有価証券報告書-第171期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/27 14:07
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「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、政府の景気対策等にともない、緩やかな景気回復傾向でありますが、原材料費の高騰や人手不足による人件費や物流コストの上昇に加え、消費税増税を控え不透明感は否めない状況となっております。また、海外においては米中の貿易摩擦など世界経済に関する不確実性が高まっており、依然として混沌とした状況が続いております。
当社グループを取り巻く食品業界におきましては、食の安全・安心の徹底やライフスタイルの変化により簡便性や健康ニーズが高まる中、購買行動の変化とその兆しをとらえたより付加価値の高い商品作りが求められ、競争環境はいっそう厳しさを増しております。
このような経営環境のもと、当社は2018年度からの3年間を対象とする中期経営計画を策定し、その初年度として、高収益安定企業を実現すべく、主力ブランドの強化と時代の変化に合わせたウェルネス領域の訴求及び高付加価値商品の開発に注力するとともに、生産効率の向上や全社的なコスト削減等による収益基盤強化に取り組んでまいりました。
売上高は、主力の食料品製造事業が好調に推移し、全体では2,053億6千8百万円と前年実績に比べ3億4千6百万円(0.2%)の増収となりました。
損益は、物流費及び広告費の増加等もありましたが、原価率の低減に取り組み、営業利益は前年実績に比べ4億6千6百万円(2.4%)増益の202億1千7百万円、経常利益も前年実績に比べ3億4千5百万円(1.7%)増益の207億6千7百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前年実績に比べ25億2千7百万円(24.6%)増益の128億1千6百万円となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
<食料品製造事業>菓子食品部門
国内では、主力ブランドの「チョコボール」は新商品が好調に推移し、「ハイチュウ」「森永ビスケット」「おっとっと」は前年実績を上回りましたが、「ダース」は前年実績を下回りました。「森永ココア」が苦戦し、主力ブランド全体では前年実績並みとなりました。
その他のブランドでは、高付加価値の新商品が好調に推移した「カレ・ド・ショコラ」や、ブドウ糖を訴求した「森永ラムネ」、素材の持つおいしさの訴求と包装形態の多様化により「小麦胚芽のクラッカー」が前年実績を大きく上回りましたが、前年の大幅な売上拡大の反動により「プリングルズ」が減収となり、国内全体では前年実績並みとなりました。
海外では、米国、中国は好調に推移しましたが、台湾が前年実績を下回りました。また、インドネシアにおける合弁会社の提携解消にともない、海外全体では前年実績を下回りました。
これらの結果、菓子食品部門全体の売上高は1,220億8百万円と前年実績に比べ13億1百万円(1.1%)減となりました。
冷菓部門
主力ブランドの「ジャンボ」グループは、「チョコモナカジャンボ」と「バニラモナカジャンボ」が引き続き好調に推移しました。その他ブランドでは、「パリパリバー」や、冬季限定の「ザ・クレープ」「板チョコアイス」が好調に推移しました。連結子会社である森永エンゼルデザート㈱の冷凍デザート事業を廃止した影響もありましたが、主力ブランドが好調に推移したことにより、冷菓部門全体の売上高は372億1千5百万円と前年実績に比べ1億4千8百万円(0.4%)増となりました。
健康部門
主力ブランドの「inゼリー」は、競合の新商品投入による影響も受けましたが、猛暑による需要拡大や、熱中症対策の期間限定品「inゼリー<エネルギーレモン>」、昨年3月に発売した「inゼリー<マルチビタミンカロリーゼロ>」が好調に推移し前年実績を上回りました。「天使の健康」シリーズの通販事業は「おいしいコラーゲンドリンク」が好調に推移し、通販事業全体で前年実績を上回りました。
これらの結果、健康部門全体の売上高は369億9千2百万円と前年実績に比べ15億8千1百万円(4.5%)増となりました。
これらの結果、<食料品製造事業>の売上高は1,962億1千6百万円と前年実績に比べ0.2%増となりました。セグメント利益は196億8百万円と前年実績に比べ4億3千万円の増益となりました。
<食料卸売事業>売上高は、66億6千4百万円と前年実績に比べ0.3%減となりました。セグメント利益は5億3千6百万円と前年実績に比べ2百万円の増益となりました。
<不動産及びサービス事業>売上高は、連結子会社であった森永エンゼルカントリー㈱の事業譲渡にともない、19億9百万円と前年実績に比べ6.2%減となりました。セグメント利益は8億3千5百万円と前年実績に比べ1億1千3百万円の増益となりました。
<その他>売上高5億7千8百万円、セグメント利益9千3百万円であります。
財政状態は次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、852億3千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ51億6千2百万円増加しております。これは主に、現金及び預金が38億9千8百万円、原材料及び貯蔵品が14億6千2百万円増加したことなどによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、905億9千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ72億4千4百万円減少しております。これは主に、投資有価証券が36億7千5百万円、また食料品製造事業において固定資産の減損損失を計上したことにより建物及び構築物(純額)が18億7千3百万円、機械装置及び運搬具(純額)が10億3千5百万円減少したことなどによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、514億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ27億4千5百万円増加しております。これは主に、未払法人税等が14億8千3百万円増加したことなどによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、272億4千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億9千万円減少しております。これは主に、退職給付に係る負債が5億8千3百万円増加した一方で、繰延税金負債が21億9千8百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は971億9千3百万円で、前連結会計年度末に比べ31億3千8百万円減少しております。これは主に、利益剰余金が102億1千7百万円増加した一方で、自己株式が84億9千5百万円増加(純資産としては減少)、その他有価証券評価差額金が27億2千9百万円減少したことなどによるものであります。
以上により自己資本比率は、前連結会計年度末より0.2ポイント減少し、54.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて111億1百万円減少し、98億3千6百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は208億9千7百万円と前連結会計年度に比べ31億9百万
円増加となりました。主な内容は、税金等調整前当期純利益が169億9千9百万円、減価償却費58億3千5百万
円及び法人税等の支払額47億7千7百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は200億2千5百万円となりました。主な内容は、定期預
金の預入による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は118億8千8百万円となりました。主な内容は、自己株
式の取得による支出によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
食料品製造菓子食品
キャラメル・キャンディ・チョコレート・ビスケット・ココアほか
99,116+1.3
冷菓
アイスクリームほか
32,062+6.3
健康
ゼリー飲料ほか
14,121+23.9
合計145,300+4.2

(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3「食料卸売」、「不動産及びサービス」及び「その他」のセグメントについては、該当事項はありません。
b. 受注実績
主要製品の受注生産は、行っておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
食料品製造菓子食品
キャラメル・キャンディ・チョコレート・ビスケット・ココアほか
122,008△1.1
冷菓
アイスクリームほか
37,215+0.4
健康
ゼリー飲料ほか
36,992+4.5
小計196,216+0.2
食料卸売6,664△0.3
不動産及びサービス1,909△6.2
その他578+13.1
合計205,368+0.2

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)
三菱食品株式会社25,70912.524,66512.0

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績
(売上高)
売上高の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」の中のセグメントの経営成績に記載のとおりです。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の売上原価は、生産効率の改善等により、売上高比48.1%と前連結会計年度に比べ0.9ポイント低下しております。また販売費及び一般管理費は、売上高比42.0%と前連結会計年度に比べ0.6ポイント増加しております。
(営業利益)
食料品製造事業のセグメント利益は、196億8百万円と前年実績に比べ4億3千万円の増益となりました。菓子食品部門においては、物流費及び広告費の増加等の影響により、営業利益75億5千7百万円と前年実績より4億8千万円の減益となりました。冷菓部門においては、主力ブランドの「ジャンボ」グループが好調に推移しましたが、乳原料の価格上昇や物流費の増加により、営業利益41億6千5百万円と前年実績より8千5百万円の減益となりました。健康部門においては、主力ブランド「inゼリー」が好調に推移したことなどにより、売上高が前年実績を大きく上回り、営業利益78億8千5百万円と前年実績より9億9千6百万円の増益となりました。
食料卸売事業のセグメント利益は、5億3千6百万円と前年実績に比べ2百万円の増益となりました。
不動産及びサービス事業のセグメント利益は、8億3千5百万円と前年実績に比べ1億1千3百万円の増益となりました。
その他のセグメント利益は9千3百万円であります。
(特別損益)
特別損益は、前連結会計年度の36億3千5百万円の損失(純額)から37億6千8百万円の損失(純額)となりました。これは、食料品製造事業において、有形固定資産の減損損失を計上したことなどによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
前連結会計年度に比べ25億2千7百万円の増益となり、1株当たりの当期純利益は247.15円となっております。
当社グループは、売上高営業利益率10%、海外売上高比率10%、ROE10%以上を主な中長期目標としております。当連結会計年度の売上高営業利益率は9.8%と、前連結会計年度より0.2ポイント上昇しております。これは主に、原材料関係におけるコストダウンに取り組んできたこと、収益性の高い健康部門の売上伸長の影響によるものであります。海外売上高比率は、米国、中国は好調に推移しましたが、インドネシアにおける合弁会社の提携解消により、5.9%と前連結会計年度より0.6ポイント低下しております。ROEは親会社株主に帰属する当期純利益の増加及び自己株式の取得により13.2%と前連結会計年度より2.2ポイント上昇しております。
当社グループは、長期的かつ持続的な成長の実現に向けて、経営基盤の盤石化と成長戦略の加速をさらに進めてまいります。主力品の多い既存事業においては、ブランドの強化と収益性の向上にさらに注力し経営基盤の盤石化に取り組んでまいります。また、市場における健康ニーズの高まりに対応し、健康価値を生み出すブランドの強化と多様な健康を切り口とした商品の開発に注力いたします。海外事業においては、米国をはじめとした主要エリアでの展開強化を推進してまいります。
② 財政状態
財政状態の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」の中の財政状態に記載のとおりです。
③ 資本の財源及び資金の流動性
(キャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度の営業活動による資金の増加は208億9千7百万円、投資活動による資金の減少は200億2千5百万円、財務活動による資金の減少は118億8千8百万円となっております。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ111億1百万円減少し、98億3千6百万円となりました。
なお、詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
(キャッシュ・フロー指標のトレンド)
第167期
2015年3月期
第168期
2016年3月期
第169期
2017年3月期
第170期
2018年3月期
第171期
2019年3月期
自己資本比率(%)43.845.748.755.054.8
時価ベースの自己資本比率
(%)
72.691.4140.4136.9137.5
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)2.41.61.40.60.5
インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)
66.4106.0134.6149.0451.4

(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用したことにともない、2018年3月期及びそれ以前の決算期に係るキャッシュ・フロー指標のトレンドについては、当該会計基準等を遡って適用した後の指標となっております。
株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

(資金需要)
当社グループは、主に、運転資金、設備投資、借入の返済及び利息の支払い、配当金の支払い、並びに法人税の支払い等に資金を充当しております。
(資金調達の状況)
当社グループは、必要に応じ、短期資金は銀行借入により、長期資金は銀行借入や社債発行により調達する方針であります。一時的な余資の運用は、安全性の高い金融資産にて行います。デリバティブ取引は、製品及び原材料の輸出入等による為替変動リスクを回避するために利用しており、投機的な取引は行いません。