有価証券報告書-第144期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/29 14:30
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134項目

研究開発活動

当年度の研究開発費の総額は4,558億円であります。
医薬品の研究開発のプロセスは、長期にわたり、多額の費用を伴い、その期間は10年を越えることもあります。このプロセスには、新薬の有効性および安全性の評価のための複数の試験、データを審査し販売承認の可否を判断する規制当局に対する申請が含まれます。こうした精査の過程を通過し、臨床での治療に用いることができる候補物質はごく僅かです。承認取得後も、上市後の製品に対しては、メディカルアフェアーズやその他の投資を含め、継続的な研究開発活動による支援が行われます。
臨床試験は、地域的および国際的な規制ガイドラインを遵守し、通常5から7年もしくはそれ以上を費やして実施されるものであり、相応の費用を伴います。通常、臨床試験は医薬品規制調和国際会議(ICH)が制定したガイドラインに沿って実施されます。これに関わる規制当局は、日本では厚生労働省、米国では食品医薬品局(FDA)、欧州連合では欧州医薬品庁(EMA)、中国では国家薬品監督管理局(NMPA)です。
ヒトの臨床試験は以下の3相で実施されます(各相が一部重複することもあります):
・臨床第1相(P-1)試験
少人数の健康な成人の志願者を被験者として、薬物の安全性、吸収、分布、代謝、排泄について評価するために実施
・臨床第2相(P-2)試験
少人数の志願患者を被験者として、安全性、有効性、用量および用法を評価するために実施
臨床第2相試験はP-2aとP-2bとの2つのサブカテゴリーに分割されることがあります。P-2a試験は通常臨床上の有効性または生物学的活性を示すためにデザインされたパイロット試験であり、P-2b試験は薬物が最少の副作用で生物学的活性を示す最適用量を探索するために行われます。
・臨床第3相(P-3)試験
大人数の志願患者を被験者として、既存の薬剤またはプラセボと比較した安全性および有効性を評価するために実施
これら3相のうち、臨床第3相にかかる開発費用が最も大きく、臨床第3相試験へ進めるか否かの決定は、医薬品開発における重要なビジネス判断となります。臨床第3相試験を通過した候補薬物については、管轄の規制当局に新薬承認申請書(NDA)、生物製剤承認申請(BLA)または医薬品販売承認申請(MAA)を提出し、規制当局より承認を取得した場合に上市します。NDA、BLA、MAAの作成には、膨大な量のデータの収集、検証、分析が必要であり、多額の費用が伴います。製品上市後も、保健当局により有害事象の市販後調査や、当該医薬品のリスク・ベネフィットに関する追加情報を提供するための市販後試験の実施を求められることがあります。
当社の研究開発は、サイエンスにより、患者さんの人生を根本的に変えうるような非常に革新性が高い医薬品を創製することに注力しています。当社は、「革新的なバイオ医薬品」、「血漿分画製剤」および「ワクチン」の3つの分野において研究開発活動を実施しています。革新的なバイオ医薬品に対する研究開発は、当社の研究開発投資の中で最も高い比率を占めています。革新的なバイオ医薬品における重点疾患領域(オンコロジー、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス、消化器系疾患)には未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する高い医療ニーズが存在し、当社はベストインクラスあるいはファーストインクラスとなりうる画期的な新規候補物質を創出してまいりました。これまでの数年間、最近ではShire社の買収によってさらに強化されましたが、当社では新たな研究開発能力、さらには次世代プラットフォームに対して社内および外部との提携によるネットワークを通じて投資し、細胞療法および遺伝子治療の領域の強化を図ってまいりました。
自社の研究開発機能向上への注力に加え、社外パートナーとの提携も、当社研究開発パイプライン強化のための戦略における重要な要素の一つです。社外提携の拡充と多様化に向けた戦略により、様々な新製品の研究に参画し、当社が大きな研究関連のブレイクスルーを達成する可能性を高めます。
当社の主要な研究開発施設には以下を含みます:
• 湘南ヘルスイノベーションパーク:日本の神奈川県藤沢・鎌倉地域に位置する湘南ヘルスイノベーションパーク(以下、「湘南アイパーク」)は、当社の湘南研究所として2011年に設立された、当社のニューロサイエンス研究の主要拠点です。2018年4月に、当社は、サイエンスのイノベーションを推進し、多様な外部パートナーとのライフサイエンスエコシステムを構築するために、湘南アイパークを開所しました。2020年4月に、当社はより多様なパートナーを招致し、湘南アイパークのさらなる成功を目指すため、湘南アイパークの所有権を信託設定することとしました。当社は、アンカーテナントとして、信託先と20年間のリースバック契約を締結するとともに、今後も日本におけるライフサイエンス研究活性化にコミットします。
• グレーターボストン地区研究開発サイト:当社のボストン研究開発サイトは米国マサチューセッツ州ケンブリッジに位置しています。本サイトは当社のグローバルでのオンコロジー、消化器系疾患領域および希少遺伝子疾患および血液疾患領域の研究開発の中心であり、加えて血漿分画製剤やワクチンなど他の疾患領域の研究開発や免疫調節および生物学的製剤の研究も支援しています。最近開設された最先端の細胞療法の製造施設を備えた、当社の細胞療法研究の拠点です。
• サンディエゴ研究開発サイト:米国カリフォルニア州サンディエゴにある当社の研究開発拠点であり、消化器系疾患およびニューロサイエンス領域における研究開発を支援しています。本研究サイトは、バイオテックのような形態で研究を行う拠点であり、構造生物学および生物物理学などの社内技術を駆使し、社内外で行われる研究を促進します。
• オーストリア ウィーン研究開発サイト:オーストリア ウィーンおよびオース近郊に位置する当社の研究開発サイトであり、血漿分画製剤および遺伝子治療分野における研究開発を支援しています。本研究サイトは、世界中の患者さんに革新的な医薬品を創製するため、血漿分画製剤および遺伝子治療薬の製造施設を備えています。
当社の2020年4月以降の主要な研究開発活動の進捗は、以下のとおりです。
研究開発パイプライン
オンコロジー
世界中のがん患者さんに革新的な新薬をお届けするために努力し、患者さんの生活を改善するという情熱をもって、画期的なイノベーションの探求に取り組んでいます。本疾患領域では、(1)既発売品である「ニンラーロ」、「アドセトリス」、「アイクルシグ」のライフサイクルマネジメントならびに多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群およびその他血液がんのパイプラインへの継続的な研究開発投資を通じた、血液がんにおける基盤的な専門性の構築、(2)既発売品である「アルンブリグ」を含む肺がんを対象とするパイプラインおよび標的を絞った肺がん患者さんを対象とする開発プログラムのさらなる拡充、(3)社外との提携による新規のがん免疫療法標的および次世代基盤技術の追求ならびに革新的な細胞療法の探索、にフォーカスしています。
[ニンラーロ 一般名:イキサゾミブ]
- 2020年5月、当社は、「ニンラーロ」について、多発性骨髄腫と診断された幹細胞移植歴のない成人患者を対象としたファーストライン(一次)治療後の維持療法の適応追加に係る製造販売承認事項一部変更承認の申請を厚生労働省に行ったことを公表しました。今回の申請は、主にランダム化プラセボ対照二重盲検の多施設共同国際臨床第3相試験である「TOURMALINE-MM4試験」の結果に基づくものです。
- 2020年6月、当社は、第25回欧州血液学会(EHA)において、2つの臨床試験結果をオーラルプレゼンテーションとして発表しました。本発表には、多発性骨髄腫と診断された幹細胞移植歴のない成人患者を対象として、経口で単剤投与された「ニンラーロ」のファーストライン維持療法としての有効性を評価した無作為化臨床第3相試験である「TOURMALINE-MM4試験」における良好な結果も含まれています。また、当社は、非経口剤である「ボルテゾミブ」をベースとした3剤併用導入療法をすでに受けている初発の多発性骨髄腫患者を対象に、同じプロテアソーム阻害剤の経口薬である「ニンラーロ」と「レナリドミド」および「デキサメタゾン」との併用療法へ移行した際の有効性と安全性を検討した「US MM-6試験」から得られた重要な知見についても発表しました。
- 2020年9月、当社は、第8回血液腫瘍学会議のバーチャル会議にて臨床第3相試験である「TOURMALINE-MM2試験」のデータを発表しました。本試験は、自家幹細胞移植が適応とならない初発の多発性骨髄腫患者を対象として、「ニンラーロ」と「レナリドミド」および「デキサメタゾン」の併用療法を、プラセボと「レナリドミド」および「デキサメタゾン」の併用療法と比較して評価しました。本試験結果では、「ニンラーロ」と「レナリドミド」および「デキサメタゾン」の併用療法群で無増悪生存期間(PFS)の中央値が13.5ヵ月(プラセボ群21.8ヵ月に対しニンラーロ群35.3ヵ月、HR=0.830、p=0.073)改善したことが実証されましたが、統計的有意水準を満たしておらず、主要評価項目であるPFSは達成されませんでした。
- 2021年5月、当社は、「ニンラーロ」について、幹細胞移植歴のない多発性骨髄腫に対する初回治療後の維持療法の治療薬として、厚生労働省より多発性骨髄腫における維持療法の効能又は効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを公表しました。今回の承認は、主に、ランダム化プラセボ対照二重盲検多施設共同国際臨床第3相試験である「TOURMALINE-MM4試験」の結果に基づくものです。本試験では、幹細胞移植歴のない成人の多発性骨髄腫患者を対象に無増悪生存期間(PFS)を主要評価項目として、本剤による維持療法がPFSを統計学的に有意に改善することが確認されました。ニンラーロの維持療法における安全性プロファイルは、単剤療法における既知の安全性プロファイルと同様であり、「TOURMALINE-MM4試験」で新たな懸念は確認されませんでした。
[アイクルシグ 一般名:ポナチニブ]
- 2020年5月、当社は、「アイクルシグ」について、バーチャルで開催された第56回米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)年次総会のオーラルセッションにおいて、臨床第2相試験「OPTIC(Optimizing Ponatinib Treatment In CML)」の中間解析データを発表しました。「OPTIC試験」は、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による前治療へ抵抗性または不耐性を示す慢性期の慢性骨髄性白血病(CP-CML)患者に対する、有効性および安全性を最適化することを目的として、「アイクルシグ」の3つの投与開始用量(45mg~、30mg~あるいは15mg~)における奏効に基づく投与量調整レジメンをプロスペクティブに評価する、進行中の無作為化非盲検試験です。
- 2020年12月、当社は、米国食品医薬品局(FDA)より、「アイクルシグ」について、少なくとも2種類以上のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による前治療へ抵抗性または不耐性を示す慢性期(CP)の慢性骨髄性白血病(CML)成人患者における医薬品承認事項変更申請(sNDA)の承認を取得したことを公表しました。改訂後の添付文書には、CP-CML患者に対して1日45mgから投与を開始し、BCR-ABL1IS≦1%を達成した時点で15mgに減量する、最適化された「アイクルシグ」の奏効に基づく投与量調整レジメンが追記されます。この投与量調整レジメンは、有効性を得ながら、動脈閉塞イベント(AOE)を含む有害事象(AE)のリスクを低減することによって、ベネフィット・リスクプロファイルの最適化を目的としています。
[アルンブリグ 一般名:ブリグチニブ]
- 2020年5月、当社は、「アルンブリグ」について、米国食品医薬品局(FDA)が承認した検査により診断された成人の未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子転座陽性(ALK陽性)転移性非小細胞肺がん(NSCLC) 患者に対する治療薬としてFDAより承認を取得したことを公表しました。今回の承認により、「アルンブリグ」の適応症にファーストライン(一次)治療が追加されました。
- 2020年9月、当社は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO:European Society for Medical Oncology)のバーチャル会議において、「アルンブリグ」のサブ解析データを発表しました。臨床第3相試験である「ALTA 1L試験」のサブ解析により、未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子転座陽性(ALK陽性)の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するファーストライン治療薬としての「アルンブリグ」について、頭蓋内病変に対する有効性にかかる説得力のあるエビデンスを確認するとともに、QOLの改善効果も見られました。
- 2021年1月、当社は、「アルンブリグ」について、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)を適応とする一次および二次以降の治療薬として、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。今回の承認は主に、ALKチロシンキナーゼ阻害剤治療後に増悪したALK融合遺伝子陽性(以下、ALK陽性)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)患者72例を対象とした国内臨床第2相試験である「Brigatinib-2001 (J-ALTA)」およびALKチロシンキナーゼ阻害剤による治療歴のないALK陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象とした海外臨床第3相試験である「AP26113-13-301(ALTA-1L)」の結果に基づくものです。
[アドセトリス 一般名:ブレンツキシマブ ベドチン]
- 2020年5月、当社は、「アドセトリス」について、欧州委員会(EC)より、現在の条件付承認に加えて、未治療の全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の成人患者に対するCHP(シクロホスファミド・ドキソルビシン・プレドニゾン)との併用治療に関して適応追加の承認を取得したことを公表しました。ALCLは末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)のサブタイプです。
- 2020年5月、当社は、「アドセトリス」について、再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫またはCD30陽性ホジキンリンパ腫の成人患者に対する治療薬として、中国国家薬品監督管理局(NMPA)より承認を取得したことを公表しました。
[カボメティクス 一般名:カボザンチニブ]
- 2020年4月、当社は、「カボメティクス」と小野薬品工業株式会社(小野薬品)のヒト型抗ヒトPD-1(programmed cell death-1)モノクローナル抗体、「オプジーボ」(ニボルマブ)について、未治療の進行性または転移性の腎細胞癌を対象に両製剤の併用療法を評価した多施設国際共同無作為化非盲検第3相試験である「CheckMate -9ER試験」のトップライン結果が得られたことを公表しました。本試験において、「オプジーボ」と「カボメティクス」の併用療法は、「スニチニブ」と比較して、最終解析で主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を、あらかじめ計画されていた中間解析で副次評価項目である全生存期間(OS)、および奏効率(ORR)を改善しました。本試験結果を踏まえ、2020年10月、当社と小野薬品は「オプジーボ」と「カボメティクス」について、根治切除不能または転移性の腎細胞癌を対象とした両製剤の併用療法に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請を厚生労働省に行ったことを公表しました。
- 2020年9月、当社と中外製薬株式会社(中外製薬)は、抗PD-L1(Programmed Death-Ligand 1)ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク点滴静注」(アテゾリズマブ)とキナーゼ阻害剤「カボメティクス錠」の併用療法について、国内での開発を両社で実施する決定をしたことを公表しました。日本における両剤の併用療法の開発は、Roche社-Exelixis社間で締結された全世界における「アテゾリズマブ」と「カボザンチニブ」の併用療法に関する共同開発契約に基づき、日本国内での権利を有する当社と中外製薬が実施します。新たな治療法としての「アテゾリズマブ」と「カボザンチニブ」併用療法を検討する3つのグローバル臨床第3相臨床試験である「CONTACT試験」が複数のがん種を対象として進行中であり、当社と中外製薬は国内においてこれらの臨床試験に参加する予定です。
- 2020年9月、ピボタル臨床第3相試験である「CheckMate-9ER試験」の結果がブリストル マイヤーズ スクイブとExelixis社より発表されました。本試験において、未治療の進行腎細胞癌(RCC)を対象に、「オプジーボ」(ニボルマブ)と「カボメティクス」の併用療法が、全生存期間(OS)を含む全ての有効性評価項目で有意な改善を示しました。「オプジーボ」と「カボメティクス」の併用療法は、「スニチニブ」と比較して、死亡リスクを40%低減しました(ハザード比 [HR] 0.60;98.89% 信頼区間 [CI]:0.40 - 0.89;p=0.0010;OSの中央値は両群とも未達)。本試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値は、「スニチニブ」単剤群(8.3カ月)と比較して、「オプジーボ」と「カボメティクス」の併用療法群(16.6カ月)で2倍の延長を示しました(HR 0.51;95% CI:0.41 - 0.64;p⦅0.0001)。本試験結果は欧州臨床腫瘍学会(ESMO:European Society for Medical Oncology)のバーチャル会議のプレジデンシャルシンポジウムで「Proffered Paper」として取り上げられました。なお、本試験は、ブリストル マイヤーズ スクイブおよび小野薬品がスポンサーとなり、Exelixis社、Ipsen社および当社が共同出資を行っています。
- 2020年11月、当社は、「カボメティクス」について、がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞癌に対する治療薬として、厚生労働省より製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを公表しました。今回の承認は、主に、プラセボ群と比較して本剤の有効性が統計的に有意な結果を示し、かつ安全性プロファイルについても確認された二次治療以降の進行肝細胞癌患者を対象とした海外臨床第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験である「CELESTIAL試験」、ならびに日本人における有効性および安全性を検討した国内臨床第2相非盲検単群試験である「Cabozantinib-2003試験」の結果に基づくものです。
[ゼジューラ 一般名:ニラパリブ]
- 2020年9月、当社は、経口のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬「ゼジューラカプセル100㎎」について、「卵巣癌における初回化学療法後の維持療法、白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法、白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣癌」を適応とする治療薬として、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。本承認は、海外臨床第3相試験である「PRIMA試験」、海外臨床第3相試験である「NOVA試験」、海外臨床第2相試験である「QUADRA試験」、ならびに日本人卵巣癌患者に対し安全性を検討した国内臨床第2相試験の「Niraparib-2001試験」、日本人卵巣癌患者に対し有効性および安全性を検討した国内臨床第2相試験の「Niraparib-2002試験」の結果に基づくものです。
- 2020年11月、当社は、厚生労働省に「ゼジューラカプセル100㎎」の剤形追加として、「ゼジューラ錠100㎎」の製造販売承認申請を行ったことを公表しました。今回の承認申請は、「ゼジューラカプセル」と「ゼジューラ錠」の同等性を確認した「ヒト生物学的同等性試験(3000-01-004 study)及び溶出試験」の結果に基づいています。 「ゼジューラカプセル」の貯法は冷蔵ですが、このたび承認申請を行った「ゼジューラ錠」は、室温で管理することが可能となり、医療関係者や患者における利便性の改善につながる可能性があります。
[開発コード:TAK-924 一般名:pevonedistat]
- 2020年5月、当社は、「pevonedistat」について、バーチャルで開催された第56回米国臨床腫瘍学会(ASCO: American Society of Clinical Oncology)年次総会のオーラルセッションにおいて、臨床第2相試験「Pevonedistat-2001」の結果を発表しました。本試験では、高リスク骨髄異形成症候群(HR-MDS)を含む造血器腫瘍の患者を対象に、「pevonedistat」と「アザシチジン」の併用療法と「アザシチジン」単剤療法を比較しました。これらの結果より、「pevonedistat」と「アザシチジン」の併用療法は非常に有効であり、有望な治療法であることが示されるとともに、HR-MDS患者群においては、「アザシチジン」単剤療法と同様の安全性プロファイルであり、全生存期間(OS)、無イベント生存期間(EFS)、完全寛解率(CR)および輸血非依存達成率を含む臨床的に意義のある複数の評価項目でも有用性が示されました。
- 2020年7月、当社は、「pevonedistat」について、高リスク骨髄異形成症候群(HR-MDS)に対する治療薬として米国食品医薬品局(FDA)よりBreakthrough Therapyの指定を受けたことを公表しました。
[開発コード:TAK-788 一般名:mobocertinib]
- 2020年4月、当社は、プラチナ製剤をベースとした化学療法を実施中あるいは実施後に病勢が進行した上皮増殖因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する治療薬「mobocertinib」を米国食品医薬品局(FDA)がBreakthrough Therapyに指定したことを公表しました。
- 2020年9月、当社は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO:European Society for Medical Oncology)のバーチャル会議において、「mobocertinib」の臨床第1/2相試験の10カ月間の追跡調査結果を発表しました。本追跡調査では、上皮増殖因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う転移性NSCLC患者において、1年以上の奏効期間(DoR)を達成したことが示されました。
- 2021年1月、当社は、国際肺癌学会(International Association for the Study of Lung Cancer:IASLC)の2020年度世界肺癌学会議(World Conference on Lung Cancer :WCLC)の最新演題オーラルセッションにおいて、治療歴を有する上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん患者を対象とした「mobocertinib」の臨床第1/2相試験の新たなデータを発表しました。経口標的治療薬である「mobocertinib」は、治験責任医師の判定で奏効率35%、独立判定委員会(IRC)による判定で28%が確認され、臨床的に意義のある奏効を示し、IRCによる判定で奏効期間の中間値で17.5カ月と持続的奏効を示しました。安全性プロファイルは管理可能でした。2020年11月のデータカットオフ時からの安全性プロファイルは、同年5月のデータカットオフ時のものと一致していました。
- 2021年4月、当社は、プラチナ製剤ベースの化学療法による治療歴を有し、米国食品医薬品局(FDA)で承認された検査で検出された上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がんの成人患者に対する治療薬「mobocertinib」の新薬承認申請(NDA)を、FDAが優先審査に指定したことを公表しました。「mobocertinib」は、EGFRエクソン20挿入変異を選択的に標的とするよう特異的に設計された初めての経口治療薬です。今回の新薬承認申請は、主に転移性非小細胞肺がん患者を対象に、経口投与された「mobocertinib」の安全性および有効性を評価する臨床第1/2相試験の結果に基づくものです。この申請はFDAの迅速承認制度により行われました。なお、審査終了目標日(PDUFA date)は2021年10月26日です。
- 2021年5月、当社は、「mobocertinib」の安全性および有効性を評価する臨床第1/2相試験から、プラチナ製剤ベースの化学療法の治療歴を有する上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異陽性を伴う転移性非小細胞肺がん患者を対象とした最新データを公表しました。試験結果から、「mobocertinib」は1年間の追跡調査後も臨床的に意義のある効果を持続することが示され、バーチャルで開催される第57回米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表される予定です。本試験の結果、全生存期間(OS)の中央値は24ヶ月、フォローアップ期間の中央値は14ヶ月、多様なEGFRエクソン20挿入変異に対して奏功したことが示されました。その他の主要なデータポイントである客観的奏効率(ORR)、奏功期間(DoR)の中央値および病勢コントロール率(DCR)においては、既報データと一貫していました。また、安全性プロファイルにおいても対応可能なもので、既報データと一貫していました。
希少遺伝子疾患および血液疾患
当社は、既存の治療パラダイムを変えうる、最近上市された「TAKHZYRO」を含む遺伝性血管性浮腫に注力するとともに、今後は希少血液疾患および希少代謝性疾患において新たなモダリティとプラットフォームを活用し、特定の疾患に対して機能的な治療を提供していくことを目指します。
[TAKHZYRO 一般名:ラナデルマブ]
- 2020年5月、当社は、「TAKHZYRO」のプレフィルドシリンジ製剤の一部変更承認申請(Type II Variation)について、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)より承認を推奨する旨の肯定的見解が示されたことを公表しました。「TAKHZYRO」は、12歳以上の遺伝性血管性浮腫(HAE)患者における再発性発作の標準的抑制薬として、欧州では皮下投与製剤として承認されています。
- 2020年6月、当社は、臨床第3相「HELP(遺伝性血管性浮腫の長期抑制)試験の非盲検延長(OLE)試験」において、2つの新たな中間解析結果が得られたことを公表しました。解析の結果、「TAKHZYRO」は良好な忍容性を示し、遺伝性血管性浮腫(HAE)発作の1ヵ月あたりの発現率は様々なサブグループで持続的かつ一貫して低下しており、延長期間中においてもHAE発作を抑制していることが示されました。本試験結果は、オンライン開催となった2020年欧州アレルギー臨床免疫学会(EAACI:European Academy of Allergy and Clinical Immunology)にて発表されました。
- 2020年11月、当社は、臨床第3相「HELP(遺伝性血管性浮腫の長期抑制)試験の非盲検延長(OLE)試験」より、「TAKHZYRO」による平均29.6ヵ月(標準偏差8.2ヵ月)の治療を受けた12歳以上の患者において、遺伝性血管性浮腫(HAE)発作が長期的に抑制され、発作頻度の低下を示す最終結果が得られたことを公表しました。結果はピボタル試験における「TAKHZYRO」の安全性および有効性と一致するものでした。HAE発作の平均発現率は全体でベースラインから87.4%(最小-100%、最大852.8%)低下し(n=212)、予め設定された探索的評価項目では、「TAKHZYRO」300mgによる治療を2週毎に受けた患者の70%近く(68.9%)で発作のない期間が12ヵ月を超えました(n=209)。本データは、2020年米国アレルギー喘息免疫学会(American College of Allergy, Asthma and Immunology: ACAAI)のオンライン年次総会で発表され、ACAAIの学会誌Annals of Allergy, Asthma & Immunology 11月号にも掲載されました。
- 2020年12月、当社は、「TAKHZYRO」皮下注射剤について、12歳以上の遺伝性血管性浮腫(HAE)患者の発作を抑制する発作予防薬として、中国国家薬品監督管理局(NMPA)より承認を取得したことを公表しました。
- 2021年3月、当社は、遺伝性血管性浮腫(HAE)発作を抑制するモノクローナル抗体である「ラナデルマブ」皮下投与製剤について、厚生労働省に対し製造販売承認申請を行ったことを公表しました。日本での製造販売承認申請は、主にグローバル臨床第3相試験である「HELP(Hereditary Angioedema Long-term Prophylaxis)試験」、臨床第3相「HELP Open-label Extension(OLE)試験」および日本人患者での「ラナデルマブ」の有効性と安全性を検証する臨床第3相試験の中間結果等に基づいています。これらの試験において、「ラナデルマブ」はHAE発作の予防的治療薬として有効性と安全性を示しました。
[アドベイト 一般名:ルリオクトコグ アルファ(遺伝子組換え)]
[アディノベイト 一般名:ルリオクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)]
- 2020年6月、当社は、2020年世界血友病連盟世界会議(WFH2020)のオーラルプレゼンテーションにおいて、血友病A患者に対する「アドベイト」について長期の転帰を検討した実臨床における「AHEAD試験」からの最新結果を発表しました。「AHEAD試験」の実臨床におけるアウトカム試験の中間解析からは、出血ゼロを達成することができた血友病Aの患者の数が、血液凝固第VIII因子(遺伝子組換え)を投与することによって長年にわたって増加したことを示しています。予防を受けている患者では、出血ゼロの患者数は1年目の34%から6年目の53%に増加し、オンデマンド治療を受けている患者では、1年目の28%から6年目の38%に増加しました。AHEAD(The Antihemophilic factor (recombinant) (rAHF) Hemophilia A outcome Database)試験は日常的臨床診療において血液凝固第VIII因子(遺伝子組換え)を投与されている血友病A患者における長期の有効性と安全性のアウトカムを調査する試験です。
- 2021年2月、当社は、2021年欧州血友病学会議(EAHAD)において、「アドベイト」についての「AHEAD試験」の7年間データを発表しました。本データでは、全ての重篤な血友病A患者において、「アドベイト」を予防投与することによってオンデマンド治療群と比較してより低い年間出血率(ABRs)および年間関節出血率(AJBRs)を達成しました。有害事象は59%の症例(重篤な有害事象は20%)に見られ、12例において新たに第VIII因子インヒビターの発生が確認されました。別解析では、「アドベイト」の予防投与はオンデマンド治療と比較し、標的関節を有する中等度または重症の血友病A患者において7年間にわたり、より低い出血率を示しました。また、追加の後ろ向き解析では、米国の臨床診療において、中等度または重症の血友病A患者(インヒビター保有患者を除く)における、「アドベイト」の予防投与から「アディノベイト」または「エミシズマブ」への薬剤切り替えによる予防効果は統計学的有意差を示しませんでした。
[開発コード:TAK-620 一般名:maribavir]
- 2020年12月、当社は、移植後の難治性/抵抗性サイトメガロウイルス(CMV)感染治療薬「maribavir」の有効性および安全性を評価する臨床第3相試験の結果が得られたことを公表しました。「TAK-620-303(SOLSTICE)試験」は、既存の抗ウイルス療法(「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「ホスカルネット」、「シドフォビル」のいずれか1剤またはその併用)に難治性または抵抗性のCMV感染に罹患する移植後の患者を対象に、「maribavir」または治験責任医師が認めた治療法(IAT)のいずれかを8週間投与して比較する多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照試験です。「SOLSTICE試験」では、IATとの比較において、投与8週終了時にCMV血症が消失した患者の割合と定義される主要評価項目を達成しました。また、投与8週終了時に達成し、さらに投与16週まで維持されたCMV血症の消失および症状コントロールと定義される主な副次的評価項目も達成しました。新たな安全性シグナルは確認されず、「maribavir」はIATと比較して好中球減少症の発生率の低下と関連していました。
- 2021年2月、当社は、デジタルで開催された移植・細胞治療学会議(TCT)2021において、「maribavir」の臨床第3相試験である「TAK-620-303(SOLSTICE)試験」の最新データを発表しました。本試験で、移植後の難治性抵抗性ありまたはなし(R/R)のサイトメガロウイルス(CMV)感染/疾患を有する移植患者において、本試験の主要評価項目である投与8週終了時(投与期終了時)のCMV血症の消失が達成された割合は、既存の抗ウイルス療法群(治験責任医師が定めた治療法[IAT]で、「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「ホスカルネット」もしくは「シドフォビル」のいずれか1剤またはその併用)の23.9%(n=28/117)と比較して、「maribavir」投与群では2倍以上(55.7%、n=131/235)で、主要評価項目を達成しました(95%信頼区間:32.8%、22.8~42.7、p<0.001)。本試験の主な副次評価項目である、投与16週までの、CMV血症の消失および随伴症状コントロールでも、「maribavir」群が既存の抗ウイルス療法群を上回ることにより、達成しました。
- 2021年3月、当社は、第47回欧州骨髄移植学会(EBMT)年次総会のプレジデンシャルシンポジウムにおいて、「maribavir」の臨床第3相試験である「TAK-620-303(SOLSTICE)試験」のサブグループ解析結果を発表しました。この解析結果は、全無作為化集団から得られた有効性を支持するものです。ベースラインで遺伝子型抵抗性CMV感染の移植患者において、投与8週時(投与期終了時)でCMV血症の消失が達成された割合は、既存の抗ウイルス療法群(治験責任医師が定めた治療法[IAT]で、「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「ホスカルネット」もしくは「シドフォビル」のいずれか1剤またはその併用)(20.3%、14/69)と比較して、「maribavir」投与群では3倍以上(62.8%、76/121)でした。(調整群間差[95%信頼区間]:44.1%[31.3、56.9])
- 2021年5月、当社は、固形臓器移植(SOT)または造血幹細胞移植(HCT)の両移植後の難治性/抵抗性(無しも含む)(R/R)サイトメガロウイルス(CMV)感染の治療薬である「maribavir」について、新薬承認申請(NDA)が米国食品医薬品局(FDA)に受理され、優先審査指定を受けたことを公表しました。この申請はグローバル臨床第3相試験である「TAK-620-303(SOLSTICE)試験」に基づいています。「maribavir」は、FDAから、臨床的に重篤なCMV血症およびCMV感染症リスクの高い患者の治療薬として希少疾病用医薬品指定を受けています。またFDAは、CMV感染およびCMV感染症を有し、既存の治療に抵抗性を有するまたは難治性の移植患者への治療薬として、「maribavir」のBreakthrough Therapy指定を行っています。
ニューロサイエンス
当社は、高いアンメット・ニーズが存在する神経疾患および神経筋疾患を対象に、革新的治療法に研究開発投資をフォーカスし、当社の専門知識やパートナーとの提携を生かし、パイプラインを構築しています。疾患の生物学的理解、トランスレーショナルなツール、革新的なモダリティの進展により、当社は神経変性疾患のうち患者セグメントが明確に定義されている疾患(例えば、パーキンソン病)への治療可能性に特化した投資とともに、希少神経疾患(例えば、ナルコレプシー、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、その他の運動失調症)に主にフォーカスしています。
[ブコラム 一般名:ミダゾラム]
- 2020年9月、当社は、てんかん重積状態の治療剤である「ブコラム口腔用液」について、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。今回の承認は、けいれん性てんかん重積状態を発症した18歳未満の患者に対して「ブコラム」を頬粘膜投与した2つの国内臨床第3相多施設共同介入非無作為化非盲検試験の結果などに基づくものです。「ブコラム」は日本初のてんかん重積状態に対する頬粘膜投与製剤であり、医師の指導に従い、家庭内など医療機関外でも投与可能です。2020年10月、当社は「ブコラム」のNeuraxpharm Groupの子会社(Neuraxpharm社)への売却を完了しました。当社は、日本における製造販売権の保持者として、一定期間にわたり一定のサービスをNeuraxpharm社に提供します。
[開発コード:TAK-935/OV935 一般名:soticlestat]
- 2020年8月、当社とOvid Therapeutics Inc.(Ovid社)は、ドラベ症候群(DS)またはレノックス・ガストー症候群(LGS)の小児患者を対象とした「soticlestat」の無作為化臨床第2相「ELEKTRA試験」の良好なトップラインデータを発表しました。「ELEKTRA試験」において、12週間の治験薬投与維持期に、プラセボ投与群では、けいれん発作(DS)および脱力発作(LGS)の頻度が中央値で3.1%増加したのに対し、「soticlestat」投与群ではベースラインから中央値で27.8%の統計学的に有意な減少が示され(プラセボ調整後の減少率の中央値=30.5%、p=0.0007、治験薬投与維持期において発作がみられた120例での有効性解析に基づく)、主要評価項目を達成しました。さらに、「ELEKTRA試験」の20週間の全治療期間(用量最適化期および治験薬投与維持期)中にプラセボ投与群ではけいれん発作(DS)および脱力発作(LGS)の頻度の変化が中央値で0.0%であったのに対し、「soticlestat」による治療を受けたDSおよびLGS患者群では中央値で29.8%減少しました(プラセボ調整後の減少率=25.1%、p=0.0024)。「soticlestat」の忍容性は概ね良好で、安全性プロファイルはこれまでの試験と同様であり、新たに安全性で留意すべき点は認められませんでした。
- 2021年3月、当社とOvid社は、当社が「soticlestat」について、ドラベ症候群(DS)またはレノックス・ガストー症候群(LGS)を含む発達性およびてんかん性脳症の治療薬として臨床段階にある「soticlestat」について、グローバルでの開発および販売権をOvid社から取得する独占契約を締結したことを公表しました。本独占契約に基づき、「soticlestat」のグローバルでの権利を当社が取得し、今後の全世界での開発と販売を単独で担います。
消化器系疾患
消化器系疾患・肝疾患の患者さんに革新的で人生を変えうる治療法をお届けすることにフォーカスしています。「エンティビオ」および「ALOFISEL」といった炎症性腸疾患におけるフランチャイズのポテンシャルを最大化するとともに、「GATTEX/REVESTIVE」のスペシャリティ消化器系疾患領域におけるポジショニングを拡大させ、社外との提携を通じて消化管運動関連疾患、セリアック病、厳選した肝疾患における機会を探索し、パイプラインの構築を進めています。
[エンティビオ/エンタイビオ 一般名:ベドリズマブ]
- 2020年4月、当社は、「エンティビオ」の自己注射製剤について、カナダにおいて、既存療法または TNF-αアンタゴニスト 「infliximab」 に対して、効果不十分、効果消失、または不耐性であった、18歳以上の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者の在宅での維持療法として承認されたことを公表しました。本承認は、中等症から重症の、活動期潰瘍性大腸炎の成人患者を対象とする、「エンティビオ」皮下注用製剤の維持療法の有効性および安全性を評価した無作為化二重盲検プラセボ対照試験である「VISIBLE 1試験」に基づくものです。
- 2020年5月、当社は、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎またはクローン病成人患者に対する維持療法として、「エンティビオ」の皮下注射(SC)製剤の製造販売について、欧州委員会より承認を取得したことを公表しました。「エンティビオ」のSC製剤は、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤の両剤型で利用可能となります。
- 2020年9月、当社は成人の中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者を対象とした維持療法に関する「エンティビオ」の皮下注射製剤の米国における開発プログラムの進捗を公表しました。当社は2020年8月にFDAと会議を行い、当社が新しく得たデータの評価を得るとともに、「エンティビオ」皮下注射製剤の承認を支持するのに必要な追加データについて助言を求めました。会議において、追加で必要な注射デバイスのデータに関して明確な理解が得られたため、その対応に向けて取り組んでいます。継続的な注射デバイスの試験実施に時間を要することから、米国での中等症から重症の潰瘍性大腸炎を対象とした「エンティビオ」皮下注射製剤の発売は、承認が得られた後、2022年になる可能性があります。
- 2020年10月、当社は、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者を対象とした、「エンティビオ」の皮下注射製剤による維持療法の長期安全性および有効性を検討する非盲検長期継続投与(VISIBLE OLE)試験の中間解析結果を発表しました。本試験における安全性の主要評価項目の評価において、潰瘍性大腸炎の患者集団の中間解析データから、2年間の「エンティビオ」皮下注射製剤による維持療法後の長期安全性に関する所見が「エンティビオ」の既報の安全性プロファイルと一致していることが示されました。また、この患者集団では、本試験の臨床的有効性の評価項目である臨床的寛解(注1)の維持およびステロイドフリーでの臨床的寛解(注2)が得られた患者の割合から、治療による臨床的効果が継続的に示されました。これらのデータは、バーチャルで開催された欧州消化器病週間(United European Gastroenterology Week: UEG Week)におけるオーラルプレゼンテーションで発表されました。
(注1) 主要評価項目である臨床的寛解は、部分的Mayoスコアが2ポイント以下、かつ全てのサブスコアが1ポイント以下と定義
(注2) ステロイドフリーの臨床的寛解は、ベースライン(0週目)で経口コルチコステロイドを使用している患者として定義
[GATTEX/REVESTIVE 一般名:テデュグルチド]
- 2020年10月、当社は、「テデュグルチド」(遺伝子組換え)について、短腸症候群治療剤として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。今回の申請は、国内で実施された成人および小児を対象とした臨床第3相試験、ならびに海外にて行われた試験結果に基づくものです。これらの試験において、本剤の有効性が認められ、安全性に大きな問題は見られませんでした。
[ALOFISEL 一般名:Darvadstrocel]
- 2021年2月、当社は、「Darvadstrocel」について、非活動期/軽度活動期のクローン病成人患者における肛門周囲複雑瘻孔治療製品として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。国内で実施された「Darvadstrocel-3002試験」および、欧州およびイスラエルで実施された「ADMIRE-CD試験」の結果に基づくものです。「Darvadstrocel-3002試験」は日本人の非活動期/軽度活動期のクローン病成人患者22名を対象に「Darvadstrocel」の有効性と安全性を検討した臨床第3相、多施設共同、非盲検非対照試験です。「Darvadstrocel-3002試験」の結果は、学会で今後公表される予定です。「ADMIRE-CD 試験」は、非活動期/軽度活動期のクローン病成人患者さん212名を対象に「Darvadstrocel」の有効性と安全性を検討した臨床第3相、無作為化二重盲検比較試験です。
[タケキャブ 一般名:ボノプラザン]
- 2021年3月、当社は、酸関連疾患治療剤「タケキャブ錠10mg、同錠20mg」の剤形追加として、厚生労働省に口腔内崩壊錠「タケキャブOD錠10mg、同OD錠20mg」の製造販売承認申請を行ったことを公表しました。本申請は、国内で実施されたヒト生物学的同等性試験「TAK-438ODT-1001試験」および溶出試験に基づくものです。
[開発コード:TAK-721 一般名:ブデソニド経口懸濁液]
- 2020年12月、当社は、好酸球性食道炎の治療薬として特異的にデザインされ開発中のブデソニド経口懸濁液である「TAK-721」について、新薬承認申請(NDA)が米国食品医薬品局(FDA)に受理され、優先審査に指定されたことを公表しました。承認された場合、「TAK-721」は好酸球性食道炎の治療薬として初のFDA承認となる見込みであり、製品名は「Eohilia」を予定しています。「TAK-721」はこれまでにFDAからBreakthrough TherapyおよびOrphan Drugの両方の指定を受けています。当社はFDAと協議中であり、議論の結果に応じて承認される見込みです。
血漿分画製剤
当社は、血漿分画製剤(PDT)に特化したPDTビジネスユニットを設立し、血漿の収集から製造および商用化まで、エンド・ツー・エンドのビジネスを運営しています。本疾患領域では製品のライフサイクル全体にわたってイノベーションを推進することにより、希少および複雑な疾患に対する血漿分画製剤による治療の価値を最大化させます。血漿分画製剤に特化した研究開発組織は、新たな治療ターゲットの特定、および、現有する製品の製造効率の最適化という役割を担います。PDTでは、世界中で、様々な希少疾患や、生命を脅かす、慢性および遺伝性疾患の患者さんに有効な治療を行う上で不可欠な治療薬を開発することに焦点を絞ります。
[開発コード:CoVIg-19 (旧 TAK-888) 一般名:抗SARS-CoV-2ポリクローナル高度免疫グロブリン製剤]
- 2020年4月、当社とCSL Behring社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬となり得る血漿分画製剤の開発に関する提携契約、「CoVIg-19 Plasma Alliance」を締結し、本提携にBiotest、BPL、LFB、Octapharmaの各社が参画したことを公表しました。本提携を通じ、COVID-19による重篤な合併症を有する患者の治療薬となり得るノーブランドの製品として、抗SARS-CoV-2ポリクローナル高度免疫グロブリン製剤の臨床開発に直ちに着手します。
- 2020年5月、「CoVIg-19 Plasma Alliance」は参画メンバーとして血漿分画製剤に携わる企業を10社に拡大し、また、COVID-19から回復されたより多くの人々に血漿を提供してもらえるようにするために重要なサポートを行う血漿分画製剤の企業以外のグローバル機関も参画したことを公表しました。本アライアンスの発足当初に発表されたBiotest、BPL、CSL Behring、LFB、Octapharmaならびに当社に加え、新たな業界メンバーとしてADMA Biologics、BioPharma Plasma、GC Pharma、およびSanquinが参画します。これらの企業が一丸となり、COVID-19の治療選択肢となり得る薬剤の開発と流通を加速させるという本アライアンスの目標に寄与するため、専門知識に基づく助言、技術指導および/または物資による支援を提供します。
- 2020年10月、「CoVIg-19 Plasma Alliance」は、米国国立衛生研究所(NIH)の米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が実施する臨床第3相試験「Inpatient Treatment with Anti-Coronavirus Immunoglobulin(ITAC)」において、患者が登録されたことを公表しました。「ITAC試験」では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により重篤な合併症のリスクのある入院した成人の治療における、抗コロナウイルス高度免疫グロブリン静注製剤(H-Ig)の安全性、忍容性、有効性を評価します。「ITAC試験」は、国際多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験で、NIHのグローバルなInterntaional Network of Strategic Initiatives in Global HIV Trials(INSIGHT)ネットワークを通じて米国やメキシコ、およびその他16カ国の5大陸にわたる最大58施設において成人患者500人を対象に実施される予定です。
- 2021年4月、「CoVIg-19 Plasma Alliance」は、米国国立衛生研究所(NIH)の一部である米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が出資し実施した臨床第3相試験「Inpatient Treatment with Anti-Coronavirus Immunoglobulin(ITAC)」において、評価項目を達成しなかったことを公表しました。臨床試験において安全性の重大な懸念は認められませんでした。本試験は、重篤な合併症のリスクのある成人のCOVID-19入院患者に対して、抗コロナウイルス高度免疫グロブリン静注製剤(H-Ig)を、「レムデシビル」を含む標準治療に追加投与した際の、疾患進行のリスク低減を評価することを目的としていました。現在も解析は継続中であり、NIAIDおよびINSIGHT Networkは試験の全結果を近く発表する予定です。「ITAC試験」の結果を受けて、「CoVIg-19アライアンス」の取り組みは終了しました。
ワクチン
ワクチンでは、イノベーションを活用し、デング熱、新型コロナウイルス感染(COVID-19)、ジカウイルス感染、ノロウイルス感染など、世界で最も困難な感染症に取り組んでいます。当社パイプラインの拡充およびプログラムの開発に対する支援を得るために、政府機関(日本、米国)や主要な世界的機関とのパートナーシップを締結しています。これらのパートナーシップは、当社のプログラムを実行し、それらのポテンシャルを最大限に引き出すための重要な能力を構築するために必要不可欠です。
[COVID-19ワクチンモデルナ筋注 (開発コード:mRNA-1273、日本での開発コード:TAK-919)]
- 2020年10月、当社は、Moderna, Inc.(Moderna社)の新型コロナウイルス感染症ワクチン候補である「mRNA-1273」を、2021年前半より、5,000万回の接種分を輸入し、日本において供給することを公表しました。この日本における供給は、日本国内での「mRNA-1273」の製造販売承認取得後に行われます。この取り組みは、当社、Moderna社、厚生労働省の三者間の契約に基づくものです。当該契約に基づき、当社は日本国内に「mRNA-1273」ワクチン5,000万回の接種分を流通させるために必要な製造販売承認の取得を目指します。Moderna社は、ワクチン最終製品の提供に加え、当社へ臨床開発および製造販売承認申請に関する支援を行います。
- 2021年1月、当社は、「TAK-919」について、国内での臨床第1/2相試験を開始したことを公表しました。本試験は、成人被験者200例を対象に、「TAK-919」の安全性および免疫原性を評価するプラセボ対照試験です。
- 2021年2月、当社は、Moderna社の新型コロナウイルス感染症ワクチン候補である「TAK-919」の日本人を対象とした安全性および免疫原性を評価する国内臨床第1/2相試験において、被験者の組み入れを完了したことを公表しました。
- 2021年3月、当社は、「TAK-919」を輸入し、日本国内へ供給するため厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。日本において現在実施中のプラセボ対照臨床第1/2相試験では、日本人の健康成人200例を対象に「TAK-919」を28日間の間隔で2回接種した際の安全性および免疫原性を評価しています。本試験成績は5月に揃う予定であり、その後、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出します。申請資料には、Moderna社が米国において実施中の臨床第3相試験(「COVE試験」)の安全性と有効性の成績も含まれています。
- 2021年5月 、当社は日本における「TAK-919」の安全性および免疫原性を評価する国内臨床第1/2相試験の結果を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出したことを公表しました。当社はModerna社ならびに厚生労働省の三者間の合意により、「TAK-919」の5,000万回接種分を輸入し供給します。本試験の結果では、28日間の間隔で「TAK-919」0.5 mLを2回接種した被験者の100%に、結合抗体と中和抗体の上昇が本剤の2回目接種28日後に確認できたことが示されました。重大な安全性の懸念は報告されず、忍容性は概ね良好でした。当社は本試験の結果を、2021年3月に提出した新薬承認申請の一部として、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出しました。申請資料には、Moderna社が米国において実施中の臨床第3相試験(COVE試験)の安全性と有効性の結果も含まれています。
- 2021年5月、「COVID-19ワクチンモデルナ筋注(TAK-919)」について、厚生労働省より医薬品医療機器等法第14条の3に基づく特例承認を取得したことを公表しました。本承認は、米国で実施されたModerna社の臨床第3相試験(COVE試験)の結果と同様の免疫反応が得られた、日本で実施した「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」の安全性および免疫原性を評価する臨床第1/2相試験の結果に基づいています。当社は、日本国内において「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」の供給を開始しました。
[開発コード:NVX-CoV2373(日本での開発コード:TAK-019) 一般名:新型コロナウイルス感染症ワクチン]
- 2020年8月、当社とNovavax, Inc.(Novavax社)は、Novavax社が開発中の新型コロナウイルス感染症ワクチン「NVX-CoV2373」の日本における開発、製造、流通に向けた提携に関して基本合意したことを公表しました。「NVX-CoV2373」は、Novavax社の遺伝子組換えたんぱく質ナノ粒子技術を用いた安定したプレフュージョンたんぱく質であり、Novavax社が特許を有するアジュバント「Matrix-M™」を含有しています。当社とNovavax社の提携により、日本における「NVX-CoV2373」の開発、製造、承認申請が進められます。Novavax社は、当社へワクチンの製造技術の使用許諾および移転を行い、「Matrix-M™」を供給します。当社は、厚生労働省への承認申請ならびに、日本における「NVX-CoV2373」の製造および流通を行います。また、当社は、Novavax社からのワクチン製造技術の移転、生産設備の整備、およびスケールアップの資金として、厚生労働省から助成金を受領します。当社は年間2億5千万回分以上の新型コロナウイルス感染症ワクチンの生産能力を整備することを見込んでいます。
- 2021年2月、当社は、Novavax社の新型コロナウイルス感染症ワクチン候補である「TAK-019」について日本人を対象に「TAK-019」の安全性および免疫原性を評価する国内臨床第1/2相試験を開始し、最初の被験者に治験薬の接種が行われたことを公表しました。当社はNovavax社からのワクチン製造技術の移転により、2億5千万回分以上の「TAK-019」の生産能力を有し、開発、供給を担います。「TAK-019」の国内臨床試験の成績は2021年後半に得られる予定で、試験成績は、製造販売承認申請手続きの一環として、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出される予定です。承認取得後、「TAK-019」は2021年後半の供給開始を目指します。
[開発コード:TAK-003 一般名:デング熱ワクチン]
- 2021年3月、当社は、4歳から60歳の人を対象に、すべてのデングウイルス血清型で引き起こされるデング熱の予防を目的として開発中のデング熱ワクチン「TAK-003」について、欧州医薬品庁(EMA)へ承認申請を行い、受理されたことを公表しました。 「TAK-003」の申請資料には、現在進行中のグローバル臨床第3相試験である「TIDES試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)」の36ヵ月間の長期にわたる安全性および有効性データが含まれます。本36ヵ月間データの詳細については、学会や査読誌にて2021年内に発表される予定です。なお、当社は、欧州連合(EU)における承認とEU-M4all (旧称:Article 58)制度を通じてのEU域外の国々における承認を目的とした医薬品に適用されるEMAが実施する初の並行審査に参加しています。EU-M4all制度に参加している国々は、欧州医薬品評価委員会(CHMP)からの科学的見解に加え、独自の審査をしたうえで自国における承認について判断します。当社は、EU-M4all制度に参加していないデング熱流行国においても「TAK-003」の承認を目指します。
- 2021年5月、当社は、「TAK-003」が現在進行中のグローバル臨床第3相試験「TIDES試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)」のワクチン接種後3年間にわたる長期評価において、本ワクチンのデング熱感染およびデング熱感染による入院に対して持続的な予防効果(被験者のワクチン接種前のデング熱感染歴の有無を問わない)を示し、懸念されるような安全性リスクも認められなかったことを公表しました。「TIDES試験」には、デング熱流行国であるラテンアメリカやアジア地域において2万人以上の小児・若年層(4歳から16歳)の健常被験者が登録されています。「TIDES試験」の36ヵ月間にわたる追跡調査の安全性および有効性データは、第17回国際渡航医学会(CISTM: Conference of the International Society of Travel Medicine)で発表されました。「TAK-003」の3年間(2回目接種後36ヵ月)にわたる長期評価では、デングウイルスの各血清型(計4種)に対する「TAK-003」のワクチン有効性は、各血清型で異なっていたものの、この結果は、これまで報告してきた結果と一貫性のあるものでした。また、安全性においても全般的に忍容性が良好で、懸念されるような安全性リスクも認められませんでした。病態の増悪のエビデンスは確認されませんでした。「TIDES試験」の36ヵ月間にわたる追跡調査の安全性および有効性データは、欧州連合(EU)およびデング熱流行国における承認申請資料に含まれており、今後、2021年内に承認申請が予定されている米国を含むその他の国々における申請資料にも含まれる予定です。
パイプラインの現状
当社グループの各疾患領域および事業分野における研究開発活動の概要は、以下に示すとおりです。後出する主要な疾患領域および事業分野において開示されている当社グループパイプライン上の化合物は、それぞれ異なる開発段階にあり、現在開発中の化合物の開発中止や新規化合物の臨床ステージ入りにより、パイプラインの内容は今後変わる可能性があります。以下に示す化合物が製品として上市に至るかは、前臨床試験や臨床試験の結果、様々な医薬品の市場動向、規制当局からの販売承認取得の有無など、様々な要因に影響されます。以下の表記載は、米国・欧州・日本・中国に限定していますが、当社グループはその他の地域でも開発活動を行っています。以下、「グローバル」の表記は、米国・欧州・日本・中国を指します。下記の表にあるパイプラインのモダリティは、「低分子」、「ペプチド・オリゴヌクレオチド」、「細胞および遺伝子治療」、「マイクロバイオーム」、「生物学的製剤他」のいずれかに分類しています。
2021年5月11日(決算発表日)における当社グループのオンコロジー(がん)領域のパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
開発コード
<一般名>製品名
(国/地域)
薬効(投与経路)モダリティ適応症/剤型追加開発段階
SGN-35(注1) ⦅brentuximab vedotin⦆ アドセトリス
(欧州、日本、中国)
CD30モノクローナル抗体薬物複合体(注射剤)生物学的製剤他未治療の全身性未分化大細胞リンパ腫欧州承認(20/5)
再発・難治性のホジキンリンパ腫中国承認(20/5)
再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫中国承認(20/5)
皮膚T細胞リンパ腫中国承認(21/4)
⦅brigatinib⦆ アルンブリグ
(グローバル)
ALK阻害薬
(経口剤)
低分子ALK陽性非小細胞肺がん(ファーストライン)米国承認(20/5)
ALK陽性非小細胞肺がん(ファーストライン)日本承認(21/1)
ALK阻害薬投与歴のあるALK陽性非小細胞肺がん日本承認(21/1)
ALK陽性非小細胞肺がん(ファーストライン&セカンドライン)中国申請(20/12)
ALK陽性非小細胞肺がん (セカンドライン;アレクチニブとの直接比較試験)グローバルP-Ⅲ
MLN9708
⦅ixazomib⦆
ニンラーロ
(グローバル)
プロテアソーム阻害薬
(経口剤)
低分子造血幹細胞移植未実施の初発の多発性骨髄腫の維持療法日本 米国欧州中国申請(20/5)(注12)P-Ⅲ
P-Ⅲ
P-Ⅲ
自家造血幹細胞移植後の初発の多発性骨髄腫の維持療法米国
欧州
P-Ⅲ
P-Ⅲ

開発コード
<一般名>製品名
(国/地域)
薬効(投与経路)モダリティ適応症/剤型追加開発段階
⦅cabozantinib⦆(注2)
カボメティクス
(日本)
マルチターゲットキナーゼ 阻害薬(経口剤)低分子肝細胞がん(セカンドライン)日本承認(20/11)
腎がん(ファーストライン;ニボルマブとの併用)日本申請(20/10)
転移性非小細胞肺がん(セカンドライン;アテゾリズマブとの併用 (注3))日本P-Ⅲ
転移性去勢抵抗性前立腺がん(アテゾリズマブとの併用 (注4))日本P-Ⅲ
⦅niraparib⦆ (注5)
ゼジューラ
(日本)
PARP1/2阻害薬
(経口剤)
低分子卵巣がん(ファーストライン・セカンドライン後の維持療法、 サルベージ療法)日本承認(20/9)
⦅ponatinib⦆ ICLUSIG
(米国)
BCR-ABL阻害薬
(経口剤)
低分子慢性骨髄性白血病(CML)患者におけるOPTIC試験の中間解析データおよび、CMLとフィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病患者(Ph+ALL)とにおけるPACE試験の判定済みデータに基づいた、CMLおよびPh+ALLでのラベル変更米国承認(20/12)
フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病(フロントライン適応)米国P-Ⅲ
TAK-924
⦅pevonedistat⦆
NEDD8活性化酵素阻害薬
(注射剤)
低分子高リスク骨髄異形成症候群グローバルP-Ⅲ
移植非適応の急性骨髄性白血病グローバルP-Ⅲ
TAK-788
⦅mobocertinib⦆
EGFR/HER2 阻害薬(exon20変異対応) (経口剤)低分子Exon20挿入変異を有する非小細胞肺がん
(フロントライン適応)
グローバルP-Ⅲ
Exon20挿入変異を有する非小細胞肺がん
(セカンドライン以降)
米国
日本
欧州
中国
申請(21/4)
P-Ⅲ
P-Ⅲ
P-Ⅲ
TAK-385
⦅relugolix⦆
LH-RHアンタゴニスト (経口剤)低分子前立腺がん日本
中国
P-Ⅲ
P-Ⅲ
TAK-007(注6)CD19 CAR-NK細胞療法
(注射剤)
細胞および 遺伝子治療再発・難治性のB細胞性悪性腫瘍-P-I/Ⅱ
TAK-102(注7)GPC3 CAR-T(注射剤)細胞および 遺伝子治療固形がん-P-Ⅰ
TAK-573(注8)抗CD38抗体(IgG4)と活性減弱IFNαとの融合蛋白 (注射剤)生物学的製剤他再発・難治性の多発性骨髄腫-P-Ⅰ
TAK-605(注9)腫瘍溶解性ウイルス (腫瘍内投与)生物学的製剤他固形がん-P-Ⅰ

開発コード
<一般名>製品名
(国/地域)
薬効(投与経路)モダリティ適応症/剤型追加開発段階
TAK-676STINGアゴニスト(注射剤)低分子固形がん-P-Ⅰ
TAK-940(注10)CD19 1XX CAR-T (注射剤)細胞および 遺伝子治療再発・難治性のB細胞性悪性腫瘍-P-Ⅰ
TAK-981SUMO阻害薬(注射剤)低分子複数のがん種-P-Ⅰ
TAK-252 / SL-279252(注11)PD-1-Fc-OX40L(注射剤)生物学的製剤他固形がん又はリンパ腫-P-Ⅰ
TAK-186T細胞誘導抗体生物学的製剤他EGFR発現固形がん-P-Ⅰ

(注1)Seagen社との提携
(注2)Exelixis社との提携
(注3)中外製薬との提携、P-Ⅲ試験は同社が実施
(注4)中外製薬との提携、P-Ⅲ試験は当社が実施
(注5)GlaxoSmithKline社との提携
(注6)The University of Texas MD Anderson Cancer Centerとの提携
(注7)Noile-immune Biotech社との提携
(注8)Teva Pharmaceutical Industries社との提携
(注9)Turnstone Biologics社との提携
(注10)Memorial Sloan Kettering Cancer Centerとの提携
(注11)Shattuck Labs社との提携
(注12)2021年5月に承認取得
2021年5月11日(決算発表日)における当社グループの希少遺伝子疾患および血液疾患領域のパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
開発コード
<一般名>製品名
(国/地域)
薬効(投与経路)モダリティ適応症/剤型追加開発段階
TAK-743
⦅lanadelumab⦆
TAKHZYRO
(米国、欧州、中国)
血漿カリクレイン阻害薬 (注射剤)生物学的製剤他遺伝性血管性浮腫中国承認(20/12)
遺伝性血管性浮腫日本申請(21/3)
遺伝性血管性浮腫(小児)グローバルP-Ⅲ
ブラジキニン介在性血管性浮腫グローバルP-Ⅲ
TAK-577
VONVENDI(米国、日本)
VEYVONDI(欧州)
フォン・ヴィレブランド因子 [遺伝子組換え](注射剤)生物学的製剤他フォン・ヴィレブランド病の予防(成人)米国
日本
欧州
中国
申請準備中
P-Ⅲ
P-Ⅲ
P-Ⅲ
フォン・ヴィレブランド病の出血時および周術期の補充療法(小児)グローバルP-Ⅲ
TAK-660
アディノベイト
(米国、日本)
ADYNOVI(欧州)
抗血友病因子[遺伝子組換え]PEG修飾(注射剤)生物学的製剤他血友病A(小児)欧州P-Ⅲ
TAK-755(注1)欠損したADAMTS13 酵素の補充(注射剤)生物学的製剤他先天性血栓性血小板減少性紫斑病米国
欧州
P-Ⅲ
P-Ⅲ
免疫性血栓性血小板減少性紫斑病米国
欧州
P-Ⅱ
P-Ⅱ
鎌状赤血球症米国P-I/Ⅱ

開発コード
<一般名>製品名
(国/地域)
薬効(投与経路)モダリティ適応症/剤型追加開発段階
TAK-620(注2)
⦅maribavir⦆
ベンズイミダゾールリボシド系阻害薬(経口剤)低分子移植手術を受けた患者におけるサイトメガロウイルス感染症米国
欧州
申請準備中(注5)
P-Ⅲ
TAK-607インスリン様成長因子/インスリン様成長因子結合タンパク
(注射剤)
生物学的製剤他早産児合併症-P-Ⅱ
TAK-609髄腔内投与用ヒトイズロン酸-2-スルファターゼ(遺伝子組換え)(注射剤)生物学的製剤他ハンター症候群(中枢性)米国
欧州
P-Ⅱ
P-Ⅱ
TAK-611髄腔内投与用ヒトアリールスルファターゼA(遺伝子組換え)(注射剤)生物学的製剤他異染性白質ジストロフィー-P-Ⅱ
TAK-079(注3)
⦅mezagitamab⦆
抗CD38モノクローナル抗体(注射剤)生物学的製剤他重症筋無力症-P-Ⅱ
免疫性血小板減少性紫斑病-P-Ⅱ
全身性エリテマトーデス-P-Ⅰ/Ⅱ
TAK-834
NATPARA(米国)
NATPAR(欧州)
副甲状腺ホルモン
(注射剤)
生物学的製剤他副甲状腺機能低下症日本P-Ⅰ(注4)

(注1)日本においてはKMバイオロジクス社との相互に独占的な共同販売契約
(注2)GlaxoSmithKline社との提携
(注3)再発・難治性の多発性骨髄腫の試験は試験終了まで継続
(注4)日本におけるP-Ⅰ試験が完了し、P-Ⅲ試験開始の時期を検討中
(注5)2021年5月に米国FDAが申請を受理済み
2021年5月11日(決算発表日)における当社グループのニューロサイエンス(神経精神疾患)領域のパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
開発コード
<一般名>
薬効(投与経路)モダリティ適応症/剤型追加開発段階
TAK-815
⦅midazolam⦆
ブコラム(日本)
GABAアロステリック調節薬(頬粘膜投与)低分子てんかん重積状態日本承認(20/9)
TAK-935
⦅soticlestat⦆
CH24H阻害薬 (経口剤)低分子ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群-P-Ⅱ
15q重複症候群、サイクリン依存性キナーゼ様5(CDKL5)遺伝子欠損症-P-Ⅱ
TAK-994オレキシン2Rアゴニスト
(経口剤)
低分子ナルコレプシー-P-Ⅱ
TAK-831(注1)
⦅luvadaxistat⦆
D-アミノ酸酸化酵素阻害薬(経口剤)低分子統合失調症に伴う陰性症状および認知機能障害-P-Ⅱa
TAK-071M1ポジティブアロステリック モジュレーター(M1PAM)(経口剤)低分子パーキンソン病-P-Ⅱ
TAK-041(注2)GPR139アゴニスト(経口剤)低分子大うつ病における無快楽症-P-Ⅰ

開発コード
<一般名>
薬効(投与経路)モダリティ適応症/剤型追加開発段階
TAK-341/MEDI1341
(注3)
抗α-シヌクレイン抗体 (注射剤)生物学的製剤他パーキンソン病-P-Ⅰ
TAK-653(注2)AMPA受容体ポテンシエーター(経口剤)低分子治療抵抗性うつ病-P-Ⅰ
TAK-861オレキシン2Rアゴニスト (経口剤)低分子ナルコレプシー-P-Ⅰ
TAK-925オレキシン2Rアゴニスト (注射剤)低分子ナルコレプシー、その他の睡眠障害-P-Ⅰ

(注1)Neurocrine社との50/50共同開発・共同販売のオプション契約
(注2)Neurocrine社との50/50共同開発・共同販売契約
(注3)AstraZeneca社との提携、P-Ⅰ試験は同社が実施
2021年5月11日(決算発表日)における当社グループの消化器系疾患領域のパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
開発コード
<一般名>製品名
(国/地域)
薬効(投与経路)モダリティ適応症/剤型追加開発段階
MLN0002
⦅vedolizumab⦆
エンタイビオ
(グローバル)
ヒト化抗α4β7インテグリン モノクローナル抗体 (注射剤)生物学的製剤他皮下投与製剤(潰瘍性大腸炎)米国
日本
審査完了通知受領(19/12)(注10)
申請(19/8)
皮下投与製剤(クローン病)米国
日本
P-Ⅲ
P-Ⅲ
同種造血幹細胞移植を受けている患者における移植片対宿主病の予防欧州
日本
P-Ⅲ
P-Ⅲ
潰瘍性大腸炎・クローン病(小児)グローバルP-Ⅱ
TAK-438
⦅vonoprazan⦆
タケキャブ
(日本)
VOCINTI(中国)
カリウムイオン競合型アシッド
ブロッカー(経口剤)
低分子酸関連疾患(逆流性食道炎の維持療法)中国申請(20/3)
酸関連疾患(十二指腸潰瘍)中国申請(20/4)
口腔内崩壊錠日本申請(21/3)
酸関連疾患(ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助)中国P-Ⅲ
TAK-633
⦅teduglutide⦆
GATTEX(米国)/
REVESTIVE(欧州)
GLP-2アナログ
(注射剤)
ペプチド・オリゴヌクレオチド短腸症候群(小児)日本申請(20/10)
短腸症候群(成人)日本申請(20/10)
TAK-721(注1)
⦅budesonide⦆
糖質コルチコステロイド
(経口剤)
低分子好酸球性食道炎米国申請(20/12)
Cx601
⦅darvadstrocel⦆
ALOFISEL(欧州)
同種異系脂肪由来幹細胞懸濁剤(注射剤)生物学的製剤他難治性のクローン病に伴う肛囲複雑瘻孔米国
日本
P-Ⅲ
申請(21/2)
TAK-906ドパミンD2/D3受容体 アンタゴニスト(経口剤)低分子胃不全麻痺-P-Ⅱb
TAK-954(注2)5-HT4受容体アゴニスト(注射剤)低分子術後消化器機能障害-P-Ⅱb

開発コード
<一般名>製品名
(国/地域)
薬効(投与経路)モダリティ適応症/剤型追加開発段階
TAK-999(注3)GalNAcベースRNA干渉(RNAi)(注射剤)ペプチド・オリゴヌクレオチドα-1アンチトリプシン関連肝疾患米国
欧州
P-Ⅱb
P-Ⅱb
TAK-101(注4)Tolerizing Immune Modifying nanoParticle (TIMP) (注射剤)生物学的製剤他セリアック病-P-Ⅱa
TAK-018/EB8018(注5)
⦅sibofimloc⦆
FimH アンタゴニスト (経口剤)低分子クローン病(手術後および回腸炎)-P-Ⅱa
TAK-951ペプチドアゴニスト (皮下注射製剤)ペプチド・オリゴヌクレオチド悪心、嘔吐-P-Ⅱ
TAK-510ペプチドアゴニスト (皮下注射製剤)ペプチド・オリゴヌクレオチド悪心、嘔吐-P-Ⅰ
TAK-671(注6)プロテアーゼ阻害薬(注射剤)生物学的製剤他急性膵炎-P-Ⅰ
TAK-062(注7)グルテン分解酵素(経口剤)生物学的製剤他セリアック病-P-Ⅰ
TAK-039(注8)細菌コンソーシアム(経口剤)マイクロバイオームクロストリジウム・ディフィシル感染症(注9)-P-Ⅰ

(注1)UCSDおよびFortis Advisors社との提携
(注2)Theravance Biopharma社との提携
(注3)Arrowhead Pharmaceuticals社との提携
(注4)Cour Pharmaceuticals社から開発および製品化の権利を獲得。旧名TIMP-GLIA
(注5)Enterome Biosciences社との提携
(注6)Samsung Bioepis社との提携
(注7)TAK-062を含むPvP Biologics社の買収。それ以前は、旧名Kuma062
(注8)NuBiyota社との提携
(注9)クロストリジウム・ディフィシル感染症でのP-I試験完了。戦略上、本プログラムは肝性脳症で開発予定
(注10)米国FDAから受領した皮下投与製剤に対するComplete Response Letter(審査完了通知)は、臨床での安全性・有効性データに関連するものではなく、皮下投与製剤のデバイスのデザインやラベルに関する内容。当社の最新データのレビューおよび皮下投与製剤の承認を得るために求められる追加データについてガイダンスを求めるために、2020年8月にFDAと面談を実施。面談においてデバイスに対して求められるデータを明確化して、その対応を進めている。デバイスの検討を継続するには時間を要するため、FDAより承認取得後、2022年には米国において中等から重症の潰瘍性大腸炎を対象に上市可能性を見込む。
2021年5月11日(決算発表日)における当社グループの血漿分画製剤のパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
開発コード
<一般名>製品名
(国/地域)
薬効(投与経路)モダリティ適応症/剤型追加開発段階
TAK-664
CUVITRU
(米国、欧州)
免疫グロブリン20% [ヒト由来] (皮下注射製剤)生物学的製剤他原発性免疫不全症候群日本P-Ⅲ
TAK-771(注1)
⦅IG Infusion 10% (Human) w/ Recombinant Human Hyaluronidase⦆
HYQVIA(米国、欧州)
遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ含有
免疫グロブリンG補充療法
(注射剤)
生物学的製剤他続発性免疫不全症候群欧州承認(20/9)
原発性免疫不全症候群(小児適応)米国P-Ⅲ
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎米国
欧州
P-Ⅲ
P-Ⅲ

(注1)Halozyme社との提携
2021年5月11日(決算発表日)における当社グループのワクチンのパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
開発コード薬効(投与経路)モダリティ適応症/剤型追加開発段階
TAK-0034価デング熱ワクチン(注射剤)生物学的製剤他いずれかの血清型によるあらゆる重症度のデング熱ウイルスによる感染症の予防
ただし、4-60歳が対象
欧州およびEU-M4all
-
申請(21/3)(注4)P-Ⅲ
TAK-919/mRNA-1273 (注1)COVID-19ワクチン(注射剤)生物学的製剤他新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の予防日本申請(21/3)(注5)
TAK-019/NVX‑CoV2373 (注2)COVID-19ワクチン(注射剤)生物学的製剤他新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の予防日本P-Ⅰ/Ⅱ
TAK-214ノロウイルスワクチン(注射剤)生物学的製剤他急性胃腸炎を引き起こすノロウイルス感染症の予防-P-Ⅱb
TAK-426(注3)ジカウイルスワクチン(注射剤)生物学的製剤他ジカウイルスによる感染症の予防-P-Ⅰ

(注1)Moderna社のCOVID-19ワクチン候補を日本に導入するためのModerna社、厚生労働省との提携
(注2)厚生労働省、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成を受け、Novavax社のCOVID-19ワクチン候補を日本に導入するためのNovavax社との提携
(注3)米国政府Biomedical Advanced Research and Development Authority (BARDA) との提携
(注4)欧州での申請に加え、欧州連合(EU)圏外の国を対象としたEU-M4all(旧称:Article58)制度により、EU-M4all制度に参加していない中南米やアジアのデング熱流行国においても申請を開始
(注5)2021年5月に承認取得
ライセンスおよび共同研究開発契約
当社は通常の事業において、製品開発および商業化のために第三者とライセンス契約や業務提携を行うことがあります。当社の事業は、こうした個々の契約に大きく依存するものではありませんが、これらの契約は全体として、社内外のリソースを組み合わせて活用することで新製品の開発や上市を可能にするという当社の戦略の一部を構成しています。これまで製品上市に寄与してきた契約の一部に関する概要は以下の通りであります。
- アドセトリス:2009年、当社はSeagen Inc.(旧シアトルジェネティクス社)(以下、「シアジェン社」)と、「アドセトリス」のグローバル共同開発および世界各国(同社が本剤を販売している米国、カナダを除く)における販売の提携契約を締結しました。本提携関係に基づき、当社による開発および販売の進捗に関してマイルストン支払が発生する可能性があります。また、契約対象地域における「アドセトリス」の正味売上高に基づき10%台半ばから20%台半ばの割合で段階的なロイヤルティを支払います。当社とシアジェン社は、本提携関係のもとで実施される選択された開発活動の費用を均等に共同で負担します。本提携関係は、いずれか一方の当事者による正当な事由または両者の合意をもって解除することができます。当社は本提携関係を自由に解除でき、シアジェン社は一定の状況において本提携関係を解除できます。両社により提携解除がなされなかった場合、本契約は全ての支払い義務の満了をもって自動的に終了します。2021年3月31日現在、当社の「アドセトリス」提携契約に基づく販売マイルストンの残存支払見込額はありません。
- トリンテリックス:2007年、当社はH. Lundbeck A/S(以下、「ルンドベック社」)とライセンス、開発、供給および販売契約を締結し、同社の保有する気分障害・不安障害治療薬パイプライン上の複数の化合物について米国および日本における独占的な共同開発および共同販売権を取得しました。本契約に基づき、当社とルンドベック社は、米国および日本で「トリンテリックス」を販売しており、また、開発資金の大部分を当社が負担することとし、関連化合物の共同開発に合意しました。「トリンテリックス」による収益は当社が計上し、当社はルンドベック社に対し正味売上高の一部に加え、当社による本剤の売上に基づき10%台前半から半ばの割合で段階的なロイヤルティを支払います。また、本提携関係に基づき、当社はルンドベック社に対し、開発および販売の進捗に関して一定の開発および販売マイルストンを支払うことに合意しております。本契約は無期限に存続しますが、両者の合意または正当な事由をもって解除されます。2021年3月31日現在、当社の「トリンテリックス」提携契約に基づく販売マイルストンの残存支払見込額はありません。
- アミティーザ:2004年10月、当社はSucampo Pharmaceuticals(後にMallinckrodtが買収、以下、「マリンクロット社」)と消化器系の適応症での「アミティーザ」の米国およびカナダにおける購買、開発および販売の契約を締結しました。本契約は2020年12月31日まで有効であり、当社により解除されるまで自動的に更新されます。本契約に基づき、当社はマリンクロット社から「アミティーザ」を合意された価格で購入し、北米における売上高に基づき10%台の毎年見直される割合で段階的なロイヤルティを支払います。2021年1月1日以降は、当社とマリンクロット社で「アミティーザ」ブランドの販売による年間正味売上高を均等に分配しています。当社とマリンクロット社は、一部を除いて、規制当局の指示による治験を含む開発費用を当社が負担し、該当費用が合意された上限額を超えた場合は超過分を均等に負担することに合意しております。同社とは、日本および中国を除く、他の国と地域についても類似の契約を締結しています。当社は、本契約の期間において、売上目標達成を条件とした追加のコマーシャルマイルストンの支払いと、年間販売活動に対する最低額の出費に合意しました。これらの支払いは、本剤の後発品発売により減額される可能性があります。2021年3月31日現在、当社の「アミティーザ」提携契約に基づく販売マイルストンの残存支払見込額はありません。
将来に向けた研究プラットフォームの構築/研究開発における提携の強化
- 2020年6月、当社とNeurocrine Biosciences, Inc.(Neurocrine Biosciences社)は、当社の早期から中期開発段階の精神疾患領域パイプラインに関する開発および製品化に関する戦略的提携契約を締結したことを公表しました。当社は、本契約に基づき、統合失調症、治療抵抗性うつ病、無快楽症に関し臨床試験段階にある3つのパイプラインを含む7つのパイプラインプログラムについて、Neurocrine Biosciences社に対し独占的権利を付与します。
- 2020年6月、当社とCarmine Therapeutics(Carmine社)は赤血球細胞外小胞に基づくCarmine社のREGENT(TM)テクノロジーを使用し、希少疾患領域における2つの標的に対する変革的な非ウイルス性遺伝子治療の創薬、開発、および商業化に関する共同研究契約を締結しました。
- 2020年8月、「COVID R&D Alliance」のメンバーである、当社、AbbVie Inc.およびAmgen Inc.(Amgen社)は「I-SPY COVID (Investigation of Serial Studies to Predict Your COVID Therapeutic Response with Biomarker Integration and Adaptive Learning) 臨床試験」(I-SPY COVID試験)に第1例目の患者を登録したことを公表しました。「I-SPY COVID試験」は、高流量酸素療法を必要とするCOVID-19の重症入院患者を対象に、CCケモカイン受容体2および5(CCR2/CCR5)拮抗薬の「cenicriviroc」、PDE4阻害薬の「オテズラ(アプレミラスト)」、およびブラジキニンB2受容体拮抗薬の「フィラジル(イカチバント皮下注)」の有効性の評価を行う試験です。「I-SPY COVID試験」は、治療薬候補の評価に要する被験者数と期間を最小限に留めることにより試験効率性を向上する目的で設計された、「Quantum Leap Healthcare Collaborative(QLHC)」のアダプティブ・プラットフォーム臨床試験デザインを活用します。なお、2021年4月、「I-SPY COVID試験」において「フィラジル(イカチバント皮下注)」群は、事前に決定していた無効基準に達したため、投与を終了しました。
- 2020年9月、当社は細胞医薬品の製造能力を拡張するため、米国マサチューセッツ州ボストンの研究開発拠点内に研究開発用の細胞医薬品製造施設(24,000平方フィート)を新設したことを公表しました。新施設ではエンド・ツー・エンドの研究開発を行い、当初はがん領域に重点を置き、他の疾患領域への拡大の可能性を探りながら、当社の次世代細胞療法の開発に向けた取り組みをさらに加速します。
- 2020年10月、当社とArrowhead Pharmaceuticals Inc.(Arrowhead社)は、α-1アンチトリプシン欠乏症による肝疾患(AATLD)を対象とし、現在臨床第2相試験の段階にあるRNA干渉(RNAi)治療候補薬「ARO-AAT/TAK-999」の開発に向けた提携およびライセンス契約を締結したことを公表しました。「ARO-AAT/TAK-999」は、「AATLD」の進行を引き起こす変異型α-1アンチトリプシン蛋白の産生を低減する目的で設計されたファーストインクラスの治療薬となる可能性があります。本契約に基づき、当社とArrowhead社は、「ARO-AAT/TAK-999」を共同で開発するとともに、本剤が承認された場合、米国においては両社が利益を50:50で折半する形で共同販売を行います。当社は、米国外の全世界における販売戦略を主導するとともに「ARO-AAT/TAK-999」の独占販売権を取得します。
- 2020年12月、当社とペプチドリーム株式会社は、神経筋疾患領域における複数のペプチド-薬物複合体(Peptide Drug Conjugate、以下、「PDC」)創製に関する包括的な共同研究および独占的ライセンス契約を締結したことを公表しました。神経筋疾患領域においては、疾患に対する理解が進んでいる一方、治療にあたっては全身に広く存在する標的組織に治療薬を届けることが必要であり、医薬品開発の大きな課題となっています。今回の契約では、ペプチドリーム株式会社とJCRファーマ株式会社が開発したトランスフェリン受容体結合ペプチドと当社が選択した医薬品候補化合物によるPDC医薬品を創製することでこれらの課題に取り組み、神経筋疾患の治療薬において組織内分布プロファイルを向上させることを目標としています。
- 2020年12月、「COVID R&D Alliance」のメンバーである、当社、Amgen社、およびUCB, Inc.(UCB社)は、「COMMUNITY(COVID-19 Multiple Agents and Modulators Unified Industry Members)試験」に最初の患者を登録したことを公表しました。「COMMUNITY試験」は、新型コロナウイルス感染症の入院患者を対象とした複数の治療薬候補の検討が可能な、無作為化二重盲検プラセボ対照アダプティブ・プラットフォーム試験です。コントロール不良の血管および免疫炎症反応は、新型コロナウイルス感染症の重症患者にみられる顕著な症状であることが確認されています。このような患者では、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や脳卒中、死亡のリスクが高まるおそれがあります。「COMMUNITY試験」に追加される最初の治療薬は、免疫反応またはそれによって生じる炎症を抑制またはコントロールする可能性に基づいて選択されました。これら治療薬には次のものが含まれます。:Amgen社の「オテズラ」(一般名:apremilast):免疫反応による炎症を抑制する可能性があります。;当社の「lanadelumab」:開発中の静脈内注射製剤で、カリクレイン-キニン系の調整によりブラジキニン産生を抑制することにより、炎症を軽減する可能性があります。;UCB社の「zilucoplan」:開発中の薬剤で、ARDSの原因となる免疫系の過剰活性化を抑制する可能性があります。なお、2021年5月、COMMUNITY試験における「lanadelumab」の静脈注射製剤群において、静脈投与に伴う投与上の課題に伴い、一貫性のあるデータを収集することが困難となり、新規の患者組入れを停止しました。本試験において「lanadelumab」投与に関連する安全性の懸念は示されませんでした。本試験への新規患者登録は終了し、既投与患者の観察はプロトコールに従い継続されます。投与上の課題は静脈投与に特有のものであり、 「lanadelumab」の皮下投与製剤に関連するものではありません。
- 2021年3月、当社は、非上場のバイオテクノロジー企業であるMaverick Therapeutics Inc.(Maverick社)を買収するオプション権を行使したことを公表しました。Maverick社は、一定の条件下で活性化される二重特異性T細胞誘導療法を開発しています。本契約に基づき、当社は、Maverick社のT細胞誘導抗体の基盤技術であるCOBRA™と、 Maverick社の主力開発候補薬である「TAK-186」(MVC-101)および「TAK-280」 (MVC-280)などの広範なポートフォリオを取得します。「TAK-186」(MVC-101)は、現在、上皮増殖因子受容体(EGFR)が発現している固形がん患者を対象とした臨床第1/2相試験を実施中であり、「TAK-280」(MVC-280)はB7-H3タンパク質が発現している固形がん患者の治療薬として、2021年度後半に臨床試験を開始する予定です。本買収の完了後、Maverick社の有能な研究者チームを含む従業員は当社グループの研究開発組織に加わります。
当社の上記以外の研究開発ライセンスおよび提携のパイプラインは下表のとおりですが、これらに限定されません。
提携先提携の内容
オンコロジー(がん):
Adimab米国がん領域において、3つのモノクローナル抗体及び3つのCD3二重特異性抗体の創薬・開発・販売。
Centre d'Immunologie de Marseille-Luminyフランス先天性生物学における専門知識を当社のBacTrap技術と組み合わせ、骨髄細胞における新規の標的および経路を検証。
あすか製薬日本relugolix(一般名、開発コード:TAK-385)に関し、製品価値の最大化を目的に、日本における子宮筋腫の独占的販売権および子宮内膜症の独占的開発・販売権を、あすか製薬に導出。
Crescendo Biologics英国がん領域におけるHumabody®を用いた治療薬の創製、開発および販売。
Egle Therapeuticsフランス腫瘍特異的制御性T細胞の新規標的を特定し、独自の抗サプレッサーに基づく免疫療法を開発。
Exelixis, Inc.米国がん治療薬cabozantinibに関して、日本における進行性腎細胞がん及び肝細胞がんをはじめ適応拡大を含めた独占的な開発・販売権を獲得。
GammaDelta Therapeutics英国ヒト組織常在型のガンマ・デルタT細胞が有する独自の特性に基づくGammaDelta社の新規T細胞基盤技術を活用した、がん領域での新たな免疫治療薬の研究開発。
GlaxoSmithKline英国新規がん治療薬niraparibに関して、日本における全てのがん、および韓国、台湾、ロシア、オーストラリアにおいては前立腺がんを除く全てのがんに関する独占的開発・販売権を獲得。
Heidelberg Pharmaドイツ抗体薬物複合体に関する2標的に関するライセンスを含む研究提携(アルファアマニチン毒素及び独占権を有するリンカー)。
KSQ Therapeutics米国KSQ社のCRISPRomics®技術を用いたがんに対する新規免疫ベース治療に関する、研究・開発・商業化における戦略的提携。
MD Anderson Cancer Center米国B細胞性の悪性腫瘍やその他のがんをターゲットとしたIL-15分泌促進型の臍帯血由来キメラ抗原受容体を発現したNK(CAR NK)細胞療法に関する独占的ライセンス契約ならびに共同研究開発契約。
Memorial Sloan Kettering Cancer Center米国多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病および追加対象として固形がんの治療を目的とした新規のキメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)の細胞療法を開発するための戦略的な共同研究契約およびライセンス契約を締結。本共同研究は、現在、Memorial Sloan Ketteringの細胞工学センターの責任者であるMichel Sadelainが共同で実施。
Molecular Templates米国Molecular Templates社はTAK-169の開発を継続し、当社はMolecular Templates社への出資を継続。
Myovant Sciencesスイス日本とアジアの一部の国を除く全世界におけるrelugolix(TAK-385)の独占的権利、および全世界におけるMVT-602(TAK-448)の独占的権利をMyovant社に供与。
国立がん研究センター日本抗がん剤の創薬やがん生物学の研究に携わる研究者、医師などの交流促進を通じて、基礎研究から臨床試験までの進展させるための協力契約。
ノイルイミューン・バイオテック日本山口大学玉田耕治教授により開発された次世代型キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法の研究開発。当社は本提携により創出されたノイルイミューン・バイオテック社のパイプラインや製品の開発・販売権を導入できる独占的オプションを有する。本共同研究の成果を受け、NIB-102とNIB-103を導入済み。
Presage Biosciences米国抗がん剤を微量投与した際の患者の反応を評価するために、Presage社の独自のプラットフォームであるCIVOを用いた複数のプログラムに関する共同研究およびライセンス契約。
Shattuck Labs米国免疫療法と単一薬剤の組み合わせを可能とするShattuck社独自のAgonist Redirected Checkpoint(ARC)™プラットフォーム技術を用いたチェックポイント融合蛋白の探索及び開発。
当社はTAK-252/SL-279252のさらなる開発や販売の権利を導入する独占的オプションを有する。

提携先提携の内容
オンコロジー(がん):
TevaイスラエルTEV-48573(TAK-573)(CD38-Attenukine)の全世界の権利及びTeva社のAttenukineプラットフォーム技術を活用する複数のターゲットの研究提携。
Turnstone Biologics米国TAK-605(RIVAL-01)(aCTLA4、IL12-mb、flt3Lを発現する新しい腫瘍溶解性ウイルス)を共同開発するグローバル提携。Turnstone社のワクシニアウイルスプラットフォームに基づいて追加の新規治療薬候補を特定する共同研究も併せて実施する。
希少遺伝子疾患および血液疾患領域:
Asklepios Biopharmaceuticals米国血友病AおよびBを対象とする第Ⅷ因子の遺伝子治療を目的とする複数の研究開発提携。
BioMarin米国イデュルスルファーゼの髄腔内投与により外因性イズロン酸-2-スルファターゼ補充を可能にする技術の導入。認知機能障害を伴うハンター症候群患者において、長期的な治療のために本酵素を中枢神経系に直接到達させることにより、認知機能障害の進行を遅らせる(TAK-609)。
Carmine Therapeuticsシンガポール赤血球細胞外小胞に基づくCarmine社のREGENT™技術を用いて、希少疾患領域の2つの標的に対する革新的な非ウイルス性の遺伝子治療を創薬、開発、および商業化する提携。
Codexis, Inc.米国リソソーム蓄積症および血液因子欠乏症の治療を含む、特定の適応症に対する新規遺伝子治療の研究・開発を目的とする戦略的提携・ライセンス契約
Ensoma米国Ensoma社のEngenious™ベクターについて、最大5つの希少疾患の適応症を対象とした全世界での独占的権利を取得する共同研究およびライセンス契約。
Evox Therapeutics英国新規のタンパク質補充療法およびmRNA治療薬、ならびにEvox社独自のエキソソーム技術を活用した選択的な薬剤送達の開発を目的とした提携。最大5つの希少疾患をターゲットし、当社は臨床開発の責任を負う。
GlaxoSmithKline英国GlaxoSmithKline社およびミシガン大学とのヒトサイトメガロウイルス感染症治療薬としてのTAK-620 (maribavir) 導入契約。
IPSENフランス後天性血友病A治療薬としてのObizur開発のための譲渡(購入)契約。緊急および非緊急の手術におけるインヒビター保有先天性血友病A患者への適用開発も含む。
KMバイオロジクス日本血栓性血小板減少性紫斑病におけるADAMTS13欠損克服を目的としたTAK-755の開発提携。
Rani Therapeutics米国血友病治療として第Ⅷ因子を経口で送達するためのマイクロタブレットピル技術の評価を行う研究提携。
Xenetic Biosciences米国PolyXen(ポリシアル酸ポリマー)を用いた血友病第Ⅶ因子、第Ⅷ因子、第Ⅸ因子および第Ⅹ因子の送達技術に関する独占的研究開発ライセンス契約。

提携先提携の内容
ニューロサイエンス(神経精神疾患):
Anima Biotech米国遺伝的に特定された神経疾患に対するmRNA翻訳調節薬に関する戦略的な共同研究・開発。
AstraZeneca英国パーキンソン病の治療薬候補として、alpha-synuclein抗体であるMEDI1341の共同開発・販売契約。
Bridgene米国Bridgene社のケモプロテオミクスプラットフォームを用いて、「undruggable」なターゲットに対する低分子医薬品の発見を目指す共同研究。
Denali Therapeutics米国Denali社が有する脳へのバイオ治療薬移行性を高めるAntibody Transport Vehicle(ATV)プラットフォーム技術を用いた、最大3つの神経変性疾患治療薬候補の開発および販売に関する戦略的オプションおよび提携契約。
Neurocrine Briosciences米国TAK-041、TAK-653およびTAK-831を含む当社の早期から中期開発段階の精神疾患領域パイプラインに関する開発および製品化に関する提携。当社は開発マイルストン、販売マイルストン、および正味売上高に応じたロイヤルティを取得する権利を有する。特定の開発段階において、当社はすべての臨床試験プログラムについて、1つひとつのパイプラインごとに、50:50の利益配分を受ける、または受けない選択をすることができる。当社が50:50の利益配分の適用を受けるパイプラインについて、開発または販売マイルストンを受領する権利を有しない。
PeptiDream日本神経筋疾患に対するペプチド-薬物複合体(PDCs)の創製に関する共同研究および独占的ライセンス契約。
Skyhawk Therapeutics米国神経変性疾患をターゲットとするRNA調整治療薬の開発および販売に関する共同研究・ライセンス契約。
Stride Bio米国In vivoでAAVによるフリードライヒ運動失調症とその他二つの非開示ターゲットを対象とする治療法開発を行う提携・ライセンス契約。
Wave Life Sciencesシンガポール神経疾患に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド医薬品の開発を目指した研究開発および販売に関する提携、ならびに複数のプログラムに関するオプション契約。
消化器系疾患:
Ambys Medicines米国様々な肝疾患において、肝機能の回復および肝不全への進行抑制という差し迫った医療ニーズに対し、細胞治療、遺伝子治療、機能獲得薬物療法を含む新規モダリティを臨床応用。本契約に基づき、当社はINDに達する最初の4つの品目の米国以外での販売権を得るオプションを有する。
Arcturus米国非アルコール性脂肪肝炎および他の消化器系疾患において、Arcturus社が有するLUNAR™脂質媒体薬物送達システムおよびUnlocked Nucleomonomer Agent(UNA)オリゴマーの化学的性質を活用し、RNAをベースとする治療薬を共同開発。
Arrowhead Pharmaceuticals米国α-1アンチトリプシン欠乏症による肝疾患(AATLD)を対象とし、現在臨床第2相試験の段階にあるRNA干渉(RNAi)治療薬TAK-999(ARO-AAT)の開発に向けた提携およびライセンス契約。ARO-AATは、AATLDの進行を引き起こす変異型α-1アンチトリプシン蛋白の産生を低減する目的で設計されたファースト・イン・クラスの治療薬となる可能性がある。
Beacon Discovery米国消化器系疾患に対するG蛋白質共役型受容体に関連する薬剤の創薬・開発プログラム。
本契約に基づき、当社は提携によって創出された品目のグローバルの開発・生産・販売権を有する。
Cerevance米国中枢神経系で発現する新規標的タンパク質を特定し、ある種の消化器系の障害に対する新しい治療法を開発するための複数年にわたる研究提携。提携の目標は、Cerevance社のNETSseq技術によって生成された遺伝子発現データセットから、ターゲットを選択、特定および検証すること。
Cour Pharmaceuticals Development Company米国Cour社からグリアジンタンパク質含有のImmune Modifying NanoparticleであるTIMP-GLIA(TAK-101)の全世界での独占的な開発および製品化の権利を獲得。

提携先提携の内容
消化器系疾患:
Engitix英国Engitix社の肝線維症プラットフォームを活用する提携およびライセンス契約。研究活動および新たな治療プログラムにつながる可能性のある標的候補の選定、確認、検証を行う。
Enteromeフランス潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患を含む消化器系疾患において重要な役割を担うと考えられる腸内細菌を標的とした新たな治療薬を創出・開発。また、EB8018/TAK-018のクローン病におけるグローバルのライセンス及び共同開発。
Finch Therapeutics米国炎症性腸疾患を対象とした腸内細菌移植試験における良好な臨床結果との関連が示唆される複数の細菌株を培養した生菌の生物学的製剤であるFIN-524の全世界を対象とした共同開発。本契約に基づき、当社はFIN-524のグローバル開発・販売権を獲得し、炎症性腸疾患に対する後継品への権利も有する。
Genevant Sciences Corporation米国肝線維症の進行阻止または回復を目的として当社が設計したRNAiオリゴヌクレオチドを肝星細胞へ送達するため、Genevant社のLNP(Lipid Nanoparticle)プラットフォームを活用することを目的とした提携およびライセンス契約。
Hemoshear Therapeutics米国肝臓の疾患において、HemoShear社の創薬基盤技術であるREVEAL-TxTMを活用し、新規創薬標的および治療法を開発。
NuBiyotaカナダMicrobial Ecosystem Therapeuticを活用した治療薬の消化器領域の適応での開発。
Phathom Pharmaceuticals米国当社は米国、欧州、カナダにおけるvonoprazanに関する開発権と独占的販売権をPhathom Pharmaceuticals社に導出。当社はその対価として契約一時金と株式を受領し、さらに将来達成されたマイルストーンに応じて金銭と正味売上に基づくロイヤルティを受け取る。
Samsung Bioepis韓国アンメットニーズの高い疾患領域における複数の新規生物学的治療薬への共同出資・共同開発を行う戦略的提携。本プログラムの最初の治療薬候補は重症急性膵炎への適応を企図とするTAK-671。
Silence Therapeutics英国Silence Therapeuticsが有するGalNAc-siRNA技術プラットフォームにアクセスできる技術評価契約。
評価の目的は、当社独自の標的の発現を阻害するGalNAc結合siRNAの特定。
Theravance Biopharma米国消化管運動障害治療薬候補である5-HT4受容体アゴニストTAK-954のグローバルにおけるライセンス、開発および販売の提携契約。
UCSD/Fortis Advisors米国UCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)からのライセンス技術を活用し、好酸球性食道炎治療薬としてブデソニド経口製剤(TAK-721)を開発。
血漿分画製剤:
Halozyme米国HyQviaの拡散と吸収を高めることを目的としたHalozyme社の独自基盤技術ENHANZE™の導入。進行中の開発活動は、原発性の免疫不全を対象とする小児効能追加(米国)および慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の効能取得を目的とするP-Ⅲ試験。
Kamadaイスラエル静脈投与α1-プロテアーゼインヒビター(Glassia)の開発および商用化の導入契約;Glassiaの米国、カナダ、オーストラリアおよびニュージーランドにおける独占的供給および流通;継続中の市販後コミットメントの実施。
ProThera Biologics米国急性炎症状態を対象に新規血漿由来インターアルファ阻害タンパク質(IAIP)による治療法を開発するためのグローバルライセンス契約


提携先提携の内容
ワクチン:
Biological E. Limitedインドインド、中国および低・中所得国において安価な混合ワクチンの開発を促進するため、既存の麻しんワクチンおよび無細胞性百日せきワクチンの原末生産技術を当社からBiological E.社へ移管。
米国政府
Biomedical Advanced Research and Development Authority (BARDA)
米国当社が有するジカ熱ワクチン候補(TAK-426)の米国での開発に関するパートナーシップ。当社は取得したデータを利用し、世界中の流行地域での承認申請に用いるオプション権を保有。
Novavax米国厚生労働省および日本医療研究開発機構(AMED)からの助成対象となったCOVID-19ワクチン候補TAK-019(NVX-CoV2373)の年間2億5千万回接種分以上の日本における開発、製造、商業化に関するNovavax社との提携。
Moderna米国2021年上期から、Moderna社のCOVID-19ワクチン候補TAK-919(mRNA-1273)5千万回接種分を国内輸入・供給することに関する、厚生労働省、Moderna社との3者間契約。
その他/複数の疾患領域:
Bridge Medicines米国Tri-Institutional Therapeutics Discovery Institute, Bay City Capital および Deerfield Management と提携し、Bridge Medicinesを設立。Tri-I TDIで採択された研究プロジェクトに対して、資金面、運用面、管理面での支援を行い、有効性やターゲットの創薬上の検証であるプルーフ・オブ・コンセプト(POC)試験から臨床試験への移行まで継ぎ目なく実施。
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)日本当社重点領域疾患(ニューロサイエンス、オンコロジー、消化器系を含む)でのiPS細胞の臨床応用およびiPS細胞のトランスレーショナルサイエンスが注目される追加領域での探索。
Charles River Laboratories米国Charles River Laboratories社が有するエンドツーエンドの創薬および安全性評価プラットフォームを活用し、当社の重点疾患領域における複数のプログラム群を候補化合物の段階まで進めるため提携。
Evotec GTドイツ当社で増加する研究段階の遺伝子治療創薬プログラムをサポートするための研究提携。
HiFiBio米国消化器系疾患およびがん領域において新規の治療抗体を見出すためのハイスループット抗体探索基盤技術。
Massachusetts Institute of Technology米国人工知能(AI)の開発と応用を促進し、人の健康と医薬品開発に貢献するためのMIT-Takedaプログラム。 Abdul Latif Jameel Clinic for Health in Machine Learning(J-Clinic)に設置する新しいプログラムは、当社およびMITの専門知識を組み合わせて活用し、当社の3年間の投資によってサポートされる(2年間の延長の可能性あり)。
Portal Instruments米国針を使わない医療用デバイスの武田薬品の開発中または承認済み生物学的製剤への応用開発および商品化。
Schrödinger米国Schrödinger社の保有するin silico技術に基づく創薬力と当社の疾患領域に対する深い知見および構造生物学における専門性を融合した、複数の創薬標的に関する共同研究。
Seattle Collaboration米国SPRInT(Seattle Partnership for Research on Innovative Therapies):Fred Hutchinson Cancer Research CenterおよびWashington大学による先進的発見のヒト疾患治療薬への展開の促進(オンコロジー、消化器系疾患、ニューロサイエンスに注力)。
Stanford University米国革新的な治療薬をさらに効率的に開発するために、Stanford Alliance for Innovative Medicines(Stanford AIM)を設立。
Tri-Institutional Therapeutics Discovery Institute (Tri-I TDI)米国産学連携を推進し、革新的な医薬品を創出。
Twist Bioscience米国ヒトの体内に存在する配列のみを用いた合成抗体ファージディスプレイライブラリのパネルであるTiwst社の「Library of Libraries」にアクセスするためのライセンス契約。両社は共同で、新しい抗体候補の発見、検証、最適化に取り組む。


知的財産
特許や登録商標を用いて可能な限り自社の製品や技術を守ることは、当社グループの事業戦略において重要な部分を占めています。当社グループが市場競争力を維持し高めるためには、営業秘密、当社独自のノウハウ、技術的イノベーションおよび第三者との契約が欠かせません。当社がビジネス上の成功を収めることが出来るかどうかは、強固な特許を取得し行使する能力や、営業秘密を保護し続ける能力、第三者の知的財産権を侵害することなく事業を行う能力、付与されたライセンスの条件を遵守する能力に依存する場合があります。新薬の開発は長期間にわたり、研究開発は多くの費用を必要とします。また、新化合物のうち上市されるものはごくわずかであることから、知的財産の保護は新薬の研究開発への投資の回収において重要な役割を担っています。
当社グループは米国、日本、欧州の主要国において可能な限り当社独自の技術の特許保護を求めていきます。その他の国々についても、可能な国々において、選別したうえで特許保護を求めていきます。いずれの場合にも特許保護自体を取得するか、ライセンサーを通じて特許出願をサポートするよう努めています。特許は、当社グループが使用する技術を保護するための主要な手段です。特許は、医薬品に関する発明の他者による使用を排除する権利を保持者に付与します。当社グループの医薬品を保護するために、有効成分をカバーする物質特許、薬の用途、製造方法、製剤に関する特許等、様々な種類の特許を使用しています。当社グループの低分子化合物は、主に物質特許によって保護されています。通常は物質特許の存続期間終了をもって当該医薬品の市場独占権は失われますが、その後も当該物質の用途、用法、製造方法、新規組成または剤型に関する特許等の非物質特許によって、商業利益が保護されることがあります。物質特許が満了した場合でも、各国の関連法規制によるデータ保護制度により対象製品が保護されることもあります。当社グループのバイオ製品は1件以上の物質特許によって保護されることがありますが、製品によっては物質特許以外の特許または規制当局によるデータ保護、またはその両方が適用されることもあります。しかし、競合会社によって、同じ疾患に対する類似製品および(または)バイオシミラーが当社グループの特許を侵害することなく開発され、販売されることがあることから、バイオ製品にとって特許による保護の重要性は伝統的な医薬品に比べて低い場合があります。
米国では、原則として出願から20年で特許は満了しますが、米国特許商標庁の審査遅延による特許の発行遅延があ った場合は特許期間の調整が行われる可能性があります。また、製品、製品を使用した治療法、製品の製造方法に関する米国の医薬特許は、米国食品医薬品局(FDA)による製品の承認審査期間に応じて特許期間延長の対象となる場合があります。このような場合の存続期間の延長は5年を上限としており、製品の承認取得から14年を超える延長は認められません。FDAの遅延に基づく期間延長が認められるのは、1製品につき1件の特許のみです。FDAは、新規化合物または「オーファンドラッグ」に対しては、特許独占権に加えて、データあるいは市場の独占権を追加付与することがあり、これらは既にある特許保護期間と並行して存続します。データ保護規制またはデータ独占権は、ジェネリック医薬品を発売し得る競合他社が、先発品の安全性および有効性を確立する際にスポンサーが作成した臨床試験データを新規化合物については5年間、「オーファンドラッグ」(希少疾病用医薬品)については7年間使用できないようにするものです。市場独占権は、同一薬剤を同効(同じ適応症)に 対して販売することを禁止するものです。
日本では、有効成分については、特許庁が特許を付与します。用量や投与方法など、治療法は日本では特許の対象となりませんが、特定の投与方法・用量にて使用する医薬組成物や、医薬組成物の製造方法については、特許の対象となります。日本では原則として出願より20年で特許は満了します。医薬特許は、承認までの審査に要した時間により、5年を限度として延長されることがあります。また、日本ではデータ保護制度として「再審査期間」を設けており、その期間は新有効成分含有医薬品については8年、新効能・新医療用配合剤については4年から6年、オーファンドラッグについては10年となっています。
欧州連合(EU)では、欧州特許庁(EPO)または欧州各国で特許を申請することができます。EPOの制度では、EU全体およびスイス、トルコ等のいくつかのEU非加盟国での特許を一括申請することができます。EPOが特許を付与すれば、特許権者が指定する国々において特許が有効となります。EPOまたは欧州諸国のいずれかが認める特許の存続期間は、延長や調整があり得ますが、原則として出願から20年です。医薬品の特許は、補充的保護証明書(SPC)制度のもと、さらに追加の独占期間を付与されます。SPCは、特許権者が欧州医薬品庁または各国の規制当局から販売承認を受けるのに要した時間を補償する制度です。SPCにより、特許期間とあわせて、欧州で最初の販売承認を取得した日から最長15年の独占権を与えられます。ただし、SPCの最長期間は5年です。認可された小児臨床試験計画(PIP)によるデータが提出された製品であれば、6ヶ月の小児用医薬品に係るSPCの追加延長が認められます。SPC制度を含め、承認後の特許は、各国の法制度により運用されています。特許およびSPCに関する規制はそれぞれ欧州特許庁およびEUのレベルで作られましたが、国ごとの運用の違いにより、例えば、EU各国の国内裁判所で無効申立てされた場合など、必ずしも同じ結果にはつながりません。また、EUは承認されたヒト用医薬品につき、特許保護と並行してデータ独占権を与えています。現在承認されている医薬品に関する制度は、通常「8+2+1」と呼ばれています。これは、まず初めに競合他社が関連データに依拠することができないデータ保護期間が8年間、続いて競合他社が販売承認申請のために当該データを使用できるものの、競合品を上市することができない市場独占期間が2年間、さらに、スポンサーが最初のデータ保護期間8年間の間に、他の治療薬が存在しない適応症か「既存治療薬に比べて有意な臨床的有効性」が認められる新たな適応症を追加した場合、追加で1年間の市場独占権を認めるものです。これは各国での承認にもEUの中央審査による承認にも当てはまります。また、EUには米国に類似したオーファンドラッグの独占制度があります。医薬品がオーファンドラッグとして指定された場合、10年間の市場独占権が与えられ、この間当該医薬品と同じ適応症を持つ同様の医薬品には販売承認が付与されません。特定の条件下では、小児臨床試験計画の完了によるさらに2年間の小児用医薬品に係る延長が認められます。
当社グループ製品の関連特許満了後の後発品の市場参入や、競合他社によるOTC医薬品の発売等、当社グループは世界中で知的財産に関わる課題に直面しています。当社グループのグローバルジェネラルカウンセルは、知的財産権および法務の業務について監督責任を負っています。当社グループの知的財産部は、下記3つの優先事項に注力することにより、当社グループの全社的な戦略をサポートしています。
・疾患領域別ユニットの戦略に沿った自社製品および研究開発パイプラインの価値の最大化および関連する権利の保護
・パートナーとの提携サポートによる外部イノベーションのよりダイナミックな活用の促進
・新興国市場を含む世界各国での知的財産権取得および保護
当社グループの知的財産権が侵害されることは、それらの権利から得ることが期待される収益が失われるリスクとなるため、当社グループは特許やその他の知的財産を管理するための内部プロセスを整備しています。このプログラムでは、第三者からの侵害に継続的に警戒するとともに、当社グループの自社製品および活動が第三者の知的財産を侵害しないよう、研究開発段階から注意を払っています。
通常の事業活動において、当社グループの特許は第三者から異議の申し立てを受ける可能性があります。当社グループは、当事者として知的財産権に関する訴訟等に関与しております。継続中の重要な訴訟の詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
下表では、記載された製品について、対象地域ごとに、存続している物質特許およびデータ保護期間(以下、「RDP」)(米国およびEU)もしくは再審査期間(以下、「RP」)(日本)ならびに満了日を記載しております。RDPとRPについてはそれらの制度的な独占期間が特許満了日後にも与えられる場合にのみ記載しています。特許期間の延長(PTE)、補充的保護証明書(SPC)、小児用医薬品に係る独占期間(PEP)は当局により認められたものについては満了日に反映され、申請手続中で認められていないものについては、延長された満了日を別途記載しています。
当社グループのバイオ医薬品は、下記の特許満了期間に関わらず、同じ適応症に対する類似製品またはバイオシミラーを製造する他社との競争に直面するか、今後直面する可能性があります。また、欧州の特許の一部は、SPCにより、いくつかの国で下表に記載の満了期限を超えて対象製品に追加的な保護が付与されます。
製品名特許満了日(日本)
(注1)(注2)
特許満了日(米国)
(注1)
特許満了日(EU)
(注1)
消化器系疾患領域:
ENTYVIO
エンティビオ/エンタイビオ
特許: —

RP: 2026年7月(注2)
特許: 2021年9月

RDP: 2026年5月(注8)
特許: 2017年8月 (いくつかの国では2022年8月まで延長)
RDP: 2024年5月(注8)
DEXILANT
デクスラント
未発売特許: —特許: —
PANTOLOC /CONTROLOC
(PANTOPRAZOLE)
パントプラゾール
未発売特許: —特許: —
TAKECAB
タケキャブ(注3)
特許: 2031年8月
RP: 2022年12月(注2)
特許: — (注3)特許: — (注3)
GATTEX/REVESTIVE特許: —特許: — (注5)特許: —
RDP: 2024年9月
PENTASA(注4)特許: — (注4)特許: —特許: — (注4)
LIALDA/MEZAVANT(注3)
リアルダ(注3)
特許: — (注3)
RP: 2022年9月(注2)
特許: —特許: —
AMITIZA(注4) アミティーザ特許: — (注4)特許:2021年5月(注6)未発売
RESOLOR/MOTEGRITY未発売特許: —
RDP: 2023年12月
特許: —

製品名特許満了日(日本)
(注1)(注2)
特許満了日(米国)
(注1)
特許満了日(EU)
(注1)
希少代謝性疾患領域:
ELAPRASE(注3)
エラプレース
特許: —(注3)特許: —特許: —
REPLAGAL
リプレガル
特許: —未発売特許: —
VPRIV
ビプリブ
特許: —
RP: 2024年7月(注2)
特許: —特許: —
RDP: 2022年8月
NATPARA/NATPAR未発売特許: —
RDP: 2027年1月
特許: —
RDP: 2029年4月
希少血液疾患領域:
ADVATE
アドベイト
特許: —特許: —特許: —
ADYNOVATE/ADYNOVI
アディノベイト
特許: 2026年1月
RP: 2024年3月(注2)
特許: 2026年2月
RDP: 2027年11月
特許:特許権が付与されれば2028 年1月
RDP: 2028年1月
FEIBA(注7)
ファイバ
特許: —特許: —特許: —
HEMOFIL(注7)
ヘモフィル
未発売特許: —未発売
IMMUNATE(注7)未発売未発売特許: —
IMMUNINE(注7)未発売未発売特許: —
BEBULIN(注7)未発売特許: —未発売
PROTHROMPLEX(注7)未発売未発売特許: —
FACTOR VII(注7)未発売未発売特許: —
VONVENDI特許: —
RP: 2030年3月(注2)
特許: 2030年12月
RDP: 2027年12月
特許: —
RDP: 2028年8月
OBIZUR未発売特許: —
RDP: 2026年10月
特許: 2026年2月
RDP: 2025年11月
RIXUBIS
リクスビス
特許: —
RP: 2022年12月(注2)
特許: —特許: —
AGRYLIN/XAGRID
アグリリン
特許: —
RP: 2024年9月(注2)
特許: —特許: —
RECOMBINATE未発売特許: —未発売
遺伝性血管性浮腫領域:
FIRAZYR
フィラジル
特許: —
RP: 2028年9月(注2)
特許: —特許: —
TAKHZYRO特許:2031年1月
PTEが認められれば2035年9月まで延長
特許:2031 年12 月、2032 年2月、2032年3月
PTEが認められれば2032年8月まで延長
RDP: 2030年8月
特許:2031年1月(いくつかの国では2033年11月まで延長)
RDP: 2028年11月
KALBITOR未発売特許:2023年12月未発売
CINRYZE(注7)未発売特許: —特許: —

製品名特許満了日(日本)
(注1)(注2)
特許満了日(米国)
(注1)
特許満了日(EU)
(注1)
血漿由来の免疫疾患治療領域:
GAMMAGARDLIQUID(注7)未発売特許: —特許: —
HYQVIA(注7)未発売特許: —
RDP: 2026年9月
特許: —
RDP: 2024年5月
CUVITRU(注7)未発売特許: —
RDP: 2028年9月
特許: —
RDP: 2027年7月
FLEXBUMIN(注7)未発売特許: —特許: —
HUMANALBUMIN(注7)
アルブミン
未発売未発売特許: —
GLASSIA(注7)特許: —(注4)特許: —
RDP: 2022年7月
特許: —(注4)
ARALAST(注7)未発売特許: —未発売
CEPROTIN(注7)未発売特許: —特許: —
ANTITHROMBIN III(注7)未発売未発売特許: —
KENKETU-GLOVENIN-I
(注7)
献血グロベニンーI
特許: —未発売未発売
KENKETU-NONTHRON(注7)
献血ノンスロン
特許: —未発売未発売
KENKETU-ALUBMIN(注7)
献血アルブミン
特許: —未発売未発売
オンコロジー(がん)領域:
VELCADE(注3)
ベルケイド
特許: —(注3)特許: —特許: —(注3)
LEUPLIN/ENANTONE
リュープリン/ENANTONE
特許: —特許: —特許: —
NINLARO
ニンラーロ
特許: 2031年7月
RP: 2027年3月(注2)
特許: 2029年11月
RDP: 2022年11月
特許: 2031年11月
RDP: 2026年11月
ADCETRIS(注4)
アドセトリス
特許: 2026年4月
RP: 2024年1月(注2)
特許: —(注4)特許: 2027年10月
RDP: 2023年10月、2028年1月
ICLUSIG(注3)
アイクルシグ
特許: —(注3)特許: 2027年1月特許: —(注3)
ALUNBRIG)
アルンブリグ
特許: 2032年11月まで延長
RP: 2029年1月(注2)
特許: 2030年7月
PTEが認められれば2031年4月まで延長
RDP: 2024年4月
特許: 2029年5月
SPCが認められれば2033年11月まで延長
RDP: 2028年11月
VECTIBIX(注4)
ベクティビックス
特許: 2022年8月特許: —(注4)特許: —(注4)
CABOMETYX特許: 2024年9月
PTEが認められれば2029年9月まで延長
特許: —(注4)特許: —(注4)

製品名特許満了日(日本)
(注1)(注2)
特許満了日(米国)
(注1)
特許満了日(EU)
(注1)
ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域:
VYVANSE/ELVANSE
バイバンス/ビバンセ
特許: 2029年6月
RP: 2027年3月(注2)
特許: 2023年2月特許: 2024年6月 (いくつかの国では2028年2月または2029年3月まで延長)
TRINTELLIX(注4)
トリンテリックス
特許: 2027年10月
RP: 2027年9月(注2)
特許: 2026年6月
小児exclusivityが認められれば2026年12月まで延長
特許: — (注4)
ADDERALL XR未発売特許: —未発売
ROZEREM
ロゼレム
特許: 2022年3月特許: —未発売
REMINYL
レミニール
特許: —特許: —(注4)特許: —
INTUNIV
インチュニブ
特許: —
RP: 2025年3月(注2)
特許: —特許: —
RDP: 2025年9月
COPAXONE(注4)
コパキソン
特許: —
RP: 2025年9月(注2)
特許: —(注4)特許: —(注4)
AZILECT(注4)
アジレクト
特許: —
RP: 2026年3月(注2)
特許: —(注4)特許: —(注4)
MYDAYIS未発売特許: —未発売
EQUASYM未発売特許: —(注3)特許: —
CABATROL未発売特許: —未発売
その他:
AZILVA-F
アジルバ
特許: —
RP: 2021年10月(注2)
未発売未発売
NESINA/VIPIDIA-F
ネシーナ
特許: —(注3)特許: 2028年6月特許: 2028年9月
ULORIC(注4)
ユーロリック
特許: —(注4)特許: —特許: —(注4)
COLCRYS
コルクリス
未発売特許: —未発売
LOTRIGA(注4)
ロトリガ
特許: —特許: —(注4)特許: —(注4)

(注1) 表中の「—」は物質特許の満了または該当なしを表します。
(注2) 日本では、後発品の承認申請は、先発品の再審査期間終了後に行われ、規制当局による審査の後、承認、薬価収載されます。したがって、後発品は再審査期間の満了後から一定の期間を経て市場に参入します。
(注3) 本製品は、第三者への導出契約を締結しているため、全ての地域で当社グループが販売を行っているわけではありません。
(注4) 本製品は、特定の地域限定で第三者からの導入契約を締結しているため、全ての地域で当社グループが販売を行っているわけではありません。詳細については「ライセンスおよび共同研究開発契約」をご参照ください。
(注5) ANDA申請者との合意により、2023年3月以降に後発品が発売される可能性があります。
(注6) ANDA申請者との合意により、2021年1月以降(または一定の状況下でより早期)に後発品が発売される可能性があります。
(注7) これらの医薬品は血漿分画製剤です。
(注8) 当社は2032年に満了するENTYVIOに関連した特許を保有し、バイオシミラーの正確な参入時期について現時点では不確実性があります。