有価証券報告書-第144期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
7 法人所得税
(1) 法人所得税費用(便益)
法人所得税費用(△便益)の内訳は以下のとおりであります。
当期税金費用には、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除または過去の期間の一時差異から生じた便益の額が含まれております。これに伴う当期税金費用の減少額は、2020年3月期および2021年3月期において、それぞれ4,667百万円および12,236百万円であります。
繰延税金便益には、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除または過去の期間の一時差異から生じた便益の額が含まれております。これに伴う繰延税金費用の減少額は、2020年3月期および2021年3月期において、それぞれ62,015百万円および57,200百万円であります。
当社グループは主に、法人税、住民税および損金算入される事業税を課されており、これらを基礎として計算した2020年3月期および2021年3月期における法定実効税率は、ともに30.6%であります。
各年度の国内の法定実効税率を適用して算定した法人所得税費用(便益)と実際負担税額との調整は以下の通りです。
(注)1 2020年3月期および2021年3月期における金額は、連結上内部取引消去されるため税引前利益には影響しないものの、異なる税務管轄地域間の内部取引に税率差が残ることによる影響を含んでおります。2021年3月期における金額は、国内の過大支払利子税制により課税所得計算上減算されない利息も含んでおります。
(注)2 2020年3月期および2021年3月期における金額は、主に、子会社再編に伴う減資に関連して生じた税務便益によるものであります。また、2020年3月期および2021年3月期における金額は、繰越欠損金の評価減の戻し入れにより生じた繰延税金便益およびスイスの税務上のステップアップによる影響も含んでおります。
(注)3 2020年3月期における金額は、過年度における税額控除申告額の増加による△10,389百万円の影響を含んでおります。
(注)4 2020年3月期および2021年3月期における金額は、在外子会社における合算課税およびミニマム税を含んでおります。
(注)5 2020年3月期における金額は主に、スイスの税制改革の施行による繰延税金便益によるものであります。
(注)6 2021年3月期における便益は主に、税務調査において有利な結果となったことによるものであります。
(注)7 2020年3月期における58,815百万円の影響は主に、無形資産を事業活動に合わせて再編成したことによる税務管轄の変更から生じた繰延税金費用と、グループ内の法人の再編成において発生した税金費用によるものです。2021年3月期における36,117百万円の影響は主に、売却資産についてのれんを反映した会計基準額と税務基準額との差異から生じたものであります。
税制改革及びAHV財源に係る連邦法(別称TRAFもしくはスイス税制改革法)が2019年5月19日に国民投票で可決され、また2019年9月1日にチューリッヒ州で可決された結果、当社グループはスイスの子会社の所有する資産の見積価額に関連する税務上の純資産のステップアップを認識しました。当該資産の償却額は課税所得の減算として、当該子会社の2020年から2029年の課税年度における将来の課税所得の一部と相殺可能です。この純資産のステップアップにより、2020年3月期において純額の税務便益102,499百万円を認識しております。上記の純資産のステップアップに関連する繰延税金資産の認識に加えて、当社グループは、スイス連邦税及び州税の税率の変更に応じたスイスにおける繰延税金資産および負債の再測定に係る繰延税金費用7,888百万円を認識しております。上記のスイス税制改革の施行の結果、当社グループは2020年3月期において純額で94,611百万円の税務上の便益を計上しております(税率変更及び税法改正による影響)。
2021年3月期において当社グループは、法定財務諸表の確定(税率変更及び税法改正による影響)の結果、スイスの子会社の純資産のステップアップにより、追加で4,369百万円の税務便益を認識しました。
当社グループの税務便益は、2020年3月期から2021年3月期にかけて減少しております。これは主に、当年度における税引前利益の増加に対する税務費用、前年度のスイス税制改革法の施行から生じた非資金性の税務便益の認識94,611百万円および組織再編および売却に係る税務上の影響によるものです。これらの不利な変更の一部は、在外子会社の適用税率との差異、過年度に未認識であった繰延税金資産の認識による税務便益および法人所得税の不確実性における当年度の有利な税務調査によって一部相殺されております。
(2) 繰延税金
連結財政状態計算書上の繰延税金資産および繰延税金負債は以下のとおりであります。
繰延税金資産および繰延税金負債の内訳および増減内容は以下のとおりであります。
(注)その他は、主に為替換算差額、売却目的で保有する資産および直接関連する負債に分類された繰延税金資産および負債の振り替え、資本の部に直接計上される項目に係る税効果であります。2020年3月期における、資本の部に直接計上される項目にかかる税金の影響はありません。2021年3月期における、資本の部に直接計上される項目にかかる税金の影響は△730百万円であります。
当社グループは、繰延税金資産の認識にあたり、一部または全ての将来減算一時差異、繰越欠損金または税額控除が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、将来加算一時差異の解消スケジュール、将来課税所得の予測およびタックスプランニングを考慮しております。なお、認識された繰延税金資産については、過去の課税所得水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来課税所得の予測に基づき、税務上の便益が実現する可能性が高いと判断しております。
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金、将来減算一時差異および繰越税額控除は以下のとおりであります。
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金および繰越税額控除の金額と繰越期限は以下のとおりであります。
繰延税金資産を認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の総額は、2020年3月31日および2021年3月31日現在、それぞれ1,638,847百万円および948,723百万円であります。当年度における減少は、主に当年度において実施した子会社再編に伴うものであります。なお、この減少が連結純損益計算書に与える影響はありません。
繰延税金負債を認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の総額は、2020年3月31日および2021年3月31日現在、それぞれ3,496,081百万円および212,322百万円であります。当年度における減少は、主に当年度において実施した子会社再編に伴うものであります。なお、この減少が連結純損益計算書に与える影響はありません。
(1) 法人所得税費用(便益)
法人所得税費用(△便益)の内訳は以下のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
前年度 (自2019年4月1日 至2020年3月31日) | 当年度 (自2020年4月1日 至2021年3月31日) | |
当期税金費用 | 238,856 | 131,952 |
繰延税金便益 | △343,900 | △141,888 |
合計 | △105,044 | △9,936 |
当期税金費用には、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除または過去の期間の一時差異から生じた便益の額が含まれております。これに伴う当期税金費用の減少額は、2020年3月期および2021年3月期において、それぞれ4,667百万円および12,236百万円であります。
繰延税金便益には、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除または過去の期間の一時差異から生じた便益の額が含まれております。これに伴う繰延税金費用の減少額は、2020年3月期および2021年3月期において、それぞれ62,015百万円および57,200百万円であります。
当社グループは主に、法人税、住民税および損金算入される事業税を課されており、これらを基礎として計算した2020年3月期および2021年3月期における法定実効税率は、ともに30.6%であります。
各年度の国内の法定実効税率を適用して算定した法人所得税費用(便益)と実際負担税額との調整は以下の通りです。
(単位:百万円) | ||
前年度 (自2019年4月1日 至2020年3月31日) | 当年度 (自2020年4月1日 至2021年3月31日) | |
税引前当期利益(△は損失) | △60,754 | 366,235 |
国内の法定実効税率30.6%を適用した法人所得税費用(△は便益) | △18,579 | 111,995 |
課税所得計算上減算されない費用 (注)1 | 26,074 | 25,114 |
未認識の繰延税金資産および繰延税金負債の増減 (注)2 | △126,071 | △137,032 |
税額控除(注)3 | △35,100 | △25,673 |
在外子会社の適用税率との差異 (注)4 | 71,526 | △258 |
在外子会社未分配利益に係る税効果増減 | 2,388 | 5,951 |
税率変更および税法改正による影響(注)5 | △94,969 | △5,073 |
法人所得税の不確実性に係る調整(注)6 | 17,124 | △13,164 |
課税所得計算上減算されないのれんの減損による影響 | 5,529 | - |
条件付対価の公正価値変動による影響 | △1,201 | 746 |
前年度の調整項目による影響 | △3,520 | △10,689 |
組織再編および売却による影響(注)7 | 58,815 | 36,117 |
その他 | △7,060 | 2,030 |
法人所得税便益 | △105,044 | △9,936 |
(注)1 2020年3月期および2021年3月期における金額は、連結上内部取引消去されるため税引前利益には影響しないものの、異なる税務管轄地域間の内部取引に税率差が残ることによる影響を含んでおります。2021年3月期における金額は、国内の過大支払利子税制により課税所得計算上減算されない利息も含んでおります。
(注)2 2020年3月期および2021年3月期における金額は、主に、子会社再編に伴う減資に関連して生じた税務便益によるものであります。また、2020年3月期および2021年3月期における金額は、繰越欠損金の評価減の戻し入れにより生じた繰延税金便益およびスイスの税務上のステップアップによる影響も含んでおります。
(注)3 2020年3月期における金額は、過年度における税額控除申告額の増加による△10,389百万円の影響を含んでおります。
(注)4 2020年3月期および2021年3月期における金額は、在外子会社における合算課税およびミニマム税を含んでおります。
(注)5 2020年3月期における金額は主に、スイスの税制改革の施行による繰延税金便益によるものであります。
(注)6 2021年3月期における便益は主に、税務調査において有利な結果となったことによるものであります。
(注)7 2020年3月期における58,815百万円の影響は主に、無形資産を事業活動に合わせて再編成したことによる税務管轄の変更から生じた繰延税金費用と、グループ内の法人の再編成において発生した税金費用によるものです。2021年3月期における36,117百万円の影響は主に、売却資産についてのれんを反映した会計基準額と税務基準額との差異から生じたものであります。
税制改革及びAHV財源に係る連邦法(別称TRAFもしくはスイス税制改革法)が2019年5月19日に国民投票で可決され、また2019年9月1日にチューリッヒ州で可決された結果、当社グループはスイスの子会社の所有する資産の見積価額に関連する税務上の純資産のステップアップを認識しました。当該資産の償却額は課税所得の減算として、当該子会社の2020年から2029年の課税年度における将来の課税所得の一部と相殺可能です。この純資産のステップアップにより、2020年3月期において純額の税務便益102,499百万円を認識しております。上記の純資産のステップアップに関連する繰延税金資産の認識に加えて、当社グループは、スイス連邦税及び州税の税率の変更に応じたスイスにおける繰延税金資産および負債の再測定に係る繰延税金費用7,888百万円を認識しております。上記のスイス税制改革の施行の結果、当社グループは2020年3月期において純額で94,611百万円の税務上の便益を計上しております(税率変更及び税法改正による影響)。
2021年3月期において当社グループは、法定財務諸表の確定(税率変更及び税法改正による影響)の結果、スイスの子会社の純資産のステップアップにより、追加で4,369百万円の税務便益を認識しました。
当社グループの税務便益は、2020年3月期から2021年3月期にかけて減少しております。これは主に、当年度における税引前利益の増加に対する税務費用、前年度のスイス税制改革法の施行から生じた非資金性の税務便益の認識94,611百万円および組織再編および売却に係る税務上の影響によるものです。これらの不利な変更の一部は、在外子会社の適用税率との差異、過年度に未認識であった繰延税金資産の認識による税務便益および法人所得税の不確実性における当年度の有利な税務調査によって一部相殺されております。
(2) 繰延税金
連結財政状態計算書上の繰延税金資産および繰延税金負債は以下のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
前年度 (2020年3月31日) | 当年度 (2021年3月31日) | |
繰延税金資産 | 308,102 | 353,769 |
繰延税金負債 | △710,147 | △542,852 |
純額 | △402,045 | △189,083 |
繰延税金資産および繰延税金負債の内訳および増減内容は以下のとおりであります。
(単位:百万円) | |||||
2019年4月 1日残高 | 当期利益への 計上額 | その他の包括利益への計上額 | その他(注) | 2020年3月 31日残高 | |
研究開発費 | 29,856 | 1,403 | - | 1,916 | 33,175 |
棚卸資産 | 18,187 | 31,156 | - | △6,786 | 42,557 |
有形固定資産 | △90,326 | 12,857 | - | △5,058 | △82,527 |
無形資産 | △812,445 | 234,184 | - | △121,589 | △699,850 |
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産 | △29,282 | △1,754 | 3,210 | 8,409 | △19,417 |
未払費用および引当金等 | 99,456 | 29,056 | - | 7,408 | 135,920 |
確定給付制度 | 16,448 | 1,679 | 749 | 4,208 | 23,084 |
繰延収益 | 17,483 | △2,862 | - | 92 | 14,713 |
繰越欠損金 | 123,698 | △8,892 | - | 10,085 | 124,891 |
税額控除 | 73,678 | 10,413 | - | △1,967 | 82,124 |
子会社および関連会社に対する投資 | △73,535 | 8,979 | - | 1,697 | △62,859 |
その他 | △5,683 | 27,681 | 11,694 | △27,548 | 6,144 |
合計 | △632,465 | 343,900 | 15,653 | △129,133 | △402,045 |
(単位:百万円) | |||||
2020年4月 1日残高 | 当期利益への 計上額 | その他の包括利益への計上額 | その他(注) | 2021年3月 31日残高 | |
研究開発費 | 33,175 | 1,837 | - | 449 | 35,461 |
棚卸資産 | 42,557 | 35,228 | - | 12,944 | 90,729 |
有形固定資産 | △82,527 | 5,612 | - | △3,429 | △80,344 |
無形資産 | △699,850 | 113,219 | - | 24,681 | △561,950 |
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産 | △19,417 | 506 | △17,498 | 12,643 | △23,766 |
未払費用および引当金等 | 135,920 | 8,822 | - | △5,503 | 139,239 |
確定給付制度 | 23,084 | △6,322 | 2,719 | △211 | 19,270 |
繰延収益 | 14,713 | 6,191 | - | 66 | 20,970 |
繰越欠損金 | 124,891 | 2,690 | 25,066 | △1,696 | 150,951 |
税額控除 | 82,124 | △18,504 | - | △1,231 | 62,389 |
子会社および関連会社に対する投資 | △62,859 | △6,027 | - | △265 | △69,151 |
その他 | 6,144 | △1,364 | 24,004 | △1,665 | 27,119 |
合計 | △402,045 | 141,888 | 34,291 | 36,783 | △189,083 |
(注)その他は、主に為替換算差額、売却目的で保有する資産および直接関連する負債に分類された繰延税金資産および負債の振り替え、資本の部に直接計上される項目に係る税効果であります。2020年3月期における、資本の部に直接計上される項目にかかる税金の影響はありません。2021年3月期における、資本の部に直接計上される項目にかかる税金の影響は△730百万円であります。
当社グループは、繰延税金資産の認識にあたり、一部または全ての将来減算一時差異、繰越欠損金または税額控除が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、将来加算一時差異の解消スケジュール、将来課税所得の予測およびタックスプランニングを考慮しております。なお、認識された繰延税金資産については、過去の課税所得水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来課税所得の予測に基づき、税務上の便益が実現する可能性が高いと判断しております。
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金、将来減算一時差異および繰越税額控除は以下のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
前年度 (2020年3月31日) | 当年度 (2021年3月31日) | |
繰越欠損金 | 1,580,235 | 1,533,050 |
将来減算一時差異 | 333,336 | 241,203 |
繰越税額控除 | 9,278 | 9,660 |
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金および繰越税額控除の金額と繰越期限は以下のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
繰越欠損金 | 前年度 (2020年3月31日) | 当年度 (2021年3月31日) |
1年目 | - | 23 |
2年目 | - | 18 |
3年目 | 40 | 19,136 |
4年目 | 23,454 | 482 |
5年目 | 753 | 387,574 |
5年超 | 1,522,251 | 1,066,134 |
無期限 | 33,737 | 59,683 |
合計 | 1,580,235 | 1,533,050 |
(単位:百万円) | ||
繰越税額控除 | 前年度 (2020年3月31日) | 当年度 (2021年3月31日) |
5年未満 | 2,606 | 1,370 |
5年以上 | 6,394 | 8,290 |
無期限 | 278 | - |
合計 | 9,278 | 9,660 |
繰延税金資産を認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の総額は、2020年3月31日および2021年3月31日現在、それぞれ1,638,847百万円および948,723百万円であります。当年度における減少は、主に当年度において実施した子会社再編に伴うものであります。なお、この減少が連結純損益計算書に与える影響はありません。
繰延税金負債を認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の総額は、2020年3月31日および2021年3月31日現在、それぞれ3,496,081百万円および212,322百万円であります。当年度における減少は、主に当年度において実施した子会社再編に伴うものであります。なお、この減少が連結純損益計算書に与える影響はありません。