四半期報告書-第25期第1四半期(平成26年4月1日-平成26年6月30日)

【提出】
2014/08/14 9:56
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【項目】
12項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
当第1四半期連結累計期間の経営成績及び分析は以下のとおりです。
(1)業績の状況
連結経営成績
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年同期比
売上収益70236165
売上総利益31213181
営業利益(△損失)△224△79144
四半期利益(△損失)△222△104118

(売上収益、売上総利益)
当第1四半期連結累計期間の売上収益は、前第1四半期連結累計期間に比べ236.5%増加し、236百万円となりました。これは主に「シーブリ」(NVA237)*及び「ウルティブロ」(QVA149)*のロイヤリティの増加によるものです。
(営業損益)
当第1四半期連結累計期間の営業損益は、前第1四半期連結累計期間に比べ144百万円改善し、79百万円の損失となりました。これは主に上記の売上収益の増加によるものです。
(四半期損益)
当第1四半期連結累計期間の四半期損益は、前第1四半期連結累計期間に比べ118百万円改善し、104百万円の損失となりました。これは主に上記の売上収益の増加によるものです。
* SeebriⓇ BreezhalerⓇ(欧州)/シーブリⓇ吸入用カプセル50μg(日本)及びUltibroⓇ BreezhalerⓇ(欧州)/ウルティブロⓇ吸入 用カプセル(日本)は当社グループの導出先であるノバルティス社の登録商標です。
研究開発費、販売費及び一般管理費の内訳
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年同期比
研究開発費67702
販売費及び一般管理費18822335
(内訳)人件費8179△1
委託費578528
その他50588

(研究開発費、販売費及び一般管理費)
当第1四半期連結累計期間の研究開発費は、前第1四半期連結累計期間に比べ2百万円増加し70百万円となりました。販売費及び一般管理費は、前第1四半期連結累計期間に比べ35百万円増加し、223百万円となりました。これは主にIFRS導入のための費用が増加したこと等によるものです。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
(国内医薬事業)
当第1四半期連結累計期間における国内医薬事業の売上収益は、前第1四半期連結累計期間に比べ17百万円減少し、25百万円となりました。これは当第1四半期連結累計期間において、オーストラリア向けのサンド社へのノルレボ錠の売上が減少したことによるものです。また営業損益は前第1四半期連結累計期間に比べ15百万円改善し、98百万円の営業損失となりました。
(海外医薬事業)
当第1四半期連結累計期間における海外医薬事業の売上収益は、前第1四半期連結累計期間に比べ183百万円増加し、210百万円となりました。これは当第1四半期連結累計期間においてはNVA237及びQVA149のロイヤリティ収入が増加していることによるものです。また営業損益は前第1四半期連結累計期間に比べ114百万円改善し、34百万円の営業利益となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年同期比
営業活動によるキャッシュ・フロー△302321623
投資活動によるキャッシュ・フロー△61△78△16
財務活動によるキャッシュ・フロー36-△36

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、前受金が300百万円増加したことなどにより321百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、資産計上された開発費に関連する支出が73百万円あったことなどにより、78百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローについては、関連する支出はありませんでした。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間においては、主にSO-1105(口腔咽頭カンジダ症)及びナノ粉砕化技術の実用化に向けての開発を行いました。その結果、研究開発費は70百万円(前年同四半期比3.4%増)となりました。なお、NVA237、QVA149につきましては、導出先のノバルティス・インターナショナルAG(以下、「ノバルティス社」)によって開発が進められており、当社グループには開発費用負担は生じません。また資産計上の要件を満たす一部の開発費用については、無形資産に計上しております。
各開発品等の進捗に関するセグメント別の詳細は以下のとおりです。
① 国内医薬事業
■SO-1105(適応:口腔咽頭カンジダ症)
開発段階:第Ⅲ相臨床試験中
SO-1105は免疫機能の低下した患者等に発症する口腔咽頭カンジダ症を治療する口腔粘膜付着性の抗真菌剤です。口腔咽頭カンジダ症とは、真菌に属する主としてCandida albicans(カンジダ・アルビカンス)の感染により引き起こされる口腔及び咽頭内の炎症性粘膜疾患であり、HIV感染等による免疫不全患者や糖尿病のような慢性的な疾病の患者に多く見られます。本剤は、ビオアリヤンス社(BioAlliance Pharma、フランス)が開発し、2006年10月にフランスで初めて承認を取得して以来、現在までに欧州の24ヵ国、米国や韓国において承認されております。当社グループは、本剤を日本でも患者様の利便性に貢献することができる製品と判断し、SO-1105の日本における独占開発販売権を、2011年5月にビオアリヤンス社より取得いたしました。
また、当社グループは2014年2月に、富士フイルムファーマ株式会社と国内における独占販売に係る契約を締結いたしました。
現在は、本開発品の有効性及び安全性を検証する第Ⅲ相臨床試験が進行中であり、本年度内に終了する見込みです。
■APNT(Activus Pure Nano-particle Technology):ナノ粉砕化技術
APNTは、難溶性の医薬品原料を、不純物の混入を最小限に防ぎつつ、50-200nm(ナノメートル)レベルの結晶粒子径に粉砕することが可能であるという点で、既存技術に対する差別化が可能な技術です。この特徴を活かし、これまで開発が困難であった難溶性薬物の注射、点眼、吸入製剤などへの応用で優位性を示すことができます。2013年以降、当社の連結子会社である株式会社アクティバスファーマの持つ粉砕化技術に関する基本特許が国内外で成立しており、今後も個別プロダクトの特許取得を目指し、さらなる技術基盤の強化も進めてまいります。本技術の実用化応用については、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」)からの補助金に加え、医薬品の製造販売に多くの実績とノウハウを持つ東亜薬品株式会社と、同社の子会社である日東メディック株式会社の協力を得て、早期に患者様の元へ医薬品を届けるべく努めてまいります。
当社グループは、2014年2月にAPNT応用医薬品として2つの開発候補品(APP13002及びAPP13007)を前臨床試験ステージに進めることを発表いたしました。難水溶性である両候補品は、当社グループの微細粒子化技術により可溶化剤を含まない製剤処方の作成が可能となります。また、当社グループが得意とするリプロファイリングのモデルに基づき、既に10年以上の長い臨床使用実績のある医薬品化合物を主成分として用いている為、開発リスクを低減することが可能となります。
各開発品の内容についてはそれぞれ以下のとおりです。
・APP13002 (適応:感染性眼疾患、開発段階:前臨床試験中)
APP13002は角膜、結膜の感染症眼疾患を適応とする新たな開発品です。当社グループは戦略的な観点から日本国内を当初の開発地域として既存製品との住み分けを狙い、市場の一部を取得してまいります。
現在、感染性眼疾患の国内市場は全体で約200億円と見積もられております。
・APP13007 (適応:炎症性眼疾患、開発段階:前臨床試験中)
APP13007は、最近身近になってきた白内障やレーシックなどの手術後における炎症や感染、またアレルギー性疾患やコンタクトレンズの不適切な利用などにより引き起こされる重度の眼の炎症等を適応とする新規抗炎症点眼剤です。当社グループは戦略的な観点から本製品の開発を海外で実施する予定であり、APP13007はこのような用途において既存の製品との差別化を狙い、臨床的な有用性を確立してまいります。
現在、炎症性眼疾患の市場は全世界で約700億円と見積もられております。
なお、上記2品目以外にも糖尿病性網膜症や加齢黄斑変性症等の網膜疾患を狙った新規後眼部疾患治療薬の研究開発は引き続き進めておりますが、高い有効性を得るために製剤を最適化しつつ、当社グループの知的財産権を確立するために鋭意研究を推進してまいります。日本眼科医会によると、現在日本には167万人もの視覚障害を有する患者が存在し、そのために生じる社会コストは8兆8000億円と推定されております。視覚障害の原因疾患別内訳では、糖尿病性網膜症及び加齢黄斑変性症の2つの後眼部疾患が実に3割以上の原因となっており、本技術の完成により画期的な点眼剤が開発されれば、利便性が高い薬剤が提供され、視覚障害者数の低減に大きく寄与することが可能であると考えます。
他社との協業をもとにした効率的な資金運用を心がけつつ、製造関連設備構築及び研究開発を推進し、上記以外に探索段階にあるプロジェクトやナノ粉砕化及び製剤化に関する基盤技術の拡充についても鋭意取り組んでまいります。
■再生医療関連事業
RMF1(再生医療ファンド)
当社グループは、2013年6月にそーせいコーポレートベンチャーキャピタル株式会社(以下、「そーせいCVC」)を、日本における再生医療研究開発(ティッシュ・エンジニアリング及び細胞再生医療やそれに関連する機器開発等)を行っている製薬ベンチャー企業に対し再生医療技術の発展、事業化を支援するための再生医療ファンドSosei RMF1(以下、「RMF1」)を運用する目的で設立いたしました。RMF1においては、そーせいCVCが無限責任組合員となり、有限責任組合員となる金融機関や事業会社と交渉を進めております。初期調達額は20億円を目標とし、株式会社三井住友銀行のグループ会社であるSMBCベンチャーキャピタル株式会社からの出資がすでに合意され、当社は2億円の出資を予定しております。
再生医療は日本発の有望な技術が生み出されている成長分野であり、RMF1の運用は限られたリソースで新たなシーズを発掘するという当社グループの基本戦略に合致するものです。
② 海外医薬事業
■NVA237
適応:慢性閉塞性肺疾患(COPD)上市済み(欧州・日本等)
第Ⅲ相臨床試験中(米国)
適応:喘息 第Ⅲ相臨床試験中
NVA237(一般名:グリコピロニウム臭化物、製品名:SeebriⓇ BreezhalerⓇ(欧州)、シーブリⓇ吸入用カプセル50μg(日本)(以下、「シーブリ」))は、新規の1日1回吸入の長時間作用性抗コリン薬(以下、LAMA)であり、慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)の諸症状を緩和するための気管支拡張剤です。当社グループとベクチュラ・グループは2005年4月にノバルティス社に全世界の独占的開発・販売権を導出しております。現在は、欧州、日本、カナダ、オーストラリア、南米、アジア、中東を含む70ヵ国以上において承認されており、ドイツ、日本、その他主要な市場を含む30ヵ国以上において販売されております。
当社グループは契約に基づき「シーブリ」及び「ウルティブロ」(グリコピロニウム臭化物とインダカテロールマレイン酸塩の固定用量の配合剤)の全世界の売上に対する一定率のロイヤリティを受領できることになっております。ノバルティス社の発表によりますと、2014年1月~3月の「シーブリ」の売上は30百万ドル、2014年4月~6月の売上は37百万ドルでした。この売上に対するロイヤリティ収入は、それぞれ当社グループの2015年3月期第1四半期及び第2四半期に計上いたします。
なお、ノバルティス社は、米国における「シーブリ」の承認申請を2014年第4四半期(10月~12月)に予定していると発表しております。さらに同社は、喘息での適応拡大に向けたNVA237の第Ⅲ相臨床試験を実施中です。
■QVA149
適応:慢性閉塞性肺疾患(COPD)上市済み(欧州・日本等)
第Ⅲ相臨床試験中(米国)
QVA149(一般名:グリコピロニウム臭化物/インダカテロールマレイン酸塩、製品名:UltibroⓇ BreezhalerⓇ(欧州)、ウルティブロⓇ吸入用カプセル(日本)(以下、「ウルティブロ」))は、新規の1日1回吸入のLAMA(グリコピロニウム臭化物)とLABA(インダカテロールマレイン酸塩)の固定用量の配合剤であり、COPDの諸症状を緩和するための気管支拡張剤です。「ウルティブロ」は、欧州、日本、カナダ、メキシコ、オーストラリアを含む40ヵ国以上において新規1日1回吸入のLAMA/LABA配合剤として初めて承認され、現在は、日本、ドイツ、カナダを含む13ヵ国において販売されております。LAMAとLABAの有効性と安全性の特徴を併せ持つ配合剤である「ウルティブロ」は、新たな標準治療薬として確立されることが期待されております。
当社グループは契約に基づき「シーブリ」及び「ウルティブロ」の全世界の売上に対する一定率のロイヤリティを受領できることになっております。ノバルティス社の発表によりますと、「ウルティブロ」の2014年1月~3月の売上は14百万ドル、2014年4月~6月の売上は22百万ドルでした。この売上に対するロイヤリティ収入は、それぞれ当社グループの2015年3月期第1四半期及び第2四半期に計上いたします。
なお、ノバルティス社は米国におけるQVA149の承認申請を2014年第4四半期(10月~12月)に、中国における承認申請を本年中に予定していると発表しております。
※ 「シーブリ」、「ウルティブロ」及び「ブリーズヘラー」はノバルティス社の登録商標です。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ145百万円増加し、14,727百万円となりました。
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ181百万円増加し、7,396百万円となりました。なお流動資産の総資産に占める比率は51.1%、現金及び現金同等物の流動資産に占める比率は98.3%となりました。
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ284百万円増加し、512百万円となりました。主な増加要因は、前受金300百万円を計上したことです。
当第1四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ139百万円減少し、14,215百万円となりました。主な減少要因は、四半期損失104百万円を計上したことです。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ1.9ポイント減少し、96.5%となりました。