有価証券報告書-第147期(2023/04/01-2024/03/31)
7 法人所得税
(1) 法人所得税費用(便益)
法人所得税費用(便益)の内訳は以下のとおりであります。
当期税金費用には、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除または過去の期間の一時差異から生じた便益の額が含まれております。これに伴う当期税金費用の減少額は、2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ17,529百万円および4,952百万円であります。
繰延税金便益には、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除または過去の期間の一時差異から生じた便益の額が含まれております。これに伴う繰延税金費用の減少額は、2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ54,974百万円および32,290百万円であります。
当社グループは主に、法人税、住民税および損金算入される事業税を課されており、これらを基礎として計算した2023年3月期および2024年3月期における法定実効税率は、ともに30.6%であります。
各年度の国内の法定実効税率を適用して算定した法人所得税費用(便益)と実際負担税額との調整は以下の通りです。
(注)1 2023年3月期および2024年3月期における金額は、連結上内部取引消去されるため税引前利益には影響しないものの、異なる税務管轄地域間の内部取引に税率差が残ることによる影響および、国内の過大支払利子税制により課税所得計算上減算されない利息を含んでおります。
(注)2 2023年3月期および2024年3月期における金額は、繰越欠損金に関連する繰延税金費用(または便益)の計上による影響を含んでおります。2023年3月期における金額は、グループ内の組織再編の結果、繰延税金資産を未認識であった税務上の欠損金について計上した税務便益を含んでおります。
(注)3 2023年3月期および2024年3月期における金額は、在外子会社における合算課税およびミニマム税を含んでおります。
(注)4 2024年3月期における金額は、米国の州税法の改正に伴う繰延税金費用4,206百万円および国内の過大支払利子税制に関して繰越期間が延長したことによる繰延税金便益16,200百万円を含んでおります。
(注)5 2024年3月期における税務便益は、税務調査等において有利な結果となったことによる影響、およびAbbVie社からの違約金に関する和解の影響63,547百万円を含んでおります。
当社グループの税金費用は2023年3月期から2024年3月期にかけて減少しており、この減少は主に、税引前当期利益の減少、および2014年にShire社がAbbVie社から受領した買収違約金の取り扱いに係る税務評価について、アイルランド歳入庁と和解したことに伴い和解金を超える部分の未払法人所得税を振り戻したことによる税金費用の減額63,547百万円によるものです。これらの減少は、組織再編にかかる税金費用および繰延税金資産の回収可能性の評価の見直しと一部相殺されております。
当社グループは多国籍企業として、将来の法人所得税費用に影響を与え得る幾つかの要因があります。主な要因としては、それぞれの管轄地域における収益性の水準・組み合わせ、移転価格規制、課せられる税率、税制改革があげられます。2021年12月に、OECDは、新たなグローバル・ミニマム課税の枠組みに関するモデルルール(第2の柱)を公表しました。
2023年3月28日、日本において、OECDが策定したモデルルールを導入した税制改正法が成立しました。当税制改正法は、2024年4月1日以後開始する対象会計年度から適用されるため、2024年3月期における当期税金費用への影響はありません。当社グループは、追加税(トップアップ税)について、繰延税金の会計処理を行わず、発生時に当期税金費用として処理する一時的かつ強制的な例外規定を適用しております。当社グループは、グループ各社の直近の納税申告書、国別報告書及び財務諸表に基づき、第2の柱の法人所得税の潜在的な影響を評価しております。その結果を踏まえ、第2の柱に係るトップアップ税が発生する管轄地域は限られており、追加税額の重要性はないと判断しております。
(2) 繰延税金
連結財政状態計算書上の繰延税金資産および繰延税金負債は以下のとおりであります。
繰延税金資産および繰延税金負債の内訳および増減内容は以下のとおりであります。
(注)その他は、主に為替換算差額、売却目的で保有する資産および直接関連する負債に分類された繰延税金資産および負債の振り替え、資本の部に直接計上される項目に係る税効果であります。2023年3月期および2024年3月期における、資本の部に直接計上される項目にかかる税金の影響は、それぞれ2,204百万円および506百万円であります。
当社グループは、繰延税金資産の認識にあたり、一部または全ての将来減算一時差異、繰越欠損金または税額控除が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、将来加算一時差異の解消スケジュール、将来課税所得の予測およびタックスプランニングを考慮しております。なお、過去の課税所得水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来課税所得の予測に基づき、税務上の便益の一部については実現する可能性が高くないと判断しております。
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金、将来減算一時差異および繰越税額控除は以下のとおりであります。
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金および繰越税額控除の金額と繰越期限は以下のとおりであります。
繰延税金資産を認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の総額は、2023年3月31日および2024年3月31日現在、それぞれ515,052百万円および65,232百万円であります。
繰延税金負債を認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の総額は、2023年3月31日および2024年3月31日現在、それぞれ416,417百万円および532,960百万円であります。
繰延税金資産および繰延税金負債を認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の増減は、主に連結損益計算書に影響のない一時差異の増減によるものであります。
(1) 法人所得税費用(便益)
法人所得税費用(便益)の内訳は以下のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
前年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) | 当年度 (自2023年4月1日 至2024年3月31日) | |
当期税金費用 | 246,578 | 107,349 |
繰延税金便益 | △188,526 | △198,755 |
合計 | 58,052 | △91,406 |
当期税金費用には、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除または過去の期間の一時差異から生じた便益の額が含まれております。これに伴う当期税金費用の減少額は、2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ17,529百万円および4,952百万円であります。
繰延税金便益には、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除または過去の期間の一時差異から生じた便益の額が含まれております。これに伴う繰延税金費用の減少額は、2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ54,974百万円および32,290百万円であります。
当社グループは主に、法人税、住民税および損金算入される事業税を課されており、これらを基礎として計算した2023年3月期および2024年3月期における法定実効税率は、ともに30.6%であります。
各年度の国内の法定実効税率を適用して算定した法人所得税費用(便益)と実際負担税額との調整は以下の通りです。
(単位:百万円) | ||
前年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) | 当年度 (自2023年4月1日 至2024年3月31日) | |
税引前当期利益 | 375,090 | 52,791 |
国内の法定実効税率30.6%を適用した法人所得税費用 | 114,703 | 16,143 |
課税所得計算上減算されない費用 (注)1 | 15,158 | 21,353 |
未認識の繰延税金資産および繰延税金負債の増減 (注)2 | △21,791 | △3,512 |
税額控除 | △26,676 | △30,654 |
在外子会社の適用税率との差異 (注)3 | △31,446 | △29,782 |
在外子会社未分配利益に係る税効果増減 | 6,174 | △1,737 |
税率変更および税法改正による影響(注)4 | 2,482 | △11,994 |
法人所得税の不確実性に係る調整(注)5 | 13,991 | △83,784 |
前年度の調整項目による影響 | △7,524 | △2,479 |
組織再編および売却による影響 | △6,321 | 33,469 |
その他 | △698 | 1,571 |
法人所得税費用(△便益) | 58,052 | △91,406 |
(注)1 2023年3月期および2024年3月期における金額は、連結上内部取引消去されるため税引前利益には影響しないものの、異なる税務管轄地域間の内部取引に税率差が残ることによる影響および、国内の過大支払利子税制により課税所得計算上減算されない利息を含んでおります。
(注)2 2023年3月期および2024年3月期における金額は、繰越欠損金に関連する繰延税金費用(または便益)の計上による影響を含んでおります。2023年3月期における金額は、グループ内の組織再編の結果、繰延税金資産を未認識であった税務上の欠損金について計上した税務便益を含んでおります。
(注)3 2023年3月期および2024年3月期における金額は、在外子会社における合算課税およびミニマム税を含んでおります。
(注)4 2024年3月期における金額は、米国の州税法の改正に伴う繰延税金費用4,206百万円および国内の過大支払利子税制に関して繰越期間が延長したことによる繰延税金便益16,200百万円を含んでおります。
(注)5 2024年3月期における税務便益は、税務調査等において有利な結果となったことによる影響、およびAbbVie社からの違約金に関する和解の影響63,547百万円を含んでおります。
当社グループの税金費用は2023年3月期から2024年3月期にかけて減少しており、この減少は主に、税引前当期利益の減少、および2014年にShire社がAbbVie社から受領した買収違約金の取り扱いに係る税務評価について、アイルランド歳入庁と和解したことに伴い和解金を超える部分の未払法人所得税を振り戻したことによる税金費用の減額63,547百万円によるものです。これらの減少は、組織再編にかかる税金費用および繰延税金資産の回収可能性の評価の見直しと一部相殺されております。
当社グループは多国籍企業として、将来の法人所得税費用に影響を与え得る幾つかの要因があります。主な要因としては、それぞれの管轄地域における収益性の水準・組み合わせ、移転価格規制、課せられる税率、税制改革があげられます。2021年12月に、OECDは、新たなグローバル・ミニマム課税の枠組みに関するモデルルール(第2の柱)を公表しました。
2023年3月28日、日本において、OECDが策定したモデルルールを導入した税制改正法が成立しました。当税制改正法は、2024年4月1日以後開始する対象会計年度から適用されるため、2024年3月期における当期税金費用への影響はありません。当社グループは、追加税(トップアップ税)について、繰延税金の会計処理を行わず、発生時に当期税金費用として処理する一時的かつ強制的な例外規定を適用しております。当社グループは、グループ各社の直近の納税申告書、国別報告書及び財務諸表に基づき、第2の柱の法人所得税の潜在的な影響を評価しております。その結果を踏まえ、第2の柱に係るトップアップ税が発生する管轄地域は限られており、追加税額の重要性はないと判断しております。
(2) 繰延税金
連結財政状態計算書上の繰延税金資産および繰延税金負債は以下のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
前年度 (2023年3月31日) | 当年度 (2024年3月31日) | |
繰延税金資産 | 366,003 | 393,865 |
繰延税金負債 | △270,620 | △113,777 |
純額 | 95,383 | 280,088 |
繰延税金資産および繰延税金負債の内訳および増減内容は以下のとおりであります。
(単位:百万円) | |||||
2022年4月 1日残高 | 当期利益への 計上額 | その他の包括利益への計上額 | その他(注) | 2023年3月 31日残高 | |
研究開発費 | 33,199 | 98,057 | - | 4,974 | 136,230 |
棚卸資産 | 94,530 | 11,863 | - | 4,518 | 110,911 |
有形固定資産 | △69,775 | 2,834 | - | △4,818 | △71,759 |
無形資産 | △497,480 | 86,244 | - | △41,358 | △452,594 |
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産 | △6,759 | - | 214 | 1,417 | △5,128 |
未払費用および引当金等 | 155,330 | △6,402 | - | 16,115 | 165,043 |
確定給付制度 | 13,456 | △2,855 | △5,563 | 1,368 | 6,406 |
繰延収益 | 11,225 | △3,911 | - | 118 | 7,432 |
繰越欠損金 | 119,453 | △24,662 | - | 6,301 | 101,092 |
税額控除 | 38,912 | 9,389 | - | 3,790 | 52,091 |
子会社および関連会社に対する投資 | △31,210 | △5,581 | - | △47 | △36,838 |
キャッシュ・フロー・ヘッジ | 29,031 | - | 9,449 | - | 38,480 |
その他 | 21,116 | 23,550 | 7,485 | △8,134 | 44,017 |
合計 | △88,972 | 188,526 | 11,585 | △15,756 | 95,383 |
(単位:百万円) | |||||
2023年4月 1日残高 | 当期利益への 計上額 | その他の包括利益への計上額 | その他(注) | 2024年3月 31日残高 | |
研究開発費 | 136,230 | 77,180 | - | 3,600 | 217,010 |
棚卸資産 | 110,911 | 20,482 | - | 7,009 | 138,402 |
有形固定資産 | △71,759 | 9,249 | - | △5,999 | △68,509 |
無形資産 | △452,594 | 99,039 | - | △36,715 | △390,270 |
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産 | △5,128 | - | △2,056 | △455 | △7,639 |
未払費用および引当金等 | 165,043 | 7,469 | - | 13,081 | 185,593 |
確定給付制度 | 6,406 | 667 | 2,170 | 5,485 | 14,728 |
繰延収益 | 7,432 | △1,955 | - | 16 | 5,493 |
繰越欠損金 | 101,092 | △15,970 | - | 3,549 | 88,671 |
税額控除 | 52,091 | △11,230 | - | 5,298 | 46,159 |
子会社および関連会社に対する投資 | △36,838 | 10,183 | - | △146 | △26,801 |
キャッシュ・フロー・ヘッジ | 38,480 | 2,227 | △19,062 | - | 21,645 |
その他 | 44,017 | 1,414 | △3,171 | 13,346 | 55,606 |
合計 | 95,383 | 198,755 | △22,119 | 8,069 | 280,088 |
(注)その他は、主に為替換算差額、売却目的で保有する資産および直接関連する負債に分類された繰延税金資産および負債の振り替え、資本の部に直接計上される項目に係る税効果であります。2023年3月期および2024年3月期における、資本の部に直接計上される項目にかかる税金の影響は、それぞれ2,204百万円および506百万円であります。
当社グループは、繰延税金資産の認識にあたり、一部または全ての将来減算一時差異、繰越欠損金または税額控除が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、将来加算一時差異の解消スケジュール、将来課税所得の予測およびタックスプランニングを考慮しております。なお、過去の課税所得水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来課税所得の予測に基づき、税務上の便益の一部については実現する可能性が高くないと判断しております。
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金、将来減算一時差異および繰越税額控除は以下のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
前年度 (2023年3月31日) | 当年度 (2024年3月31日) | |
繰越欠損金 | 1,181,757 | 1,186,106 |
将来減算一時差異 | 259,784 | 263,143 |
繰越税額控除 | 11,186 | 23,724 |
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金および繰越税額控除の金額と繰越期限は以下のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
繰越欠損金 | 前年度 (2023年3月31日) | 当年度 (2024年3月31日) |
1年目 | 76 | 812 |
2年目 | 762 | 85 |
3年目 | 307 | 1,989 |
4年目 | 896 | 6,233 |
5年目 | 2,081 | 578,648 |
5年超 | 1,114,021 | 590,813 |
無期限 | 63,614 | 7,526 |
合計 | 1,181,757 | 1,186,106 |
(単位:百万円) | ||
繰越税額控除 | 前年度 (2023年3月31日) | 当年度 (2024年3月31日) |
5年未満 | 2,151 | 3,901 |
5年以上 | 9,034 | 19,823 |
無期限 | - | - |
合計 | 11,186 | 23,724 |
繰延税金資産を認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の総額は、2023年3月31日および2024年3月31日現在、それぞれ515,052百万円および65,232百万円であります。
繰延税金負債を認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の総額は、2023年3月31日および2024年3月31日現在、それぞれ416,417百万円および532,960百万円であります。
繰延税金資産および繰延税金負債を認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の増減は、主に連結損益計算書に影響のない一時差異の増減によるものであります。