訂正有価証券報告書-第153期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/07/01 12:10
【資料】
PDFをみる
【項目】
113項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)重要な会計方針及び見積り
当連結グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付に係る負債、税金費用等の見積りはそれぞれ適正であると判断しています。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度における世界経済は、米国では雇用環境の改善や個人消費の増勢を背景に拡大基調が続きましたが、新興国では成長率が鈍化し、欧州も回復基調を持続するものの勢いを欠く状況で推移しました。国内は、消費増税に伴う影響を受けつつも雇用環境の改善に支えられ、緩やかな回復基調が持続しました。
当連結グループ事業の主要対象分野である自動車関連分野は、国内では消費増税後の反動減から生産・販売台数ともに前連結会計年度を下回りましたが、北米、欧州、中国では堅調に推移しました。IT・デジタル家電分野は、新興国でスマートフォンなどモバイル端末が需要拡大し、堅調に推移しました。国内の製パン・製菓関連分野は、概ね前連結会計年度並みの生産量となりました。
①売上高及び営業利益
売上高は前連結会計年度に比べ、99億68百万円(前連結会計年度比+4.9%)増収の2,143億19百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ、75億70百万円(同比+4.7%)増加し、1,676億43百万円となりました。
販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ、16億円(同比+5.3%)増加し、320億68百万円となりました。
営業利益は前連結会計年度に比べ、7億96百万円(同比+5.8%)増益の146億8百万円となりました。
なお、セグメントの詳細分析については、「1 業績等の概要 (1)業績 」に記載しています。
②営業外損益及び経常利益
営業外収益から営業外費用を控除した営業外損益は、前連結会計年度の収益(純額)21億48百万円に比べ、3億42百万円(同比+16.0%)収益額が増加し、24億91百万円の収益となりました。
当連結会計年度では前連結会計年度と比較して持分法による投資利益が増加し、経常利益は前連結会計年度に比べ、11億39百万円(同比+7.1%)増益の170億99百万円となりました。
③特別損益及び税金等調整前当期純利益
特別利益から特別損失を控除した特別損益は前連結会計年度の損失(純額)32億35百万円に比べ、28億41百万円損失額が減少し、3億93百万円の損失となりました。
減損損失の減少によるものです。
この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ、39億81百万円(同比+31.3%)増益の167億5百万円となりました。
④法人税等及び少数株主損益
法人税等は前連結会計年度に比べ、14億91百万円(同比+50.2%)増加し、44億61百万円となりました。
少数株主損益は前連結会計年度に比べ、69百万円(同比+11.5%)増加し、6億71百万円となりました。
⑤当期純利益
上記要因の結果、当期純利益は前連結会計年度に比べ、24億20百万円(同比+26.4%)増益の115億73百万円となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当連結グループを取り巻く事業環境は、情報・電子化学品をはじめ世代交代が激しい分野が多く、研究開発力が大きなポイントとなります。研究開発について従来から積極的に経営資源を投入し、技術優位な製品の開発に注力しています。
また、石油化学原料、原料油脂を多く使用しており、原料価格相場の変動や為替相場の変動等の影響を受けますが、コストダウンや製品販売価格の改定により極力吸収するようにしています。
(4)経営戦略の現状と見通し
世界経済は、中国経済の減速など新興国経済の伸び悩みが懸念されており、欧州でも回復ペースの鈍化が見込まれるものの、引き続き米国を中心に緩やかな回復傾向で推移すると予想されています。
日本経済は、雇用環境の改善により個人消費が堅調に推移することに加え、円安・原油安のもとで輸出や設備投資は拡大し、景気回復が続くものと見込まれています。
このような状況のなか、当社グル―プは、中長期的な目指すべき方向性を示した平成37年のありたい姿『ADEKA VISION 2025』を掲げ、メーカーとして世界の技術をリードしつつ、本業を通じて社会に貢献する「先端技術で明日の価値を創造し豊かなくらしに貢献するグローバル企業」の実現を目指します。
当社グループは、平成29年1月に迎える創立100周年を見据え、平成27年度をスタートとする3ヶ年の中期経営計画「STEP 3000-Ⅱ」を推進しています。この3ヶ年は、「売上高3,000億円のグッドカンパニーを実現する期間」であるとともに、「『ADEKA VISION 2025』の達成に向けた最初の3年間」として、グループ経営管理の強化、海外事業の拡大、コア技術の深耕を推進していきます。また、平成27年度は、国内市場に留まらず、海外12の国と地域における22社との連携を強化しながら収益を拡大し、これまで積み重ねてきた独自性の高い“技術”と、創業以来守り続けてきた“信頼”を武器に、グローバルレベルで、お客様にとって、社会にとって価値ある製品・サービスを創造してまいります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金調達と流動性マネジメント
当連結グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を常に目指し、安定的な資金調達手段の確保に努めています。当連結グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資・投融資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動からのキャッシュ・フローに加え、借入により調達しています。
当連結会計年度末現在において、当連結グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は高いと考えています。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の総額は416億97百万円となっています。
②資産、負債及び純資産
(資 産)
当連結会計年度の総資産は、183億91百万円(前連結会計年度比+7.6%)増加の2,611億33百万円となりました。
主な要因は、以下の通りです。
流動資産は前連結会計年度に比べ、89億75百万円(同比+7.1%)増加の1,355億80百万円となりました。
これは、主に現金及び預金の増加、たな卸資産の増加によるものです。
固定資産は前連結会計年度に比べ、94億16百万円(同比+8.1%)増加の1,255億53百万円となりました。
有形固定資産は前連結会計年度に比べ、28億14百万円(同比+3.8%)増加の766億40百万円となりました。
これは、主に機械装置及び運搬具の増加によるものです。
無形固定資産は前連結会計年度に比べ、1億89百万円(同比△5.2%)減少の34億60百万円となりました。
投資その他の資産は前連結会計年度に比べ、67億90百万円(同比+17.6%)増加の454億52百万円となりました。
これは、主に投資有価証券の時価評価による増加です。
(負 債)
当連結会計年度の負債は前連結会計年度に比べ、29億35百万円(同比+3.1%)増加の978億78百万円となりました。
流動負債は前連結会計年度に比べ、70億85百万円(同比+11.4%)増加の694億93百万円となりました。
これは、主に短期借入金の増加、1年内返済予定の長期借入金の増加によるものです。
固定負債は前連結会計年度に比べ、41億50百万円(同比△12.8%)減少の283億85百万円となりました。
これは、主に長期借入金の減少によるものです。
有利子負債の詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑤連結附属明細表」に記載しています。
(純資産)
当連結会計年度の純資産は前連結会計年度に比べ、154億56百万円(同比+10.5%)増加の1,632億55百万円となりました。
これは、主に当期純利益の増加による利益剰余金の増加によるものです。
また、自己資本比率は負債の増加を上回る純資産の増加により、前連結会計年度58.7%に比べ、1.4ポイント増加の60.1%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況については、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
平成23年
3月期
平成24年
3月期
平成25年
3月期
平成26年
3月期
平成27年
3月期
自己資本比率(%)59.559.459.858.760.1
時価ベースの自己資本比率(%)40.338.537.350.661.5
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)1.43.22.01.62.1
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)42.820.835.042.439.3

(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しています。
営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の支払額を使用しています。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、社会の一員として、社会との調和を図りながら持続的に発展し、さらにステークホルダーの期待に積極的に応えていくことの重要性を強く認識しており、「新しい潮流の変化に鋭敏であり続けるアグレッシブな先進企業を目指す」「世界とともに生きる」を経営理念として、独自性のある優れた技術で、時代の先端をいく製品と顧客ニーズに合った製品を提供し、企業の社会的責任を果たしていくことを経営の基本方針としています。
当社グル―プは、中長期的な目指すべき方向性を示した平成37年のありたい姿『ADEKA VISION 2025』を掲げ、現在の事業基盤である「化学品と食品」のみならず幅広い事業を世界中で展開し、メーカーとして世界の技術をリードしつつ、本業を通じて社会(豊かなくらし)に貢献するグローバル企業への変革を図ります。
平成29年1月に迎える創立100周年を見据えて、平成27年度から平成29年度の中期経営計画『STEP 3000- Ⅱ~グッドカンパニーの実現~』を本年4月からスタートし、平成29年度連結売上高3,000億円、営業利益240億円を目指しています。『ADEKA VISION 2025』の達成、『売上高3,000億円のグッドカンパニー』の実現に向けて、前中期経営計画STEP 3000の「3つの基本戦略」を踏襲し、3つの基本方針『海外:グローバリゼーションの拡大とローカライゼーションの加速』『技術:基盤・コア技術の深耕によるイノベーションの創出』『人財:グローバル人財、戦略立案人財の拡充と成長』を掲げ、グループ経営管理の強化、海外拡大、コア技術の深耕を推進してまいります。
[中期経営計画 3つの基本戦略]
①コア事業を中心とした規模拡大
樹脂添加剤、食品セグメントのコア事業を中心に、売上高3,000億円を必達すべく規模拡大を図る
②第3のコア事業の育成(情報・電子)
「情報・電子」分野をADEKAグループの利益拡大を担う第3のコア事業として育成を図る
③新規事業の育成や業容/領域の拡大
既存事業の拡大に加え、新規事業の育成や業容/領域の拡大を早期に実現させるための効果的な経営手段としてM&A・アライアンスを活用する
◆新規事業(特に注力する分野):『ライフサイエンス』『環境・エネルギー』
また、当社グループは、コーポレートガバナンスの強化、コンプライアンスの推進、震災・災害を踏まえたリスクマネジメント体制の再構築・強化、環境保全・品質安全の徹底等を通して、企業の社会的責任を果たしていくとともにステークホルダーの皆様からの期待に応え、本業を通じた社会貢献を基本としたCSR経営に取り組んでまいります。