有価証券報告書-第73期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 9:13
【資料】
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【項目】
103項目

研究開発活動

食品(菓子・飲料)につきましては食品開発部(本社内)、連結子会社の株式会社エースベーカリー(愛知県小牧市)において、また化成品(医薬品原料、酵素)につきましては名古屋研究所(愛知県清須市)、東京研究所(東京都八王子市)において、研究開発を実施しております。
当連結会計年度の研究開発費は食品事業が379百万円、化成品事業が317百万円、総額で696百万円であります。
食品事業
食品事業におきましては、経営基本姿勢にあります「お客様重視の経営」のもとで、企業理念に掲げます「おいしさ」「たのしさ」「健康」への追求を通じ、常に安全で高品質な商品の提供を行うべく、研究開発に取組んでまいりました。
菓子部門のチョコレート類は、認知度の向上と拡販を図るべく、ファミリータイプ商品を中心に、「meito×サンリオ コラボレーションキャンペーン」を実施しました。また、長期化も予想される原材料価格高騰も鑑み、大部分の商品の規格を変更しました。主力商品形態でありますファミリータイプとして、やさしい口どけの「フェアリーマルシェ」、冷やしておいしい「果実ジュレショコラ」を発売し、品揃えの充実を図るとともに、豆乳と雑穀(キヌア)のヘルシーな素材を組み合わせた「ソイスティックショコラ」、洋酒を効かせた大人の味わいの「One’sBAR(ワンズバー)チョコ」、サンリオの6つのキャラクターをモナカにデザインしてエアインチョコに仕上げた「ふわふわチョコモナカ」を発売しました。
キャンディ類は、種子島産の安納芋を使用した「安納芋キャンディ」、日本各地の名産品を使用した「のど飴日本」、そして「アーモンドミルクキャンディ」「りんごバターキャンディ」を発売しました。また、シニア向けの「梅黒酢飴」を発売しました。
粉末飲料部門では、主力の「レモンティー」、「アップルティー」、「ロイヤルミルクティー」、「レモネードC」でチョコレートと同様に、「meito×サンリオ コラボレーションキャンペーン」を実施しました。また、”スティックメイト”ブランドで「ミックスベリーティー」、「ラ・フランスティー」の2品を発売し、それに「レモンティー」、「ピーチティー」を加えた4種類のフルーツティー詰合せ「Fアソート24P」も発売し、ブランド全体の拡売を図りました。3種類のココアパウダーをブレンドした「香り高いミルクココア」と栄養機能食品に改良した「牛乳deココア」を発売し、ココア市場でのシェア拡大を図りました。その他、粉末酒を使用した”贅沢なひととき”シリーズの「ラム・カフェラテ」や1杯分にビタミンCを1500mg配合した「VC1500レモン」、ごぼうと食物繊維を配合した「ごぼう紅茶」を発売しました。子供用菓子コーナー向けで、3つの粉から7色7味のラムネが作れる「はなかっぱとつくろう!やわらかラムネ」を、シリーズ第2弾として発売しました。
平成26年度よりスタートした栄養食品部門では、老人施設、病院向け商品として、粉末水分補給飲料「ウォーターメイト」、自社の乳酸菌特許を利用した「シンバイオの力」、タンパク質などの栄養を強化した「チョコdeおいしく栄養補給」を発売し、新たな販売先の開拓を行いました。
このように、各部門とも新商品を上市し、同時に、依然高めに推移する原材料価格の動向に注視しながら規格の見直しも行い、原価の改善や商品の活性化を図りました。
また、株式会社エースベーカリーでは、バウムクーヘンの新商品として、期間限定の「厚切りバウムクーヘンさつまいも」を秋に発売し、春には「厚切りバウムクーヘンシチリアレモン」を発売しました。ミニバウムクーヘンでは、餡やクリームをセンターに詰めた「ミニバウムクーヘン栗入こしあん」や「苺クリームのチョコバウムクーヘン」を、ケーキでは、「スイーツバー」のシリーズとして、ドライフルーツを練り込んだ「フルーツ」、抹茶と小豆を練り込んだ「抹茶小豆」、チーズを練り込んだ「チーズ」の3品を単体包装の形態としました。ゼリーは巾着と小箱で「凍らせてゼリー」として新たに「和柑橘」、「スムージー」を追加するなど開発しました。
当社グループは、消費者の食品への安全・安心に対する高い意識のなか、お客様にとって安心できる原材料を選択管理し、また、お客様の視点に立った適切な表示を行ってまいります。
そして、今後も国内の少子高齢化や流通再編に伴う市場の変化に対応し、消費者の健康志向や環境にも配慮した商品開発にも取り組み、企業行動憲章に則り、信頼できる「名糖」ブランドの確立に努めてまいります。
化成品事業
化成品事業におきましては、発酵技術および合成技術を活用して微生物の生産する酵素類およびデキストラン類などの糖類とその誘導体の研究開発に力を注いでおり、医薬品、食品、化粧品原料などの広範な分野で用途開発を進めております。
薬品部門では、自社発酵工場で生産される「デキストラン」や、その化学的誘導体である「デキストラン硫酸」、「カルボキシメチルデキストラン」等について、医薬品や医療機器の原料(原薬・部材)、化粧品素材や臨床検査用試薬等としての安定的な生産・供給に加え、これらの分野に拘らず、諸分野からのニーズを取り入れて製品ラインを拡充することによって新たな用途開拓を目指しております。さらに、これらの化学的誘導体製造の技術を活かした受託製造にも対応しております。
また、肝臓癌診断用のMRI造影剤『リゾビスト』の原薬「フェルカルボトラン」を始めとする「デキストランマグネタイト類」については、その品質や物性が国内外の多くの研究者から注目され、新規MRI造影剤の開発やMRIに代わる新たな磁性粒子撮像法での使用検討、癌転移検出用医療機器での使用/応用等、用途拡大を目指した幾つかの共同開発・研究を他機関・企業等と推進しております。
さらに、デキストラン発酵産物から製造される混合飼料「ヘルシーフレンド」や「デキストランと相性の良い乳酸菌」、およびこれらを組み合わせて付加価値を高めた次世代の「シンバイオティクス飼料」は家畜の健康増進や感染予防に効果のある商品として高い評価を受け、畜産農家への浸透を進めております。さらに、当社独自のシンバイオティクスのコンセプトを活かし、食品の開発部門とともにヒト向けの製品開発にも取り組んでおります。
酵素部門では、チーズ製造用凝乳酵素「レンネット」の改良次世代製品として開発した「MRS-LP」は、長期熟成チーズでフレーバーやテクスチャーなどの品質を向上できるとして海外市場で高い評価を得ており、さらなる品質改良に向けた研究を推進するとともに、効率的な工場生産技術を速やかに確立するために、微生物と酵素生産に関する基礎研究を外部機関と共同で進めております。
脂肪分解酵素の「リパーゼ」は、機能性油脂製造、脂肪酸製造、チーズ熟成促進、臨床検査薬等に使用されるなど、食品、医薬品、化学と各分野で多様な用途で使用されております。これらの用途を更に拡大するために、酵素の特性の改良による付加価値の高い酵素製品の開発および使用法の改良にも取り組んでおります。さらに新たな市場と販路の開拓を目指して「レンネット」や「リパーゼ」とは異なる新しい酵素製品の開発に力を注いでおります。
また、酵素製品の食品安全・品質保証体制の標準化を図るため、食品安全システム認証規格であるFSSC22000認証取得に向けた取り組みを進めております。