有価証券報告書-第84期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/26 13:08
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【項目】
130項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、ユーロ圏における景気の持直しや中国経済の安定的な成長に加え、米国では景気回復基調が続くなど、総じて緩やかな回復傾向を維持しました。また、日本経済は、政府による経済政策を背景に円安が進み、輸出環境が改善する中で、企業業績の回復が見られ、雇用・所得環境の改善や個人消費の増加につながるなど、景気回復の動きが広がりました。
当企業集団が取り扱っている製品の主な需要先でありますエレクトロニクス業界におきましては、パソコンの販売不振が続きましたが、スマートフォンやタブレット端末の需要は引き続き拡大したことから、総じて堅調に推移しました。
このような情勢の下、当企業集団は、2020年のありたい姿を実現させるため、「高付加価値製品による感動(満足できる性能、コスト、品質)を通じて、世界で信頼される企業グループを目指す。」という経営ビジョンを掲げ、当連結会計年度を初年度とする3カ年の中期計画「tok中期計画2015」を始動させました。本中期計画は、「各地域ユーザーに対する密着戦略」、「事業ポートフォリオの変革」および「グローバル人材の開発」を全社戦略に据え、過去最高益の更新を目指すとともに、持続的成長の基礎となる事業基盤の強化を図るものであります。
この一環として、前年度に設立した韓国の新会社では、販売・開発活動を開始するとともに、先端材料の安定的な量産に向けて生産体制を整備してまいりました。また、主要製品の収支改善を進めたほか、高付加価値製品の拡販や最先端微細加工技術の開発にも注力し、着実な成果をあげてまいりました。さらに、「再生可能エネルギー分野」や「オプトエレクトロニクス分野」等、広範な分野において、新たな事業の柱となる製品の開発に取り組むとともに、グローバルに活躍できる人材の創出・育成を行う新たな教育プログラムを導入いたしました。
加えて、当社の国内営業所を本社に集約するなど、経営の合理化に努めたほか、国内外の各拠点における強固な情報管理体制の構築や危機管理体制の強化を着実に進め、経営リスクの低減等を図り、経営全般にわたる諸施策を講じてまいりました。
この結果、当連結会計年度の当企業集団の売上高は、752億69百万円(前年度比3.2%増)となりました。利益面におきましては、営業利益は100億25百万円(同27.3%増)、経常利益は122億69百万円(同42.4%増)、当期純利益は過去最高益である75億49百万円(同38.7%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
①材料事業
[エレクトロニクス機能材料部門]
半導体用フォトレジストは、国内ではユーザーにおける生産拠点の再編等により販売が減少いたしましたが、スマートフォンやタブレット端末の需要拡大を背景に、海外ではアジア地域を中心としてエキシマレーザー用フォトレジストの販売が増加したことから、販路変更による一時的な会計上の影響を受けたものの、売上の実勢は堅調に推移いたしました。一方、液晶ディスプレイ用フォトレジストは、高精細ディスプレイ向け製品の販売は増加いたしましたが、汎用製品における需要環境の変化やライセンスビジネスへの事業形態の一部移行等による販売減少が影響し、売上は前年度を若干下回りました。また、既存技術の多用途展開として、今後の成長が期待されるイメージセンサー用フォトレジストおよびスマートフォンやタブレット端末等の軽量化、薄型化、小型化に貢献する高密度実装材料は、アジア地域を中心に売上を伸ばすことができました。
この結果、当部門の売上高は432億61百万円(前年度比0.3%増)となりました。
[高純度化学薬品部門]
半導体用フォトレジスト付属薬品は、国内では市場環境が厳しい中でもユーザーニーズに対応した高品質な製品の販売が奏功し、海外ではアジア地域での需要拡大を背景に販売が好調に推移したため、売上は大きく増加いたしました。また、液晶テレビの需要の底入れが見られたことから、液晶ディスプレイ用フォトレジスト付属薬品も、国内・アジア地域とも販売が堅調に推移し、売上は増加いたしました。
この結果、当部門の売上高は291億94百万円(同20.9%増)となりました。
以上の結果、材料事業の売上高は、728億66百万円(同7.6%増)、営業利益は140億86百万円(同31.4%増)となりました。
(単位:百万円、%)
前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率
売上高67,69772,8665,1697.6
営業利益10,71614,0863,36931.4

②装置事業
[プロセス機器部門]
主力装置と見込むシリコン貫通電極形成システム「ゼロニュートンⓇ」は、ユーザーニーズを的確に捉えた独自のプロセス技術が高い評価を得ており、今後の三次元実装市場の立上がりを見据え、技術優位性の維持と原価低減に努めてまいりましたが、同市場の立上がり遅延等の影響を受け、受注・売上ともに低迷し、厳しい事業展開を余儀なくされました。また、液晶パネル製造装置につきましても、受注減少の影響を受け、売上は前年度を大きく下回りました。
この結果、装置事業の売上高は、24億84百万円(前年度比53.2%減)となりました。また、利益面におきましては、営業利益は前年度比11億21百万円減少し8億89百万円の営業損失となりました。
(単位:百万円、%)
前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率
売上高5,3022,484△2,818△53.2
営業利益または
営業損失(△)
232△889△1,121-

なお、セグメント間の取引につきましては、相殺消去しておりません。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加やたな卸資産の減少等がありましたものの、法人税等の支払いや貸倒引当金の減少、前受金の減少等により、前連結会計年度に比べ5億56百万円減少の118億81百万円の資金収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入や投資有価証券の売却による収入がありましたものの、TOK尖端材料株式会社における設備投資等により、前連結会計年度に比べ144億16百万円増加の144億91百万円の資金投下となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の売却による収入がありましたものの、配当金の支払等により、前連結会計年度に比べ10億85百万円増加の24億71百万円の資金支出となりました。
これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末の431億81百万円から40億23百万円減少し391億57百万円となりました。