四半期報告書-第26期第2四半期(平成27年7月1日-平成27年9月30日)

【提出】
2015/11/12 15:32
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【項目】
12項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
当第2四半期連結累計期間の経営成績及び分析は以下のとおりです。
(1)業績の状況
連結経営成績
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
売上収益5652,5401,975
売上総利益5192,5402,021
営業利益(△損失)△85△337△252
四半期利益(△損失)28△842△870

(売上収益、売上総利益)
当第2四半期連結累計期間の売上収益は、前第2四半期連結累計期間に比べ349.2%増加し、2,540百万円となりました。これは主にシーブリ(NVA237)及びウルティブロ(QVA149)のロイヤリティが増加したこと及びHeptares社がAstraZeneca UK Limited(以下「AstraZeneca社」)に対してA2A受容体拮抗薬HTL-1071を導出したことによる一時金を受領したことによるものです。
(営業損益)
当第2四半期連結累計期間の営業損益は、前第2四半期連結累計期間に比べ252百万円減少し、337百万円の損失となりました。これは売上収益が増加したものの、当第2四半期連結累計期間においては、Heptares社のパイプライン拡充のための費用が多く発生したことによるものです。
(四半期損益)
当第2四半期連結累計期間の四半期損益は、前第2四半期連結累計期間に比べ870百万円減少し、842百万円の損失となりました。これは主に上記の営業損益の減少及び借入金に関する利息費用の発生によるものです。
研究開発費、販売費及び一般管理費の内訳
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
研究開発費1401,8961,755
販売費及び一般管理費4651,024558
(内訳)人件費218468249
委託費147283135
その他99272172

(研究開発費、販売費及び一般管理費)
当第2四半期連結累計期間の研究開発費は、前第2四半期連結累計期間に比べ1,755百万円増加し、1,896百万円となりました。また販売費及び一般管理費は、前第2四半期連結累計期間に比べ558百万円増加し、1,024百万円となりました。これは主に当第2四半期連結累計期間においては、Heptares社のパイプライン拡充のための費用が多く発生したことによるものです。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
(国内医薬事業)
当第2四半期連結累計期間における国内医薬事業の売上収益は、前第2四半期連結累計期間に比べ18百万円増加し、87百万円となりました。これは前第2四半期連結累計期間に比べてノルレボ錠に関するロイヤリティが増加したことによるものです。また営業損益は前第2四半期連結累計期間に比べ53百万円減少し、239百万円の営業損失となりました。
(海外医薬事業)
当第2四半期連結累計期間における海外医薬事業の売上収益は、前第2四半期連結累計期間に比べ1,957百万円増加し、2,454百万円となりました。これは主にシーブリ(NVA237)及びウルティブロ(QVA149)のロイヤリティが増加したこと及びHeptares社がAstraZeneca社に対してA2A受容体拮抗薬HTL-1071を導出したことによる一時金を受領したことによるものです。また営業損益は前第2四半期連結累計期間に比べ244百万円減少し、112百万円の損失となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
営業活動によるキャッシュ・フロー2391,6501,411
投資活動によるキャッシュ・フロー△146△13411
財務活動によるキャッシュ・フロー14△1,555△1,569

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、シーブリ及びウルティブロの米国申請におけるマイルストンを受領したこと等により、1,650百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、資産計上された開発費に関連する支出が81百万円あったこと等により、134百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期有利子負債の借入9,800百万円や公募増資による株式発行8,767百万円の収入があった一方で、短期有利子負債の返済による支出20,000百万円があったこと等により1,555百万円の支出となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(4)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間においては、主にStaRⓇ技術を有するHeptares社のパイプラインの研究開発を行いました。その結果、研究開発費は1,896百万円(前年同四半期比1,254%増)となりました。なお国内医薬事業及び海外医薬事業に係わる研究開発費はそれぞれ、217百万円及び1,678百万円になります。また資産計上の要件を満たす一部の開発費用については、無形資産に計上しております。
各開発品等の進捗に関するセグメント別の詳細は以下のとおりです。
(国内医薬事業)
≪インライセンス≫
■SO-1105(適応:口腔咽頭カンジダ症)
開発段階:第Ⅲ相臨床試験中
SO-1105は免疫機能の低下した患者等に発症する口腔咽頭カンジダ症を治療する口腔粘膜付着性の抗真菌剤です。口腔咽頭カンジダ症とは、真菌に属する主としてCandida albicans(カンジダ・アルビカンス)の感染により引き起こされる口腔及び咽頭内の炎症性粘膜疾患であり、HIV感染等による免疫不全患者や糖尿病のような慢性な疾病の患者に多く見られます。本剤は、Onxeo S.A.(旧BioAlliance Pharma、以下「Onxeo社」)が開発し、2006年10月にフランスで初めて承認を取得して以来、現在までに欧州の24ヵ国、米国や韓国において承認されております。当社グループは、本剤を日本でも患者様の利便性に貢献することができる製品と判断し、SO-1105の日本における独占開発販売権を、2011年5月にOnxeo社より取得いたしました。
現在は、本開発品の有効性及び安全性を検証する第Ⅲ相臨床試験が実施中です。また、販売については既に富士フイルムファーマ株式会社と独占販売契約を締結しております。
≪基盤技術による研究開発≫
■APNT(Activus Pure Nano-particle Technology):ナノ粉砕化技術
APNTは、難溶性の医薬品原料を不純物の混入を最小限に防ぎつつ、50-200nm(ナノメートル)レベルの結晶粒子径に粉砕することが可能であるという点で既存技術に対する差別化が可能なナノ粉砕化技術です。この特徴を活かし、これまで開発が困難、不可能であった難溶性薬物の注射、点眼、吸入製剤等への応用で優位性を示すことができます。
現在、当該技術を用いた開発品は2品目であり、APP13002(適応:感染性眼疾患)、APP13007(適応:炎症性眼疾患)の前臨床試験を実施中です。
■Molecular Hiving™:新規ペプチド液相合成法
Molecular Hiving™技術はペプチドの新しい液相合成法技術です。従来のペプチド合成技術には、固相ペプチド合成法(SPPS)と液相ペプチド合成法(LPPS)がありますが、一般的にSPPSは合成コストが高く少量生産向き、一方、LPPSは大量生産に汎用されているものの長鎖のペプチド合成を苦手としています。Molecular Hiving™技術は、SPPSとLPPSの双方の利点を有し、ペプチド合成を高効率かつ低コストで実現可能とする革新的な技術です。また、SPPSでは困難であったペプチド合成工程をモニタリングすることができ、従来法に比べ高品質なペプチドをより簡便に製造することが可能となります。
現在、当該技術を用いた開発品は後発品の2品目であり、JIT-2001(適応:循環器系疾患)、JIT-1007(適応:希少性疾患)の前臨床試験を実施中です。
■Peptune™:新規ペプチド修飾技術
Peptune™はペプチド修飾の新たな要素技術であり、ペプチドの立体構造を改変することにより有効性や安全性の向上、更に薬剤の安定性の改善にも役立ちます。また、この技術を応用してペプチドと低分子医薬品を結合させることも可能であり、新規の機能ペプチドの創出も期待されます。
加えて、当該技術を用いてHeptares社の技術より提供されるリードペプチドの有効性、安全性を高めることが可能となります。
(海外医薬事業)
≪主要製品≫
■QVA149 (適応:慢性閉塞性肺疾患(COPD)) Novartis社により上市済み (欧州・日本)
QVA149(一般名:グリコピロニウム臭化物/インダカテロールマレイン酸塩、製品名:UltibroⓇ BreezhalerⓇ(欧州)、ウルティブロⓇ吸入用カプセル(日本)(以下、「ウルティブロ」))は、1日1回吸入のLAMA(グリコピロニウム臭化物)とLABA(インダカテロールマレイン酸塩)の固定用量の配合剤であり、慢性閉塞性肺疾患(以下、「COPD」)の諸症状を緩和するための気管支拡張剤です。ウルティブロは、欧州、日本、カナダ、メキシコ、オーストラリア等を含む70ヵ国以上(米国を除く)において1日1回吸入のLAMA/LABA配合剤として初めて承認され、現在は、日本、ドイツ、カナダを含40ヵ国以上において販売されております。
また、米国においては、QVA149(グリコピロニウム15.6μg/インダカテロール27.5μg)は2015年10月に慢性気管支炎や肺気腫を含むCOPDに基づく気道閉塞性障害の新規1日2回吸入の長期維持療法としてUtibron™ NeohalerⓇの製品名で承認されました。
■NVA237 (適応:慢性閉塞性肺疾患(COPD)) Novartis社により上市済み (欧州・日本)
NVA237(一般名:グリコピロニウム臭化物、製品名:SeebriⓇ BreezhalerⓇ(欧州)、シーブリⓇ吸入用カプセル50μg(日本)(以下、「シーブリ」))は、1日1回吸入の長時間作用性抗コリン薬(以下、LAMA)であり、COPDの諸症状を緩和するための気管支拡張剤です。当社とベクチュラ・グループは2005年4月にNovartis社に全世界の独占的開発・販売権を導出しております。現在は、欧州、日本、カナダ、南米、アジア、オーストラリア、中東を含む80ヵ国以上において承認されております。
また、米国におけるNVA237(グリコピロニウム15.6μg)は、2015年10月に慢性気管支炎や肺気腫を含むCOPDに基づく気道閉塞性障害の新規1日2回吸入の長期維持療法としてSeebri™ NeohalerⓇの製品名で承認されました。
当社はNovartis社との契約に基づき、両剤の承認を契機に、Novartis社より22.5百万ドルのマイルストンを受領します。また、両剤の全世界の売上に対する一定率のロイヤリティを受領できることになっており、その収入は、四半期ずれて計上されます。7月21日に開催のNovartis社の2015年第2四半期決算説明会で発表されたウルティブロおよびシーブリの売上(2015年4月~6月)はそれぞれ66百万ドルと38百万ドルでした。
<ご参考>2015年10月27日に開催されたNovartis社の2015年第3四半期決算説明会で発表されたウルティブロおよびシーブリの売上(2015年7月~9月)です。
7月~9月前年同期比(%)1月~9月前年同期比(%)
2015年2014年2015年2014年
百万ドル百万ドル百万ドル百万ドル
ウルティブロⓇ
ブリーズへラーⓇ
663111318467175
シーブリⓇ
ブリーズへラーⓇ
383731131049

※「ウルティブロⓇ」、「シーブリⓇ」、「ブリーズヘラーⓇ」及び「NeohalerⓇ」はNovartis社の登録商標です。「UtibronTM」及び「SeebriTM」はNovartis社の商標です。
≪基盤技術による研究開発≫
■StaRⓇ技術:GPCR構造ベース創薬技術
Heptares社のStaRⓇ技術は熱力学的に安定化したGPCRを作成させることができる世界初の技術です。
GPCRは、細胞膜に埋まっているタンパク質であり、細胞外から細胞内へ生化学的情報伝達の役割を担い、味覚、視覚、嗅覚、行動、自律神経系機能、免疫機能等、様々な生理学的及び生物学的反応に関与しているため、GPCRは、薬物治療上、最も重要な標的分子であるとされています。しかし、細胞膜から抽出されると分子構造が不安定となるためその構造が明らかとなっていないものが多く、立体構造に基づく創薬研究は難しいとされてきました。StaRⓇ技術の応用によりGPCRの構造解析が進み、これまで難しいとされてきた分子構造設計に基づいた強力かつ選択性の高い候補物質の創製が可能となります。
当四半期連結累計期間の進捗は以下のとおりです。
・Regeneron社との提携契約の締結
Heptares社は、2015年7月に新規抗GPCR抗体医薬品の開発を目指し米国Regeneron社と提携契約を締結いたしました。この契約により、Heptares社は複数のGPCRに対するStaRⓇタンパク質(安定化された受容体)の作製を目指し、Regeneron社は、治療用抗体の創薬を目指すべくHeptares社が作製したStaRⓇタンパク質を抗原として評価しします。なお、Regeneron社はStaRⓇタンパク質を用いて作製した抗体を、研究開発、製造販売できるオプションを持つ契約となっており、その対価としてHeptares社は契約一時金、研究開発支援金を受領し、さらにそれぞれのターゲット毎に開発・販売マイルストン、及び販売後のロイヤリティ収入を受け取ることになります。
・抗体開発プログラムの開始
2015年7月に、Heptares社は、2013年2月にドイツMorphoSys社と結んだ提携により生み出された抗体につき、オプション権を行使し、自社による抗体開発プログラムを開始しました。これは、今まで低分子化合物を中心に構成されているHeptares社のパイプラインには今後抗体も加わる可能性が出てきたことを意味しております。また、これらの提携を通じて、Heptares社は低分子化合物に限らず抗体医薬品等へのStaRⓇ技術の広範な応用の可能性を探索していきます。
・AstraZeneca社とのがん免疫療法開発に関する提携契約の締結
自社パイプラインの導出につきましては、Heptares社は、本年8月に英国AstraZeneca社とがん免疫療法開発に関する提携契約を締結しました。本提携のもとで、AstraZeneca社はがん免疫療法の低分子化合物であるアデノシンA2A受容体拮抗薬HTL-1071及びその他のアデノシンA2A受容体阻害剤の独占的開発、製造販売権を取得し、複数のがん種を標的とし、同社の既存開発ポートフォリオのがん免疫療法の併用を含む、HTL-1071及びその他の化合物の研究開発を実施します。さらに、両社でがん免疫療法における新たなアデノシンA2A受容体拮抗薬の探索を目指し、共同研究プログラムを開始いたします。この提携により、Heptares社は10百万米ドルの契約一時金に加え、早期達成が見込まれる前臨床研究結果及び臨床試験開始に応じて相当額のマイルストンを受領いたします。さらに、予め定められた開発及び販売の目標の達成に応じて、総額500百万米ドルを超える開発及び販売マイルストンや、販売高に応じた最大二桁比率の段階的ロイヤリティを受領することが可能となります。
・オレキシン(OX1)受容体拮抗薬の研究開発に関する助成金の授与
Heptares社は本年9月に、米国国立衛生研究所(NIH)の一部である米国国立薬物乱用研究所(National Institute of Drug Abuse)からOX1受容体拮抗薬の研究プロジェクトで5.5百万米ドルの研究開発助成金が授与されることになりました。同社は、この助成金を今後3年間にわたるコカイン乱用及び依存症を適応とする選択的OX1受容体拮抗薬の研究プロジェクトの運営資金の一部として活用します。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,387百万円減少し、42,413百万円となりました。
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ51百万円減少し、5,522百万円となりました。なお流動資産の総資産に占める比率は16.5%、現金及び現金同等物の流動資産に占める比率は79.1%となりました。
当第2四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ9,783百万円減少し、19,123百万円となりました。主な減少要因は、短期有利子負債20,000百万円を返済したことです。
当第2四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ8,395百万円増加し、23,290百万円となりました。主な増加要因は、2015年9月に公募増資を行い株主資本が8,755百万円増加したことです。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ21.0ポイント増加し、54.5%となりました。