有価証券報告書-第109期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/30 9:13
【資料】
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【項目】
120項目

研究開発活動

厳しい経済環境が続く中、企業の成長に不可欠である新製品の開発は、当社グループの企業戦略における最重要課題のひとつであります。当社グループの研究開発は長期的展望に立った基礎研究、応用研究を健康科学研究所で、新製品の開発をマーケティング本部等で推進しております。
当連結会計年度に支出した研究開発費は総額4,354百万円であります。セグメントごとの研究開発費は、菓子部門が1,187百万円、冷菓部門が784百万円、食品部門が434百万円、牛乳・乳製品部門が1,023百万円、畜産加工品部門が96百万円、食品原料部門が252百万円であり、基礎研究等で特定のセグメントに関連付けられない研究開発費は578百万円であります。
当連結会計年度の主な研究の概要とその成果
(1)基礎研究、応用研究、品質保証研究分野
独創的な新製品を開発するため、技術面からのシーズの発見に注力し、微生物あるいは植物由来の酵素を利用した新素材の開発、新食品素材や加工法の利用研究、これらの研究・技術を生かした菓子、冷菓、食品、牛乳・乳製品、食品原料の商品化研究などに取り組んでおります。
健康科学研究所では、これまで蓄積してきた糖質加工技術と糖質利用技術の利用を中心に、独自性のある素材や製品を開発し、事業を行っております。既に事業化が進行している素材としては、新美白成分である化粧品原料“α-アルブチン”、新規食品原料“クラスター デキストリン”、機能性高分子の“酵素合成グリコーゲン”、“アミロース”と“シクロアミロース”、α-リポ酸をナノカプセル化した新規化粧品原料“α-リポエッグ”があります。当期は、健康栄養分野の研究では、当社グループの独自素材であるリン酸化オリゴ糖カルシウム“POs-Ca” 配合の特定保健用食品“POs-Ca[ポスカ]”の歯への健康効果に関する特徴を分りやすく訴求するため、「日本歯科医師会推奨 初期むし歯対策ガム」とパッケージに表記して平成26年3月にリニューアル発売しました。 また、“酵素合成グリコーゲン”利用の自社化粧品ブランド“gg”のエレジナローションとクリームに加え、クリームVを新たに開発、上市し、事業拡大を進めました。今後もこれら独自素材を基軸に、健康に寄与できる基盤研究を積極的に進めていきます。
品質保証に関する研究では、お客様に常に安全で安心な商品を購入していただくために、グリコ食品安全センターにて当社グループの品質保証に関する高度分析業務を集中して実施しております。またさらに、品質に関わる新たな分析方法の研究開発も行っております。
乳製品関連分野の研究では、自社開発のおなかで増えるビフィズス菌“BifiX”を摂取することで、おなかのビフィズス菌をよく増やすことができることを明らかにしました。今後もさらなる研究を進め、製品へ応用していきます。
(2)新製品開発分野
人口の減少に加え、少子・高齢化が進む市場環境下において、マーケティング本部が製造部門などの関連部門と連携し、すべてのカテゴリーでお客様のニーズや市場のトレンドを意識した商品力強化、独創的な新製品開発と市場導入を図り、市場の活性化に取組んでおります。既存基幹品のブランド強化を中心に、お客様ニーズの変化へ適合を進めました。
菓子分野では、主力品“ポッキー”は、プレッツェル部を減圧混合製法によってパイ風食感に焼き上げた“大人のミルク”を発売し、異なるターゲットニーズを捉えることに成功しました。発売2年目を迎える“ビッテ”も味の余韻を残したチョコ感と軽い食感のビスキュイの食感のハーモニーをさらに強化し、好調に売上を伸ばしました。また新製品として、関西グリコ株式会社神戸ファクトリ-で自家焙煎した微粉砕カカオマスを使用し、乳素材と製法に、こだわった大袋チョコレ-トの”神戸ショコラ”を発売しました。“カプリコ”は主力のジャイアントカプリコの売り上げを順調に伸ばすとともに、大人向けカプリコとしてふんわりとしたチョコレ-トをさっくり焼き上げたモナカでサンドしたカプリコスィ-トサンドを新発売しました。“プリッツ”は、生地部の改良や口とけの良いオイルを採用した新配合への見直しを行い、つぎつぎ食べられる独自の価値を強化しました。“ブレオ”は、発泡技術を加えたジェットタイプを新発売し、泡の力で息スッキリを実現しました。
冷菓分野では、“ジャイアントコーン”は“チョコナッツ”にコーン側面にビスケットとチョコを組み合わせたビスキーチョコを使用し、味だけでなく食感のハーモニーを強化しました。さらに50周年企画として春先から“苺のチーズケーキ”を投入し、売場での露出強化・購買喚起を計り、ブランドを強化しました。“パピコ”は“バニラのフローズン”に、「うま爽やか」新製法を活用し、従来品に比べて食べ始めが濃厚で後口すっきりしたバニラ風味を実現しました。“牧場しぼり”は、定番品に加えて、季節限定品として“抹茶”、“白桃”、“ラムレーズン”、“レアチーズ”を投入し、ブランドの活性化を図りました。“セブンティーンアイス”は、季節限定品を継続して投入しました。“マスカット&ゼリー”や“クッキー&マシュマロ”など新たな素材を活用し活性化を図りました。“バニラティエ”は各種油脂の配合を調整し、さらに口どけ濃厚なクリームに改良し満足感を高めました。新製品として、北海道産濃縮乳と生クリームを使用したシンプルなアイスキャンデー“素直なミルクバー”を、またふんわりクリーミィな食感でパンに良くあうアイスをコンセプトに、今迄にない高固形配合技術を用いて製造した“ホイップアイス”を発売しました。“ホイップアイス”は、冷凍下でも柔らかい食感を実現し、テレビ番組など様々な媒体で商品紹介され話題を提供しました。“カロリーコントロールアイス”はカップシリーズの配合を見直し、美味しさはそのままで糖質50%オフを実現しました。
食品分野では、主力品“2段熟カレー”は、コクと香りを凝縮して強化するように配合や製造条件を見直し、出来上がりの皿数は変えずに減量化を行いました。“クレアシチューシリーズ”は、ブイヨンのコクをアップするように配合を見直し、“クレアスイートコーン”は、シチューで初めて「らくわけトレー」を採用し、使いやすい小分け包装にしました。“カレー職人”は、「特製あめ色玉ねぎ」を配合してコクを強化することで、カレーソースのおいしさを強化しました。惣菜の素の“ごちうまシリーズ”は、秋に“鶏照り大根”と“豚と白菜の重ね煮”、春に“揚げだし豆腐”と“鶏のガーリックバター炒め”を発売するなど、季節の食材をよりおいしく食べられるような配合に仕上げました。“DONBURI亭”は、鶏を炭で焼くことで香ばしさを出した“鶏の炭火焼き丼”、従来品より牛肉を倍増することで価値をアップした“牛のすき焼き丼”を発売しました。“炊き込み御膳”は、だしと松茸の品質にこだわった“特選松茸ごはん”と、北海道産真昆布を使用し、だしにもこだわった“特選栗ごはん”を発売し、より価値のある商品をお客様に提供しました。
その他、スポーツフーズでは主力商品の“マックスロードホエイプロテインシリーズ”の“チョコレート風味”“サワーミルク風味”を独自の配合技術を利用し、更に美味しく飲みやすい配合にリニューアルしました。
牛乳・乳製品分野では、発酵乳カテゴリーの“朝食プロバイオティクスヨーグルトBifiXシリーズ”において、“マンゴー”“脂肪ゼロ”“アロエ”を順次発売しました。また、“BifiX”をより強調したデザインへ全品リニューアルするなど、ブランド拡大に向け注力しました。洋生菓子カテゴリーでは、“プッチンプリン”で夏季に凍らせて食べるという新提案、口どけ感をアップさせたリニューアル等を実施し、ブランド活性化に取り組みました。乳飲料カテゴリーでは、8月1日を「カフェオーレの日」とした販売促進対策が奏功し、Pキャン容器入りカフェオーレの売上は伸長しました。