有価証券報告書-第154期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/25 10:31
【資料】
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【項目】
130項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
当社は、平成28年5月に制定した「トクヤマのビジョン」において、トクヤマグループの存在意義を「化学を通じて暮らしに役立つ価値を創造する」と定めました。トクヤマグループが培ってきた化学技術を用いて、新しい価値を創造し、提供し続けることを通じて、人々の幸せや社会の発展に貢献していきます。
(2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
平成28年5月に策定した中期経営計画において、当社は次の2点を中長期の経営戦略とし、計画初年度から10年後の平成37年度までの達成を目指してまいります。
① 経済環境の変動に強く、持続的に成長する強靭な事業体質への転換
特殊品・ライフアメニティー・新規開発品などの成長事業においては、特有技術で先端材料の世界トップを目指します。セメント・化成品といった当社の伝統事業では、競争力で日本トップを目指します。
② 従来の仕事のやり方の抜本見直しによる全社的な低コスト体質への転換
原燃料、修繕費、物流費といった主要コスト項目について、従来とは異なる部門横断的なアプローチや戦略的な設備投資実施による削減を目指します。
また、目標とする経営指標は、平成32年度末時点でROA(営業利益/資産合計)10%以上、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)55日以下、D/Eレシオ1.0倍以下としています。
※文中における将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末時点において当社グループが判断した一定
の前提に基づいたものです。これらの記載は実際の結果とは異なる可能性があり、その達成を保証する
ものではありません。
(3) 経営環境
セメント・化成品といった当社の伝統事業においては国内市場で人口減少に伴い需要の減少が見込まれる一方、特殊品・ライフアメニティーといった成長事業では市場の拡大が期待されています。
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループは、昨年、再生への一歩を踏み出すべく、Tokuyama Malaysia Sdn. Bhd.の譲渡を完了し、また財務基盤の立て直しに主眼を置き、A種種類株式の償還などさまざまな経営課題に取り組んでまいりました。平成26年以降のマレーシア事業の減損損失計上による経営悪化を真摯に反省し、その教訓を生かして一層の財務基盤の強化、コーポレートガバナンス体制の改善、事業戦略の明確化などの課題に引き続き取り組み、新たな利益成長の原動力を作り出してまいります。これらの課題の克服に向けて、現中期経営計画の重点施策を着実に実行し、当社グループの持続的発展の実現に向けて、経営改革を行ってまいります。
① 組織風土の変革
組織風土の変革を早期に実現するため、組織の要である管理職に対して、目標達成度に対する成果がより反映される新たな人事制度を開始しました。また、豊富な経験を有するシニア層に対しても成果に応じた処遇となるよう評価制度を改定しました。今後は、全社員へ拡大していきます。また、次世代リーダーの早期育成や、従来にない視点での事業推進を実現するため、専門的知識を有する社外人材を積極的に採用してまいります。
② 事業戦略の再構築
中期経営計画の目指す姿に掲げた「伝統事業で日本トップ、先端材料で世界トップ」の実現に向け、ICTを活用し各事業の競争力を強化するとともに海外展開を加速してまいります。また、資本効率を意識した新事業評価制度を本年度より導入し、事業ポートフォリオの最適化を図っていきます。研究開発に関しては、顧客ニーズに立脚した研究開発体制の再構築や他社とのオープンイノベーションによって新規領域への展開を拡大させてまいります。
③ グループ経営の強化
トクヤマグループのシナジーを最大限に引き出すため、人事面の強力なサポートによる販売戦略、機動的な資本政策による経営のスピードアップを図りました。これにより、今後もグループ全体の改革を加速してまいります。新事業評価制度を連結子会社へも適用し、企業価値向上への寄与の度合いを明確にするとともに、グループ会社の経営管理等統制の強化を図っていきます。
④ 財務体質改善
財務基盤の早期安定化に向けて、社債の信託型デット・アサンプション契約の締結、財務制限条項を付された借入契約の期限前弁済を行い、有利子負債を削減しました。期間利益の積み上げにより、引き続き有利子負債の削減、自己資本の充実を目指します。
(5) 会社の支配に関する基本方針
① 基本方針について
当社は、平成28年5月に制定した「トクヤマのビジョン」において、トクヤマグループの存在意義を「化学を通じて暮らしに役立つ価値を創造する」と定めました。トクヤマグループが培ってきた化学技術を用いて、新しい価値を創造し、提供し続けることを通じて、人々の幸せや社会の発展に貢献していきます。
当社は、大正7年の創業以来、一貫した「ものづくり」へのこだわりと顧客をはじめとしたステークホルダーの皆様との長期的な信頼関係を基盤とし、ソーダ灰・苛性ソーダ・塩化ビニル樹脂等の化成品セグメント、セメント・建材等のセメントセグメント、多結晶シリコン・乾式シリカ・窒化アルミニウム・電子工業用高純度薬品等の特殊品セグメント、微多孔質フィルム・歯科器材・イオン交換膜等のライフアメニティーセグメント、及びその他セグメントの5つのセグメントに区分される幅広い事業を、グループ会社とともに展開しています。
その事業特性は、将来の事業環境変化を想定しつつ、経営資源の先行投入を行い、継続的な企業価値の向上を図るというものです。これは、事業を企画し、技術を開発し、設備を建設し、顧客をはじめとしたステークホルダーの皆様との信頼関係、連携関係を強化し、投入経営資源の回収を図るという取り組みです。こうした中長期的な視点からの取り組みの集積結果が当社の企業価値の源泉と考えております。
従って、このような中長期的な視点からの経営に取り組みつつ、経営の効率化や収益性向上を行うには、専門性の高い業務知識、営業や技術ノウハウを備えた者が、法令及び定款の定めを遵守して、当社の財務及び事業の方針の決定について重要な職務を担当することが、当社株主共同の利益及び当社企業価値の向上に資するものと考えております。
以上が当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針です。
② 不適切な支配の防止のための取り組みについて
当社は、大規模な当社株式等の買付行為(以下、「大規模買付行為」という。大規模買付行為を行う者を「大規模買付者」という)が行われ、その大規模買付行為が当社株主共同の利益及び当社企業価値を著しく損なうと判断される場合には、株主共同の利益及び企業価値の保護のために、対抗措置を講じる必要があると認識しています。
大規模買付行為が行われた場合、これを受け入れるか否かは、最終的には当社株主の皆様のご判断に委ねられるべきものであり、そのためには、当該大規模買付者からの十分な情報の提供が必要であると考えます。また、当該大規模買付行為に対する当社取締役会による評価、意見及び事業特性を踏まえた情報等の提供は、株主の皆様が当該大規模買付を受け入れるか否かのご判断のために重要であり、株主共同の利益に資するものと理解しています。
当社は、株主共同の利益及び企業価値の保護のために、大規模買付行為に対して大規模買付ルールを定めました。
大規模買付ルールとは、大規模買付者に対して、買付行為の前に、当社取締役会に十分な情報提供をすること及びその情報に基づき、当社取締役会が大規模買付行為を十分に評価・検討し、意見や代替案の取りまとめの期間を確保することを要請するものです。
このルールが遵守されない場合、あるいは、遵守された場合でも株主共同の利益及び企業価値を著しく損なうと判断される場合には、当社取締役会は株主総会の承認を得ることを条件に会社法第277条以下に規定される新株予約権無償割当てによる措置(以下、「対抗措置」という)をとり、大規模買付行為に対抗する場合があります。
以上のような「当社株式等の大規模買付行為に関する対応方針」(以下「本対応方針」という)の更新につき、平成30年5月22日開催の当社取締役会で決定し、平成30年6月22日開催の第154回定時株主総会においてご承認をいただきました。
なお、本対応方針の詳細をインターネット上の当社ウェブサイト(http://www.tokuyama.co.jp/)に掲載しております。
③ 上記②の取り組みについての取締役会の判断について
当社取締役会は、上記②の「不適切な支配の防止のための取り組みについて」が、当社の基本方針に沿って策定され、株主共同の利益及び企業価値の保護に資するものと理解しております。
当社は、本対応方針において取締役会の恣意的な判断を防止するためのチェック機関として特別委員会を設置し、特別委員会の勧告を最大限尊重しなければならないと定めております。さらに、取締役会が対抗措置を発動する場合は、株主総会を招集し、その承認を得なければならないとしております。
従って、上記②の取り組みは取締役の地位の維持を目的としたものではありません。