有価証券報告書-第73期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 9:13
【資料】
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【項目】
103項目

対処すべき課題

当社グループを取り巻く環境は、国の経済政策による景気回復が期待されるものの、消費者の生活防衛意識が根強く残るなかで、原材料価格の先高基調が予想されるなど、先行きは予断を許さない状況が続くものと懸念されます。また、消費者の健康への関心や安全性志向が高まるなかで、食品の安全性や品質の向上への取り組みが一層強く求められております。
このような状況のもと、当社グループは、お客様に喜ばれ満足いただける安全・安心で高品質な商品を提供するとともに、生産性の向上やコスト削減を進めて強靭な企業体質の確立と収益力の向上に努めることにより、企業の永続的な発展と企業価値の増大を目指してまいります。具体的な取り組み課題は以下のとおりであります。
■ 食品事業につきましては、少子高齢化とファミリー世帯の減少が進むなかで、原材料価格高騰による生産コストの上昇や企業間の激しい販売競争により厳しい経営環境が続くものと予想されます。その環境のもと、当社グループは、消費者の多様化したライフスタイルや価値観にお応えするため、市場環境を見据えた商品開発および販売戦略に取り組んでまいります。これらにより、低価格競争にさらされない高付加価値商品の提供と売上規模の拡大を推進してまいります。同時に「アルファベットチョコレート」や粉末飲料の「レモンティー」、また連結子会社である株式会社エースベーカリーの「厚切りバウムクーヘン」などの中核ブランドのさらなる強化はもとより、グループ各社の連携を一段と強めてシナジー効果を最大限に発揮して、食品事業の強化と拡大を目指してまいります。また、高齢化社会で介護食などの栄養食品の需要が高まるなか、栄養食品部門を新たな成長の柱に育ててまいります。さらに、平成22年に新工場を稼動させた株式会社エースベーカリーにおきましても、お客様のニーズにお応えできる商品開発と精力的な営業活動を推進して、シェアの拡大と収益力の向上に努めてまいります。また、世界最大のマーケットである中国においてケーキ類を製造販売することを目的として、当社と中国旺旺控股有限公司の傘下企業である香港旺旺控股有限公司との間で合弁会社「南京名糖旺旺食品有限公司」を設立することを合意いたしました。中国のケーキ類市場において同社と共同で事業展開を図ってまいります。今後も当社グループは、原材料や商品の安全性はもとより、品質管理や生産体制を一層強化して、お客様に安心してお買い上げいただける高品質な商品をお届けできますよう注力してまいります。
■ 化成品事業の酵素部門につきましては、主力商品であるチーズ用凝乳酵素「レンネット」の海外での営業活動をさらに強化し、新規顧客開拓などによって既存商品のシェア拡大に努めるとともに、改良次世代商品の普及にも力を注ぐことによって、売上の拡大に努めてまいります。多様な用途を持つ脂肪分解酵素「リパーゼ」やリン脂質製造用酵素「ホスホリパーゼ」につきましては、国内外で新規用途および顧客開拓を促進し、これらの商品の販売拡大に取り組んでまいります。また、「レンネット」、「リパーゼ」のさらなる改良とともに、これらとは異なる新規な酵素商品の開発にも取り組み、実用化を目指してまいります。
薬品部門では、MRI(磁気共鳴画像)診断用肝臓造影剤『リゾビスト』の原薬「フェルカルボトラン」を始めとする磁性体「デキストランマグネタイト」の、乳癌転移検出などへの用途拡大や新たな造影法で使用する磁性体の開発をさらに促進してまいります。また、医薬品などの原料である「デキストラン」の食品用など新規な用途開拓、および「デキストラン」から合成したデキストラン誘導体の化粧品素材や臨床検査用試薬などでの販売拡大を推進し、特に海外向けの販売を強化してまいります。混合飼料「ヘルシーフレンド」につきましても、引き続き顧客開拓と販売促進に注力し、改良にも取り組んでまいります。
いずれの分野でも国内外からの安全に対する要請が強まっており、コスト削減とともに、生産管理、品質管理基準の向上に取り組み、事業基盤の強化に努めてまいります。
今後とも時代の変化に対応し、お客様に信頼され社会に貢献できる企業として継続的に発展するよう、全社を挙げて努力する所存であります。