有価証券報告書-第164期(2024/01/01-2024/12/31)

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2025/03/31 10:17
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当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績・財政状態に関する概況
① 経営成績の状況
a. 当期(2024年1月1日~2024年12月31日)の経営成績
<全体概況>当期の世界経済は、欧州や中東の地政学的な問題、各国の金融政策の変更などにより、先行き不透明な状況が継続しました。国内では、物価上昇が続く中で、所得環境の改善等により、緩やかな回復基調で推移しました。
海外においては、主要参入国であるタイでは景気が弱含んで推移するとともに、中国では不動産市場の停滞や物価下落の継続等により足踏みがみられました。
このような環境の中、当社グループは中期経営計画「Vision2030 1st STAGE」の最終年度である当期を収益基盤再構築の年と位置付け、国内では収益構造改革、海外では成長施策の強化に取り組みました。
国内においては、高付加価値の新製品発売や販売戦略の見直し、一部のブランド譲渡などポートフォリオ改革を着実に推進しました。併せて、ファブリックケア分野を中心に生産品目の集約および生産体制の効率化を進めるなど、収益性の向上に努めました。
海外においては、中国での店舗販売チャネルの強化や、マレーシアにおける積極的なマーケティング施策など、主要国を中心に事業拡大施策を推進しました。
以上の結果、当期の連結業績は、売上高4,129億4千3百万円(前期比2.5%増、為替変動の影響を除いた実質前期比0.3%増)、事業利益263億3千2百万円(前期比30.8%増)、営業利益283億8千7百万円(同38.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益211億9千7百万円(同44.9%増)となりました。
<連結業績の概況>(単位:百万円)
当 期売上比前 期売上比増減額増減率
売上高412,943402,76710,1762.5%
事業利益26,3326.4%20,1335.0%6,19930.8%
営業利益28,3876.9%20,5055.1%7,88238.4%
親会社の所有者に帰属する当期利益21,1975.1%14,6243.6%6,57244.9%

(注)事業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除したもので、恒常的な事業の業績を測る当社の利益指標です。
<セグメント別の業績>(単位:百万円)
売上高事業利益
当 期前 期増減額増減率当 期前 期増減額増減率
一般用消費財事業261,760267,380△5,619△2.1%12,5574,7997,757161.7%
産業用品事業55,17257,191△2,018△3.5%2,8073,013△206△6.8%
海外事業164,931148,06716,86311.4%10,1938,5871,60518.7%
その他16,79520,909△4,114△19.7%2841,375△1,090△79.3%
小計498,660493,5485,1111.0%25,84117,7758,06645.4%
調整額△85,716△90,7815,0644912,358△1,867
合計412,943402,76710,1762.5%26,33220,1336,19930.8%


(注)売上高構成比は、各部門の売上高から部門間の内部売上高・振替高を控除した外部顧客への売上高にもとづき算出しております。
<セグメント別概況>1) 一般用消費財事業
当事業は、「オーラルケア分野」、「ビューティケア分野」、「ファブリックケア分野」、「リビングケア分野」、「薬品分野」、「その他の分野」で構成されています。全体の売上高は、前期比2.1%の減少となりました。事業利益は、粗利率の改善や販売費及び一般管理費の減少により、前期比161.7%の増加となりました。
当期(百万円)前期(百万円)増減率
売上高261,760267,380△2.1%
事業利益12,5574,799161.7%


(注)以降、グラフの単位は億円
[売上高の分野別状況]
当期(百万円)前期(百万円)増減率
オーラルケア分野76,59872,8475.1%
ビューティケア分野24,55424,3480.8%
ファブリックケア分野57,10960,957△6.3%
リビングケア分野21,44922,187△3.3%
薬品分野25,13226,341△4.6%
その他の分野56,91760,697△6.2%


(オーラルケア分野)
当分野は、「ハミガキ」、「ハブラシ」、「デンタルリンス」等で構成されています。
ハミガキは、「システマハグキプラス ハミガキ」や「NONIO(ノニオ)プラスホワイトニング ハミガキ」が好調に推移したことに加え、新ブランド「OCH-TUNE(オクチューン)ハミガキ」の発売もあり、全体の売上は前期を上回りました。
ハブラシは、「NONIO(ノニオ) ハブラシ」や「クリニカアドバンテージハブラシ」が好調に推移するとともに、「OCH-TUNE(オクチューン)ハブラシ」が加わり、全体の売上は前期を上回りました。
デンタルリンスは、「OCH-TUNE(オクチューン)マウスウォッシュ」の発売に加え、「NONIO(ノニオ)プラスホワイトニング デンタルリンス」が好調に推移したことにより、全体の売上は前期を大幅に上回りました。
以上により、分野全体の売上は、前期比5.1%の増加となりました。

(ビューティケア分野)
当分野は、「ハンドソープ」、「ボディソープ」、「制汗剤」等で構成されています。
ハンドソープは、新香調が加わった高付加価値タイプ「キレイキレイ薬用ハンドコンディショニングソープ」が好調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
ボディソープは、「hadakara(ハダカラ) ボディソープ」が前期を下回り、全体の売上も前期を下回りました。
以上により、分野全体の売上は、前期比0.8%の増加となりました。

(ファブリックケア分野)
当分野は、「柔軟剤」、「洗濯用洗剤」等で構成されています。
柔軟剤は、「ソフラン アロマリッチ」が堅調に推移しましたが、「ソフラン エアリス」が前期を下回り、全体の売上は前期を下回りました。
洗濯用洗剤は、「NANOX(ナノックス)」ブランドが前期を下回り、全体の売上も前期を下回りました。
以上により、分野全体の売上は、前期比6.3%の減少となりました。

(リビングケア分野)
当分野は、「住居用洗剤」、「台所用洗剤」等で構成されています。
住居用洗剤は、浴室用洗剤「ルックプラス バスタブクレンジング」が堅調に推移しましたが、浴室用カビ防止剤「ルックプラス おふろの防カビくん煙剤」が前期を下回り、全体の売上は前期を下回りました。
台所用洗剤は、「CHARMY(チャーミー) Magica(マジカ)」が順調に推移しましたが、事業効率化に向けた商品構成見直しの影響もあり、全体の売上は前期比微減となりました。
以上により、分野全体の売上は、前期比3.3%の減少となりました。

(薬品分野)
当分野は、「解熱鎮痛薬」、「点眼剤」、「ニキビ薬」等で構成されています。
解熱鎮痛薬は、「バファリン プレミアムDX(ディーエックス)」が好調に推移しましたが、「バファリン プレミアム」、「バファリンA」が前期を下回り、全体の売上は前期を下回りました。
点眼剤は、「スマイル40ゴールド」シリーズが堅調に推移するとともに、新製品「スマイル40 プレミアム ザ・ワン」が加わり、全体の売上は前期を大幅に上回りました。
ニキビ薬は、「ペアアクネクリームW」が、足用冷却シートは「休足時間 足すっきりシート」が、好調に推移し、それぞれ全体の売上は前期を大幅に上回りました。
なお、当期中に、外用消炎鎮痛剤「ハリックス」およびドリンク剤「グロンサン」、「グロモント」の各ブランドを他社に譲渡しました。
以上により、分野全体の売上は、前期比4.6%の減少となりました。

(その他の分野)
当分野は、ペット用品、ギフト・ノベルティ、歯科ルート品等で構成されています。
ペット用品は、猫用トイレの砂「ニオイをとる砂」が順調に推移するとともに、オーラルケア用品「PETKISS(ペットキッス)」が堅調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
ギフト・ノベルティは、市場縮小等の影響を受け、前期を下回りました。
前期に機能性食品事業の主力製品を他社に譲渡し、事業を終了したこともあり、分野全体の売上は、前期比6.2%の減少となりました。

2) 産業用品事業
当事業は、タイヤ用ゴムの防着剤等を取り扱う「モビリティ分野」、二次電池用導電性カーボン等の「エレクトロニクス分野」、施設・厨房向け洗浄剤等の「業務用洗浄剤分野」等で構成されており、全体の売上高は、前期比3.5%の減少となりました。事業利益は、前期比6.8%の減少となりました。
当期(百万円)前期(百万円)増減率
売上高55,17257,191△3.5%
事業利益2,8073,013△6.8%


モビリティ分野では、タイヤ用ゴムの防着剤等が順調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
エレクトロニクス分野では、二次電池用導電性カーボンが前期を下回り、全体の売上も前期を下回りました。
業務用洗浄剤分野では、衣料用洗剤が好調に推移するとともに、ハンドソープも順調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
3) 海外事業
海外は、タイ、マレーシア等の東南・南アジア、中国、韓国等の北東アジアにおいて事業を展開しております。
全体の売上高は、前期比11.4%の増加(為替変動の影響を除いた実質前期比は4.8%の増加)となりました。事業利益は、前期比18.7%の増加となりました。
当期(百万円)前期(百万円)増減率
売上高164,931148,06711.4%
事業利益10,1938,58718.7%



[地域別状況]
当期(百万円)前期(百万円)増減率
東南・南アジア売上高100,77390,52111.3%
事業利益6,2625,12222.3%
北東アジア売上高64,15857,54611.5%
事業利益3,9303,46413.4%



(地域別の状況)
東南・南アジア全体の売上高は、前期比11.3%の増加(為替変動の影響を除いた実質前期比は4.0%の増加)、事業利益は、前期比22.3%の増加となりました。
タイでは、洗濯用洗剤「Pao(パオ)」が堅調に推移するとともに、ボディソープ「植物物語」が順調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
また、マレーシアでは洗濯用洗剤「トップ」が順調に推移するとともに、ボディソープ「植物物語」が好調に推移し、全体の売上は前期を大幅に上回りました。
北東アジア全体の売上高は、前期比11.5%の増加(為替変動の影響を除いた実質前期比は6.0%の増加)、事業利益は、前期比13.4%の増加となりました。
中国では、ハミガキ「ホワイト&ホワイト」が堅調に推移するとともに、ハミガキ「クリニカ」やハブラシ「システマ」が好調に推移し、全体の売上は前期を大幅に上回りました。
また、韓国では洗濯用洗剤「BEAT(ビート)」や点眼剤「Eyemiru(アイミル)」が好調に推移し、全体の売上は前期を上回りました。
4) その他
建設請負事業等を含むその他では、全体の売上高は、前期比19.7%の減少、事業利益は、前期比79.3%の減少となりました。
当期(百万円)前期(百万円)増減率
売上高16,79520,909△19.7%
事業利益2841,375△79.3%



b. 次期(2025年1月1日~2025年12月31日)の業績見通し
<連結>
次期予想当期増減額増減率
売上高(百万円)420,000412,9437,0561.7%
事業利益(百万円)(注)30,00026,3323,66713.9%
営業利益(百万円)35,00028,3876,61223.3%
親会社の所有者に帰属する
当期利益(百万円)
25,00021,1973,80217.9%
基本的1株当たり当期利益(円)90.2476.5113.7317.9%

(注)事業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除したもので、恒常的な事業の業績を測る当社の利益指標です。
当社グループを取り巻く事業環境は、国内外の消費財市場は堅調に推移するものと見込まれますが、地政学リスクの高まりなどによる想定以上の原材料価格の上昇や急激な為替変動による影響も懸念され、依然として先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
このような中、当社グループは「収益力の強靭化」をテーマに、3ヵ年の新中期経営計画「Vision2030 2nd STAGE」をスタートさせました。国内事業の収益構造改革と海外事業の成長加速に重点をおいた施策をスピーディに実行し、利益ある成長を実現することで企業価値の向上を目指してまいります。
<一般用消費財事業>オーラルヘルスケア分野※では、主力ブランドの育成に加え、新たなサービスの提供にも取り組んでまいります。また、薬品分野においては解熱鎮痛薬での高付加価値化に取り組むとともに、リビングケア分野で新しい生活習慣を提案する高付加価値の新製品を導入するなど、収益性の高い事業ポートフォリオを目指します。
※従来の口腔衛生に加え、提供価値領域を口腔機能(噛む力・飲み込む力・会話を楽しむ力)まで拡張し、製品とサービスの統合的な事業展開を推進いたします。当該分野を最重点と位置付けるとともに、これに伴い分野名称を「オーラルケア分野」から「オーラルヘルスケア分野」に変更いたします。
<産業用品事業>主要分野である二次電池用導電性カーボンを中心とした環境対応素材の事業拡大に取り組み、収益性の向上と、製品を通じたサステナビリティへの貢献に努めてまいります。
<海外事業>オーラルヘルスケア、ビューティケアなどパーソナルケア分野の強化に取り組むとともに、中国では販売エリアの拡大を中心に事業成長の継続を目指します。またバングラデシュ、ベトナムにおいては、製品分野の拡大など事業本格化に向けた取組みを進めます。併せて、次なる新規参入国の探索も続けてまいります。
以上により、次期の連結業績見通しは、売上高4,200億円(前期比1.7%増)、事業利益300億円(同13.9%増)、営業利益350億円(同23.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益250億円(同17.9%増)を予想しております。
② 財政状態に関する概況
a.財政の状況
(連結財政状態)
当期前期増減
資産合計(百万円)497,167486,36310,803
資本合計(百万円)315,694298,13417,559
親会社所有者帰属持分比率(%)(注1)59.157.61.4
1株当たり親会社所有者帰属持分(円)(注2)1,062.70985.4377.27

(注1) 親会社所有者帰属持分比率は、(資本合計-非支配持分)/資産合計で計算しております。
(注2) 1株当たり親会社所有者帰属持分は、非支配持分を含まずに計算しております。
資産合計は、現金及び現金同等物の増加等により、前期末と比較して108億3百万円増加し、4,971億6千7百万円となりました。資本合計は、175億5千9百万円増加し、3,156億9千4百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は59.1%となりました。
b.当期のキャッシュ・フローの状況
(連結キャッシュ・フロー) (単位:百万円)
当期前期増減
営業活動によるキャッシュ・フロー43,66030,06813,591
投資活動によるキャッシュ・フロー△7,659△34,79027,131
財務活動によるキャッシュ・フロー△21,205△11,762△9,442
換算差額等1,918931986
増減16,714△15,55232,266
現金及び現金同等物の期末残高102,24085,52616,714

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益等により、436億6千万円の資金の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、76億5千9百万円の資金の減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出等により、212億5百万円の資金の減少となりました。
以上の結果、当期の現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べ167億1千4百万円増加し、1,022億4千万円となりました。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
2020年
12月期
2021年
12月期
2022年
12月期
2023年
12月期
2024年
12月期
親会社所有者帰属持分比率(%)53.258.856.357.659.1
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)166.8104.491.776.598.0
債務償還年数(年)0.30.60.81.10.7
インタレスト・カバレッジ・レシオ719.4564.81,021.41,622.7993.6

(注) 親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
c. 次期のキャッシュ・フローの見通し
営業活動によるキャッシュ・フローでは、税引前当期利益は360億円程度と予想しております。
減価償却費及び償却費は210億円程度となる見込みです。一方、法人税等の支払いなどにより、120億円程度の資金の減少を予想しております。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、設備投資による支出は180億円程度を予定しております。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、配当の支払いなどにより、110億円程度の資金の減少を予想しております。
以上により、次期の現金及び現金同等物の期末残高は、当期末に比べて160億円程度の増加と予想しております。
d. 利益配分に関する基本方針
「第4 提出会社の状況 3配当政策」に記載のとおりであります。
e.生産、受注、販売の実績
[生産実績]
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2024年 1月 1日
至 2024年12月31日)
金額(百万円)前期比(%)
一般用消費財事業183,158△14.5
産業用品事業21,549△11.2
海外事業151,34411.5
その他--
356,053△4.9

(注) 金額は生産者販売価格で算出しております。
[受注状況]
受注生産は行っておりません。
[販売実績]
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2024年 1月 1日
至 2024年12月31日)
金額(百万円)前期比(%)
一般用消費財事業223,227△2.4
産業用品事業38,161△0.5
海外事業150,25512.0
その他1,298△19.8
412,9432.5

(注) 1 セグメント間の内部取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)
㈱PALTAC98,53124.592,35622.4
㈱あらた41,92510.4--
Saha Pathanapibul Public Company Limited--45,48311.0


(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
① 重要性がある会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号。以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定により、国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針およびその適用方法ならびに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しているため省略しております。
② 経営方針、経営戦略等または目標とする経営指標に照らした分析、検討内容
当社グループの経営方針、経営戦略等又は目標とする経営指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。経営成績等の状況に関する認識・分析は以下のとおりです。
a. 売上の状況
当連結会計年度の売上高は、4,129億4千3百万円(前期比2.5%増、為替変動の影響を除いた実質前期比0.3%増)となりました。売上高は、一般用消費財ではブランド譲渡等の影響もあり対前年減収となりましたが、海外はタイ、中国など主要進出国がいずれも増収となり、連結全体では増収となりました。
b. 損益の状況
当連結会計年度の損益は、事業利益263億3千2百万円(前期比30.8%増)、営業利益283億8千7百万円(同38.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益211億9千7百万円(同44.9%増)となりました。事業利益は、海外の売上増による粗利増に加え、一般用消費財の収益構造改革効果により、対前年で大幅な増益、年初公表も大幅に上回る結果となりました。営業利益、親会社所有者に帰属する当期利益の増益には、事業利益の増益に加え、一部ブランド譲渡や資産売却等の構造改革の推進により対前年で大幅増益、年初公表も達成となりました。

以上の結果、当連結会計年度のROEは7.4%となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a. 基本的な考え方
当社グループは、「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」というパーパスを起点とし、2030年に向けた経営ビジョン「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」を掲げ、その実現への企業活動を進めております。
資金については、中長期的な成長を継続させるための投資資金の確実な確保と、財務健全性の維持を基本方針とし、成長投資や運転資金の需要に合わせて、機動的に対応することとしています。また、将来の成長に向けた戦略的投資に投下するとともに、投資の進捗を踏まえ、自己株式の取得・償却を機動的に実施してまいります。
b. 資金の需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品および製品製造のための原材料の購入、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは販売促進費、広告宣伝費および人件費等です。また、当社グループの投資資金需要のうち主なものは、主力の製造拠点である国内工場の設備維持更新に加え、生産能力増強および生産効率向上のための設備投資および重点領域への成長投資です。戦略的な資金需要に対しては、財務基盤の安定と資本効率の向上を図りながら対応してまいります。
c. 資金調達
当社グループの運転資金および投資資金は、主として営業活動で得られた資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入や社債等による資金調達を行う方針であります。当社は国内格付機関である格付投資情報センター(R&I)から格付を取得しており、本報告書提出日時点における長期発行体格付はA(安定的)となっております。また、当社は金融機関との間で借入枠を有しており、緊急時の流動性を確保しております。これらにより、当社グループの事業運営に必要な運転資金や将来の成長に向けた投資資金は適切に調達することが可能であると考えております。
なお、当社グループでは、国内連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、グループ資金を当社に集中するとともに、各社の必要資金を当社が貸し付けることで、資金効率の向上と支払利息の低減を図っております。
④ 経営成績等に重要な影響を与える要因
「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。