有価証券報告書-第195期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/19 13:31
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【項目】
128項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度のわが国経済は、金融緩和などの経済政策や円安の急激な進行等の影響により、企業収益は改善の動きがみられ、雇用情勢も改善傾向にあり、景気は引き続き回復基調のもと推移いたしました。世界経済においては、米国では個人消費の増加により着実な景気回復が続き、中国では成長が鈍化しつつも緩やかな拡大傾向が続いております。また、欧州においても、先行きに不透明感は残るものの、景気は持ち直しの動きが続いております。
医薬品業界では、後発医薬品の使用促進の動きが加速するなど、世界的に医療費抑制策が進む一方で、アンメット・メディカル・ニーズに対応した医薬品の開発や、より高い安全性の要求により、研究開発コストが増大する傾向にあるなか、再生医療技術の実用化などの新しい事業領域への取組に加え、バイオベンチャーの買収や新興国市場への進出などの動きが見られます。
このような状況のもと、当社グループは、国内において、戦略品である高血圧症治療剤「アイミクス」およびパーキンソン病治療剤「トレリーフ」の販売拡大に努めるとともに、ビグアナイド系経口血糖降下剤「メトグルコ」等の売上最大化を図るべく情報提供活動に注力いたしました。
海外では、米国子会社のサノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下「サノビオン社」)が、グローバル戦略品である非定型抗精神病薬「ラツーダ」(一般名:ルラシドン塩酸塩)のさらなる販売拡大に向けた活動を全社をあげて推進しました。なお、「ラツーダ」については、昨年8月に、サノビオン・ファーマシューティカルズ・ヨーロッパ・リミテッドが英国において販売を開始いたしました。
また、サノビオン社では、昨年4月に抗てんかん剤「アプティオム」の米国での販売を開始いたしました。
さらに、ボストン・バイオメディカル・インク(以下「BBI社」)においては、現在開発中である固形がん治療剤BBI608およびBBI503の米国での早期上市に向け、開発活動に注力いたしました。
当連結会計年度の業績は、国内では、昨年4月に実施された薬価改定や後発医薬品の使用促進策が急速に浸透するなど厳しい事業環境のなか、大幅な減収となりました。北米では、催眠鎮静剤「ルネスタ」が昨年4月に独占販売期間が満了したことにより大幅な売上減少となったものの、「ラツーダ」の売上拡大に加え、円安の影響もあり、増収となりました。また、中国では、カルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」が大きく伸長しました。しかしながら、国内の減収の影響が大きく、連結売上高は3,713億70百万円(前連結会計年度比4.2%減)となりました。販売費及び一般管理費は、国内では販売関連費用を中心に費用の一層の削減に努めましたが、米国において「ラツーダ」のさらなる売上拡大のための広告宣伝費等の販売関連費用および臨床開発費が増加したため、全体では増加いたしました。この結果、営業利益は232億75百万円(前連結会計年度比44.8%減)、経常利益は233億31百万円(前連結会計年度比42.6%減)となりました。また、特別損益として、固定資産売却益や生産拠点の再編に伴う減損損失等を計上した結果、当期純利益は154億47百万円(前連結会計年度比23.0%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
①日本
「アイミクス」および「トレリーフ」の戦略品2剤に加えて、「メトグルコ」や速効型インスリン分泌促進剤「シュアポスト」は伸長しましたが、薬価改定や後発医薬品の使用促進策の浸透による長期収載品の売上減少を補うことはできず、売上高は1,565億64百万円(前連結会計年度比8.9%減)となりました。利益面では、販売関連費用の削減努力により研究開発費を除く販売費及び一般管理費は減少しましたが、売上減少の影響が大きく、セグメント利益は505億71百万円(前連結会計年度比16.9%減)となりました。
②北米
独占販売期間が満了した「ルネスタ」の売上は大きく減少しましたが、双極Ⅰ型障害うつに対する効能追加を前連結会計年度に取得した「ラツーダ」が大きく伸長したことに加え、円安の影響もあり、売上高は1,481億78百万円(前連結会計年度比2.0%増)となりました。利益面では、「ラツーダ」の広告宣伝費をはじめとする販売関連費用や、政府管掌の保険制度を通じて販売された先発医薬品の売上に係るフィーが大幅に増加しましたが、売上高の増加と「ルネスタ」に係る特許権の減価償却が終了したことにより、セグメント利益は347億16百万円(前連結会計年度比2.5%増)となりました。
③中国
主力の「メロペン」を中心に大きく売上が拡大した結果、売上高は171億45百万円(前連結会計年度比43.7%増)となりました。利益面では、販売関連費用等が増加しましたが、セグメント利益は62億48百万円(前連結会計年度比96.4%増)となりました。
④海外その他
製品導出に伴う工業所有権収入が大きく減少したため、売上高は87億84百万円(前連結会計年度比47.4%減)となりました。利益面では、英国での「ラツーダ」の発売による販売関連費用の増加等により、セグメント利益は8億36百万円(前連結会計年度比92.6%減)となりました。
上記報告セグメントのほか、当社グループは、食品素材・食品添加物および化学製品材料、動物用医薬品、診断薬等の販売を行っており、それらの事業の売上高は406億97百万円(前連結会計年度比2.8%減)、セグメント利益は22億7百万円(前連結会計年度比17.4%減)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少等の増加要因がありましたが、減価償却費等の非資金費用が減少したことや法人税等の支払額が増加したこと等により、前連結会計年度と比較して196億92百万円収入が減少し、302億51百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入の増加や、有価証券の償還による収入が取得による支出を上回ったこと等により、前連結会計年度と比較して496億56百万円収入が増加し、234億47百万円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や配当金の支払等であり、前連結会計年度と比較して114億39百万円支出が減少し、157億25百万円の支出となりました。
また、現金及び現金同等物の為替換算による影響額としてプラスの107億3百万円を加えた結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,227億94百万円となり、前連結会計年度末と比べて488億75百万円増加しました。