有価証券報告書-第203期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/27 16:44
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有報資料

当社は、「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」を企業理念として掲げ、事業活動を進めています。
少子高齢化社会の進展、パンデミックなどの社会課題を背景に、精神神経領域およびがん領域の医療ニーズは拡大していくことが予想されます。また、医療ニーズはますます高度化しており、多様なモダリティを駆使し、デジタルとリアルが融合した生活と人々の価値観に寄り添うヘルスケア課題の解決が社会から期待されています。
かかる環境において、当社グループは、変わりゆくヘルスケア課題の解決に貢献するため、2019年4月に策定したビジョン「もっと、ずっと、健やかに。最先端の技術と英知で、未来を切り拓く企業」に基づき、精神神経領域およびがん領域を重点疾患領域とし、医薬品、再生・細胞医薬、非医薬等による多様なアプローチで人々の健康で豊かな生活に貢献してまいります。また、その他領域においても、保有アセットを生かし、確かな価値を患者さんに届けてまいります。これにより、2033年に「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」の地位を確立することを目指します。
当社は、このビジョンのもと、2023年度を起点とする5か年の「中期経営計画2027」を2023年4月に策定しました。

なお、当社は、グループ一体経営を推進するため、米国グループ会社の再編を契機に、2023年7月1日付けで理念体系を再構成し、理念、バリューおよび行動宣言をグループ全体で共有するフィロソフィとして、グループ内への浸透を進めます。
併せて、当社の理念の実践により、持続可能な社会実現に貢献し持続的な企業価値向上につなげることを「サステナビリティ経営」と定義します。
理念(当社の存在意義、社会に対する約束・使命)
人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する
バリュー(全役員・従業員が共有すべき価値観)
Patient First
Always with Integrity
One Diverse Team
行動宣言(日々の業務において守るべき行動規範)
1."Innovation today, healthier tomorrows" の実現に取り組みます
2.誠実な企業活動を行います
3.積極的な情報開示と適正な情報管理を行います
4.自らの能力を高め、協働します
5.人権を尊重します
6.地球環境問題に積極的に取り組みます
7.社会との調和を図ります
中期経営計画2027
① 基本方針
「事業構造および経営体質の質的転換を図る」
非定型抗精神病薬「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了後の再成長および「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」の地位確立に向けた足場を築く期間として、進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」および過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」(以下「基幹3製品」)の価値最大化を中心とした持続的な成長を支える収益基盤の確立ならびに自社起源のイノベーションを事業として結実させるための研究開発に取り組み、事業構造の転換を図ってまいります。同時に、米国グループ会社の再編を契機にグループ経営体制を再編し、しなやかで効率的な経営基盤への変革に取り組んでまいります。
② 重点課題
ⅰ.事業収益力の強化
北米では、基幹3製品の早期価値最大化に最注力するとともに、米国グループ会社の再編を着実に推進することにより、シナジーの実現に取り組んでまいります。日本では、注力製品および新製品の価値最大化に注力し、事業収益を確保するとともに、再生・細胞医薬事業およびフロンティア事業の強化に取り組んでまいります。中国・アジアでは、製品ラインナップを拡充させるとともに、販売国の拡大等により、収益と利益の最大化に取り組んでまいります。
ⅱ.自社イノベーションの結実
ulotaront(開発コード:SEP-363856)、他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞(開発コード:DSP-1083)等の後期開発品目の開発を加速させ、確実に上市させるべく取り組んでまいります。
初期開発品目の中から優先品目を早期に選抜し、自社開発を加速させるとともに、外部提携を含めた適切な手段で保有パイプラインの価値最大化を追求し、適正投資配分を実現してまいります。
創薬研究においては、トランスレーショナル研究、バイオマーカー研究およびモダリティ技術において独自性の高い創薬基盤を更に強化するとともに、データ駆動型創薬を推進し、病態の本質を捉えた開発候補品目を継続的に創出することを目指してまいります。
2028年度から始まる次期中期経営計画の期間での収益の柱に育成するべく、再生・細胞医薬事業およびフロンティア事業を本格化させてまいります。
薬剤耐性菌感染症治療薬およびワクチンの研究開発を外部連携により推進し、グローバルヘルスへの貢献に取り組んでまいります。
ⅲ.グループガバナンスの強化
米国グループ会社の再編を契機として、迅速かつグループ最適な事業判断ができる経営体制の構築に取り組んでまいります。
ⅳ.デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速
当社のデジタル基盤(DrugOMEおよびDigital Innovation)を最大限に活用し、データドリブンな意思決定のもと、すべての人材が継続的に業務変革と価値創造に取り組み、自律推進する組織への変革に取り組んでまいります。
ⅴ.企業文化の浸透と人材戦略
フィロソフィの浸透を通じてグループ一体経営を推進するとともに、グローバル人事マネジメント基盤の構築に着手し、グループが緊密に連携し、一体となって目標を達成するための人材ポートフォリオの構築に取り組んでまいります。
③ 経営目標
ⅰ.財務値
PL/CF2023年度2024~2027年度
売上収益3,620億円2023年度を起点としてCAGR12%以上
コア営業利益△620億円累計1,920億円以上
営業キャッシュ・フロー△1,300億円累計2,700億円以上
ROIC△8.5%累計6.5%以上
ROE△21.9%累計8%以上

BS2027年度末
ネットD/Eレシオ0.5以下
有利子負債残高2,000億円以下
親会社所有者帰属持分比率40%以上

(注)1.為替レート:1ドル130円、1元19.5円
2.各目標値は成功確率調整後
3.CAGR:Compound Annual Growth Rate(年平均成長率)
4.ROIC=(コア営業利益-法人所得税)/(資本+有利子負債)
ⅱ.長期的なROE目標
2028年度から始まる次期中期経営計画においては、ROE10%を目指してまいります。
ⅲ.配当方針
当社は、業績に裏付けられた成果を適切に配分することを重視しており、安定的な配当に加えて、業績向上に連動した増配を行うことを配当の基本方針としています。
本基本方針に則り、「中期経営計画2027」の期間においては、コア営業損失を見込む2023年度は無配の方針、コア営業利益を見込む2024年度は復配の方針とし、その後は安定配当を目指します。
ⅳ.投資方針
自社アセットへの研究開発投資を最優先とします。M&A、導入等については財務目標値に大きな影響を与えない範囲での投資とします。
2023年度活動方針
当社グループの2023年度の事業活動方針は、次のとおりです。
「中期経営計画2027」の基本方針に基づき、経営目標の達成に向けて積極的に事業活動を推進してまいります。
① サステナビリティ経営
当社グループは、サステナビリティ経営を実践していくための重要課題(マテリアルイシュー)を社会からの期待と企業価値向上への影響度の観点から見直し、「革新的な医薬品と医療ソリューションの創出」を最も重要なマテリアルイシューとして掲げました。また、マテリアルイシューのそれぞれに目標およびKPIを設定しました。当社グループは、マテリアルイシューに取り組み、サステナビリティ経営を実践することにより、社会の持続可能性への貢献と当社の持続的成長の実現を目指してまいります。
「中期経営計画2027」の初年度である2023年度は、サステナビリティ経営の実践として以下の事業活動と研究開発活動を推進してまいります。

② 各セグメントにおける事業活動
ⅰ.北米セグメント
米国グループ会社の再編を着実に推進し、Sunovion Pharmaceutical Inc.(2023年7月に「Sumitomo Pharma America, Inc.」に商号変更予定)のもと、「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了後の再成長を担う「オルゴビクス」、「マイフェンブリー」および「ジェムテサ」の早期の価値最大化を達成すべく、北米における事業を運営してまいります。特に「オルゴビクス」および「マイフェンブリー」については、Pfizer Inc.とのコ・プロモーションにより、引き続き市場浸透および販売拡大に注力してまいります。抗てんかん剤「アプティオム」および小児先天性無胸腺症治療剤「リサイミック」についても、販売拡大に努めてまいります。
ⅱ.日本セグメント
薬価改定などの薬剤費抑制策により厳しさを増す市場環境に対応すべく、より一層の効率的な事業運営を推進してまいります。精神神経領域では、「ラツーダ」および非定型抗精神病薬「ロナセンテープ」の販売拡大に努めてまいります。糖尿病領域では、2型糖尿病治療剤「ツイミーグ」、「エクア」および「エクメット」の販売拡大に努めてまいります。また、引き続き、再生・細胞医薬事業の事業基盤確立に向けた取組を進めるとともに、フロンティア事業の本格化に向けた取組の強化に努めてまいります。
ⅲ.中国セグメントおよびアジア
当社グループは、中国を第3の柱として基盤強化に取り組むとともに、アジアを成長市場として捉えて足場固めを推進してまいります。
中国セグメントでは、2023年度は、薬剤費抑制策の影響を見極め、引き続きカルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」、「ラツーダ」などの販売に注力してまいります。
アジアでは、自社パイプラインに適した国での事業拡大を進めるとともに、提携企業との連携による「メロペン」および「ラツーダ」の販売拡大に努めてまいります。また、杏林製薬株式会社から台湾等における開発、製造および販売に関するライセンスを取得した過活動膀胱治療剤ビベグロンについても、事業展開を推進してまいります。
③ 研究開発活動
当社グループは、「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」を2033年の目指す姿として掲げています。アンメット・メディカル・ニーズが高い精神神経領域およびがん領域を重点疾患領域とし、これまで紡ぎあげてきた当社グループの経験と知識を最大限生かせるこれらの領域において、引き続き、医薬品、再生・細胞医薬、非医薬等の研究開発に積極的に取り組んでまいります。また、その他領域においても保有アセットを生かし、確かな価値を患者さんに届けるべく、着実な研究開発を推進してまいります。創薬研究においては、トランスレーショナル研究、バイオマーカー研究およびモダリティ技術において独自性の高い創薬基盤を更に強化するとともに、データ駆動型創薬を推進し、病態の本質を捉えた開発候補品目を継続的に創出することを目指してまいります。
ⅰ.精神神経領域
後期開発品であるulotarontについて、統合失調症を適応症とした米国での承認申請ならびに日本および中国でのフェーズ2/3試験を着実に推進してまいります。また、2022年度に開始した大うつ病補助療法を対象とした米国でのフェーズ2/3試験ならびに全般不安症を対象とした米国および日本でのフェーズ2/3試験を推進してまいります。同じく後期開発品であるSEP-4199について、双極Ⅰ型障害うつを対象とした米国および日本でのフェーズ3試験を推進してまいります。さらに、特長ある初期開発品のフェーズ1試験を着実に推進するとともに、有効性を適切に見極め、パイプラインの一層の充実を図ります。
他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞について、パーキンソン病を適応症とした日本での承認申請に向けた対応および2023年度中の米国での治験開始に向けた対応を着実に進めてまいります。また、他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞について、網膜色素上皮裂孔を対象として、2023年度中の国内企業治験開始を目指し、早期に治療効果を見極めるべくプロジェクトを推進してまいります。
社交不安障害を対象として開発中のVRコンテンツ(開発コード:BVR-100)について、米国での臨床試験開始に向けた対応を提携先とともに進めてまいります。また、うつを対象とした簡易型脳波計として開発中のウェアラブル脳波計について、日本での医療機器認証取得に向けた対応を着実に推進してまいります。
ⅱ.がん領域
DSP-5336およびTP-3654に資源を集中させ、DSP-5336は急性白血病、TP-3654は骨髄線維症をそれぞれ適応症とした承認の早期取得と価値最大化を目指し、引き続き開発を推進してまいります。
ⅲ.その他領域
「ジェムテサ」について、米国での前立腺肥大に伴う過活動膀胱に対する適応追加申請ならびに欧州、中国および台湾での過活動膀胱を適応症とした承認申請に向けた対応を着実に推進してまいります。
rodatristat ethylについて、米国での肺動脈性肺高血圧症を対象としたフェーズ2試験を着実に推進してまいります。
lefamulinについて、中国での細菌性市中肺炎を適応症とした承認取得に向けた対応を着実に推進してまいります。
ユニバーサルインフルエンザワクチンについて、医薬基盤・健康・栄養研究所との共同研究では前臨床研究を推進し、2023年度中のフェーズ1試験の開始に向けた準備を進めてまいります。なお、本共同研究は、AMEDのCiCLEに係る研究開発課題として採択されており、AMEDからの委託研究開発費を活用しています。
KSP-1007について、米国でのフェーズ1試験の結果を踏まえ、次のフェーズへの移行に向けた取組を推進してまいります。
株主還元
中期経営計画2027 ③経営目標 ⅲ. 配当方針 に記載のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

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