四半期報告書-第96期第3四半期(平成29年10月1日-平成29年12月31日)

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2018/02/08 11:48
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36項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)業績の状況
3カ年の中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」のスタートとなる当期の第3四半期連結累計期間は、車輌・輸送分野を中心に高機能品の拡販が順調に推移したことなどにより、増収となった。
利益については、原材料価格上昇などの影響を受けたが、プロダクトミックスの改善や原価低減などによりばん回し、営業利益並びに親会社株主に帰属する四半期純利益の第3四半期連結累計期間における過去最高益を更新した。
また、新製品の投入、新分野の開拓や、未来への成長投資(M&A、出資、設備投資、研究開発)などの新次元の成長に向けた取り組み、および構造改革が順調に進捗した。
当第3四半期連結累計期間の連結経営成績は、売上高791,616百万円(前年同四半期比3.3%増)、営業利益62,416百万円(前年同四半期比1.5%増)、経常利益64,280百万円(前年同四半期比0.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益44,298百万円(前年同四半期比11.0%増)となった。
セグメントの業績は、次のとおりである。
①住宅事業
当第3四半期連結累計期間は、新築戸建住宅の販売が堅調に推移し増収となったが、9~10月の悪天候の影響で施工に遅れが生じた。営業利益については、部材価格上昇などの影響を受けた。
受注については、新築住宅事業では、分譲住宅強化などの取り組みにより戸建住宅は伸長したが、集合住宅が減少したことにより、全体で前年同期並みとなった。リフォーム事業では、太陽光発電システムが低調であったが、8月にリニューアル発売した新外壁「エコシャンテ」やバスなどの戦略商材は順調に推移し、前年同期並みとなった。
施策面では、7月に発売した「スマートパワーステーションGR」によりエネルギー自給自足率 100%の訴求を強化するとともに、10月に本格発売した木質系ユニット住宅「グランツーユーⅤ(ファイブ)」により一次取得者層への販売を強化した。リフォーム事業では、お客様のライフスタイルにあわせたメニューの提案を進めるとともに、営業体制の強化を図った。
これらの結果、売上高345,737百万円(前年同四半期比1.3%増)、営業利益17,777百万円(前年同四半期比9.4%減)となった。
②環境・ライフライン事業
当第3四半期連結累計期間は、重点拡大製品の拡販が順調に推移するとともに、原材料価格上昇に伴うスプレッドの悪化を、販売価格の見直しや出荷平準化などによる原価低減策でカバーし、営業利益は第3四半期連結累計期間としての過去最高益を更新した。
配管・インフラ分野では、大都市圏を中心として需要が堅調な建築市場向けの管材や、管路更生事業など重点拡大製品の販売を拡大し、売上高は前年同期を上回った。
建築・住環境分野では、低層住宅向けのユニットバス事業が苦戦したものの、機能性畳などの販売が堅調に推移した。また、12月に新雨とい「超芯LEVOL(レボル)」を発売した。
機能材料分野では、成形用プラスチックシートは航空機向けが納入延期の影響を受けたものの、建築・医療・鉄道などの領域での採用が順調に推移した。また、海外の鉄道枕木向けや首都圏のインフラ案件向けの合成木材(FFU)の採用が拡大し、売上高は前年同期を上回った。
これらの結果、売上高171,824百万円(前年同四半期比0.7%増)、営業利益8,928百万円(前年同四半期比33.4%増)となった。
③高機能プラスチックス事業
当第3四半期連結累計期間は、売上高、営業利益ともに前年同期を上回り、第3四半期連結累計期間としての過去最高益を更新した。9月にポリマテック・ジャパン株式会社(現:積水ポリマテック株式会社)グループが連結対象となり、エレクトロニクス分野、車輌・輸送分野の売上高伸長に貢献した。
エレクトロニクス分野では、第3四半期に入りスマートフォンなどモバイル端末の市場の急減速の影響を受けたものの、TVなどの大型ディスプレイ向け、半導体向けなどの販売が堅調に推移した。
車輌・輸送分野では、北米地域の市況がやや減速した影響があったものの、高機能品を中心に販売を伸ばし、売上高は前年同期を大きく上回った。
住インフラ材分野では、塩素化塩化ビニル(CPVC)樹脂などの売上が堅調に推移した。なお、12月27日付で株式会社ソフランウイズの株式取得が完了し、同社の商号を積水ソフランウイズ株式会社に変更した。
ライフサイエンス分野では、検査薬事業が国内外で安定的に推移した。
これらの結果、売上高285,617百万円(前年同四半期比7.1%増)、営業利益43,932百万円(前年同四半期比5.6%増)となった。
④その他事業
当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高4,050百万円(前年同四半期比111.0%増)、営業損失7,122百万円(前年同四半期は営業損失5,826百万円)となった。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末より4,296百万円増加し、当第3四半期連結会計期間末で94,152百万円となった。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において営業活動の結果増加した資金は39,032百万円(前年同四半期は59,017百万円の増加)となった。これは、税金等調整前四半期純利益65,572百万円、減価償却費26,806百万円に加えて、前受金の増加14,444百万円などの増加要因が、たな卸資産の増加26,290百万円、法人税等の支払20,363百万円、仕入債務の減少10,111億円、賞与引当金の減少7,528百万円などの減少要因を上回ったためである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において投資活動の結果減少した資金は43,280百万円(前年同四半期は14,781百万円の減少)となった。これは、定期預金の純減19,143百万円などの増加があった一方で、主に重点および成長分野を中心に有形固定資産の取得33,904百万円を行ったことや、自動車やモバイル端末向けのエレクトロニクス関連部品の製造・販売会社であるポリマテック・ジャパン株式会社グループの経営権取得に伴う支出、建築分野向けの硬質ウレタン原液及び硬質ウレタン断熱パネルなどの製造・販売会社である株式会社ソフランウイズの株式取得に伴う支出などがあったためである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において財務活動の結果増加した資金は5,573百万円(前年同四半期は37,647百万円の減少)となった。これは、配当金の支払18,946百万円(非支配株主への配当金の支払を含む)、自己株式の取得13,261百万円を行ったが、有利子負債の純増36,738百万円などがあったためである。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はない。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりである。
①基本方針の内容の概要
当社の株主の在り方について、当社は、株主は市場での自由な取引を通じて決まるものと考えている。したがって、株式会社の支配権の移転を伴う大規模買付行為を受け入れるかどうかの判断も、最終的には当社株主の意思に基づき行われるべきものと考えている。しかしながら、株式公開企業株式の大規模買付行為や買付提案の中には、その目的や手法等に鑑み、明らかに、企業価値・株主共同の利益をかえりみることなく、もっぱら買収者自らの利潤のみを追求しようとするもの、株主に株式の売却を事実上強要するもの、買付対象会社の株主や取締役会が大規模買付の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するために十分な情報や時間を提供しないもの等、対象会社の長期的な株主価値を明らかに毀損すると考えられるものも想定される。当社は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に向上させるための戦略を策定し、その概要を株主・投資家に開示・説明している。
②基本方針の実現に資する取り組みの概要
イ)中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」による企業価値向上の取り組み
当社は、2017年度から2019年度までの3ヵ年を対象期間とした中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」に取り組んでいる。この中期経営計画では、積水化学グループの経営理念を起点として、「新次元の成長」へ向けた以下の戦略の実現を目指している。
中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」
◆ 2020年代の業容倍増目標に向けた第一歩。
成長の質をSHIFT(シフト)させる。
◆ 量的成長(未来への成長投資)と質的転換(たゆまぬ構造改革)を図る。
・戦略投資2,000億円(うちM&A投資1,300億円)、環境貢献投資120億円。
・継続的な収益性改善と有望分野への資源配分で営業利益率10%以上を目指す。
◆ 技術・機会・リソースの「融合」により、成長を加速させる。
◆ ESG(環境、社会、企業統治)の視点で、事業と一体となったCSR経営を推進する。

ロ)コーポレート・ガバナンスの強化に向けた取り組み
当社は、株主に対する経営陣の責任をより一層明確にするため、2007年6月28日開催の第85回定時株主総会において、取締役の任期を2年から1年に短縮した。また、各カンパニーの事業環境の変化に迅速に対応するため、2008年4月1日より執行役員制度を導入し、業務執行に専念する役員を選任した。これに加え、経営の透明性・公正性を確保し取締役会における監督機能を強化するため、2008年6月27日開催の第86回定時株主総会において、独立性の高い社外取締役2名を選任するとともに、取締役の人員を10名以内にしている。2016年4月1日には、取締役会の機能を補完し、より経営の公正性・透明性を高めるため、指名・報酬等諮問委員会を設置した。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、26,862百万円である。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。