
ライセンス活動では、2025年6月にアメリカ・ボストンで開催された製薬関連企業が集まる世界最大規模のカンファレンスであるBIO International Convention(通称:Bio)に当社CEOと事業開発担当者が参加し、また、2025年11月にはオーストリア・ウィーンで開催された欧州最大級の医薬品開発分野のパートナーシップ会議であるBio-Europeに当社CEOが参加しました。PC-SODの開発に関しては、後述のように日本での開発パートナーは既に決定しており、欧州に関しても開発パートナーの候補企業と契約の交渉を進めていますので、これらカンファレンスでは、米国を含むそれ以外の国での開発へ向けた足がかりを作ることを目的にしました。BIO International Conventionでは、米国等の製薬企業にこの開発の概略を紹介したり、米国の投資会社とこの開発への投資スキームについて議論したりしました。多くの企業と有意義な面談を行うことができ、今後の米国等での事業展開において重要なステップとなりました。またこの会議で、米国での共同開発を進めるためには米国の医薬品に関する規制当局であるFDAと交渉し開発の概略を決定することが重要であることを学びました。そこでこのような活動をサポートしてくれるコンサルタント会社との交渉も開始しました。一方、Bio-Europeでは、AIをDRに活かす方策を調査・検討するため10を超えるAI関連会社と議論し、日々進歩するAIの活用がDR推進に必要不可欠であることを改めて認識しました。そこで、これらAI関連会社から選んだ米国の会社とWEB会議などで情報共有と議論を行いました。その結果、AIを用いた新しいDR戦略が見えてまいりましたので、今後さらに議論を進めていきたいと考えております。
当事業年度で最も注力したのは、日本におけるCIPN予防薬としてのPC-SODに関する事業開発活動です。第Ⅲ相臨床試験(検証試験)では第Ⅱ相臨床試験に比べ必要な被験者数も多くなり多額の費用を要しますので、製薬企業等とのライセンス契約・共同開発契約、あるいは出資・融資による資金調達が重要となります。国内製薬企業との提携に関しては複数の製薬企業と交渉を進めましたが、当初交渉は順調には進みませんでした。これは、現在開発中のPC-SODは世界初(first in class)のCIPN予防薬、つまりこれまで世界中でどの製薬企業も開発に成功しなかった分野の薬であり、国内の製薬企業が自社のみで開発リスクを負うことは難しいと判断しているためです。そこで当社は、医薬品卸会社や臨床試験受託会社、あるいはベンチャーキャピタル等の金融機関からの資金調達など、幅広く提携先を検討しました。また、ライセンス契約や資金調達が第Ⅲ相臨床試験実施の最大のハードルと考え、CEO自ら精力的に活動しました。その結果、アルフレッサホールディングスとPC-SODに関する共同開発契約を当事業年度の2025年4月に締結しました。アルフレッサホールディングスは医薬品卸売事業のみならず、製薬、臨床試験受託業務(CRO)、調剤薬局など多岐に亘るヘルスケア関連事業を展開する企業グループであり、2026年3月期の連結
売上高が3兆1,000億円を超える日本を代表する東証プライム市場上場企業です。同社は有望な医薬品の開発を行っている企業へ医薬品等の導入・開発、製造から物流・販売、市販後調査・ラストワンマイルまでを一貫して支援する「トータルサプライチェーンサービス」を提供する事業を展開しており、当社のPC-SODのCIPN予防薬としての開発が評価されその対象となりました。特に、PC-SODを世界初のCIPN予防薬として開発し、多くのがん患者の治療に貢献するという研究開発理念と実現可能性にご賛同いただいたものと理解しています。本契約に基づき、アルフレッサホールディングスは第Ⅲ相臨床試験に係る研究開発費の一部を当社に提供すると共に、同社傘下企業が以下の役割を担うことで当社の開発活動を多面的に支援します。具体的には、同社は上市後の流通権を獲得すると共に、治験及び製造販売後調査(PMS)等に関わるCRO業務や品質確保を目的とした検査や二次包装などの業務の受託に関する優先権や製造販売権の優先交渉権を獲得します。これによりアルフレッサホールディングスは、開発から製造・流通・販売に至るまでの一貫した支援体制を通じてPC-SODの早期上市に貢献することになります。契約締結後、毎月の研究開発会議を両社で開催し様々な案件を議論したり、全国の治験参加施設で行われているスタートアップミーティングにアルフレッサホールディングス、及びその子会社の方が参加したりするなど、両社の共同開発は順調に進んでおります。アルフレッサホールディングスとの協業は、当社、及びこの第Ⅲ相臨床試験への医療機関の信用度・安心感を高める効果などにより、この試験の推進に大きく貢献しています。一方、同社からは「医療従事者との交流や医薬品開発に関するノウハウの吸収で、既に多くのメリットを得ている」とのコメントをいただいております。今後もこの共同開発のシナジー効果を活かしてまいりたいと考えております。長年に亘り当社の重要課題であったPC-SODに関する国内パートナー企業の確定は、当社にとって極めて大きな意義を持つ成果であり、企業としての大きな飛躍の契機となるものと確信しております。また、この契約に伴い、第Ⅲ相臨床試験の進捗に従って当社は売上を計上します。当事業年度においても、4億円を超える売上を計上しました。

海外に関しましても、ライセンスの国際カンファレンスをきっかけに多くの製薬企業が本剤の開発に関心を持ち、秘密保持契約を取り交わし交渉を行いました。特に、BIO-Europe、及びBIO International Conventionで面談したある欧州製薬企業はPC-SODに高い興味を持ちライセンス協議を当社へ提案し、両社は数ヶ月に亘り議論を進めました。その間、秘密保持契約を結び日本での前期第Ⅱ相臨床試験結果などを提供したり、また先方からの多岐に亘る質問に回答したりするなどの対応を行いました。また同社はこの分野における欧州の著名な医師にヒアリングしたり、PC-SODの欧州での開発可能性について社内検討したりしました。その結果、オキサリプラチンによるCIPN予防薬の臨床ニーズが極めて高いこと、及びPC-SODが世界初の薬として承認される可能性が十分にあると判断し、タームシート(契約骨子)案を当社に提出しました。その案を基に両社で協議を重ねた結果、2025年3月にタームシートの合意に至りました。本タームシートでは、当社は欧州におけるPC-SODの開発、承認登録、商業化を独占的に実施する権利を当該製薬企業へ許諾し、その対価として、契約一時金、開発マイルストン(開発が進むごとに受け取る一時金)、セールスマイルストン(売上が一定額を超えるごとに受け取る一時金)、ロイヤリティ(売上に一定の割合を掛けた金額)を受け取ることになります。なお、臨床試験を含む全ての欧州での開発は当該製薬企業が行い、当社はそれに全面的に協力するとなっています。なお、このタームシートには法的拘束力はなく、今回のタームシートの締結は最終的な契約の締結を保証するものではありません。同社と当社は、2025年6月までに最終的な契約を締結する予定でしたが、契約締結までにはなお一定の時間を要する見込みです。遅延の理由は、世界初(First in Class)のCIPN予防薬の開発であるために、欧州での開発戦略の方向性を決めるのに予想以上の時間が掛かっていることなどがあげられます。当社にとって海外開発のための契約締結は企業価値の向上に繋がる大変重要な案件です。そこで、2026年1月には、当社CEOが同社を直接訪問し、新しい形の協業を提案しました。同社はこの提案を高く評価し、その方向での検討を開始したり、同社のCEOが当社を直接訪問したりしています。CIPNに関しては予防薬・治療薬が全くなく、世界的に見ても当社がその開発のトップランナーとして走っています。そこで、海外開発パートナーをなるべく早く決定し、この薬を世界中の患者に届けたいと考えております。