有価証券報告書-第6期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 15:42
【資料】
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【項目】
169項目

研究開発活動

当社グループは、土木・建築・環境分野を柱に、さらなる品質の安定と十分な顧客満足を確保するべく積極的に技術・研究開発活動を推進し、その成果の展開に取り組んでいます。
当連結会計年度における研究開発への投資総額は約25億円(消費税等抜き)です。
セグメントごとの内訳は、土木事業約8億円、建築事業約14億円及びその他社外からの受託研究約2億円であり、主な研究成果等は次のとおりです。
(土木事業)
遠方にある構造物を対象にした3D計測の新しい精度管理技術
~モービル・マッピング・システム~
当社と朝日航洋株式会社は、MMS(モービル・マッピング・システム)をはじめとするレーザスキャナ装置による3D計測技術において、3D点群データなどの補正・検証方法を刷新することにより、計測データの精度を確保しながら、MMSによる遠方にある対象の出来形測量を効率化する精度管理技術を共同で開発しました。
本技術は、MMSだけではなく地上移動体搭載型レーザスキャナにも適用できるため、i-Constructionにおいて多様な計測エリアへの対応を可能にします。さらに近年多発する土砂災害に対して、精度管理手法が明確で、スピーディな3D計測を実現する本技術を活用することによって、人の立ち入りが困難な崩壊地の状況把握が可能になるなど、迅速な復旧・復興に寄与できるものと考えています。
給水養生工法「アクアカーテン®」の適用実績が200万m2を突破
型枠を取り外したコンクリートの鉛直面やアーチ面に対して湿潤養生ができる、給水養生工法「アクアカーテン®」は、2010年8月の現場適用開始以来、その優れた効果と施工性、経済性が高く評価され、適用現場数は153に増加しました。また、適用面積は、2017年に100万m2に達した後、2019年1月には200万m2を超えました。これは、一般的な道路トンネルに換算すると100km程度の長さになります。
アクアカーテンは、水中養生と同等の湿潤養生環境を実現できることで、特にトンネルの覆工コンクリートの養生工法として、発注者や同業他社からの認知度が年々向上しています。さらに、「脱塩工法」ならびに「再アルカリ化工法」などの電気化学的工法への適用を可能とするなど、これからのインフラ維持更新事業に寄与する新工法としての開発も進めています。
(建築事業)
建築物へのカーボンフットプリントとカーボン・オフセットの適用
脱炭素社会の実現を見据え、建設事業に関連する温室効果ガスの削減を推進するには、建築物の運用段階のCO2排出量の大幅な減少とともに、新築・改修段階でのさらなる削減が重要となります。
CO2排出量の削減策の立案には、建設各段階のCO2排出量の把握が必要です。そのためには、当社が国内で実建築物に初めて適用したカーボンフットプリント(CFP)※1によるCO2排出量の「見える化」(定量化)と、その排出量分をカーボン・オフセット※2によりゼロとする手法が有効です。「見える化」により、削減効果の観点から資材、工法などの条件やオフセットの手法等の検討が可能となります。この「見える化」した情報を活用し、今後も積極的に建設事業のCO2排出量削減に貢献していきます。
(※1)CFPとは「Carbon Footprint of Products」の略称で「製品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体(製品の一生)を通じて排出される温室効果ガスの総排出量をCO2に換算した数値」で同排出量を表示する仕組み。
(※2)自らの努力では削減しきれないCO2などの温室効果ガス排出量を、他の場所での削減・吸収により埋め合わせ、社会全体として温室効果ガスを減らす取り組み。
(グループ事業)
当連結会計年度は、研究開発活動は特段行われていません。
(その他)
当社が保有する高度技術ならびに研究所施設を活用し、社外からの受託研究業務を行っています。