有価証券報告書-第98期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が拡大し、外出自粛などによる個人消費の減少や世界経済の下振れによる輸出の減少など、景気悪化が顕著となりましたが、第2四半期から一部で生産や輸出などは持ち直しの動きがみられました。
海外経済におきましても、感染症の拡大にともなう各種制限により経済活動が減速しました。いち早く経済活動を再開した中国や、大規模な経済政策を推進した米国などでは景気が回復に向かっているものの、変異型ウイルスがまん延している国・地域もあり、経済の先行きは不透明で厳しい状況にありました。
当社グループを取り巻く事業環境は、国内におけるインバウンド需要の消失や自動車生産の落ち込みなどによる世界的な景気減速の影響を受けて、極めて厳しい状況にありましたが、期末にかけてヘルスケア分野や自動車分野での需要回復の動きがみられました。
このような事業環境下、当社グループは「挑戦と協創」を基本方針として掲げ、当事業年度を初年度とする3ヵ年計画「2022中期経営計画」の課題である「成長市場への事業拡大」「新製品・新技術開発の加速」「社内外との連携強化」「生産性の向上」「CSR活動の推進」に取り組み、高機能・高付加価値製品による新市場開拓と拡販ならびに生産コストの低減に努め、持続的成長に向けた経営努力を積み重ねてまいりました。
新製品・新技術開発の加速においては、研究本部内に新規事業開発室を設置して新規事業の創出に取り組むとともに、国内外において共同研究により研究テーマを拡充するなど社内外との連携も強化いたしました。また生産性の向上では、機能化学品事業やライフサイエンス事業における生産能力増強や、効率化投資を推進してまいりました。
以上のような経営努力を積み重ねてまいりました結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
①財政状態
資産は、前期末に比べ36,288百万円増加し、271,536百万円となりました。
負債は、前期末に比べ11,488百万円増加し、68,020百万円となりました。
純資産(非支配株主持分を含む)は、前期末に比べ24,799百万円増加し、203,516百万円となりました。
②経営成績
当期の連結売上高は、172,645百万円と前期比4.6%の減収となりました。連結営業利益は、26,602百万円と前期比1.0%の減益、連結経常利益は、28,870百万円と前期比0.1%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は、23,302百万円と前期比10.2%の増益となりました。
以下、各事業セグメントの概況についてご説明申し上げます。
(機能化学品事業)
脂肪酸誘導体は、環境エネルギー関連の需要が低調に推移し、売上高は減少しました。
界面活性剤は、トイレタリー関連の需要が期末にかけて回復し、売上高は前期並みとなりました。
エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド誘導体は、塗料向けや合成樹脂・樹脂加工向けの需要が低調に推移し、売上高は減少しました。
有機過酸化物は、国内およびアジアでの需要が低調に推移し、売上高は減少しました。
特殊防錆処理剤は、欧米での自動車関連の需要が低調に推移し、売上高は減少しました。
これらの結果、機能化学品事業の連結売上高は、109,822百万円(前期比6.4%減)、連結営業利益は、15,655百万円(前期比10.9%減)となりました。
(ライフサイエンス事業)
食用加工油脂は、製菓・製パン用機能性油脂の需要が低調に推移し、売上高は減少しました。
機能食品関連製品は、売上高は減少しました。
生体適合性素材は、MPC(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)関連製品の需要が好調に推移し、売上高は増加しました。
DDS(ドラッグ・デリバリー・システム:薬物送達システム)医薬用製剤原料は、欧米への出荷が好調で、売上高は増加しました。
これらの結果、ライフサイエンス事業の連結売上高は、31,232百万円(前期比2.8%増)、連結営業利益は、10,310百万円(前期比21.9%増)となりました。
(化薬事業)
産業用爆薬類は、売上高は前期並みとなりました。
宇宙関連製品は、ロケット向け製品の出荷が減少し、売上高は減少しました。
防衛関連製品は、売上高は前期並みとなりました。
機能製品は、売上高は減少しました。
これらの結果、化薬事業の連結売上高は、30,078百万円(前期比5.5%減)、連結営業利益は、製品構成の影響により、2,036百万円(前期比6.3%増)となりました。
(その他の事業)
その他の事業は、運送事業および不動産事業から構成されております。その連結売上高は、1,511百万円(前期比5.1%増)、連結営業利益は、228百万円(前期比10.0%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が3,871百万円増加しましたが、運転資金負担の減少774百万円、法人税等の支払額の減少1,248百万円、減損損失の減少403百万円、災害損失の減少216百万円等により、前期に比べ2,889百万円の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出の減少5百万円、投資有価証券の売却による収入の増加6,159百万円、設備投資による支出の減少1,728百万円、固定資産売却による収入の減少86百万円等があり、前期に比べ6,733百万円の支出減となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出の減少2,533百万円、借入金の借入による収入の増加16百万円、配当金の支払額の減少665百万円等の結果、前期に比べ3,244百万円の支出減となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、前期末に比べ25,911百万円増加し、76,596百万円となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。
(注)1 金額は販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当連結会計年度における化薬事業の受注実績を示しますと、次のとおりであります。
なお、化薬事業を除く製品については見込み生産を行っております。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
①経営成績等
a.財政状態
(資産合計)
総資産は、前期末に比べ36,288百万円増加し、271,536百万円となりました。資産の増減の主な内容は、現金及び預金の増加26,819百万円、売上債権の増加877百万円、有形固定資産の増加2,953百万円、投資有価証券の期末時価評価等による増加6,876百万円等であります。
(負債合計)
負債は、前期末に比べ11,488百万円増加し、68,020百万円となりました。負債の増減の主な内容は、買入債務の増加2,078百万円、未払法人税等の増加2,244百万円、繰延税金負債の増加3,995百万円等であります。
(純資産合計)
純資産(非支配株主持分を含む)は前期末に比べ24,799百万円増加し、203,516百万円となりました。純資産(非支配株主持分を含む)の増減の主な内容は、親会社株主に帰属する当期純利益23,302百万円、剰余金の配当による減少6,486百万円、自己株式の取得等による減少1,655百万円、その他有価証券評価差額金の増加7,106百万円、退職給付に係る調整累計額の増加1,330百万円等であります。
b.経営成績
(売上高)
売上高は172,645百万円と前期比△4.6%、8,272百万円の減収となりました。その内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況 ②経営成績」に記載したとおりであります。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は115,259百万円と前期比△5.8%、7,053百万円の減少となりました。原価率は、前期と比較して0.8ポイント減少し66.8%となりました。
販売費及び一般管理費は30,783百万円と前期比△3.0%、946百万円の減少となりました。売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は5,760百万円と前期比△6.3%、388百万円の減少となりました。
(営業利益)
営業利益は、26,602百万円と前期比△1.0%、271百万円の減益となりました。セグメント別の営業利益については、セグメント情報の欄に記載しております。
(営業外収益(費用))
営業外収益(費用)は、前連結会計年度の1,956百万円の収益(純額)から、2,268百万円の収益(純額)となりました。受取利息および受取配当金の合計から支払利息を差引いた金融収支は、前連結会計年度の1,588百万円の収入(純額)から、1,130百万円の収入(純額)となりました。
(経常利益)
経常利益は28,870百万円となり、前期比0.1%、40百万円の増益となりました。
(特別利益)
特別利益は5,420百万円となり、前期比2,996百万円の増加となりました。この増加は、主に当期において、投資有価証券売却益等を計上したことによるものであります。
(特別損失)
特別損失は181百万円となり、前期比834百万円の減少となりました。この減少は、主に前期において減損損失等を計上したことによるものであります。
(税金等調整前当期純利益)
税金等調整前当期純利益は34,109百万円となり、前期比12.8%、3,871百万円の増益となりました。
(法人税等(法人税、住民税及び事業税ならびに法人税等調整額))
税金等調整前当期純利益に対する税効果会計適用後の法人税等の負担率は31.6%となり、前期比1.6ポイントの増加となりました。
(非支配株主に帰属する当期純利益)
非支配株主に帰属する当期純利益は13百万円(前期は、非支配株主に帰属する当期純利益32百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は23,302百万円となり、前期比10.2%、2,162百万円の増益となりました。1株当たりの当期純利益は280.49円と前期比28.77円の増加となりました。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
国内経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止と社会経済活動の両立が図られることで雇用や所得環境の改善が進み、感染症拡大前の経済水準に回復しつつあります。世界経済においても、感染症に対するワクチン普及や各国の経済政策の効果により、国や地域による差はあるものの、徐々に回復に向かうと見込まれます。しかしながら、変異株の影響に加え、米中対立長期化によるサプライチェーンの不安定化や原燃料価格の上昇への懸念もあり、先行きは不透明な状況が継続するものと想定されます。
このような情勢下、当社グループは、目指す3分野「ライフ・ヘルスケア」「電子・情報」「環境・エネルギー」において、市場ニーズの変化に柔軟に対応し、独創性のある製品を国内外の市場に提供できる機能材メーカーとして、人と化学の力で新たな価値を創造し、すべてのステークホルダーの皆様の信頼にお応えし続けることで、安心で豊かな社会の実現に向けて挑戦してまいります。
当社グループは、次の飛躍に向け、2020年を起点に「NOF VISION 2025」を策定いたしました。前半3年間の「2022中期経営計画」をStageⅠ・基盤強化ステージ、後半3年間をStageⅡ・収益拡大ステージとし、成長分野への積極投資の推進や、収益力の強化などの取り組みを推進しております。
本年度も引き続き、2020年度を初年度とする3ヵ年計画「2022中期経営計画」における基本方針「挑戦と協創」に沿って、「成長市場への事業拡大」「新製品・新技術開発の加速」「社内外との連携強化」「生産性の向上」「CSR活動の推進」の各課題に取り組んでまいります。
成長市場への事業拡大においては、目指す3分野における積極的な戦略投資を実行してまいります。新製品・新技術開発の加速においては、昨年、研究本部内に設置した新規事業開発室において、再生医療など先端医薬医療関連素材の事業化に取り組むとともに、新規事業領域の拡大に努めてまいります。
生産性向上の取り組みでは、高機能・高付加価値製品の製造能力増強や、AI技術などを応用した材料開発手法であるマテリアルズ・インフォマティクスによる研究開発の促進などへの効率化投資にも積極的に取り組みます。
これらの課題への取り組みを遂行し、さらなる事業革新を進め、国際競争力のある強靭な企業体質を築いてまいります。
新型コロナウイルス感染症に対しては、グループ社員ならびに関係者の皆様の安全確保を最優先に、感染拡大の防止に努めてゆくとともに、収束後の社会・経済情勢を見極めながら適切な事業運営に最大限努力してまいります。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営の主たる指標については、グループの業績評価における重要指標である営業利益のほか、株主重視の視点から個別事業における業績管理など経営効率の評価基準として、自己資本当期純利益率(ROE)、総資産経常利益率(ROA)および売上高営業利益率を活用しております。
当連結会計年度における自己資本当期純利益率(ROE)は、12.2%(前期比0.3ポイント増加)、総資産経常利益率(ROA)は11.4%(前期比0.6ポイント減少)、売上高営業利益率は15.4%(前期比0.5ポイント増加)となりました。
④セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態につきましては、以下のとおりであります。
機能化学品事業における資産は、前期末に比べ、4,473百万円増加し、95,572百万円となりました。
ライフサイエンス事業における資産は、前期末に比べ、2,445百万円増加し、24,353百万円となりました。
化薬事業における資産は、前期末に比べ、112百万円減少し、58,313百万円となりました。
その他の事業における資産は、前期末に比べ、260百万円増加し、3,812百万円となりました。
セグメントごとの設備投資等の概要につきましては、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載したとおりであります。
なお、経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
①基本方針
当社グループは、独創性のある製品を国内外の市場に提供できる機能材メーカーとしてさらなる進化を遂げ、信頼され存在感のある企業グループの実現に努めるために、以下のとおり対応してまいります。
事業への資源配分については、拡大する高機能・高付加価値製品の需要に対応するため生産能力を増強するとともに、デジタル化による業務効率向上など効率化投資を推進してまいります。
利益配分については、株主の皆様への安定的な利益還元を経営の重要課題と認識しております。配当は、配当性向30%程度を目標とし、自己株式取得・消却については機動的に対応してまいります。
内部留保資金は、将来に向けた成長のための設備投資や研究開発投資、財務体質の充実などにあて、収益基盤の強化を図ってまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
③資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。営業費用の主なものは人件費および発送配達費、販売促進費等の費用であります。当社グループの研究開発費は、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の主要な部分を占めております。
当社グループの投資活動にかかる資金需要のうち主なものは、高付加価値品の需要拡大に対応する生産設備、新技術開発による生産設備の新設や環境負荷低減のための設備改修等にかかる設備投資であります。
④有利子負債
2021年3月31日現在の有利子負債の概要は下記のとおりであります。
上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
⑤財務政策
当社グループは現在、運転資金および設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については期限が1年以内の短期借入金で、銀行等からの借入金および海外子会社の現地での借入金から構成されております。これに対して、生産設備などの長期資金は原則として固定金利の長期借入金で調達しております。2021年3月31日現在、長期資金の残高は80億円で、主に固定金利の円での借入であり、銀行等からの借入金であります。
当社グループは、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力および借入により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症に関しましては、収束時期の見通しが不透明な状況ではありますが、2021年3月31日現在の現金及び現金同等物765億円に加え、銀行等からの借入金により、資金の流動性を確保してまいります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が拡大し、外出自粛などによる個人消費の減少や世界経済の下振れによる輸出の減少など、景気悪化が顕著となりましたが、第2四半期から一部で生産や輸出などは持ち直しの動きがみられました。
海外経済におきましても、感染症の拡大にともなう各種制限により経済活動が減速しました。いち早く経済活動を再開した中国や、大規模な経済政策を推進した米国などでは景気が回復に向かっているものの、変異型ウイルスがまん延している国・地域もあり、経済の先行きは不透明で厳しい状況にありました。
当社グループを取り巻く事業環境は、国内におけるインバウンド需要の消失や自動車生産の落ち込みなどによる世界的な景気減速の影響を受けて、極めて厳しい状況にありましたが、期末にかけてヘルスケア分野や自動車分野での需要回復の動きがみられました。
このような事業環境下、当社グループは「挑戦と協創」を基本方針として掲げ、当事業年度を初年度とする3ヵ年計画「2022中期経営計画」の課題である「成長市場への事業拡大」「新製品・新技術開発の加速」「社内外との連携強化」「生産性の向上」「CSR活動の推進」に取り組み、高機能・高付加価値製品による新市場開拓と拡販ならびに生産コストの低減に努め、持続的成長に向けた経営努力を積み重ねてまいりました。
新製品・新技術開発の加速においては、研究本部内に新規事業開発室を設置して新規事業の創出に取り組むとともに、国内外において共同研究により研究テーマを拡充するなど社内外との連携も強化いたしました。また生産性の向上では、機能化学品事業やライフサイエンス事業における生産能力増強や、効率化投資を推進してまいりました。
以上のような経営努力を積み重ねてまいりました結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
①財政状態
資産は、前期末に比べ36,288百万円増加し、271,536百万円となりました。
負債は、前期末に比べ11,488百万円増加し、68,020百万円となりました。
純資産(非支配株主持分を含む)は、前期末に比べ24,799百万円増加し、203,516百万円となりました。
②経営成績
当期の連結売上高は、172,645百万円と前期比4.6%の減収となりました。連結営業利益は、26,602百万円と前期比1.0%の減益、連結経常利益は、28,870百万円と前期比0.1%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は、23,302百万円と前期比10.2%の増益となりました。
以下、各事業セグメントの概況についてご説明申し上げます。
(機能化学品事業)
脂肪酸誘導体は、環境エネルギー関連の需要が低調に推移し、売上高は減少しました。
界面活性剤は、トイレタリー関連の需要が期末にかけて回復し、売上高は前期並みとなりました。
エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド誘導体は、塗料向けや合成樹脂・樹脂加工向けの需要が低調に推移し、売上高は減少しました。
有機過酸化物は、国内およびアジアでの需要が低調に推移し、売上高は減少しました。
特殊防錆処理剤は、欧米での自動車関連の需要が低調に推移し、売上高は減少しました。
これらの結果、機能化学品事業の連結売上高は、109,822百万円(前期比6.4%減)、連結営業利益は、15,655百万円(前期比10.9%減)となりました。
(ライフサイエンス事業)
食用加工油脂は、製菓・製パン用機能性油脂の需要が低調に推移し、売上高は減少しました。
機能食品関連製品は、売上高は減少しました。
生体適合性素材は、MPC(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)関連製品の需要が好調に推移し、売上高は増加しました。
DDS(ドラッグ・デリバリー・システム:薬物送達システム)医薬用製剤原料は、欧米への出荷が好調で、売上高は増加しました。
これらの結果、ライフサイエンス事業の連結売上高は、31,232百万円(前期比2.8%増)、連結営業利益は、10,310百万円(前期比21.9%増)となりました。
(化薬事業)
産業用爆薬類は、売上高は前期並みとなりました。
宇宙関連製品は、ロケット向け製品の出荷が減少し、売上高は減少しました。
防衛関連製品は、売上高は前期並みとなりました。
機能製品は、売上高は減少しました。
これらの結果、化薬事業の連結売上高は、30,078百万円(前期比5.5%減)、連結営業利益は、製品構成の影響により、2,036百万円(前期比6.3%増)となりました。
(その他の事業)
その他の事業は、運送事業および不動産事業から構成されております。その連結売上高は、1,511百万円(前期比5.1%増)、連結営業利益は、228百万円(前期比10.0%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が3,871百万円増加しましたが、運転資金負担の減少774百万円、法人税等の支払額の減少1,248百万円、減損損失の減少403百万円、災害損失の減少216百万円等により、前期に比べ2,889百万円の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出の減少5百万円、投資有価証券の売却による収入の増加6,159百万円、設備投資による支出の減少1,728百万円、固定資産売却による収入の減少86百万円等があり、前期に比べ6,733百万円の支出減となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出の減少2,533百万円、借入金の借入による収入の増加16百万円、配当金の支払額の減少665百万円等の結果、前期に比べ3,244百万円の支出減となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、前期末に比べ25,911百万円増加し、76,596百万円となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 機能化学品事業 | 87,188 | △8.5 |
| ライフサイエンス事業 | 37,839 | △11.4 |
| 化薬事業 | 27,012 | △9.8 |
| 合計 | 152,040 | △9.5 |
(注)1 金額は販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当連結会計年度における化薬事業の受注実績を示しますと、次のとおりであります。
なお、化薬事業を除く製品については見込み生産を行っております。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| 化薬事業 | 20,140 | △6.3 | 20,599 | △2.5 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額 (百万円) | 前期比 (%) |
| 機能化学品事業 | 109,822 | △6.4 |
| ライフサイエンス事業 | 31,232 | 2.8 |
| 化薬事業 | 30,078 | △5.5 |
| 報告セグメント計 | 171,133 | △4.6 |
| その他の事業 | 1,511 | 5.1 |
| 合計 | 172,645 | △4.6 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
①経営成績等
a.財政状態
(資産合計)
総資産は、前期末に比べ36,288百万円増加し、271,536百万円となりました。資産の増減の主な内容は、現金及び預金の増加26,819百万円、売上債権の増加877百万円、有形固定資産の増加2,953百万円、投資有価証券の期末時価評価等による増加6,876百万円等であります。
(負債合計)
負債は、前期末に比べ11,488百万円増加し、68,020百万円となりました。負債の増減の主な内容は、買入債務の増加2,078百万円、未払法人税等の増加2,244百万円、繰延税金負債の増加3,995百万円等であります。
(純資産合計)
純資産(非支配株主持分を含む)は前期末に比べ24,799百万円増加し、203,516百万円となりました。純資産(非支配株主持分を含む)の増減の主な内容は、親会社株主に帰属する当期純利益23,302百万円、剰余金の配当による減少6,486百万円、自己株式の取得等による減少1,655百万円、その他有価証券評価差額金の増加7,106百万円、退職給付に係る調整累計額の増加1,330百万円等であります。
b.経営成績
(売上高)
売上高は172,645百万円と前期比△4.6%、8,272百万円の減収となりました。その内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況 ②経営成績」に記載したとおりであります。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は115,259百万円と前期比△5.8%、7,053百万円の減少となりました。原価率は、前期と比較して0.8ポイント減少し66.8%となりました。
販売費及び一般管理費は30,783百万円と前期比△3.0%、946百万円の減少となりました。売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は5,760百万円と前期比△6.3%、388百万円の減少となりました。
(営業利益)
営業利益は、26,602百万円と前期比△1.0%、271百万円の減益となりました。セグメント別の営業利益については、セグメント情報の欄に記載しております。
(営業外収益(費用))
営業外収益(費用)は、前連結会計年度の1,956百万円の収益(純額)から、2,268百万円の収益(純額)となりました。受取利息および受取配当金の合計から支払利息を差引いた金融収支は、前連結会計年度の1,588百万円の収入(純額)から、1,130百万円の収入(純額)となりました。
(経常利益)
経常利益は28,870百万円となり、前期比0.1%、40百万円の増益となりました。
(特別利益)
特別利益は5,420百万円となり、前期比2,996百万円の増加となりました。この増加は、主に当期において、投資有価証券売却益等を計上したことによるものであります。
(特別損失)
特別損失は181百万円となり、前期比834百万円の減少となりました。この減少は、主に前期において減損損失等を計上したことによるものであります。
(税金等調整前当期純利益)
税金等調整前当期純利益は34,109百万円となり、前期比12.8%、3,871百万円の増益となりました。
(法人税等(法人税、住民税及び事業税ならびに法人税等調整額))
税金等調整前当期純利益に対する税効果会計適用後の法人税等の負担率は31.6%となり、前期比1.6ポイントの増加となりました。
(非支配株主に帰属する当期純利益)
非支配株主に帰属する当期純利益は13百万円(前期は、非支配株主に帰属する当期純利益32百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は23,302百万円となり、前期比10.2%、2,162百万円の増益となりました。1株当たりの当期純利益は280.49円と前期比28.77円の増加となりました。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
国内経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止と社会経済活動の両立が図られることで雇用や所得環境の改善が進み、感染症拡大前の経済水準に回復しつつあります。世界経済においても、感染症に対するワクチン普及や各国の経済政策の効果により、国や地域による差はあるものの、徐々に回復に向かうと見込まれます。しかしながら、変異株の影響に加え、米中対立長期化によるサプライチェーンの不安定化や原燃料価格の上昇への懸念もあり、先行きは不透明な状況が継続するものと想定されます。
このような情勢下、当社グループは、目指す3分野「ライフ・ヘルスケア」「電子・情報」「環境・エネルギー」において、市場ニーズの変化に柔軟に対応し、独創性のある製品を国内外の市場に提供できる機能材メーカーとして、人と化学の力で新たな価値を創造し、すべてのステークホルダーの皆様の信頼にお応えし続けることで、安心で豊かな社会の実現に向けて挑戦してまいります。
当社グループは、次の飛躍に向け、2020年を起点に「NOF VISION 2025」を策定いたしました。前半3年間の「2022中期経営計画」をStageⅠ・基盤強化ステージ、後半3年間をStageⅡ・収益拡大ステージとし、成長分野への積極投資の推進や、収益力の強化などの取り組みを推進しております。
本年度も引き続き、2020年度を初年度とする3ヵ年計画「2022中期経営計画」における基本方針「挑戦と協創」に沿って、「成長市場への事業拡大」「新製品・新技術開発の加速」「社内外との連携強化」「生産性の向上」「CSR活動の推進」の各課題に取り組んでまいります。
成長市場への事業拡大においては、目指す3分野における積極的な戦略投資を実行してまいります。新製品・新技術開発の加速においては、昨年、研究本部内に設置した新規事業開発室において、再生医療など先端医薬医療関連素材の事業化に取り組むとともに、新規事業領域の拡大に努めてまいります。
生産性向上の取り組みでは、高機能・高付加価値製品の製造能力増強や、AI技術などを応用した材料開発手法であるマテリアルズ・インフォマティクスによる研究開発の促進などへの効率化投資にも積極的に取り組みます。
これらの課題への取り組みを遂行し、さらなる事業革新を進め、国際競争力のある強靭な企業体質を築いてまいります。
新型コロナウイルス感染症に対しては、グループ社員ならびに関係者の皆様の安全確保を最優先に、感染拡大の防止に努めてゆくとともに、収束後の社会・経済情勢を見極めながら適切な事業運営に最大限努力してまいります。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営の主たる指標については、グループの業績評価における重要指標である営業利益のほか、株主重視の視点から個別事業における業績管理など経営効率の評価基準として、自己資本当期純利益率(ROE)、総資産経常利益率(ROA)および売上高営業利益率を活用しております。
当連結会計年度における自己資本当期純利益率(ROE)は、12.2%(前期比0.3ポイント増加)、総資産経常利益率(ROA)は11.4%(前期比0.6ポイント減少)、売上高営業利益率は15.4%(前期比0.5ポイント増加)となりました。
④セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態につきましては、以下のとおりであります。
機能化学品事業における資産は、前期末に比べ、4,473百万円増加し、95,572百万円となりました。
ライフサイエンス事業における資産は、前期末に比べ、2,445百万円増加し、24,353百万円となりました。
化薬事業における資産は、前期末に比べ、112百万円減少し、58,313百万円となりました。
その他の事業における資産は、前期末に比べ、260百万円増加し、3,812百万円となりました。
セグメントごとの設備投資等の概要につきましては、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載したとおりであります。
なお、経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
①基本方針
当社グループは、独創性のある製品を国内外の市場に提供できる機能材メーカーとしてさらなる進化を遂げ、信頼され存在感のある企業グループの実現に努めるために、以下のとおり対応してまいります。
事業への資源配分については、拡大する高機能・高付加価値製品の需要に対応するため生産能力を増強するとともに、デジタル化による業務効率向上など効率化投資を推進してまいります。
利益配分については、株主の皆様への安定的な利益還元を経営の重要課題と認識しております。配当は、配当性向30%程度を目標とし、自己株式取得・消却については機動的に対応してまいります。
内部留保資金は、将来に向けた成長のための設備投資や研究開発投資、財務体質の充実などにあて、収益基盤の強化を図ってまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
③資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。営業費用の主なものは人件費および発送配達費、販売促進費等の費用であります。当社グループの研究開発費は、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の主要な部分を占めております。
当社グループの投資活動にかかる資金需要のうち主なものは、高付加価値品の需要拡大に対応する生産設備、新技術開発による生産設備の新設や環境負荷低減のための設備改修等にかかる設備投資であります。
④有利子負債
2021年3月31日現在の有利子負債の概要は下記のとおりであります。
| 年度別要支払額 | |||||
| 区 分 | 合計 | 1年以内 | 1年超3年以内 | 3年超5年以内 | 5年超 |
| 短期借入金(億円) | 15 | 15 | - | - | - |
| 長期借入金(億円) | 80 | 50 | 30 | - | - |
上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
⑤財務政策
当社グループは現在、運転資金および設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については期限が1年以内の短期借入金で、銀行等からの借入金および海外子会社の現地での借入金から構成されております。これに対して、生産設備などの長期資金は原則として固定金利の長期借入金で調達しております。2021年3月31日現在、長期資金の残高は80億円で、主に固定金利の円での借入であり、銀行等からの借入金であります。
当社グループは、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力および借入により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症に関しましては、収束時期の見通しが不透明な状況ではありますが、2021年3月31日現在の現金及び現金同等物765億円に加え、銀行等からの借入金により、資金の流動性を確保してまいります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。