四半期報告書-第173期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/02/12 11:17
【資料】
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【項目】
34項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、外出の自粛やイベントの制限等、様々な経済活動が抑制されたことで消費行動の変化に伴う対応を迫られており、依然として厳しい状況が続いております。
このような状況の中で、当社グループにおきましては食料品製造企業の使命として感染予防対策を講じながら製造活動を継続し、徹底した品質管理の下、安全・安心な食品を安定的にお届けする努力を継続することで、お客様に満足していただける取組みを推進してまいりましたが、コロナ禍の影響を各事業セグメントで受けたことにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は、全体では1,542億1百万円と前年同期実績に比べ66億2千1百万円(4.1%)の減収となりました。
損益は、売上高の減収等により、営業利益は前年同期実績に比べ19億8千1百万円(10.3%)減益の171億7千万円、経常利益も前年同期実績に比べ21億6千2百万円(10.9%)減益の176億7千7百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期実績に比べ10億7千6百万円(8.1%)減益の121億9千7百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<食料品製造事業>菓子食品部門
国内主力ブランドでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大により外出機会が減少し、いわゆる巣ごもり需要と呼ばれる家庭内消費が増えた影響により、「森永ビスケット」は引き続き好調に推移し、前年同期実績を大きく上回りました。一方、外出機会の減少により、行楽需要等が落ち込んだことから「ハイチュウ」は苦戦を強いられました。また、「チョコボール」「ダース」「カレ・ド・ショコラ」「森永甘酒」も前年同期実績を下回り、主力ブランド全体では前年同期実績を下回りました。
その他のブランドでは、巣ごもり需要増加の影響により「森永ホットケーキミックス」が前年同期実績を大きく上回り、「森永ココア」も引き続き好調に推移しましたが、「プリングルズ」が2020年3月に販売店契約を終了した影響もあり国内全体では前年同期実績を下回りました。
海外では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けながらも、中国は前年同期実績を上回り、台湾、米国も好調に推移したことで、海外全体では前年同期実績を上回りました。
これらの結果、菓子食品部門全体の売上高は808億8百万円と前年同期実績に比べ88億4百万円(9.8%)減となりました。
損益は、原価改善、販売費及び一般管理費の抑制等、コスト削減に取り組んでまいりましたが、コロナ禍による減収影響を吸収するには至らず、営業利益は前年同期実績に比べ16億3千1百万円(24.2%)減益の50億9千8百万円となりました。
冷菓部門
主力ブランドの「ジャンボ」グループは、積極的なプロモーションを展開した効果に加え、「バニラモナカジャンボ」が引き続き好調に推移し、前年同期実績を上回りました。その他のブランドでは、「板チョコアイス」が季節限定から通年販売に変更した影響により前年同期実績を大きく上回り、「パリパリバー」等マルチパック商品も好調に推移しました。
これらの結果、冷菓部門全体の売上高は393億9千4百万円と前年同期実績に比べ56億1千1百万円(16.6%)増となりました。
損益は、主要なブランドが好調に推移したことにより、営業利益は前年同期実績に比べ13億6千2百万円(25.0%)増益の68億1千6百万円となりました。
健康部門
主力ブランドの「inゼリー」は、飲用シーンの提案に加え、プロテニスプレーヤーの錦織圭選手と大坂なおみ選手の名を冠した「inゼリー<エネルギー KEI SPECIAL>」「inゼリー<エネルギー NAOMI SPECIAL>」、コロナ禍における健康ニーズを捉えた「inゼリー<シールド乳酸菌>」、アイドルグループ「嵐」とのコラボレーション商品、一部コンビニエンスストア限定で販売し好調だった「inゼリー<エネルギー ブドウ糖>」の全国発売など、積極的にブランドの強化に努めてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う外出機会の減少等の影響により、売上高は前年同期実績を大きく下回りました。
「天使の健康」シリーズの通販事業は、「おいしいコラーゲンドリンク」が前年同期実績を上回り、通販事業全体としても前年同期実績を上回りました。
これらの結果、健康部門全体の売上高は280億3千万円と前年同期実績に比べ27億2千4百万円(8.9%)減となりました。
損益は、効果的な広告費の投入、販売費及び一般管理費の抑制等、コスト削減に取り組んでまいりましたが、コロナ禍による減収影響を吸収するには至らず、営業利益は前年同期実績に比べ16億1千8百万円(24.5%)減益の49億7千5百万円となりました。
これらの結果、<食料品製造事業>の売上高は1,482億3千4百万円と前年同期実績に比べ3.8%減となりました。セグメント利益は168億9千万円と前年同期実績に比べ18億8千8百万円の減益となりました。
<食料卸売事業>売上高は、41億4千3百万円と前年同期実績に比べ13.1%減となりました。セグメント利益は1億9千5百万円と前年同期実績に比べ1億7千4百万円の減益となりました。
<不動産及びサービス事業>売上高は、13億7千7百万円と前年同期実績に比べ4.7%減となりました。セグメント利益は5億8千4百万円と前年同期実績に比べ4千9百万円の減益となりました。
<その他>売上高4億4千6百万円、セグメント利益1億2千4百万円であります。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって生じている経営成績への影響については、以下のとおりであります。


当第3四半期連結会計期間末における総資産の残高は1,949億4千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ68億8千9百万円増加しております。主な要因は、現金及び預金が減少した一方で、受取手形及び売掛金や建物及び構築物(純額)、機械装置及び運搬具(純額)、投資有価証券が増加したことなどによるものであります。
負債の残高は772億3千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ53億3千8百万円減少しております。主な要因は、支払手形及び買掛金や繰延税金負債が増加した一方で、未払金や未払法人税等が減少したことなどによるものであります。
純資産の残高は1,177億1千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ122億2千7百万円増加しております。主な要因は、利益剰余金やその他有価証券評価差額金が増加したことなどによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末より4.2ポイント増加し、59.9%となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間において、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について、重要な変更はありません。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束時期等を含む仮定に関する情報については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更を行いました。その内容は次のとおりであります。
Ⅰ.基本方針の内容の概要
当社は、支配権の移転を伴う当社株式の大量取得提案に応じるか否かの判断は、最終的には株主の皆様の意思に委ねられるべきものと考えております。
しかしながら、大量取得提案の中には、取得目的や取得後の経営方針等に鑑み、企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主の皆様が大量取得行為の条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益を毀損するものもあります。
当社は、「おいしく、たのしく、すこやかに」を基本理念(ビジョン)とし、「私たちは、世界の人々の豊かで安全な食生活の実現と健康の増進に貢献します。そのために、パイオニアスピリットに溢れた企業活動を通して、価値と感動のある商品・サービス・情報を提供します。」との使命(ミッション)を掲げております。このビジョン・ミッションのもと、当社は常に顧客視点に立ち、社会・経済環境の変化に柔軟に対応し、経営基盤をより強固なものとしながら、企業価値・株主共同の利益の継続的・持続的向上に努めております。したがって、当社株式に対する大量取得提案が行われた場合には、当社のこのような企業価値・株主共同の利益の毀損を防止する必要があると考えております。
Ⅱ.基本方針実現のための取組みの概要
①当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、2018年度より新たな中期経営計画を策定し、さらなる高収益安定企業の実現に向けて戦略を立案・推進しております。中期経営計画のテーマを「経営基盤の盤石化と成長戦略の加速」とし、経営基盤をより強固なものとして次なる成長に向かうための加速を図る3年間と位置付け、「既存領域」「ウェルネス領域」「グローバル領域」の3つの領域に注力してまいります。
はじめに、菓子食品・冷菓を中心とした「既存領域」においては、主力ブランドへ経営資源を集中させることにより、安定的に売上と利益を創出し成長させてまいります。変化するチャネルや売場に合わせた新提案、マーケティング・生産・研究が三位一体となっての技術革新やコストの抑制、生産体制の再構築による生産効率の向上など、既存事業としてさらなる効率的な利益の創出に取り組んでまいります。
また、「ウェルネス領域」においては、「健康」を切り口とした商品群をいっそう充実させることで、高まる健康ニーズに応えてまいります。具体的には、当社の技術やブランドといった資産と健康的な素材を組み合わせた商品の開発、「inゼリー」を中心とした「in」ブランドのさらなる強化及び「天使の健康」ブランドにおける通販事業基盤の強化と拡大に取り組んでまいります。
そして、「グローバル領域」においては、長期的かつ持続的な成長の実現のため、積極的な海外展開を推進してまいります。現在の主要拠点である米国、中国、東南アジアを中心に、事業の拡大と「ハイチュウ」などのブランドの浸透を図り、グローバルマーケットでの成長を加速させてまいります。
当社は、企業価値の最大化及び企業の永続的発展を図ることを目的に、経営の健全性及び効率性の向上、財務内容の信頼性の確保、適時適切な情報開示、法令の順守並びに各ステークホルダーとの信頼関係の強化を基本方針としてコーポレート・ガバナンスの構築に取り組んでおります。こうした取組みの一環として、取締役の任期を1年とし、また、執行役員制度を導入し、迅速な業務執行を行うことができる体制を整えるなどしております。さらに、取締役は10名のうち3名を社外取締役とし、また、監査役は4名のうち3名を社外監査役とすることで、経営の監視機能強化を図っております。
②基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、2008年6月27日開催の第160期定時株主総会において、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上を目的に「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)を導入し、その後3回の更新を経て、これを継続してまいりました。
この間、当社は、2018年度に策定した中期経営計画において、「経営基盤の盤石化と成長戦略の加速」を基本方針に掲げ、長期的かつ持続的な企業の成長に向けて、経営基盤の強化を進めるとともに、コーポレート・ガバナンス強化の取組みを進めてまいりました。
当社は、このような取組みを進める中、買収防衛策に関する近時の状況や国内外の機関投資家をはじめとする株主の皆様のご意見、当社を取り巻く経営環境及び市場環境を踏まえ、本プランの継続について慎重に検討した結果、2020年5月13日開催の取締役会において、本プランを継続せず、2020年6月26日開催の第172期定時株主総会の終結時をもって廃止することを決議いたしました。
当社は、本プラン廃止後も当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に取り組んでまいる所存であり、当社株式の大量取得行為の提案がなされた場合には、大量取得行為の是非を株主の皆様が適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を速やかに講じてまいります。
Ⅲ.上記の取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
上記Ⅱ①に記載した各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、基本方針の実現に資するものであります。
また、上記Ⅱ②は、当社株式の大量取得行為の提案がなされた場合に、その是非を株主の皆様が検討するための時間と情報を確保すること等により、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させるためのものであり、基本方針に沿うものであります。
したがって、当社取締役会は、上記各取組みは当社の株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費は1,654百万円であります。セグメントごとの研究開発費は「食料品製造」が1,586百万円、報告セグメントに含まれない「その他」が67百万円であります。
当第3四半期連結累計期間は、「2018中期経営計画」に掲げる、既存領域での収益性向上とウェルネス領域及びグローバル領域における成長戦略の加速の実現に向けて、「技術を基軸に、未来に向けて新たな価値を創造する」という研究開発方針に基づき、「重要技術のアップデート」「ウェルネス領域の拡大」「未来価値創造」の3つの戦略のもと継続して取り組んでおり、重要な変更はありません。
(6)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備等の新設のうち、高崎工場の建物等につきましては、当第3四半期連結累計期間において完成し、2020年6月より稼働を開始しております。