症の業績への影響 |
| 土木事業 建築事業 | ・一定程度の売上高の減少とそれに伴う利益の減少 ・2020年4月下旬から5月6日にかけて実施した全国における建設現場の一時閉鎖の影響は軽微 |
| 開発事業等 | ・現在の賃貸・販売契約の状況から影響は軽微 |
| 国内関係会社 | ・建設事業における売上高の減少とそれに伴う利益の減少、運営施設の稼働率低下等 |
| 海外関係会社 | ・建設事業におけるアジアを中心とした一定期間の建設現場の閉鎖とそれに伴う経費の増加、開発事業における販売時期の見直しや運営施設の稼働率低下等 |