有価証券報告書-第83期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/30 10:09
【資料】
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【項目】
132項目

研究開発活動

当社グループの研究開発活動は、当社が主として行っております。
当社の研究開発活動は、開発競争のグローバル化の中で、開発スピードを高めるために、社外の関連研究施設や大学との連携に努めながら、創造本部を中心に、顧客ニーズに即応する商品開発と次世代商品の開発を行っております。
セグメント別の研究開発活動の概況は次のとおりであります。
(1)機能性顔料
電子印刷材料については、デジタル複写機・レーザープリンタ等のトナー用材料を開発し商品化しております。電子印刷用キャリアでは、当社独自の磁性粉造粒技術を用いた磁性粉分散型樹脂キャリアの生産体制の増強を進め、顧客ニーズを先取りした開発及び商品化を行っております。
着色材料においては、ハイブリッド技術を応用したナノサイズの新機能材料(デジットカラー)の開発を行い、次世代化粧用材料や電子産業用の有機機能性顔料の開発にも取り組んでおります。今後の環境規制に伴いニーズの高まりが年々期待される道路用材料である黄鉛代替の一部として既に商品化しております。また、無機着色顔料においては、透明酸化鉄顔料並びに太陽光高反射(遮熱)顔料を開発しております。特に、近年ヒートアイランド現象が問題となっており、太陽光高反射顔料が注目されております。
環境関連材料については、農業用ポリオレフィン保温材、カラス対策ごみ袋用コンパウンド、排水中有害イオン処理用鉄系吸着剤の開発等を行っております。また、産業技術総合研究所つくばセンターと共同開発しました非晶質アルミノケイ酸塩を、水分等の高い吸脱着特性を生かしてデシカント空調や悪臭吸着剤用途に展開中であります。
磁気記録材料については、高密度化デジタルテープへの社会的ニーズに対応して、磁気記録テープのより一層の高密度化に必要な超微粒子磁性粉末材料及び磁気記録テープ下層用超微粒子酸化鉄粉末材料の開発を行い、市場展開を進めております。
(2)電子素材
磁石材料については、ハードフェライト材料、希土類磁性材料とそれらの加工材料を開発し実用化しております。電子デバイス関連では、スマートフォンに内蔵される無線通信のNFCアンテナ用ソフトフェライトシートの一貫生産を実施しております。また、ソフト磁性材料等を活用した電磁ノイズ抑制材料の開発、さらに独創的なICタグ/NFCタグ、ワイヤレス給電用部材、高性能インダクタ用の材料を開発し、新規事業として立ち上げつつあります。
希土類磁石材料においては、これまでネオジム系磁石の耐熱性を確保するために不可欠であった、希少資源で高価なディスプロシウムを完全に省くことに成功し、世界最高レベルの磁性を持ち、耐食性にも優れた射出成形用異方性コンパウンドの製造技術を確立し、製造販売をしております。
希土類磁石を凌駕する新たな希土類レス磁石材料の開発も進めており、東北大学との共同開発により世界で初めて窒化鉄粉末の単相分離・生成に成功した材料は、研究受託会社である(株)T&Tイノベーションズにおいて研究開発をしております。川下メーカー等との連携により、家電機器用のモーター磁石他への適用をにらんで、実用化を目指します。
高度情報化社会に対応して小型高容量のセラミックコンデンサー(MLCC)用誘電体材料の開発等を行っております。誘電体材料では超微粒子のチタン酸バリウムの開発を行い、小型高信頼性、高容量化の市場ニーズにマッチした最先端品を拡販、上市いたします。
微粒子及び各種ナノ粒子のコア材料に無機・有機物のシェル材料のコーティング処理を施して新しい機能を付与するハイブリッド技術におきましても、コア材料とシェル材料の組み合わせにより、電子素材用として各分野で期待される新機能材料の開発を進めております。今後も新製品の市場投入に取り組んでまいります。
電池材料については炭素系負極材料の開発及び、導電材としてのカーボンナノチューブ(CNT)の開発を行っております。高容量、高出力、高寿命化の材料として市場から期待されております。さらに高容量材料として、金属系負極材料との複合による新規材料の研究開発も積極的に進めております。CNTのパイロットプラントを竣工し、CNTの事業化の検討を進めております。
環境保全・クリーンエネルギー分野として、市場ニーズに添った開発を推進しており、高機能無機添加剤や次世代燃料電池用改質触媒の開発にも取り組んでおります。燃料電池用改質触媒は独自の特徴を引き出し、市場導入を開始しております。今後は水素ステーションなどの水素製造分野でも本格的な市場参入を行っていきたいと考えております。
次世代技術であるナノテクノロジーの分野では、ナノ金属、ナノ磁性微粒子の研究開発を積極的に進めております。ナノ金属では銀ナノ粒子を用いた導電性材料や透明導電性膜を開発しており、大竹事業所内のパイロットプラントで事業化を進めております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は491百万円であります。
また、当連結会計年度における当社が所有する特許の件数は、国内479件、海外313件、出願もしくは審査中の件数は海外を含めると468件となっております。