有価証券報告書-第124期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/28 10:20
【資料】
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【項目】
169項目
当社グループにおける経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り当連結会計年度末現在において判断したものであり、また、様々な要素により異なる結果となる可能性がある。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、経営理念として「全社一体となって、科学的合理主義と人道主義に基づく創造的な進歩と発展を図り、社業の発展を通じて社会に貢献する。」ことを掲げ、さらに、企業経営の根幹を成す安全衛生・環境・品質に関する基本方針として「関係法令をはじめとする社会的な要求事項に対応できる適正で効果的なマネジメントシステムを確立・改善することにより、生産活動を効率的に推進するとともに、顧客や社会からの信頼に応える。」ことを定めている。
こうした方針に基づく取り組みを通して、より高い収益力と企業価値の向上を目指すとともに、社業の永続的発展により株主、顧客をはじめ広く関係者の負託に応え、将来に亘りより豊かな社会の実現に貢献していく。
(2) 経営環境
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、企業活動や個人消費が抑制され急速に悪化した。各国・地域における経済対策の効果等により、年度後半に向けて経済活動の水準は次第に高まったが、感染症が再び拡大し景気が停滞する局面もみられ、本格的な回復基調には至っていない。
我が国経済についても、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図るため様々な対策が講じられているものの、感染症は依然として収束が見通せず、景気動向は先行き不透明な状態が継続している。
国内建設市場においては、労務、資機材の調達コストは総じて安定的に推移した。建設需要に関しては、公共投資が堅調に推移する一方で、民間設備投資は景気動向を踏まえた企業の慎重な投資姿勢により減少傾向が続き、競争環境は厳しさを増している。
今後の経済動向については、新型コロナウイルス感染症の収束状況に依るところが大きく、ワクチンの早期普及に期待がかかるものの、不確実性の高い状況が当面継続すると考えている。また、産業構造や人々の生活・行動、価値観の変容など社会・経済の変化のスピードは、感染症の影響により加速していると認識している。
建設市場においても、経済の回復に伴って国内外における民間設備投資再開の動きが拡がることを期待しているが、感染症拡大前の水準に戻るには一定の期間が必要であり、厳しい競争環境が継続する可能性があると見込んでいる。一方、脱炭素化やデジタル化など社会課題解決につながる需要については、今後世界的に拡大していくと見込んでおり、重点的な対応が一層求められると考えている。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
このような経営環境の中、当社グループは、目指す方向性を明確にした「ビジョン」を作成し、現在、直面している課題への対応とともに、未来に向けた投資を重視した「鹿島グループ中期経営計画(2021~2023)-未来につなぐ投資-」(2021年5月14日公表)をスタートした。
① ビジョンの作成
不確実性が増し、変化が加速する経営環境において、当社グループが持続的に成長するためには、多様な人材を呼び込み、外部リソースと連携しながら価値を共創することが重要であると考えている。この認識のもと、今般、当社グループが目指す方向性を広くグループ内外と共有するため、ビジョンを作成した。

ビジョンには、過去に対する敬意と未来への挑戦という2つの意を込めている。また、ビジョンの実現に向け大切にしたい価値観は、当社グループを木に見立て、いかに大きく成長させるかという視点に基づいている。新たに作成したビジョンのもと、人と技術を重視するDNAをベースに、たゆまぬ変革と挑戦によって成長機会を捉え、社会からの要請に応えるとともに、長期的な企業価値向上を目指す。
② 「鹿島グループ中期経営計画(2021~2023)-未来につなぐ投資-」の推進
新たな中期経営計画は、「経営理念」、「ビジョン」に加え、社会とともに持続的に成長していくための重要課題である「マテリアリティ」と結びついている。「①中核事業の一層の強化、②新たな価値創出への挑戦、③成長・変革に向けた経営基盤整備とESG推進」を3つの柱とし、それぞれにおいて、2030年にありたい姿を定めた。この実現に向けて、これまでの施策を継続発展させるとともに、新たな施策や戦略的な投資を推進する。
a 計画全体像(2030年にありたい姿と主要施策)

b 主要施策の概要
1)中核事業の一層の強化
当社グループの中核事業である建設事業、開発事業において、ソフト・ハード、デジタル・リアルの技術を活用して、収益力と生産体制の強化を目指す。建設事業においては、成長領域を見据えた提案力、設計施工力、エンジニアリング力の強化により、競争力を高めるとともに、これまでも構築を進めてきた次世代建設生産システムの更なる進化に取り組み、生産性向上を図る。また、グループの連携を深め、建設の上流から下流までの全てのフェーズにおいて価値を提供できるバリューチェーンを拡充していく。
開発事業においては、社会・顧客の新しいニーズに適応した事業の企画、ポートフォリオの多様化に取り組み、積極的な投資と同時に売却による回収を進め、効率性の高い投資サイクルの確立を目指す。
日本、北米、アジア、欧州、大洋州の5極体制をさらに発展させ、建設事業、開発事業のシナジー(相乗効果)をグローバルに発揮していく。
2)新たな価値創出への挑戦
環境・エネルギー、スマートシティ・スマートソサエティ、インフラ運営など有望分野における社会課題解決型ビジネスの収益源化を目指す。シンガポール、シリコンバレーなどとのグローバルネットワークを活かした異業種・ベンチャー企業との提携を推進するとともに、新たに設定した戦略的投資枠を活用し、積極的に新ビジネスの探索・創出を図っていく。また、未来社会構想チームの組成など、フロンティア領域に挑戦するための体制づくりに取り組んでいく。
3)成長・変革に向けた経営基盤整備とESG推進
環境と経済が両立する持続可能な社会の実現に向けて、「鹿島環境ビジョン:トリプルZero2050」の活動を加速し、2050年のカーボンニュートラルを目指すとともに、資源循環、生物多様性を含め、環境に対し総合的に配慮した事業活動を展開していく。
次世代の担い手確保に向けては、建設技能労働者の処遇改善や協力会社における採用・育成の支援を継続すると同時に、重層下請構造の改革に取り組み、サプライチェーンの維持・強化を図る。
コンプライアンスの徹底をグループをあげて一層推進するとともに、多様な人材が多様な働き方を実践できる体制の構築、世界最先端の技術と結びついたR&DやDX(デジタルトランスフォーメーション)の戦略的な推進により、これからの成長、変革を支えるグループ経営基盤の確立を目指す。
c 投資計画
「未来につなぐ投資」を重点項目と位置づけ、総額8,000億円の投資を計画している。生産性向上や担い手確保、強みを持つ国内外の開発事業への投資に加え、新たに戦略的投資枠を設定し、社会課題解決型ビジネスやグローバルなオープンイノベーションの推進など、将来の飛躍に向けた様々な取り組みと新たな事業創出に挑戦する。
投資にあたっては、効率性、成果を重視し、ROIC(投下資本利益率)によるモニタリングを実施する。
中期経営計画
投資額
国内開発事業
(売却による回収)
1,900億円
(800億円)
海外開発事業
(売却による回収)
4,500億円
(2,800億円)
R&D・デジタル投資550億円
戦略的投資枠600億円
その他設備投資450億円
合 計
(ネット投資額)
8,000億円
(4,400億円)

d 財務施策・株主還元
財務施策としては、8,000億円の投資計画を実施するにあたり、事業ポートフォリオ・資産構成の最適化を目指す。また、成長投資への充当原資として、政策保有株式を3年間で300億円以上売却するとともに、財務健全性を維持したうえで、投資効率向上のため有利子負債を活用していく方針である。
株主還元については、配当性向30%を目安とした配当に努めるとともに、業績、財務状況及び経営環境を勘案し、自己株式の取得など機動的な株主還元を行うことを基本方針とする。
③ 持続的な成長の実現に向けたマテリアリティ(重要課題)
当社グループは、SDGsをはじめとした社会課題と事業活動の関連を確認・整理したうえで、社会・環境への影響度が大きく、かつ当社グループの企業価値向上や事業継続における重要度が高い課題を抽出し、7つのマテリアリティを特定している。新型コロナウイルス感染症の拡大や脱炭素に向けた動きの加速など社会環境の大きな変化を踏まえ、一部を見直した。マテリアリティへの取り組みを通じて、社会課題解決と企業価値向上の両立を目指す。
a マテリアリティの変更項目と変更理由
1)「新たなニーズに応える機能的な都市・地域・産業基盤の構築」
(変更前:「新たなニーズに応える機能的な都市・産業基盤の構築」)
中期経営計画において有望分野として掲げているスマートソサエティの構築などを含めて、価値観・行動様式の変化に伴い多様化するニーズに応えていく必要があるという観点から変更した。
2)「脱炭素社会移行への積極的な貢献」
(変更前:「低炭素社会移行への積極的な貢献」)
日本政府が2050年カーボンニュートラルを宣言するなど、世界的に脱炭素を目指す動きが活発化している中で、当社グループとしても、「鹿島環境ビジョン:トリプルZero2050」を見直し、2050年カーボンニュートラルを目指すとともに、自社の事業活動と顧客の事業活動支援の両面から脱炭素社会構築に向けた取り組みを推進する必要があるという観点から変更した。
3)その他の変更
見直し後のマテリアリティ及び中期経営計画に掲げる施策等に合わせて、推進する具体的な取り組みと、取り組みの方向性を示す解説を更新した。
b マテリアリティと関連するSDGs

c マテリアリティと中期経営計画主要施策の関係

(4) 目標とする経営指標
2022年3月期は、引き続き新型コロナウイルス感染症の拡大防止と関係者の安全確保を最優先事項とした事業継続に努める。業績に関しては、国内において、競争環境が厳しくなっていることや、土木事業、建築事業ともに竣工を迎える大型工事が少ないことによる影響を見込んでいる。また、海外においては、感染症の影響により減少した東南アジア地域の売上高や利益が、時間を要しつつ段階的に回復することを見込んでいる。
このような国内外の状況を勘案し、2022年3月期の業績予想を、2021年5月14日に下記のとおり公表している。
売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属する当期純利益
2022年3月期
連結業績予想(百万円)
2,010,000104,000114,00080,000

また、「鹿島グループ中期経営計画(2021~2023)-未来につなぐ投資-」においては、新型コロナウイルス感染症の影響が続く厳しい経営環境の中、国内建設事業の利益水準を維持・向上させながら、国内・海外開発事業の投資と売却による回収を進め、最終年度である2024年3月期の経営目標を売上高2兆2,500億円程度、親会社株主に帰属する当期純利益950億円以上としている。また、2025年3月期から2027年3月期の期間においては、海外関係会社の業績が感染症拡大前の水準に回復するとともに、事業領域拡大や新たな価値創出に向けた「未来につなぐ投資」の成果が徐々に現れ、安定的に親会社株主に帰属する当期純利益1,000億円以上を計上できる体制を構築することを目指し、2031年3月期には1,300~1,500億円以上の水準を目指している。ROEについては、2022年3月期は一旦低下する可能性があるものの、早期に10%を上回る水準への回復を目指す。
経営目標2024年3月期2025年3月期から
2027年3月期まで
2031年3月期
連結売上高2兆2,500億円
程度
--
親会社株主に帰属する
当期純利益
950億円
以上
安定的に1,000億円
以上
1,300~1,500億円
以上
ROE早期に10%を上回る水準に回復する

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