有価証券報告書-第134期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/25 13:50
【資料】
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【項目】
180項目
(重要な後発事象)
1 連結子会社による優先出資受入れ及び株式譲渡等による血液浄化事業のアイエーホールディングス株式会社への譲渡
当社は、2025年4月1日付で、当社の完全子会社である旭化成メディカル㈱(以下、「旭化成メディカル」)のバイオプロセス事業等を当社の完全子会社として設立した旭化成ライフサイエンス㈱(以下、「旭化成ライフサイエンス」)に承継し、透析・アフェレシス等の事業等(以下、「血液浄化事業」)を行う旭化成メディカルの株式を、インテグラル株式会社(代表取締役パートナー:山本 礼二郎、本社:東京都千代田区)が設立し、その関連会社が運営するファンド(以下、インテグラル株式会社とあわせて「インテグラル」)が保有する特別目的会社であるアイエーホールディングス株式会社(以下、出資会社)に譲渡しました。
(1) 事業分離の概要
① 分離先企業の名称
アイエーホールディングス株式会社
② 分離した事業の内容
• ダイアライザー(人工腎臓)及び関連商品の開発・製造・販売
• 血液浄化(アフェレシス)商品の開発・製造・販売
③ 事業分離を行った主な理由
血液浄化事業は、透析・アフェレシス関連製品の開発・製造・販売において50年の歴史を持ち、日本国内、海外のユーザーより高い評価を受ける製品群を供給しています。高付加価値製品として、透析領域においてビタミンEを固定化したダイアライザーや、アフェレシス領域において難病治療に使用される血漿交換療法用のデバイス、そのほかにも、患者の自己血由来の自己フィブリン糊を自動調製するクリオシールシステム等を提供しています。加えて、血液浄化事業で培った豊富な経験とノウハウを生かし、集中治療領域において患者さまや医療従事者の方々に多様な価値を提供する製品・サービスにも近年新たに事業を展開しています。当社では、本事業の継続的な成長のために選択し得る戦略的オプションを幅広く検討してきましたが、インテグラルより本事業の成長に対する強い意志に基づいた積極的な投資の提案があり、新たなパートナーのもとで、独立し、専業化したうえで、よりいっそう成長投資を強化していくことが本事業にとって重要であると判断しました。
④ 事業分離日
2025年4月1日
⑤ その他取引の概要に関する事項
Ⅰ 当社の完全子会社として、旭化成ライフサイエンスを設立しました。
Ⅱ 旭化成メディカルのバイオプロセス事業等を吸収分割により旭化成ライフサイエンスに承継しました。
Ⅲ インテグラルは出資会社を通じて旭化成メディカルに優先株式による出資を行い、当社は2025年4月1日に保有する旭化成メディカル株式の出資会社への譲渡等を行うことにより、旭化成メディカルの議決権保有割合を当社20%、出資会社80%としました。また、2027年4月頃をめどに残余株式の譲渡を実施し、出資会社の議決権保有割合を100%とします(出資会社の指定する者と共同での保有割合を100%とする場合を含む)。
(2) 実施した会計処理の概要
① 移転損益の金額
事業譲渡益 10,473百万円
(注) 上記金額は2027年4月頃をめどに実施する残余株式の譲渡に伴う損益も含めた金額です。また、今後出資会社と合意した価格調整を行うことから暫定的に算定された金額です。
② 移転した事業に係る資産及び負債の適正な帳簿価額並びにその主な内訳
流動資産47,647百万円
固定資産25,559百万円
資産合計73,206百万円
流動負債17,784百万円
固定負債5,520百万円
負債合計23,303百万円

(注) 現時点では確定していないため、暫定的に算定された金額です。
③ 会計処理
移転したことにより受け取った対価と、移転した事業に係る株主資本相当額との差額を事業譲渡益として認識しています。
(3) 分離した事業が含まれていた報告セグメントの名称
ヘルスケア
2 セグメント区分の変更
2025年4月1日に研究開発等の機能の一部を「マテリアル」へ再編したことに伴い、翌連結会計年度(2026年3月期)より、従来「全社費用等」に含めていた一部の研究組織等を「マテリアル」セグメントに含めて表示します。
なお、変更後のセグメント区分によった場合の当連結会計年度の報告セグメントごとの売上高、利益の金額に関する情報は以下のとおりです。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(単位:百万円)
報告セグメントその他
(注)
合計調整額連結財務諸表計上額
マテリアル住宅ヘルスケア
売上高
外部顧客への売上高1,368,7701,035,860615,9013,020,53016,7813,037,312-3,037,312
セグメント間の内部売上高又は振替高18,23410,036528,27545,54973,823△73,823-
1,387,0041,045,895615,9053,048,80562,3303,111,135△73,8233,037,312
セグメント損益(営業損益)79,90595,91264,026239,8442,929242,772△30,852211,921

(注)「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、プラントエンジニアリング、環境エンジニアリング、各種リサーチ・情報提供事業及び人材派遣・紹介事業を含んでいます。
3 MMA、CHMA、アクリル樹脂、SBラテックスの事業撤退及びアセトニトリルの供給体制再構築
(1) 概要
当社は、2025年5月27日開催の取締役会において、メタクリル酸メチル(MMA)モノマー、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、アクリル樹脂(製品名:「デルペット™」、「デルパウダ™」)、SBラテックスの事業撤退及びアセトニトリルの供給体制再構築方針(川崎精製工場閉鎖)について決議しました。
当社は、「中期経営計画2027 ~Trailblaze Together~」の基本方針のひとつに、構造転換や生産性向上による資本効率改善を掲げ、事業のポートフォリオを見直すとともに経営資源の再配分を進めています。今回の構造転換の対象である川崎製造所のアクリル樹脂事業、SBラテックス事業及びアセトニトリル事業は1963年に、またMMA事業は1974年に操業を開始して以来、50年超にわたり国内外のお客さまに製品を提供してきました。
しかし、近年、経済環境の低迷が長期化する中、原料コストの上昇による競争力の低下に加え、中国における石油化学製品の大規模な生産能力の増強を背景とした需給環境の悪化により、当該製品群の稼働率は低水準で推移しており、厳しい状況が続いています。こうした状況は構造的かつ不可逆的であると判断し、当社は川崎製造所において製造している当該製品群からの撤退を決断しました。
(2) 対象事業の売上高(当連結会計年度)
34,635百万円
(3) 対象製品、生産及び販売終了時期
対象製品生産終了時期販売終了時期
メタクリル酸メチル(MMA)モノマー2026年9月予定2026年9月予定
シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)2026年3月予定2026年3月予定
アクリル樹脂2026年9月予定2027年9月予定
SBラテックス2027年9月予定2027年12月予定
アセトニトリル
(川崎精製工場における生産)
顧客との協議を経て、別途決定します。韓国の子会社(東西石油化学㈱)で製造した製品を日本国内に供給します。

(4) 撤退が営業活動等へ及ぼす重要な影響
翌連結会計年度において、事業構造改善費用約25,000百万円を特別損失として計上する見込みです。