有価証券報告書-第144期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/29 14:30
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有報資料


当社の企業理念は以下の通りです。
私たちの存在意義(パーパス)
当社は、「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」ために存在しています。
私たちの価値観(バリュー)
当社は、「誠実:公正・正直・不屈」の精神で支えられた価値観に従います。当社は、これを道しるべとしながら「1.患者さんに寄り添い(Patient)、2.人々と信頼関係を築き(Trust)、3.社会的評価を向上させ(Reputation)、4.事業を発展させる(Business)」を日々の行動指針とします。
私たちが目指す未来(ビジョン)
当社のビジョンは、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために。私たちはこの約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける」ことです。
私たちの約束(インペラティブ)
当社には、患者さん、ともに働く仲間、そして地域社会に対して果たすべき責任があります。この「私たちの約束」は「私たちの存在意義」と「私たちが目指す未来」を実現するために欠かせない要素です。
すべての患者さんのために
・私たちは、倫理観をもってサイエンスの革新性を追求します。そして、人々の暮らしを豊かにする医薬品の創出に取り組みます。また、私たちの医薬品を、より多くの人々に迅速にお届けします。
ともに働く仲間のために
・私たちは、理想的な働き方を実現します。
いのちを育む地球のために
・私たちは、自然環境の保全に寄与します。
データとデジタル
・データとデジタルの力で、イノベーションを起こします。
世界の製薬産業においては、がん免疫療法や細胞療法、遺伝子治療等の新たな医療技術が登場しており、イノベーションのスピードはかつてよりも速くなっています。このような革新的な医療による成果が現れてきている一方、画期的なバイオ医薬品の研究開発費は高騰し、高齢化社会の進展等も相まって各国の医療制度は財政的課題に直面しております。このため、保険者は保険償還対象となる医薬品をより厳格に選定するようになっており、各国政府は後発品やバイオシミラーの使用を促進し、薬価引き下げの圧力を強めています。しかしながら、未だ満たされていない医療ニーズは多く存在しており、患者さんの医薬品アクセスを高め、持続可能なヘルスケアシステムを維持していくことを含め、研究開発型の製薬企業に期待される役割は大きくなっています。
このような経営環境の下、当社は、世界中の患者さんに画期的な医薬品と革新的な治療法をお届けし得る、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるという価値観を根幹とする、機動的でグローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業の実現に注力し、変革を続けています。2019年1月のShire plc.(以下、「Shire社」)の買収は、この変革の大きな一歩となりました。本買収は、事業展開の地域バランスの改善と米国をはじめとする主要な市場における競争力の源泉となる規模をもたらし、当社は、世界の大手製薬企業と伍していける力を得ました。連結売上収益に占める米国の割合は約半数にまで高まっております。また、本買収により、消化器系疾患およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の領域が強化され、希少疾患および血漿分画製剤の領域における主導的地位がもたらされました。さらに、本買収は、強固かつモダリティ(創薬手法)の多様な、高度に補完的なパイプラインを創出し、イノベーションにフォーカスした研究開発の原動力を強化することにつながっています。財務面においては、キャッシュ・フロー・プロファイルの拡大により、飛躍的な進歩が見込まれる医療技術への投資力が向上しており、株主に対する利益の還元についてもコミットしております。
Shire社の統合は、経験豊富で多様性に富んだ当社経営陣の指揮の下、当社の価値観を尊重しながら実行し基本的に完了しました。当社は、患者さんや社会、株主の皆様に長期的な価値をお届けできるよう、One Takedaとして事業運営を行っております。
当社は、地域戦略を着実に実行するため、「米国」、「日本」、「ヨーロッパおよびカナダ」、ならびに中国、中南米、中東およびアフリカ、アジア太平洋、ロシアおよびCIS(独立国家共同体)から構成される「成長新興国」の4つの地域ビジネスユニットを編成しています。このようにローカル中心のグローバル組織を構築することで、当社医薬品へのアクセス向上や患者さんが入手可能な価格設定といった各地域のニーズに迅速に対応することが可能となります。これら4つの地域ビジネスユニットに加え、専門性の高い領域であるオンコロジー(がん)、ワクチン、血漿分画製剤については、スペシャルティビジネスユニットを編成し、エンド・ツー・エンドの事業運営を行っております。
当社は、持続可能で中長期的な成長を促進するため、引き続き、以下の3つの戦略的優先事項に取り組んでまいります。
1) ビジネスエリアのフォーカス
消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の5つの主要ビジネスエリアにフォーカスします。
2) 研究開発の原動力
当社は、患者さんを中心に考えるサイエンス主導の企業として、サイエンスから人生を変えうるような高度に革新的な医薬品を創出する取り組みを進めております。疾患領域の絞り込み、先進的なパートナーシップモデルの推進、新規メカニズムや新たな専門性への投資を通じて、研究開発の原動力を構築しております。バイオ医薬品の中でも、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患・血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)および消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにもターゲットを絞った研究開発投資を行ってまいります。
2021年度は、研究開発体制の変革の取り組みの成果が現れ始める年であり、当社のパイプラインにとって転換期となります。当社は、2021年度において、5つから6つの新規候補物質の米国食品医薬品局(FDA)への承認申請および審査と、うち4つについては承認取得できることを見込んでおります。また、7つの新規候補物質については、合計10の適応症を対象としたピボタル試験を2021年度末までに実施している見込みです。近年、当社はパイプラインの変革を強力に推進してきました。これらパイプラインの価値を最大化するため、2021年度は研究開発投資を増額します。
3) 強固な財務プロファイル
当社は、利益率の中長期的な向上にフォーカスし、事業投資や負債の早期返済、株主へのキャッシュの還元のため、キャッシュ・フローを創出します。
当社では、純有利子負債/調整後EBITDA倍率を2021年度から2023年度の間に2倍台前半にすることを目標としております。この取り組みを加速させるため、約100億米ドルを目標にノン・コア資産の売却を進めてまいりましたが、2019年1月以降公表した12案件の殆どの売却は完了し、目標額を達成しました。
当社では、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。当年度と前年度の業績について、為替レートを一定として、事業等の売却影響や本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響等を控除し算定される「実質的な成長」は、事業活動のパフォーマンスを共通の基準で比較するものであり、投資家に追加的な情報を提供できるものと考えています。
その他の優先事項
上記の戦略的優先事項に加え、当社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行する中での最優先事項として、従業員ならびに従業員とともに業務に従事して頂いている方々、従業員の家族、また地域社会の健康を守るため、あらゆる方策を講じるとともに、患者さんが必要とされる医薬品を確実にお届けできるように取り組んでおります。当社の取り組みの詳細につきましては、(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による影響と当社の取り組み)をご参照ください。
また、当社は、目的主導型のサステナビリティに取り組んでおります。私たちは、グローバルバイオ医薬品企業として、患者さん、ともに働く仲間、株主の皆さん、保険者の方々、規制当局、政府、そして地域社会、それぞれに対しタケダが果たすべき責任を十分に理解しています。また、これらの環境・社会・ガバナンス(ESG)の責任を真摯に受けとめることで社会から受け入れられ、尊敬され、信頼を得ることができると考えています。
当社は、どのような非財務的課題が当社とステークホルダーにとって戦略的に重要かについての理解を深めるため、包括的な重要課題(マテリアリティ)の評価を2019年度に実施しました。この評価は当社の企業理念を策定するにあたり重要な資料となりました。重要なトピックを事業運営と戦略全体に組み込むことで、グローバルな課題解決に貢献するための資源配分と判断ができるようになります。
例えば、当社では、環境スチュワードシップへの取り組みの一環として、事業活動における温室効果ガス(GHG)の排出をゼロにし(スコープ1および2)、サプライヤーと協働して排出量を大幅に削減し(スコープ3)、スコープ3の残りの排出量を実証済みのカーボンオフセットで相殺することにより、2040年にバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを達成することを公表しております。2019年度には、当社内の省エネルギー対策、グリーンエネルギーの調達、ならびに再生可能エネルギー証書(REC)および高品質の検証済みカーボンオフセットへの投資に継続的かつ重点的に取り組んだ結果、当社のバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを達成しました。
コミュニティや患者さんが多様であるように、当社でも多様な人材を確保しております。ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)は、当社社内に限らず、当社が事業を運営し、患者さんに寄り添う地域社会においても、普遍的な価値観であると捉えており、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンを積極的に促進・改善することで偏見をなくし、良い変化を起こすことを目指しています。当社では、タケダ・エグゼクティブチームのメンバーが参画するダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン カウンシルを初めてグローバルに設置し、無意識の偏見や、より多様で公平でインクルーシブな職場を確保するための機会について、当社リーダーへのインタビューも実施しています。
医薬品アクセス戦略やグローバルCSRプログラムなど当社のESGへの取り組みは、複数のESG評価機関から高い評価を受けています。例えば、当社は、2021年1月に公表された2021年のAccess to Medicine Indexにおいて業界をリードする順位を獲得しました。当社は、「医薬品アクセスに対するガバナンス(Governance of Access)」のカテゴリーで首位になるなど、Access to Medicine Indexの評価対象である3つのカテゴリーすべてで高いスコアを獲得しました。また、医療制度の強化、コンプライアンス、研究開発の能力構築の領域でも優れた評価を得ました。
(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による影響と当社の取り組み)
① 当社の経営成績および財政状態に対するCOVID-19影響
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大が起きてから一年以上が経過しましたが、当社は、引き続きあらゆる取り組みを行っており、業界としても様々な支援を行っております。COVID-19に対するワクチンが広く普及しつつありますが、当社は、過去一年間実施してきた既存の当社プロトコールに加えて、各国・地域の公衆衛生関連規制を引き続き遵守し、COVID-19が当社の事業活動に及ぼす潜在的な影響を注視してまいります。
当社は、当社製品の需要動向について注視しておりますが、当社の医薬品は病院での待機手術を要しない重篤な慢性疾患や生命を脅かす恐れのある疾患に対するものが多く、これまでのところ影響は限定的です。グローバルなサプライチェーンにおいては、COVID-19の大流行による製品供給の重大な問題は発生しておらず、また、発生の可能性を予測しておりません。
この一年、当社は渡航制限や業界関連団体の集会への参加自粛、当社主催の集会の休止等、特定の事業活動を継続して自主的に制限しました。
新たな臨床試験については、COVID-19の流行拡大の初期に、治療薬候補である血漿分画製剤(CoVIg-19)を除き、臨床試験の開始を一時的に休止しました。同時に、すでに進行中の臨床試験についても、一部の例外を除き、新たな試験実施施設の組み入れならびに新規患者さんの登録を一時的に休止しましたが、これは一時的な措置であり、現在大部分の臨床試験は再開しております。
いくつかの臨床試験については、一定の遅延が見込まれており、再度、一時的に休止する可能性もありますが、臨床試験ごとに状況を注視するとともに、各国および各試験実施施設での状況も把握してまいります。
金融市場の動向は注視を続けており、流動性や資金調達に係る重要な問題は現在見込んでおりません。
② COVID-19影響軽減のための当社の取り組み
当社は、「私たちの価値観」(バリュー)に基づき、従業員の健康・安全確保、当社医薬品を必要とされている患者さんへの提供、当社従業員が就業・居住するコミュニティでの感染の軽減およびサポートを中心に引き続き取り組んでおります。
当社は、COVID-19の流行拡大に伴う様々な問題に対処するため、2020年1月に、グローバル危機管理委員会を始動させ、社内外の専門家の支援のもと、様々な対策を講じております。具体的には、COVID-19流行拡大に対する従業員向けガイダンスの策定、関連情報の提供、必須業務における感染対策の強化および職場毎の事例対応プロトコールの導入などが含まれます。また、本委員会では、職場復帰が可能と判断できた時点で、安全かつ段階的な復帰を支援するための包括的なチェックリストも作成しました。
当社は、従業員の安全を確保する措置として、在宅勤務ポリシーの適用を継続し拡充したIT技術によりこれを支援しています。テレワークのガイダンスは、医療従事者と関わる外勤の従業員も可能な限り対象として、世界中の従業員に広範囲で適用しております。また、製造施設や研究所、血漿収集センターであるBioLifeにおいて引き続き勤務する必要のある従業員については、ウイルス感染を軽減するための安全措置を強化しました。
グローバル危機管理委員会ならびにReturn to the Workplace(職場復帰対策)チームは、新型コロナウイルスの侵入と感染を抑制しながらも、事業を継続および強化していくために「新しい職場環境」をどのように作るべきかについて、ガイダンスを作成しました。新しい職場プランは、科学、疫学、地域の公衆衛生事情に基づき、各国の状況に合わせて調整しておりますが、地方自治体の方針および公衆衛生関連規制の遵守、フェイスカバーの使用や物理的な距離を保つことなどの感染予防対策を含めた職場の準備、当社の拠点における人口密度の低減、感染対策プロトコールの強化、個々の従業員の状況の考慮、慎重かつ段階的な実施など、共通原則・要件にも従っております。
また、当社のCOVID-19収束後の職場戦略においては、単一の戦略あるいは方針ではなく、基本方針、新しい職場のデザインに関するガイダンスおよびツールを策定・提供することで、各職場あるいは各機能のリーダーが、最適な職場環境を決定および導入できるようにしました。
今後の状況については常に注視していくものの、移動および大規模な集会に関する制限については継続し、不要不急の移動、大規模な集会の開催や参加については今後新たな方針が示されるまで引き続き休止してまいります。
外勤の従業員については、医療従事者との対面の訪問業務を一部再開したものの、現在も大部分はバーチャルで実施しております。対面の訪問業務は、医療従事者の合意の下でのみ、当社が定める厳格な感染予防対策に加え、公衆衛生上求められる対策および医療機関から求められる追加の対策も行った上で実施しております。
当社は赤十字社や国連主導の組織を含む非営利団体(国連世界食糧計画(国連WFP)、国連人口基金(UNFPA)、国際原子力機関(IAEA))に対する約25百万米ドルの寄付金や現物寄付、社員によるマッチング寄付を通じて、COVID-19対策を支援しております。
事業の継続性の維持の側面では、当社医薬品の製造代替業者の選定を含め、適正な在庫水準を管理し、当社医薬品を患者さんに継続的に提供できる施策を整備しています。当施策は、主要な出発物質、添加剤、医薬品原料、医薬品原薬(API)ならびに製品のグローバルなサプライチェーン全体に対して適用しております。当社は、当社の医薬品を必要とされる方々に確実にお届けできるよう、引き続き状況を注視し、あらゆる必要な措置を講じて製品供給の継続性を確保してまいります。
研究開発においては、患者さんへの治験薬の直接配送や潜在的な中断の可能性も勘案した臨床試験デザインの再検討を可能な限り実施しています。また、臨床試験に参加されている患者さんの遠隔モニタリングが可能となるデジタル技術についても、引き続き検証および構築を進めてまいります。
CoVIg-19 Plasma Allianceは、COVID-19に対抗する治療法を開発するという当社の取り組みの一つです。当社は、2020年4月にCSL Behring社や血漿分画製剤事業を営む複数社と結成したグローバルな提携体制であるCoVIg-19 Plasma Allianceに参画し、提携メンバーとともにCOVID-19による重篤な合併症のリスクを有する患者さんを治療できる可能性のある、抗コロナウイルス高度免疫グロブリン製剤(H-Ig)の開発・製造に取り組んでまいりました。H-Igは、米国国立衛生研究所(NIH)の米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が実施する国際臨床第3相試験において評価され、2021年3月に終了しました。臨床試験結果は評価項目を達成しませんでしたが、この難しいウイルスや、患者さんケアの方法について理解を深めることに当プログラムの結果が貢献することが期待されます。本試験の結果を受けて、CoVIg-19 Plasma Allianceの取り組みは終了しました。
また、当社は、CoVIg-19 Plasma Allianceの他に、COVID-19に対処するため様々な取り組みを進め、複数の既存製品およびパイプラインについて新型コロナウイルスに対する有効性を検証するとともに、グローバルな共同研究にも参画してまいりました。
さらに、当社は、日本におけるCOVID-19ワクチンの供給に係る2つの提携について公表しました。一つ目は、Novavax社のCOVID-19ワクチン候補であるNVX-CoV2373(日本での開発コード:TAK-019)の日本における開発、製造、流通に関する提携です。二つ目は、Moderna社のCOVID-19ワクチン候補であるmRNA-1273(日本での開発コード:TAK-919)の日本への輸入および供給に関するModerna社および厚生労働省との提携です。2021年5月、当社は日本における「TAK-919」の安全性および免疫原性を評価する国内臨床第1/2相試験の良好な結果を受けて、厚生労働省より製造販売承認を取得し、日本における供給を開始しております。また、当社は、IDT Biologika GmbH社(IDT社)と、Johnson & Johnson社グループのJanssen Pharmaceutical Companies社が開発した1回投与のCOVID-19ワクチンを製造するために、当社のデング熱ワクチン候補の製造用に確保していたIDT社の生産施設を活用することについて合意したことを公表しました。
③ COVID-19の世界的な拡大に伴う事業等のリスク
「2 事業等のリスク」をご参照ください。
④ 2020年度実績におけるCOVID-19影響
COVID-19の世界的な流行拡大に伴う、2020年度通期の連結業績への影響は軽微でありました。売上収益については、ニューロサイエンス(神経精神疾患)といった一部の疾患領域において、外出制限期間中に患者さんの医療機関訪問の頻度が減少する等のマイナス影響が見られました。この動向は、当年度を通じて変動してきました。これらのマイナス影響は、服薬の利便性の高い特定の製品の需要拡大が流行拡大の初期に見られる等、処方動向によるプラス影響により一部相殺されております。営業経費については、渡航制限や集会の自粛等、特定の事業活動を自主的に制限したことにより経費使用が減少しました。これらの結果、COVID-19の世界的な流行拡大による利益に対する影響は軽微でした。
[主要製品一覧]
消化器系疾患領域における主要製品は以下の通りです。
・エンティビオ/エンタイビオ(ベドリズマブ):「エンティビオ」は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎・クローン病に対する治療剤です。「エンティビオ」は、2014年に米国および欧州において発売以来、売上が伸長しており、2020年度の当社グループの売上トップ製品です。現在、「エンティビオ」は世界72カ国で承認されています。当社は本剤の可能性を最大化するため、その他の国においても本剤の承認取得を進め、さらなる適応症の開発を行うとともに、皮下注射製剤の開発を行います。2020年度の「エンティビオ」の売上収益は4,293億円となりました。
・タケキャブ(ボノプラザンフマル酸塩):酸関連疾患の治療剤「タケキャブ」は、2015年に日本で発売され、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制などの効能により飛躍的な成長を遂げました。2020年度の「タケキャブ」の売上収益は848億円となりました。
・GATTEX/REVESTIVE(テデュグルチド[DNA組換え型]):非経口(静脈栄養)サポートを必要とする短腸症候群(SBS)の治療薬です。2019年、米国FDAより、「GATTEX」の1才以上の小児SBS患者さんへの適応拡大が承認されました。2020年度の「GATTEX/REVESTIVE」の売上収益は646億円となりました。
・ALOFISEL(darvadstrocel):「ALOFISEL」は、非活動期/軽度活動期の成人の管腔型クローン病患者における、少なくとも一回以上の既存治療または生物学的製剤による治療が効果不十分であった肛囲複雑瘻孔に対する治療薬です。「ALOFISEL」は、2018年に欧州の中央審査により販売承認(MA)された、欧州初の同種異系幹細胞療法です。2020年度の「ALOFISEL」の売上収益は8億円となりました。
希少疾患領域における主要製品は以下の通りです。
・TAKHZYRO(Lanadelumab):「TAKHZYRO」は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作予防に用いられます。「TAKHZYRO」は、HAEの患者さんにおいて慢性的に制御不能な酵素である血漿カリクレインに選択的に結合し、減少させる完全ヒト型モノクローナル抗体です。「TAKHZYRO」は2018年に米国と欧州にて、2020年に中国にて承認され、さらなる地理的拡大を目指しています。2020年度の「TAKHZYRO」の売上収益は867億円となりました。
・アディノベイト(抗血友病因子(遺伝子組換え型) [PEG化]):「アディノベイト」は、血友病A治療薬であり、遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤です。「アディノベイト」は遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤「アドベイト」と同じ製造工程で作られ、当社がネクター社より独占的にライセンス取得しているPEG化(体内での循環時間を延長し、投与頻度を減らすための化学修飾処理)技術を追加したものです。2020年度の「アディノベイト」の売上収益は581億円となりました。
・NATPARA/NATPAR(副甲状腺ホルモン):「NATPARA/NATPAR」は、通常療法(カルシウムおよびビタミンDによる治療)で効果不十分な成人の慢性副甲状腺機能低下症(HPT)に対する治薬剤です。HPTは、副甲状腺からの副甲状腺ホルモン(PTH)分泌量不足、または分泌されたPTHの不活性によって起こる希少疾患です。2019年9月、当社は、「NATPARA/NATPAR」のカートリッジのゴム製隔壁部分由来のゴム小片がカートリッジ内に混入する可能性があることが判明したため、米国FDAとの協議に基づき、米国において「NATPARA」全ての用量を回収しました。当社は、2022年3月期に当該製品の米国での売上を想定しておりませんが、早期の事案解決と供給再開に向けて米国FDAと緊密に連携してまいります。米国以外の地域では「NATPARA/NATPAR」は引き続き使用可能です。2020年度の「NATPARA/NATPAR」の売上収益は36億円となりました。
・エラプレース(イデュルスルファーゼ):「エラプレース」は、ハンター症候群(ムコ多糖症II型またはMPS II)に対する酵素補充治療薬です。2020年度の「エラプレース」の売上収益は688億円となりました。
・リプレガル(アガルシダーゼ アルファ):「リプレガル」は、ファブリー病に対して米国以外の市場で販売され、2020年に中国でも承認された酵素補充療法治療薬です。ファブリー病は、脂肪の分解に関与するリソソーム酵素α-ガラクトシダーゼAの活性の欠如に起因する遺伝子性の希少疾患です。2020年度の「リプレガル」の売上収益は518億円となりました。
・ビプリブ(ベラグルセラーゼ アルファ点滴静注用):「ビプリブ」はI型ゴーシェ病に対する酵素補充療法治療薬です。2020年度の「ビプリブ」の売上収益は385億円となりました。
血漿分画製剤領域における主要製品は以下の通りです。
・GAMMAGARD LIQUID(静注用人免疫グロブリン10%製剤):「GAMMAGARD LIQUID」は、抗体補充療法用免疫グロブリン(以下、「IG」)の液体製剤です。「GAMMAGARD LIQUID」は、原発性免疫不全症(PID)の成人および2歳以上の小児患者に対して使用され、静注または皮下注のいずれかの方法で投与します。また、「GAMMAGARD LIQUID」は、成人の多巣性運動ニューロパチー症(MMN)患者に対しても静注投与にて使用されます。「GAMMAGARD LIQUID」は、米国以外の多くの国で製品名「KIOVIG」として販売されています。「KIOVIG」は、欧州においてPIDおよび特定の二次免疫不全症患者、ならびに成人のMMN患者への使用が承認されています。
・GAMMAGARD S/D(静注用人免疫グロブリン製剤):「GAMMAGARD S/D」は、5%溶液中のIgA含量は1μg/mL未満であり、2歳以上の原発性免疫不全症(PID)患者の治療に使われます。「GAMMAGARD S/D」は、低ガンマグロブリン血症およびB細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)による再発性細菌感染症における細菌感染症の予防、成人の慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者における血小板増加および出血予防・抑制、小児患者における川崎病による冠動脈瘤の出血予防・抑制にも使用されます。「GAMMAGARD S/D」は、IgA含量の低い静注治療(5%溶液中のIgA含量1μg/mL未満)が必要な患者に使用されます。
・HYQVIA(免疫グロブリン注射製剤10%(ヒト)):「HYQVIA」は、人免疫グロブリン(IG)および遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme社よりライセンス取得)からなる製剤です。「HYQVIA」は、PID患者に対して最長で1ヶ月に1回の投与で、1回あたりの注射部位一か所でIGの全治療用量を投与出来る、唯一のIG皮下注用治療薬です。「HYQVIA」は、米国では成人PID患者への使用、また欧州においてPID症候群および骨髄腫患者または重度の続発性低ガンマグロブリン血症および回帰感染を伴う慢性リンパ性白血病患者への使用が承認されております。
・CUVITRU:「CUVITRU」は、ヒト免疫グロブリン(IGSC)皮下注用20%製剤であり、原発性体液性免疫不全症の成人および2歳以上の小児患者に対する補充療法に用いられます。「CUVITRU」は、欧州では特定の二次免疫不全の治療薬としても承認されています。「CUVITRU」は、プロリン不含で、投与部位1か所あたりの耐用量内で最大60 mL(12g)および1時間あたり60 mLまで投与可能な唯一の20%皮下IG治療法であり、従来の皮下IG治療法と比較してより少ない投与部位および短い投与時間での使用が可能です。2020年度の「GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG」「GAMMAGARD S/D」「HYQVIA」「CUVITRU」を含む免疫グロブリン製剤の売上収益は3,349億円となりました。
・LEXBUMIN(ヒトアルブミン):「FLEXBUMIN」(ヒトアルブミンバッグ製剤)およびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤)は、濃度5%および25%の液体製剤として販売されています。両製品とも、血液量減少症、一般的な原因および火傷による低アルブミン血症、ならびに心肺バイパス手術時のポンプのプライミングに使用されます。また、「FLEXBUMIN」25%製剤は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびネフローゼに関連する低アルブミン血症、ならびに新生児溶血性疾患(HDN)にも適応されます。2020年度のFLEXBUMINおよびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤入り)を含むアルブミン製剤の売上収益は576億円となりました。
オンコロジー領域における主要製品は以下の通りです。
・ニンラーロ(イキサゾミブ):「ニンラーロ」は、多発性骨髄腫(MM)治療に対する初めての経口プロテアソーム阻害剤です。「ニンラーロ」は、再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能で、2015年に米国で発売されて以来売上を大幅に伸ばし、2016年に欧州、2017年に日本、2018年に中国で承認されております。当社グループは現在、多発性骨髄腫の維持療法の開発を実施し、適応患者層の拡大を目指しています。2020年度の「ニンラーロ」の売上収益は874億円となりました。
・アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン):「アドセトリス」は、ホジキンリンパ腫(HL)および全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の治療に使用される抗癌剤です。「アドセトリス」は、世界70カ国以上で規制当局から販売承認を受けており、2020年5月には中国で承認されました。当社は、Seagen社と「アドセトリス」を共同開発し、米国およびカナダ以外の国での販売権を保有しています。2020年度の「アドセトリス」の売上収益は594億円となりました。
・アルンブリグ(brigatinib):「アルンブリグ」は、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に使用される経口投与の低分子未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤です。2017年に米国で迅速承認され、2018年に欧州委員会より製造販売承認を取得しました。2020年5月に新たにALK陽性転移性NSCLCと診断された患者さんに対する効能が追加されました。2020年度の「アルンブリグ」の売上収益は88億円となりました。
ニューロサイエンス領域における主要製品は以下の通りです。
・バイバンス/ビバンセ(リスデキサンフェタミンメシル酸塩):「バイバンス」は、6歳以上の注意欠陥・多動性障害(AD/HD)患者および成人の中程度から重度の過食性障害患者の治療に用いられる中枢神経刺激剤です。2020年度における「バイバンス」の売上収益は2,715億円となりました。
・トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩):「トリンテリックス」は、成人大うつ病性障害の治療に適応される抗うつ薬です。「トリンテリックス」はH. Lundbeck A/S社と共同開発し、当社は米国および日本での販売権を保有しており、米国では2014年、また日本では2019年より販売しています。2020年度の「トリンテリックス」の売上収益は689億円となりました。

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学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。