有価証券報告書-第43期(平成30年9月1日-令和1年8月31日)

【提出】
2019/11/27 16:23
【資料】
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【項目】
145項目

対処すべき課題

本文における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当企業グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当企業グループは、創業以来一貫して、婚礼衣裳の製造販売を主たる業務として行い、社是として「お客さまの利益を創る」「社会奉仕」「社員の生活向上」の3つの理念、信条として「夢を持って」「夢を創り」「夢を売ろう」を掲げ、労使一体の経営を進めております。
(2) 経営環境及び経営戦略等
今後の当企業グループを取り巻く経営環境を展望すると、ブライダル市場は、日本国内の少子高齢化が進展し、結婚適齢期世代の減少は避けられない状況であります。また、当企業グループの主要販売先である婚礼衣裳業界は、挙式・披露宴の多様化や新規挙式施設の増加等により競争がますます熾烈になっております。
このような状況を踏まえ、当企業グループは経営戦略として、以下の展開を推進しております。
第1の経営戦略は、総合ブライダル企業として確固たる地位を築くことであります。婚礼衣裳業界への販売を積極的に進めるとともに、挙式関連サービス事業領域(貸衣裳・挙式・披露宴・写真・美容市場)の事業展開を積極的に推進し、当企業グループの市場拡大に向けさらに推し進めてまいります。
第2の経営戦略は、世界化の推進であります。人口増加の著しい中国及び香港、台湾を中心にした東アジア地域の人達等を対象としたリゾート挙式の取込みやウエディングドレスの販売の基盤整備を構築してまいります。
第3の経営戦略は、財務体質の強化であります。積極的なコンシューマー事業部門の展開に伴い継続的な資金需要が予想されますが、収益力を高めることでキャッシュ・フローの増加を図っていくと共に、直接金融市場からの資金調達等による自己資本の充実を図り、強固な企業体質構造に変革する必要があります。
第4の経営戦略は、人材の確保及び育成であります。新たな事業領域を拡大させていくなかで、優秀な人材の確保は重要な課題であります。モチベーションを高める労務管理と人事教育部門の強化を図り、経営資源の一つであります人材の効率化を積極的に進めてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当企業グループは、2019年8月期から2021年8月期までの3カ年について、中期経営計画を策定しております。次の3つの目標を掲げ、事業環境の悪化が懸念される中、状況に応じてスクラップ・アンド・ビルドの決定を迅速に進め、健全な企業体質を保持し、新たな成長戦略への足がかりを築いてまいります。
① 企業規模の拡大
2021年8月期に売上高(連結ベース)130億円を達成する。
② 収益力の向上
自己資本利益率(ROE)を経営の目標指標とし、各事業分野の成長戦略をもとに積極的に事業展開していくことにより収益力を向上させ、自己資本利益率(ROE)を10%以上に高めていく。
③ 財務体質の強化
自己資本比率(連結ベース)50.0%以上を目標にし、財務基盤の強化を図る。
(4)対処すべき課題
当企業グループが対処すべき当面の課題は、以下のようなものが挙げられます。
① サービス事業領域の市場拡大
当企業グループは、主たる販売先である貸衣裳業界の需要動向に左右されない企業体質を作るため、挙式関連サービス事業領域に位置するコンシューマー事業部門の展開を積極的に推進しております。
コンシューマー事業部門においては、引き続き、業務提携を軸にした衣裳事業に力を入れ、市場のシェアアップを図ってまいります。また、最終消費者に直結するセル市場には、主に「銀座クチュールNAOCO」ブランドで展開するオープンショップ事業を積極的に展開してまいりました。2019年8月期末現在でインショップ店舗37店、オープンショップ店舗16店を有しております。
衣裳事業につきましては、新規の国内インショップ店舗の増加及び衣裳外部提携の強化を図ってまいります。今後成長が見込まれる写真・映像事業、美容事業につきましては、業務提携強化による売上高の増加を図るとともに、外注比率を低減し、カメラマンやスタイリストといった人材の確保や社員教育に努めてまいります。リゾート挙式事業につきましては、引き続き、ハワイ、沖縄地域を中心とした受注獲得に注力してまいります。式場事業は、「アイネス ヴィラノッツェ」及び「ル・センティフォーリア」名を冠した結婚式場を展開、2019年8月期末現在で京都、大阪で5店舗展開しております。式場事業につきましては、広告宣伝強化による来館数・受注獲得率の増加を図るほか、式場施設を利用した一般宴会を行う等、売上高の増加を図ってまいります。
以上のように、挙式関連サービス事業領域(B to C)を見据えた事業展開を推進し、当企業グループの市場規模を拡大することで業績の向上に努めてまいります。
② 製造原価の低減
当企業グループは、最終消費者のニーズを反映した商品づくりを心掛け、商品への付加価値向上を推進してまいりました。近年、衣裳等の販売価格は、価格水準を堅持しておりますが、海外から流入する低価格品や国内の他メーカーとの価格競争に打ち勝つため、また、より一層の収益力向上を達成するために、製造原価の低減を推進しております。
当企業グループは、生産加工費の削減の軸として、中国青島工場(青島瑪莎礼服有限公司)やベトナム工場(VIETNAM KURAUDIA CO.,LTD.)を中心として海外調達比率の向上に努めております。また、国内の生産拠点を見直し、生産の効率化を推進することにより、全体の加工費削減を図ってまいります。
また、原材料コストの削減については、品質維持を最重点としながら、海外からの原材料調達比率を高めるとともに、中国青島工場における現地での原材料調達の拡大に努めてまいります。
今後も品質重視の生産体制を確保しつつ、徹底したコスト管理を進めていく方針であります。
③ 自己資本比率の向上
当企業グループの自己資本比率(2019年8月期末現在45.2%)の向上は、今後、積極的に事業展開を図るうえで長期かつ安定した資金を調達するための最重要課題と認識しております。
こうした環境を充分認識し、財務体質を強化し、安定的かつ高い収益力を実現できる企業グループ体制を構築してまいります。