訂正四半期報告書-第27期第2四半期(平成28年7月1日-平成28年9月30日)

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2017/11/09 15:49
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16項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
当第2四半期連結累計期間の経営成績及び分析は以下のとおりです。
(1)業績の状況
連結経営成績
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
売上収益2,54015,83913,298
売上総利益2,54015,83913,298
営業利益(△損失)△75312,22312,976
四半期利益(△損失)△1,17510,59211,768

(注)2015年2月において行った企業結合に係る暫定的な会計処理の確定に伴い、前第2四半期連結累計期間の要約四半期連結財務諸表を遡及修正しています。
(売上収益、売上総利益)
当第2四半期連結累計期間の売上収益は、前第2四半期連結累計期間に比べ13,298百万円増加し、15,839百万円となりました。これは主にHeptares社のパイプラインを導出したことに伴う一時金及びマイルストン収入を受領したことによるものです。
(営業損益)
当第2四半期連結累計期間の営業損益は、前第2四半期連結累計期間に比べ12,976百万円増加し、12,223百万円の利益となりました。これは主に上記の売上収益、売上総利益の増加によるものです。
(四半期損益)
当第2四半期連結累計期間の四半期損益は、前第2四半期連結累計期間に比べ11,768百万円増加し、10,592百万円の利益となりました。これは主に営業損益および金融収益が増加したことと、法人所得税費用が発生したことによるものです。
研究開発費、販売費及び一般管理費の内訳
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
研究開発費1,8961,657△239
販売費及び一般管理費1,4402,069628
(内訳)人件費468815347
委託費283561277
その他6886923

(注)2015年2月において行った企業結合に係る暫定的な会計処理の確定に伴い、前第2四半期連結累計期間の要約四半期連結財務諸表を遡及修正しています。
(研究開発費、販売費及び一般管理費)
当第2四半期連結累計期間の研究開発費は、前第2四半期連結累計期間に比べ239百万円減少し、1,657百万円となりました。これは主に当第2四半期連結累計期間における円高の影響によるものです。また販売費及び一般管理費は、前第2四半期連結累計期間に比べ628百万円増加し、2,069百万円となりました。これは主に当第2四半期連結累計期間においては、Heptares社のパイプライン拡充のための費用が多く発生したことによるものです。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
(国内医薬事業)
当第2四半期連結累計期間における国内医薬事業の売上収益は、前第2四半期連結累計期間に比べ26百万円減少し、60百万円となりました。これは前第2四半期連結累計期間に比べてノルレボ錠に関するロイヤリティが減少したことによるものです。また営業損益は前第2四半期連結累計期間に比べ165百万円減少し、405百万円の営業損失となりました。
(海外医薬事業)
当第2四半期連結累計期間における海外医薬事業の売上収益は、前第2四半期連結累計期間に比べ13,324百万円増加し、15,778百万円となりました。これは主にHeptares社のパイプラインを導出したことに伴う一時金及びマイルストン収入を受領したことによるものです。また営業損益は前第2四半期連結累計期間に比べ13,265百万円増加し、12,736百万円の営業利益となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
営業活動によるキャッシュ・フロー1,65012,55710,906
投資活動によるキャッシュ・フロー△134△229△94
財務活動によるキャッシュ・フロー△1,555△5,058△3,502

(注)2015年2月において行った企業結合に係る暫定的な会計処理の確定に伴い、前第2四半期連結累計期間の要約四半期連結財務諸表を遡及修正しています。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、Heptares社のパイプラインを導出したこと等により、12,557百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が110百万円、資産計上された開発費に関連する支出が112百万円あったこと等により、229百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、条件付対価の決済に係る支出が4,105百万円、長期有利子負債の返済による支出が1,000百万円があったこと等により5,058百万円の支出となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(4)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間においては、主にStaRⓇ技術を有するHeptares社のパイプラインの研究開発を行いました。その結果、研究開発費は1,657百万円(前年同四半期比239百万円減少)となりました。なお国内医薬事業及び海外医薬事業に係わる研究開発費はそれぞれ、297百万円及び1,360百万円になります。また資産計上の要件を満たす一部の開発費用については、無形資産に計上しております。
各開発品等の進捗に関するセグメント別の詳細は以下のとおりです。
(国内医薬事業)
≪インライセンス≫
国内医薬品事業における製品及び主要開発品の主な進捗について、子会社である株式会社そーせいは、SO-1105(適応:口腔咽頭カンジダ症)の有効性及び安全性を検証する第Ⅲ相臨床試験を終了し、当該臨床試験において所定の目的を達成いたしました。本剤の承認申請にむけ、現在準備を進めています。販売については既に富士フイルムファーマ株式会社と独占販売契約を締結しています。
≪基盤技術による研究開発≫
子会社である株式会社アクティバスファーマは、不純物の混入を最小限に防ぎつつ、難溶性の医薬品原料を50-200nm(ナノメートル)レベルの結晶粒子径に粉砕することが可能であるナノ粉砕化技術(APNT:Activus Pure Nano-particle Technology)を活用し、これまで開発が困難、不可能であった難溶性薬物の注射、点眼、吸入製剤等への応用に取り組んでいます。APNTを用いた開発品は、APP13002(適応:感染性眼疾患)、APP13007(適応:炎症性眼疾患)があり、現在、前臨床試験を実施しています。
子会社であるJITSUBO株式会社は、ペプチド合成を高効率かつ低コストで実現可能とする革新的な液相合成法技術であるMolecular Hiving™、ペプチドの立体構造を改変することにより有効性や安全性の向上、更に薬剤の安定性の改善にも役立つとされるペプチド修飾の新たな要素技術であるPeptune™を有しています。新規ペプチド液相合成法を用いた開発品は、JIT-1007(適応:希少性疾患)及び後発品であるJIT-2001(適応:循環器系疾患)の前臨床試験を実施しています。
(海外医薬事業)
≪主要製品≫
■ウルティブロⓇブリーズヘラーⓇ (適応:慢性閉塞性肺疾患(COPD)、 ノバルティス社により上市済み (欧州・日本)、以下「ウルティブロ」)
ウルティブロ(一般名:グリコピロニウム臭化物/インダカテロールマレイン酸塩、製品名:UltibroⓇ BreezhalerⓇ(欧州)、ウルティブロⓇ吸入用カプセル(日本))は、1日1回吸入のLAMA(グリコピロニウム臭化物)とLABA(インダカテロールマレイン酸塩)の固定用量の配合剤であり、慢性閉塞性肺疾患(以下「COPD」)の諸症状を緩和するための気管支拡張剤です。ウルティブロは、欧州、日本、カナダ、メキシコ、オーストラリア等を含む90ヵ国以上において1日1回吸入のLAMA/LABA配合剤として初めて承認され、現在は、日本、ドイツ、カナダを含40ヵ国以上において販売されております。
また、米国においては、2015年10月に慢性気管支炎や肺気腫を含むCOPDに基づく気道閉塞性障害の新規1日2回吸入の長期維持療法として、Utibron™ NeohalerⓇの製品名で承認されました。
■シーブリⓇブリーズへラーⓇ (適応:慢性閉塞性肺疾患(COPD)、 ノバルティス社により上市済み (欧州・日本、以下「シーブリ」)
シーブリ(一般名:グリコピロニウム臭化物、製品名:SeebriⓇ(BreezhalerⓇ欧州)、シーブリⓇ吸入用カプセル50μg(日本))は、1日1回吸入の長時間作用性抗コリン薬(以下「LAMA」)であり、COPDの諸症状を緩和するための気管支拡張剤です。当社とベクチュラ・グループは2005年4月にノバルティス社に全世界の独占的開発・販売権を導出しております。現在は、欧州、日本、カナダ、南米、アジア、オーストラリア、中東を含む90ヵ国以上において承認されております。
また、米国においては、2015年10月に慢性気管支炎や肺気腫を含むCOPDに基づく気道閉塞性障害の新規1日2回吸入の長期維持療法として、Seebri™ NeohalerⓇの製品名で承認されました。
当社はノバルティス社との契約に基づき、両剤の全世界の売上に対する一定率のロイヤリティを受領できることになっております。
※「ウルティブロⓇ」、「シーブリⓇ」、「ブリーズヘラーⓇ」及び「NeohalerⓇ」はノバルティス社の登録商標です。「UtibronTM」及び「SeebriTM」はノバルティス社の商標です。
≪基盤技術による研究開発≫
■StaRⓇ技術を活用したGPCR構造ベース創薬
子会社であるHeptares Therapeutics Ltd.(以下「Heptares社」)は、熱力学的に安定化したGPCRを作成させることができる世界初となるStaRⓇ技術を活用したGPCR構造ベース創薬技術を有しています。GPCRは、細胞膜に埋まっているタンパク質であり、細胞外から細胞内へ生化学的情報伝達の役割を担い、味覚、視覚、嗅覚、行動、自律神経系機能、免疫機能等、様々な生理学的及び生物学的反応に関与しているため、GPCRは、薬物治療上、最も重要な標的分子であるとされています。しかし、細胞膜から抽出されると分子構造が不安定となるためその構造が明らかとなっていないものが多く、立体構造に基づく創薬研究は難しいとされてきました。StaRⓇ技術の応用によりGPCRの構造解析が進み、これまで難しいとされてきた分子構造設計に基づいた強力かつ選択性の高い候補物質の創製が可能となります。Heptares社は神経疾患領域、がん免疫から代謝疾患、希少疾患領域まで充実したパイプラインを有しており、研究開発において複数のパイプラインの開発を着実に推進しています。同時に、基盤技術を用いた提携、自社パイプラインの導出に積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度の主な進捗は、次のとおりです。
・Allergan社とのアルツハイマー病等の中枢神経系疾患に対する新規治療薬の開発・販売提携
Heptares社は、世界大手製薬会社Allergan plc の完全子会社Allergan Pharmaceuticals International Ltd. (以下「Allergan社」)と、2016年4月7日に、アルツハイマー病等の神経系疾患を適応とする新規ムスカリン受容体サブタイプ選択的作動薬化合物群の開発・販売に係る提携契約を締結しました。本提携により、125百万米ドルの契約一時金を受領、さらに最初の3つの化合物の開発の進捗や上市に応じて最大約665百万米ドルの開発マイルストン収入、販売目標の達成に応じて最大約2,500百万米ドルの販売マイルストン収入を受領することが可能になります。また、Heptares社はすべての化合物について、売上高に応じた最大二桁の段階的ロイヤリティ収入を受領できることになります。Allergan社は複数の候補薬の開発を進めることを目的とした両社協同の開発プログラムにおいて、第Ⅱ相臨床試験まで50百万米ドルの研究開発支援金を提供します。また、Allergan社は化合物群の後期第Ⅱ相臨床試験開始とそれに続く製品の製造販売の責任を持つこととなります。
・AstraZeneca社との複数のがん種を標的とするがん免疫療法開発における新薬候補の第Ⅰ相臨床試験開始
Heptares社は、2015年8月にAstraZeneca社(英国)とがん免疫療法開発に関する提携契約を締結いたしました。AstraZeneca社はがん免疫療法の低分子化合物であるアデノシンA2A 受容体拮抗薬HTL-1071 およびその他のアデノシンA2A 受容体阻害剤の独占的開発、製造販売権を取得し、複数のがん種を標的とした既存開発ポートフォリオのがん免疫療法の併用を含む、HTL-1071 およびその他の化合物の研究開発を実施しています。Heptares 社は早期達成が見込まれる前臨床研究結果および臨床試験開始に応じて相当額のマイルストンを受領いたします。このたび、がん免疫療法の候補薬であるHTL1071(AZD4635)が、第I相臨床試験において最初の被験者に投与されたことを契機に、Heptares社は提携先であるAstraZeneca社より10百万米ドルを受領いたしました。
今後さらに、予め定められた開発および販売の目標の達成に応じて、総額500百万米ドルを超える開発および販売マイルストンや、販売高に応じた最大二桁比率の段階的ロイヤリティを受領することが可能となっています。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ651百万円増加し、48,005百万円となりました。
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ5,612百万円増加し、15,680百万円となりました。なお流動資産の総資産に占める比率は35.4%、現金及び現金同等物の流動資産に占める比率は92.2%となりました。
当第2四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ3,407百万円減少し、20,676百万円となりました。主な減少要因は、企業結合による条件付対価の決済が4,105百万円あったことと、有利子負債1,000百万円の返済が生じたことによるものです。一方で、増加要因として未払法人所得税が2,275百万円増加しております。
当第2四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ4,059百万円増加し、27,329百万円となりました。主な増加要因は、当四半期利益の増加に伴い利益剰余金が増加したことです。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ8.0ポイント増加し、56.9%となりました。