有価証券報告書-第204期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 11:25
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【項目】
129項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用状況に改善がみられ、景気は緩やかな回復基調が続いております。しかしながら、英国や米国での経済政策の変化による影響、中国をはじめアジア新興国等の経済の先行きや政策に関する不確実性による影響、金融資本市場の変動の影響等により、景気の先行きは不透明な状況が継続しております。
このような経営環境のもと、当社グループは昨年度よりスタートいたしました中期経営計画「Challenge to the Growth NEXT stage 2015-2017(通称CG NEXT 15-17)」に基づき、基本戦略に掲げております「新中核事業の発展的拡大」、「海外オペレーションの拡張と販売の伸長」、「基盤事業の選択と集中による収益向上・業容拡大」に取り組んでおります。
一つ目の「新中核事業の発展的拡大」では、成長の重点事業に位置付けております機能材料分野の「化成品事業」「複合材料事業」において、積極的な設備投資と研究開発を行い事業拡張に向けた活動を進めてまいりました。化成品事業では、食品分野においては提携会社との間で継続的な取り組みを行っており、順調に推移いたしました。また、化学品分野のガラス繊維集束剤は、生産設備の増強により、安定的かつ効率的な製造を行うことで、中国市場の需要拡大に対応してまいりました。複合材料事業では、尾道事業所での航空機用部品の受託生産において、複合材料部品成型加工のみならず、塗装・非破壊検査工程も含めた一貫生産体制へと拡大してまいりました。また、長野事業所での航空機エンジン用金属部品の受託生産でも、部品加工だけでなく非破壊検査工程も含めた一貫生産体制へと進展がありました。また、同所では「アジア№1航空宇宙産業クラスター形成特区」の指定を受けました。
二つ目の「海外オペレーションの拡張と販売の伸長」では、繊維事業を中心に生産基盤の再編が進展いたしました。紡績分野では、ベトナム協力紡績会社への技術提携による当社独自の差別化糸の製造・販売も順調に進展しております。テキスタイル分野の中東民族衣装生地の輸出では、日本製のブランド力を活かした販売を展開しておりますが、現地経済情勢の停滞により、市況の悪化が顕在化してまいりました。縫製分野では、製造コストの上昇で採算が悪化した中国における現地法人会社での生産を縮小し、ベトナム協力縫製会社への生産移管を進めた結果、収益面での改善効果が現れました。
三つ目の「基盤事業の選択と集中による収益向上・業容拡大」では、「繊維」「産業材」「不動産・サービス」の各事業分野において、当社の“稼ぐ力”となる他社には真似の出来ない独自の機能や技術力を活かした商品づくりを追求すると共に、顧客ニーズに沿った商品提案やサービスの向上に取り組み、基盤事業の市場環境が大きく変化する状況下、“環境変化への素早い対応力”を常に意識した活動を行い、収益向上と業容拡大に努めました。
これらの取り組みを行ってまいりましたが、売上高は、繊維事業での国内衣料市場の不振や取引内容の見直しを進めたことにより前年度を大きく下回ることになりました。ただ、収益面では構造改革効果が発現したことにより増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高は428億52百万円(前連結会計年度比6.2%減)、営業利益は31億48百万円(同2.3%増)、経常利益は27億39百万円(同9.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は16億64百万円(同28.4%増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
(繊維事業)
原糸販売分野では、国内市場向けは、年度を通じて各産地の原糸需要が低迷し、昨年度は比較的健闘した差別化糸販売も下期において伸びを欠き、関係会社も含め減収となりました。海外市場向けは、ベトナムを起点とした輸出を中心に前年対比増収となりましたが、国内販売の不振をカバーするには至りませんでした。利益面では自家工場の構造改革による操業率の改善や物流費を中心とする経費削減効果などで、利益は昨年並みとなりました。
テキスタイル分野では、中東民族衣装生地の輸出が堅調に推移したものの、下期より市況の悪化が顕在化し、前年比では減収となりました。ユニフォーム市場向けでは、一部備蓄アパレル向けの在庫調整もあり減収となりましたが、白衣向けや企業別注などは順調に推移いたしました。アパレル向けニット素材販売では、選択と集中を進めてきた結果、減収ながら利益面では改善が進みました。また、生活資材市場向けでは、寝装用定番品や量販店向け商品用生地が不振であったものの、リネン・羽毛分野が堅調に推移いたしました。
製品分野においては、量販店向け商品の不振が響き大幅減収となりました。一方で、新たな素材開発・用途開発により、ユニフォーム・スクール・シャツ分野等への販売開拓を進め、来期での巻き返しを図っています。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は256億35百万円(前連結会計年度比10.6%減)と大きく減少いたしましたが、営業利益は6億7百万円(同24.9%増)となりました。
(産業材事業)
産業資材分野では、製紙用ドライヤーカンバスについては、主要顧客である国内製紙会社の生産活動に回復が見られず、国内カンバス需要は低調に推移いたしました。一方で、顧客の設備改造に伴う需要取り込みなど数量確保に尽力し、売上高はほぼ前年並みとなりました。フィルタークロスについては、国内のフィルター顧客に生産状況の改善は見られず、既存顧客におけるフィルタークロス需要は依然低レベルで推移いたしましたが、新規案件獲得や輸出拡大により増収となりました。一方、利益面では各種コストダウン施策の実施を行いましたが、競合による粗利率の低下が見られ、減益となりました。
機能材料分野では、化成品事業は化学品の輸出が堅調であり、食品用途の増粘多糖類も底堅く推移したことで、増収となりました。複合材料事業は、電力分野向けのFRP部材が減少しましたが、航空機用途の需要が拡大し、全体では増収となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は118億7百万円(前連結会計年度比3.0%増)、営業利益は9億52百万円(同2.8%増)となりました。
(不動産・サービス事業)
不動産賃貸事業は堅調に推移いたしました。リネン事業では取引先ホテル稼働率の低下により、物流事業では取扱荷物量の減少により若干苦戦いたしました。ただ、燃料費やその他のコスト削減により、利益は確保いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は59億32百万円(前連結会計年度比2.3%減)、営業利益は20億22百万円(同3.4%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動では34億12百万円の増加、投資活動では7億51百万円の減少、財務活動では23億5百万円の減少となりました。
結果、資金は2億88百万円の増加(前連結会計年度は7億33百万円の増加)となり、期末残高は50億50百万円(前連結会計年度は47億61百万円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益、減価償却費等内部留保により34億12百万円の増加(前連結会計年度は42億84百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金は、有形固定資産の取得による支出等により7億51百万円の減少(前連結会計年度は13億29百万円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金は、借入金の返済等により23億5百万円の減少(前連結会計年度は21億83百万円の減少)となりました。