有価証券報告書-第172期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、原材料費の高騰や人手不足による人件費や物流コストの上昇に加え、消費税の引き上げ、大型台風の襲来や暖冬の影響により個人消費は力強さを欠くものとなりました。さらに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受け、消費活動全体は重く先行きの見えない状況となっております。また、海外においても米中の貿易摩擦など世界経済に関する不確実性に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が世界経済に減速感をもたらしております。
当社グループを取り巻く食品業界におきましては、食の安全・安心の徹底やライフスタイルの変化により簡便性や健康ニーズが高まる中、購買行動の変化とその兆しをとらえたより付加価値の高い商品作りが求められ、競争環境はいっそう厳しさを増しております。
このような経営環境のもと、当社は2018年度からの3年間を対象とする中期経営計画を策定し、その2期目として、高収益安定企業を実現すべく、主力ブランドの強化と時代の変化に合わせたウェルネス領域の訴求及び高付加価値商品の開発に注力するとともに、生産効率向上を目指した工場再編や全社的なコスト削減等による収益基盤強化に取り組んでまいりました。
売上高は、主力の食料品製造事業が好調に推移し、全体では2,088億7千8百万円と前年実績に比べ35億1千万円(1.7%)の増収となりました。
損益は、物流費及び販売費、広告費の増加等もありましたが、原価率の低減に取り組み、営業利益は前年実績に比べ10億1千3百万円(5.0%)増益の212億3千万円、経常利益も前年実績に比べ11億8千3百万円(5.7%)増益の219億5千万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、J.W.O. Corporation(ジェイ・ダブリュ・オー・コーポレーション)と締結しているライセンス及び技術援助契約一部解約にともなう特別損失の計上等により、前年実績に比べ19億9千2百万円(15.5%)減益の108億2千4百万円となりました。
■営業利益増減分析

セグメントの経営成績は次のとおりであります。
<食料品製造事業>菓子食品部門
国内主力ブランドでは、「ハイチュウ」は包装形態の多様化を行いながら、積極的な売り場拡大を進めたことで前年実績を上回りました。「チョコボール」「カレ・ド・ショコラ」「森永甘酒」は前年実績を下回りましたが、人気イラストレーターやキャラクターとのコラボレーションデザインで店頭訴求力を高めた「森永ビスケット」は好調に推移し、主力ブランド全体では前年実績を上回りました。
その他のブランドでは、ブドウ糖を訴求し新たな食シーンにおける需要創造を図った「森永ラムネ」が前年実績を大きく上回り、また食物繊維や素材の持つおいしさを訴求した「小麦胚芽のクラッカー」も好調に推移し、国内全体では前年実績を上回りました。
海外では、米国で展開している「HI-CHEW」は、取扱店の増加により引き続き好調に推移しましたが、2019年1月に連結子会社であった森永キノインドネシア㈱の全株式譲渡等の影響もあり、海外全体では前年実績を下回りました。
これらの結果、菓子食品部門全体の売上高は1,208億7千7百万円と前年実績に比べ11億3千1百万円(0.9%)減となりました。
損益は、物流費等の増加がありましたが、原価率の低減や効率的な広告投下により、営業利益は前年実績に比べ6億9千5百万円(9.2%)増益の82億4千7百万円となりました。
冷菓部門
主力ブランドの「ジャンボ」グループは、最盛期の天候不順などもありましたが、積極的なプロモーションを展開した効果に加え、「バニラモナカジャンボ」が前年実績を大きく上回ったことにより、引き続き好調に推移しました。その他のブランドでは、ファミリー層向けの「パリパリバー」が好調に推移し、webプロモーションによる取扱店の増加等で「板チョコアイス」も前年実績を大きく上回りました。
これらの結果、冷菓部門全体の売上高は407億5千3百万円と前年実績に比べ35億3千8百万円(9.5%)増となりました。
損益は、乳原料をはじめとした原材料費の高騰、物流費及び広告費の増加等もありましたが、価格改定及び原価低減の取り組みにより営業利益は前年実績に比べ13億9千3百万円(33.4%)増益の55億5千8百万円となりました。
健康部門
主力ブランドの「inゼリー」は、新機能を持った高付加価値商品の訴求や飲用シーンの提案、多様な媒体でのプロモーション展開などを行いましたが、最盛期の天候不順の影響もあり、前年実績並みとなりました。手軽にプロテインが摂れる「inバー」は、糖質オフやタンパク質増量などのリニューアルにより新たなニーズを捉え、好調に推移しました。「天使の健康」シリーズの通販事業は「おいしいコラーゲンドリンク」が前年実績を上回り、通販事業全体としても前年実績を大きく上回りました。
これらの結果、健康部門全体の売上高は384億8千6百万円と前年実績に比べ14億9千4百万円(4.0%)増となりました。
損益は、広告費の積極的投下やプロダクトミックス等の影響により、営業利益は前年実績に比べ8億5千5百万円(10.8%)減益の70億3千万円となりました。
これらの結果、<食料品製造事業>の売上高は2,001億1千7百万円と前年実績に比べ2.0%増となりました。セグメント利益は208億3千6百万円と前年実績に比べ12億3千3百万円の増益となりました。
<食料卸売事業>売上高は、62億3千4百万円と前年実績に比べ6.4%減となりました。セグメント利益は4億6千1百万円と前年実績に比べ7千8百万円の減益となりました。
<不動産及びサービス事業>売上高は、19億1百万円と前年実績に比べ0.4%減となりました。セグメント利益は8億2千4百万円と前年実績に比べ3百万円の減益となりました。
<その他>売上高6億2千4百万円、セグメント利益1億2千6百万円であります。
財政状態は次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、863億2千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億8千9百万円増加しております。これは主に、受取手形及び売掛金が35億9千2百万円減少した一方で、現金及び預金が35億9千1百万円、商品及び製品が4億6千8百万円、その他が7億6千8百万円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、1,017億3千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ111億3千3百万円増加しております。これは主に、減損損失を計上したこと等により土地が26億1千万円減少した一方で、建設仮勘定が90億3百万円、建物及び構築物(純額)が29億5百万円増加したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、578億5千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ64億5千3百万円増加しております。これは主に、支払手形及び買掛金が36億7千4百万円減少した一方で、未払金が54億6千4百万円、その他に含まれる設備関係未払金が48億6千8百万円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、247億1千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億2千4百万円減少しております。これは主に、繰延税金負債が22億2千1百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は1,054億8千7百万円で、前連結会計年度末に比べ82億9千4百万円増加しております。これは主に、利益剰余金が75億2百万円、その他有価証券評価差額金が6億1千7百万円増加したこと等によるものであります。
以上により自己資本比率は、前連結会計年度末より0.9ポイント増加し、55.7%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ335億9千万円増加し、434億2千7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は209億9千4百万円と前連結会計年度に比べ9千7百万円増加となりました。主な内容は、税金等調整前当期純利益が154億3千7百万円、減価償却費62億3千万円及び法人税等の支払額65億9千5百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の増加は169億9千3百万円となりました。主な内容は、定期預金の払戻による収入及び有形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は43億7千5百万円となりました。主な内容は、配当金の支払額によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3「食料卸売」、「不動産及びサービス」及び「その他」のセグメントについては、該当事項はありません。
b. 受注実績
主要製品の受注生産は、行っておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
売上高の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」の中のセグメントの経営成績に記載のとおりです。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の売上原価は、生産効率の改善、商品規格見直し等により、売上高比47.3%と前連結会計年度に比べ0.8ポイント低下しております。また販売費及び一般管理費は、売上高比42.6%と前連結会計年度に比べ0.6ポイント増加しております。
(営業利益)
食料品製造事業のセグメント利益は、208億3千6百万円と前年実績に比べ12億3千3百万円の増益となりました。菓子食品部門においては、原価率の低減や効率的な広告投下により、営業利益82億4千7百万円と前年実績より6億9千5百万円の増益となりました。冷菓部門においては、主力ブランドの「ジャンボ」グループを中心に好調に推移し、増収効果及び価格改定、原価低減に取り組み、営業利益55億5千8百万円と前年実績より13億9千3百万円の増益となりました。健康部門においては、広告費の積極的投下やプロダクトミックス等の影響により、営業利益70億3千万円と前年実績より8億5千5百万円の減益となりました。
食料卸売事業のセグメント利益は、4億6千1百万円と前年実績に比べ7千8百万円の減益となりました。
不動産及びサービス事業のセグメント利益は、8億2千4百万円と前年実績に比べ3百万円の減益となりました。
その他のセグメント利益は1億2千6百万円であります。
(特別損益)
特別損益は、前連結会計年度の37億6千8百万円の損失(純額)から65億1千2百万円の損失(純額)となりました。これは、J.W.O. Corporation(ジェイ・ダブリュ・オー・コーポレーション)と締結しているライセンス及び技術援助契約一部解約にともなう特別損失を計上したことなどによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
前連結会計年度に比べ19億9千2百万円の減益となり、1株当たりの当期純利益は215.18円であります。
当社グループは、売上高営業利益率10%、海外売上高比率10%、ROE10%以上を主な中長期目標としております。当連結会計年度の売上高営業利益率は10.2%と、前連結会計年度より0.4ポイント上昇しております。これは主に、収益性の高い主力ブランドへの資源集中、冷菓事業の売上伸長の効果によるものであります。海外売上高比率は、主力の米国事業は好調に推移しましたが、2019年1月に連結子会社であった森永キノインドネシア㈱の全株式譲渡等により、5.3%と前連結会計年度より0.6ポイント低下しております。ROEは、特別損失の計上による親会社株主に帰属する当期純利益の減少により10.8%と前連結会計年度より2.4ポイント低下しております。
現在、当社グループを取り巻く事業環境はいっそう厳しさを増しております。 当連結会計年度のわが国経済は原材料費の高騰や人手不足による人件費や物流コストの上昇に加え、消費税の引き上げ、大型台風の襲来や暖冬の影響により個人消費は力強さを欠くものとなりました。さらに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受け、消費活動全体は重く先行きの見えない状況となっております。また、海外においても米中の貿易摩擦など世界経済に関する不確実性に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が世界経済に減速感をもたらしており、多くの企業が従来の取り組みと企業努力だけでは乗り切ることが困難なほど厳しい状況に直面しつつあります。
このような状況の中、当社グループでは事業環境の変化に柔軟に対応しながら中長期の持続的な安定成長の実現を目指してまいります。国内におきましては、収益力の安定化に向けて、顧客視点のマーケティングを徹底し主力ブランドの強化と時代の変化に合わせたウェルネス領域の多様な商品開発に注力するとともに、生産効率向上を目指した工場再編や全社的なコスト削減等による収益基盤強化に取り組むことで事業ポートフォリオの最適化を図ってまいります。
海外におきましても、主要国においては主力ブランドの活性化を進めるとともに、営業やサプライチェーンマネジメントの強化、コストの構造改革などに取り組むことで売上拡大と収益改善を両立させた戦略を継続して実行してまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受け、当社グループでは主に健康部門や一部の国内子会社への影響が大きくなっております。2021年3月期の計画は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が、主に上半期に生じ、下半期に向けては収束に向かうと想定し策定しております。主な影響は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 3 中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」をご参照下さい。
② 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」の中の財政状態に記載のとおりです。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
キャッシュ・フローの詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(キャッシュ・フロー指標のトレンド)
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物は434億2千7百万円となり、資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としつつ、銀行借入、社債発行等により調達する方針であります。資金調達の際には、適切な手元資金の水準、期間及び金利等の調達条件、自己資本比率、ROE、ROICといった財務指標への影響度等を総合的に勘案したうえで、最適な資本構成を目指して実施してまいります。 資金配分については、円滑な事業活動及び安全性を確保するための手元資金の水準を確保しつつ、企業価値向上に資する配分に努めております。企業価値向上のための資金配分といたしましては、「2018中期経営計画」における「経営基盤の盤石化と成長戦略の加速」を推進するとともに、適切な株主還元を実行してまいります。 株主還元につきましては経営における重要課題と考えており、安定的配当を確保しつつ、業績及びキャッシュ・フローの状況、配当性向等を総合的に勘案し、状況に応じた株主還元を実施してまいります。当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 」に記載のとおりです。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束時期等を含む仮定に関する情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、原材料費の高騰や人手不足による人件費や物流コストの上昇に加え、消費税の引き上げ、大型台風の襲来や暖冬の影響により個人消費は力強さを欠くものとなりました。さらに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受け、消費活動全体は重く先行きの見えない状況となっております。また、海外においても米中の貿易摩擦など世界経済に関する不確実性に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が世界経済に減速感をもたらしております。
当社グループを取り巻く食品業界におきましては、食の安全・安心の徹底やライフスタイルの変化により簡便性や健康ニーズが高まる中、購買行動の変化とその兆しをとらえたより付加価値の高い商品作りが求められ、競争環境はいっそう厳しさを増しております。
このような経営環境のもと、当社は2018年度からの3年間を対象とする中期経営計画を策定し、その2期目として、高収益安定企業を実現すべく、主力ブランドの強化と時代の変化に合わせたウェルネス領域の訴求及び高付加価値商品の開発に注力するとともに、生産効率向上を目指した工場再編や全社的なコスト削減等による収益基盤強化に取り組んでまいりました。
売上高は、主力の食料品製造事業が好調に推移し、全体では2,088億7千8百万円と前年実績に比べ35億1千万円(1.7%)の増収となりました。
損益は、物流費及び販売費、広告費の増加等もありましたが、原価率の低減に取り組み、営業利益は前年実績に比べ10億1千3百万円(5.0%)増益の212億3千万円、経常利益も前年実績に比べ11億8千3百万円(5.7%)増益の219億5千万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、J.W.O. Corporation(ジェイ・ダブリュ・オー・コーポレーション)と締結しているライセンス及び技術援助契約一部解約にともなう特別損失の計上等により、前年実績に比べ19億9千2百万円(15.5%)減益の108億2千4百万円となりました。
■営業利益増減分析

セグメントの経営成績は次のとおりであります。
<食料品製造事業>菓子食品部門
国内主力ブランドでは、「ハイチュウ」は包装形態の多様化を行いながら、積極的な売り場拡大を進めたことで前年実績を上回りました。「チョコボール」「カレ・ド・ショコラ」「森永甘酒」は前年実績を下回りましたが、人気イラストレーターやキャラクターとのコラボレーションデザインで店頭訴求力を高めた「森永ビスケット」は好調に推移し、主力ブランド全体では前年実績を上回りました。
その他のブランドでは、ブドウ糖を訴求し新たな食シーンにおける需要創造を図った「森永ラムネ」が前年実績を大きく上回り、また食物繊維や素材の持つおいしさを訴求した「小麦胚芽のクラッカー」も好調に推移し、国内全体では前年実績を上回りました。
海外では、米国で展開している「HI-CHEW」は、取扱店の増加により引き続き好調に推移しましたが、2019年1月に連結子会社であった森永キノインドネシア㈱の全株式譲渡等の影響もあり、海外全体では前年実績を下回りました。
これらの結果、菓子食品部門全体の売上高は1,208億7千7百万円と前年実績に比べ11億3千1百万円(0.9%)減となりました。
損益は、物流費等の増加がありましたが、原価率の低減や効率的な広告投下により、営業利益は前年実績に比べ6億9千5百万円(9.2%)増益の82億4千7百万円となりました。
冷菓部門
主力ブランドの「ジャンボ」グループは、最盛期の天候不順などもありましたが、積極的なプロモーションを展開した効果に加え、「バニラモナカジャンボ」が前年実績を大きく上回ったことにより、引き続き好調に推移しました。その他のブランドでは、ファミリー層向けの「パリパリバー」が好調に推移し、webプロモーションによる取扱店の増加等で「板チョコアイス」も前年実績を大きく上回りました。
これらの結果、冷菓部門全体の売上高は407億5千3百万円と前年実績に比べ35億3千8百万円(9.5%)増となりました。
損益は、乳原料をはじめとした原材料費の高騰、物流費及び広告費の増加等もありましたが、価格改定及び原価低減の取り組みにより営業利益は前年実績に比べ13億9千3百万円(33.4%)増益の55億5千8百万円となりました。
健康部門
主力ブランドの「inゼリー」は、新機能を持った高付加価値商品の訴求や飲用シーンの提案、多様な媒体でのプロモーション展開などを行いましたが、最盛期の天候不順の影響もあり、前年実績並みとなりました。手軽にプロテインが摂れる「inバー」は、糖質オフやタンパク質増量などのリニューアルにより新たなニーズを捉え、好調に推移しました。「天使の健康」シリーズの通販事業は「おいしいコラーゲンドリンク」が前年実績を上回り、通販事業全体としても前年実績を大きく上回りました。
これらの結果、健康部門全体の売上高は384億8千6百万円と前年実績に比べ14億9千4百万円(4.0%)増となりました。
損益は、広告費の積極的投下やプロダクトミックス等の影響により、営業利益は前年実績に比べ8億5千5百万円(10.8%)減益の70億3千万円となりました。
これらの結果、<食料品製造事業>の売上高は2,001億1千7百万円と前年実績に比べ2.0%増となりました。セグメント利益は208億3千6百万円と前年実績に比べ12億3千3百万円の増益となりました。
<食料卸売事業>売上高は、62億3千4百万円と前年実績に比べ6.4%減となりました。セグメント利益は4億6千1百万円と前年実績に比べ7千8百万円の減益となりました。
<不動産及びサービス事業>売上高は、19億1百万円と前年実績に比べ0.4%減となりました。セグメント利益は8億2千4百万円と前年実績に比べ3百万円の減益となりました。
<その他>売上高6億2千4百万円、セグメント利益1億2千6百万円であります。
財政状態は次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、863億2千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億8千9百万円増加しております。これは主に、受取手形及び売掛金が35億9千2百万円減少した一方で、現金及び預金が35億9千1百万円、商品及び製品が4億6千8百万円、その他が7億6千8百万円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、1,017億3千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ111億3千3百万円増加しております。これは主に、減損損失を計上したこと等により土地が26億1千万円減少した一方で、建設仮勘定が90億3百万円、建物及び構築物(純額)が29億5百万円増加したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、578億5千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ64億5千3百万円増加しております。これは主に、支払手形及び買掛金が36億7千4百万円減少した一方で、未払金が54億6千4百万円、その他に含まれる設備関係未払金が48億6千8百万円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、247億1千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億2千4百万円減少しております。これは主に、繰延税金負債が22億2千1百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は1,054億8千7百万円で、前連結会計年度末に比べ82億9千4百万円増加しております。これは主に、利益剰余金が75億2百万円、その他有価証券評価差額金が6億1千7百万円増加したこと等によるものであります。
以上により自己資本比率は、前連結会計年度末より0.9ポイント増加し、55.7%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ335億9千万円増加し、434億2千7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は209億9千4百万円と前連結会計年度に比べ9千7百万円増加となりました。主な内容は、税金等調整前当期純利益が154億3千7百万円、減価償却費62億3千万円及び法人税等の支払額65億9千5百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の増加は169億9千3百万円となりました。主な内容は、定期預金の払戻による収入及び有形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は43億7千5百万円となりました。主な内容は、配当金の支払額によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) | |
食料品製造 | 菓子食品 キャラメル・キャンディ・チョコレート・ビスケット・ココアほか | 94,975 | △4.2 |
冷菓 アイスクリームほか | 33,703 | +5.1 | |
健康 ゼリー飲料ほか | 15,218 | +7.8 | |
合計 | 143,897 | △1.0 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3「食料卸売」、「不動産及びサービス」及び「その他」のセグメントについては、該当事項はありません。
b. 受注実績
主要製品の受注生産は、行っておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) | |
食料品製造 | 菓子食品 キャラメル・キャンディ・チョコレート・ビスケット・ココアほか | 120,877 | △0.9 |
冷菓 アイスクリームほか | 40,753 | +9.5 | |
健康 ゼリー飲料ほか | 38,486 | +4.0 | |
小計 | 200,117 | +2.0 | |
食料卸売 | 6,234 | △6.4 | |
不動産及びサービス | 1,901 | △0.4 | |
その他 | 624 | +7.9 | |
合計 | 208,878 | +1.7 |
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
三菱食品株式会社 | 24,665 | 12.0 | 25,145 | 12.0 |
丸紅株式会社 | 19,181 | 9.3 | 21,011 | 10.1 |
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
売上高の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」の中のセグメントの経営成績に記載のとおりです。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の売上原価は、生産効率の改善、商品規格見直し等により、売上高比47.3%と前連結会計年度に比べ0.8ポイント低下しております。また販売費及び一般管理費は、売上高比42.6%と前連結会計年度に比べ0.6ポイント増加しております。
(営業利益)
食料品製造事業のセグメント利益は、208億3千6百万円と前年実績に比べ12億3千3百万円の増益となりました。菓子食品部門においては、原価率の低減や効率的な広告投下により、営業利益82億4千7百万円と前年実績より6億9千5百万円の増益となりました。冷菓部門においては、主力ブランドの「ジャンボ」グループを中心に好調に推移し、増収効果及び価格改定、原価低減に取り組み、営業利益55億5千8百万円と前年実績より13億9千3百万円の増益となりました。健康部門においては、広告費の積極的投下やプロダクトミックス等の影響により、営業利益70億3千万円と前年実績より8億5千5百万円の減益となりました。
食料卸売事業のセグメント利益は、4億6千1百万円と前年実績に比べ7千8百万円の減益となりました。
不動産及びサービス事業のセグメント利益は、8億2千4百万円と前年実績に比べ3百万円の減益となりました。
その他のセグメント利益は1億2千6百万円であります。
(特別損益)
特別損益は、前連結会計年度の37億6千8百万円の損失(純額)から65億1千2百万円の損失(純額)となりました。これは、J.W.O. Corporation(ジェイ・ダブリュ・オー・コーポレーション)と締結しているライセンス及び技術援助契約一部解約にともなう特別損失を計上したことなどによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
前連結会計年度に比べ19億9千2百万円の減益となり、1株当たりの当期純利益は215.18円であります。
当社グループは、売上高営業利益率10%、海外売上高比率10%、ROE10%以上を主な中長期目標としております。当連結会計年度の売上高営業利益率は10.2%と、前連結会計年度より0.4ポイント上昇しております。これは主に、収益性の高い主力ブランドへの資源集中、冷菓事業の売上伸長の効果によるものであります。海外売上高比率は、主力の米国事業は好調に推移しましたが、2019年1月に連結子会社であった森永キノインドネシア㈱の全株式譲渡等により、5.3%と前連結会計年度より0.6ポイント低下しております。ROEは、特別損失の計上による親会社株主に帰属する当期純利益の減少により10.8%と前連結会計年度より2.4ポイント低下しております。
現在、当社グループを取り巻く事業環境はいっそう厳しさを増しております。 当連結会計年度のわが国経済は原材料費の高騰や人手不足による人件費や物流コストの上昇に加え、消費税の引き上げ、大型台風の襲来や暖冬の影響により個人消費は力強さを欠くものとなりました。さらに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受け、消費活動全体は重く先行きの見えない状況となっております。また、海外においても米中の貿易摩擦など世界経済に関する不確実性に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が世界経済に減速感をもたらしており、多くの企業が従来の取り組みと企業努力だけでは乗り切ることが困難なほど厳しい状況に直面しつつあります。
このような状況の中、当社グループでは事業環境の変化に柔軟に対応しながら中長期の持続的な安定成長の実現を目指してまいります。国内におきましては、収益力の安定化に向けて、顧客視点のマーケティングを徹底し主力ブランドの強化と時代の変化に合わせたウェルネス領域の多様な商品開発に注力するとともに、生産効率向上を目指した工場再編や全社的なコスト削減等による収益基盤強化に取り組むことで事業ポートフォリオの最適化を図ってまいります。
海外におきましても、主要国においては主力ブランドの活性化を進めるとともに、営業やサプライチェーンマネジメントの強化、コストの構造改革などに取り組むことで売上拡大と収益改善を両立させた戦略を継続して実行してまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受け、当社グループでは主に健康部門や一部の国内子会社への影響が大きくなっております。2021年3月期の計画は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が、主に上半期に生じ、下半期に向けては収束に向かうと想定し策定しております。主な影響は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 3 中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」をご参照下さい。
② 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」の中の財政状態に記載のとおりです。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
キャッシュ・フローの詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(キャッシュ・フロー指標のトレンド)
第168期2016年3月期 | 第169期2017年3月期 | 第170期2018年3月期 | 第171期2019年3月期 | 第172期2020年3月期 | |
自己資本比率(%) | 45.7 | 48.7 | 55.0 | 54.8 | 55.7 |
時価ベースの自己資本比率 (%) | 91.4 | 140.4 | 136.9 | 137.5 | 118.2 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 1.6 | 1.4 | 0.6 | 0.5 | 0.5 |
インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) | 106.0 | 134.6 | 149.0 | 451.4 | 317.1 |
(注) | 自己資本比率 | :自己資本/総資産 |
時価ベースの自己資本比率 | :株式時価総額/総資産 | |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | :有利子負債/キャッシュ・フロー | |
インタレスト・カバレッジ・レシオ | :キャッシュ・フロー/利払い | |
※ | 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。 | |
※ | 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第171期の期首から適用したことにともない、第170期以前の決算期に係るキャッシュ・フロー指標のトレンドについては、当該会計基準等を遡って適用した後の指標となっております。 | |
※ | 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。 | |
※ | キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 |
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物は434億2千7百万円となり、資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としつつ、銀行借入、社債発行等により調達する方針であります。資金調達の際には、適切な手元資金の水準、期間及び金利等の調達条件、自己資本比率、ROE、ROICといった財務指標への影響度等を総合的に勘案したうえで、最適な資本構成を目指して実施してまいります。 資金配分については、円滑な事業活動及び安全性を確保するための手元資金の水準を確保しつつ、企業価値向上に資する配分に努めております。企業価値向上のための資金配分といたしましては、「2018中期経営計画」における「経営基盤の盤石化と成長戦略の加速」を推進するとともに、適切な株主還元を実行してまいります。 株主還元につきましては経営における重要課題と考えており、安定的配当を確保しつつ、業績及びキャッシュ・フローの状況、配当性向等を総合的に勘案し、状況に応じた株主還元を実施してまいります。当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 」に記載のとおりです。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束時期等を含む仮定に関する情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。