有価証券報告書-第65期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/06/30 14:14
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているため省略しております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループは、取扱商品の性質上、上期(4月~9月)に売上が集中する傾向にあります。当連結会計年度においても、連結売上高284億94百万円の60.4%に相当する172億16百万円が上期の売上となり、中でも殺虫剤は年間売上高の65.9%、園芸用品は66.1%が上期に計上されております。
売上高の推移
上半期下半期合計
売上高
(百万円)
構成比
(%)
売上高
(百万円)
構成比
(%)
売上高
(百万円)
構成比
(%)
第63期(平成24年3月期)13,98765.77,28634.321,273100.0
第64期(平成25年3月期)13,33459.19,22140.922,556100.0
第65期(平成26年3月期)17,21660.411,27739.628,494100.0

第65期部門別売上高
上半期下半期合計
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
殺虫剤部門13,86265.97,16634.121,028100.0
家庭用品部門36616.91,79683.12,162100.0
園芸用品部門1,25566.164433.91,900100.0
防疫剤部門82754.668845.41,515100.0
その他の部門90447.998252.11,886100.0
合計17,21660.411,27739.628,494100.0

売上原価は、前年同期より36億52百万円増加し197億63百万円となりました。その結果、売上原価率は69.4%で、付加価値の高い商品の売上構成の変動等により前年同期より2.0ポイント減となりました。
以上から、売上総利益は、前年同期より22億84百万円増加し、87億30百万円(前年同期比35.4%増)となりました。
返品調整引当金調整後の差引売上総利益は、花粉関連商材の返品調整引当金繰入額が増加したことにより、86億42百万円(前年同期比36.4%増)となりました。
一方、販売費及び一般管理費は、運送費の削減や広告宣伝費、販売推進費の効率的な運用や経費の見直しを行いましたが、フマキラーアジアグループの業績を通年で取り込んだこともあり前年同期より13億36百万円増加し、79億87百万円(前年同期比20.1%増)となりました。
これらの結果、営業利益は6億55百万円(前年同期は営業損失3億12百万円)となりました。
営業外損益につきましては、受取配当金や技術指導料などの営業外収益が2億99百万円、支払利息や売上割引などの営業外費用が3億42百万円となり、差し引き42百万円の損失(純額)となりました。
これらの結果、経常利益は6億12百万円(前年同期は経常損失3億9百万円)となりました。
税金等調整前当期純利益は、固定資産除売却損21百万円などを特別損失として計上したため、前年同期比30.2%増の5億79百万円となりました。
以上から、当期純利益は、税金費用や少数株主利益を控除した結果、前年同期比81.4%増の2億58百万円となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
「4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4)経営戦略の現状と見通し
今後の国内景気の見通しにつきましては、海外景気の下振れリスクや雇用・所得環境の先行きに不透明感が残っているものの、現在の円安基調による株価の回復、輸出環境の改善や経済対策・金融政策の効果等を背景に、次第に景気回復へ向かうものと思われます。
このような状況の中、当社グループは、お客様のニーズを捉えた付加価値の高い新製品の開発と継続的な改良、戦略的かつ重点的な経営資源の投入によるブランド力の強化、営業活動の強化によるお得意先様との関係強化等に努め、成長性や利益性の見込まれる既存事業の強化・育成に積極的に取り組んでまいります。また、商品アイテムの削減と販売品目の重点化による販売効率の向上、在庫の削減、コストダウン及びVA(商品価値の向上)への取組強化、経費の効率的運用等一層の収益力強化に取り組んでまいります。
また、海外におきましては、従来の海外子会社3社に加えて、アセアン市場(インドネシア、マレーシア・タイ・ベトナム・ミャンマー)で殺虫剤事業を展開しているフマキラーアジアグループを含め、殺虫剤の拡大が見込まれるアジア地域や欧州地域及び中米地域を中心に、当社グループの海外事業拡大を図ってまいります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は18億97百万円となり、前期に比べ1億71百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によって獲得した資金は31億53百万円(前年同期は14億33百万円の獲得)となりました。これは、税金等調整前当期純利益5億79百万円、売上債権の減少8億86百万円、たな卸資産の減少6億41百万円、仕入債務の増加3億21百万円があったこと等によるものであります。
投資活動に使用した資金は、4億22百万円(前年同期は14億9百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出4億3百万円があった一方で、有形固定資産の売却による収入19百万円があったこと等によるものであります。
財務活動によって使用した資金は29億65百万円(前年同期は12億42百万円の獲得)となりました。これは短期借入れによる収入が132億43百万円があった一方で、短期借入金の返済による支出が141億93百万円、自己株式の取得による支出が15億10百万円あったこと等によるものです。なお、当連結会計年度末における借入金残高は、前期末に比べ10億92百万円減少して、91億75百万円となりました。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
① 会社の経営の基本方針
当社は、「誠魂長才※」を社是とし、世界中の人々の「生命」や「暮らし」、「環境」を守り、いつまでも安心して快適に暮らすことのできる社会づくりに貢献することを使命としております。
また、「クオリティ主義」をテーマに、製品のクオリティを高めることはもとより、社会・文化活動、環境問題、資源問題等企業活動のすべてに対して、クオリティのアップを目指しています。
当社は、これからも株主の皆様をはじめとして、取引先、地域社会の方々等あらゆるステークホルダーの皆様のご期待に応えるべく、経済的価値の向上とともに、企業の社会的責任を含めて「クオリティ主義」に徹した企業活動を推進してまいります。
※ 「誠魂長才」=何事に対しても誠心誠意、真心をもって事に当り、常に努力して才能を伸ばし、知識を広め、
社会・国家に貢献します。
② 目標とする経営指標
当社が継続的な成長を実現するためには、顧客ニーズを満足させる製品を積極的に開発し続けることが必須条件であります。当社が毎期発売する新製品については、初年度売上寄与率15%以上を経営目標のひとつにおいております。
また、株主重視、収益性重視の視点から、株主資本利益率(ROE)や売上高経常利益率を重視し、企業価値の向上を目指してまいります。
③ 中長期的な経営戦略と対処すべき課題
当社グループは、国内外市場での積極的な販売活動や新市場の開拓を推進すると共に、企業価値の増大と堅固な経営基盤を確立するために、以下の重点課題に取り組んでまいります。
1) 商品開発体制の強化
殺虫剤、家庭用品、園芸用品をコア事業と位置づけています。クオリティが高くお客様のニーズを捉えた新価値創造製品の開発と継続的な商品の改良に努めるとともに、グローバル視点での開発体制の強化に取り組んでまいります。
2) 販売・マーケティングの強化
経営資源の戦略的かつ重点的な投入を図るとともに、営業力強化の一環として営業活動の見える化を図り、主力ブランドの強化・育成と収益力の向上に取り組んでまいります。
3) 海外事業の拡大と強化
殺虫剤の拡大が見込まれる海外市場を見据え、海外子会社の発展・育成に努め、グローバルな競争力を持つ企業をめざします。特にアセアン市場での事業基盤を強化するために、国内とフマキラーインドネシア(P.T.FUMAKILLA INDONESIA)やフマキラーアジアグループの海外子会社間の連携を強化し、当社の製品開発力並びに販売力の活用等により、グループ・シナジーを発揮し当社グループの海外事業拡大を図ってまいります。
4) エステー株式会社及びNSファーファ・ジャパン株式会社との業務提携の推進
当社はエステー株式会社、NSファーファ・ジャパン株式会社と資本業務提携しております。開発・営業・調達・物流等の分野でそれぞれ課題を取り上げ、一定の成果を上げつつありますが、引き続き業務提携の取り組みを通じて、3社の業容拡大並びに企業価値及び株主共同利益の向上に努めてまいります。
以上の方針に沿って、次の課題に取り組みます。
(事業構造の改革)
① 商品開発
・ 社会に役立つとともに顧客志向(市場、消費者ニーズ)に基づく製品開発
・ 市場創造型製品開発力の強化と継続的な商品革新
・ 通年商品/秋口商品の開発
・ 効き目や安全性、利便性を徹底的に追求したモノづくり
・ タイムリーでコスト競争力のある商品開発
② 販売
・ 経営資源の投入による、ブランド力の強化と売上及びシェアの拡大
・ 成長カテゴリー(殺虫剤では電池式虫よけ、ワンプッシュ式蚊取り、設置型虫よけ、不快害虫など)の強化と消費者ニーズに応えた商品ラインナップの充実
・ 成長カテゴリー商品を中心とした販売効率の高い売場作りのお取り組み商談、カテゴリー提案、配荷・導入商談の徹底などによる既存の取引先との関係強化と新規顧客の開拓
・ 販売情報の活用によるマーケティング営業力の強化
・ アジア地域(インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、インド等)や欧州地域(イタリア、ハンガリー等)、中南米地域(メキシコ等)をはじめとした積極的な海外事業展開
③ 生産
・ 海外生産、海外調達を含めた効率的な生産体制の構築
・ VA(商品価値の向上)や生産工程の改善による製造原価低減活動
(利益構造の改革)
・ 高付加価値商品の新規開発と上市
・ 販売品目の重点化による販売効率の向上、利益性を重視した販売
・ 販促経費、販売費及び一般管理費等の経費の効率的運用・削減
・ 返品率の改善
・ 商品アイテム数の見直し・削減による生産効率の改善
・ 在庫の削減
・ 製造原価のコストダウン及びVAへの取組強化
(海外事業の拡大と強化)
①インドネシア
2社体制で互いの販売エリアの強みを活かしながら、成長ポテンシャルの高いインドネシア市場での売上の拡大と収益力強化を図る。
1) P.T.FUMAKILLA INDONESIA
・ 成長を牽引する新製品開発、既存品の製品力強化
・ 線香市場でのシェアNo.1維持
・ コスト競争力の強化
2) PT Technopia Jakarta
・ 蚊取り線香の商品力強化と製品ラインナップの拡大
・ 販売網の構築と売上拡大
・ 生産効率改善とコストダウン
②マレーシア
Fumakilla Malaysia Bhd.
・ 蚊取り線香やエアゾールを中心とした商品力強化、新製品投入による市場拡大
・ 販売網の整備と収益力の強化
③タイ
Fumakilla (Thailand) Ltd.
・ 蚊取り線香を中心とした製品ラインナップ強化
・ 販売網の整備と収益力の強化
④ベトナム
Fumakilla Vietnam Pte.Ltd.
・ 蚊取り線香や殺虫エアゾールの販売強化、新製品投入
・ 生産効率改善とコストダウン、収益力強化
⑤ミャンマー
Myanmar Texcorp Limited
・ 差別化商品の投入
・ 収益力の強化
⑥インド
Fumakilla India Private Limited
・ 販売網の再整備
・ エリアフォーカスの導入による配荷率のアップ
⑦メキシコ
Fumakilla America S.A. de C.V.
・ 国内販路構築の取組強化、中米市場の開拓
・ 店頭での販促活動強化
(7)財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度における流動資産の残高は158億38百万円となり、前連結会計年度末より12億1百万円減少しました。受取手形及び売掛金の減少(80億63百万円から72億85百万円へ7億77百万円減少)、商品及び製品の減少(34億99百万円から31億96百万円へ3億2百万円減少)、仕掛品の減少(6億33百万円から4億67百万円へ1億65百万円減少)が主な要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度における固定資産の残高は103億23百万円となり、前連結会計年度末より49百万円増加しました。リース資産の増加(31百万円から1億49百万円へ1億18百万円増加)、のれんの増加(12億3百万円から13億8百万円へ1億5百万円増加)、機械装置及び運搬具の減少(11億48百万円から11億2百万円へ46百万円減少)、工具、器具及び備品の減少(1億99百万円から1億28百万円へ71百万円減少)が主な要因であります。
(流動負債)
当連結会計年度における流動負債の残高142億97百万円となり、前連結会計年度末より53百万円減少しました。電子記録債務の増加(9億23百万円から15億3百万円へ5億79百万円増加)、未払法人税等の増加(61百万円から2億95百万円へ2億33百万円増加)、短期借入金の減少(77億66百万円から69億25百万円へ8億41百万円減少)が主な要因であります。
(固定負債)
当連結会計年度における固定負債の残高は37億64百万円となり、前連結会計年度末より90百万円減少しました。退職給付に係る負債の増加(当期5億15百万円の発生)、長期借入金の減少(22億50百万円から20億円へ2億50百万円減少)、退職給付引当金の減少(3億98百万円から0百万円へ3億98百万円減少)が主な要因であります。
(純資産)
当連結会計年度における純資産の残高は81億円となり、前連結会計年度末と比較して10億8百万円減少しました。その要因の主なものは、為替換算調整勘定の増加(△75百万円から2億70百万円へ3億45百万円増加)、少数株主持分の増加(15億56百万円から16億93百万円へ1億36百万円増加)、公開買付により取得した自己株式の増加(△41百万円から△15億52百万円へ15億10百万円増加)が主な要因であります。