有価証券報告書-第152期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/26 14:34
【資料】
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【項目】
109項目
業績等の概要
(1)業績
①当連結会計年度の状況
当連結会計年度(平成29年4月1日から平成30年3月31日まで)におけるわが国の経済は、緩やかな回復基調が続きました。また、世界経済も全体としては緩やかな回復が続きました。
このような事業環境の中、当社グループは引き続き、長期経営計画「Vプラン2017」及び、平成26年度からスタートした4ヵ年の中期経営計画に基づき、「日本」「中国・アジア」「米州・欧州」の3つの事業で構成される「グローバル住設事業」と「セラミック」「環境建材」で構成される「新領域事業」の2つの事業軸で活動を推進しました。
その結果、当連結会計年度の業績は、売上高が5,923億1百万円(前期比4.4%増)、営業利益が526億2百万円(前期比10.9%増)、経常利益が543億7千6百万円(前期比12.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が367億9千8百万円(前期比11.6%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。なお、セグメントの売上高については、外部顧客への売上高を記載しています。
②セグメントの状況
■グローバル住設事業
当連結会計年度の業績は、売上高が5,636億4百万円(前期比3.3%増)、営業利益が550億4千1百万円(前期比7.2%増)となりました。
a.日本住設事業
当連結会計年度の業績は、売上高が4,256億9百万円(前期比0.5%増)、営業利益が286億6千9百万円(前期比1.6%減)となりました。
当社グループにおいては、「ネオレスト」などの新商品が牽引し、リモデルは前年を上回りましたが、新築は前年を下回る実績となりました。
TOTO、DAIKEN、YKK APでは、快適性と環境配慮を両立するリフォーム「グリーンリモデル」を引き続き推進しています。当連結会計年度においては、平成29年7月、TOTO、DAIKEN、YKK APによる「TDY札幌コラボレーションショールーム」をオープンいたしました。
また、増加している訪日外国人観光客の目に触れるトイレの提案強化をすることで、ウォシュレットの訴求機会を増やし、国内だけでなく海外での購買につなげる活動を強化しています。
b.中国・アジア住設事業
<中国>当連結会計年度の業績は、売上高が719億6千6百万円(前期比17.2%増)、営業利益が181億4千5百万円(前期比19.0%増)となりました。
当社グループにおいては、一級都市をはじめとする都市部を中心に、市場環境や消費者の購買行動の変化などに
注視しつつ、高級ブランドとしての強みを活用し、事業活動を推進しています。
また、中国国内の長期的な市場成長による需要増に対応するため、効率的な生産・最適な供給体制の構築を進めています。
これらの活動に加え、ウォシュレットの新商品投入や積極的なプロモーションなどの効果もあり、売上を着実に伸ばしました。
<アジア・オセアニア>当連結会計年度の業績は、売上高が316億5千6百万円(前期比10.4%増)、営業利益が67億2千8百万円(前期比21.1%増)となりました。
当社グループにおいては、世界の供給基地としてベトナム、タイでの生産体制を充実させると共に、新興国市場での販売力を強化しています。また、ベトナムや台湾では、高級ブランドとしての認知を活かした事業活動を推進しています。
ベトナムでは、市場の成長に合わせて、5スターホテルや高級コンドミニアムなどの著名物件や、個別散在物件の受注強化のため、販売網の強化やアフターサービス体制の整備に取り組んでいます。
台湾では、新築住宅着工に依存しない販売体制確立に向け、積極的なプロモーションの展開により、ウォシュレットの普及に努めています。
c.米州・欧州住設事業
<米州>当連結会計年度の業績は、売上高が307億8千4百万円(前期比8.2%増)、営業利益が25億3千万円(前期比13.3%増)となりました。
当社グループにおいては、中高級市場におけるトップメーカーとしての商品優位性や価値伝達によって、ブラン
ド価値を高め、競合他社との差別化を図っています。
節水性能の高い便器(洗浄水量3.8L)やウォシュレット、「ネオレスト」の快適性、デザイン性がお客様から評価され、選ばれています。また、ウォシュレットは、ショールーム展示やホームページの充実、eコマースなど新規ルート強化を進めています。
平成30年(2018年)1月にフロリダで開催された米国最大規模の水まわり設備の展示会KBIS2018(Kitchen & Bath Industry Show)ならびに、ラスベガスで開催された最新家電の展示会CES2018 (Consumer Electronic Show)に出展しました。グローバルフラッグシップモデルのネオレストをはじめ、ウォシュレット、便器など新商品のデザインと技術が大きな注目を浴びました。
<欧州>当連結会計年度の業績は、売上高が35億8千7百万円(前期比3.7%減)、営業損失が10億3千2百万円(前連結会計年度は営業損失8億2千5百万円)となりました。
当社グループにおいては、ドイツ、フランス、イギリスを中心に、販売チャネルの構築および著名物件の獲得を進めており、販売代理店におけるショールーム展示の質の向上や、施工店の開拓・拡大に注力しています。ウォシュレットや「ネオレスト」など差別化商品の認知が向上し、ホテルなどの高級現場における商品の採用が進んでいます。
便器などデザイン性の高い新商品を発売し、展示会やセミナー、ショールーム展示を通じてお客様に価値訴求を強化しています。
■新領域事業
当連結会計年度の業績は、売上高が284億3千4百万円(前期比32.4%増)、営業利益が13億3百万円(前期比143.2%増)となりました。
当社のオンリーワン技術を活かした「セラミック事業」、環境浄化技術「ハイドロテクト」による建材や塗料などを展開する「環境建材事業」を「新領域事業」として、事業活動を推進しています。
<セラミック事業>当連結会計年度の業績は、売上高が200億3千万円(前期比60.2%増)、営業利益が17億4千4百万円(前期比42.1%増)となりました。
当社グループにおいては、半導体・高速光通信・表示デバイス等先端デバイスの需要が増加したことにより、それらの製造装置に採用されている当社セラミック製品の需要が好調でした。
引き続き、生産設備の増強、開発体制の強化を進めつつ、生産性向上に取り組み、強固な事業基盤の構築を目指しています。
<環境建材事業>当連結会計年度の業績は、売上高が84億4百万円(前期比6.4%減)、営業損失が4億4千万円(前連結会計年度は営業損失6億9千1百万円)となりました。
住宅会社向け外壁商品の取引先住宅着工の減少に伴い減収となりましたが、内装防汚陶板「ハイドロセラ」の売上伸長、生産体制強化による利益改善などが進み営業損益は改善しました。
■その他
<全般>
・創立100周年を迎え
当社は平成29年5月15日に創立100周年を迎えました。これまで当社の発展を長年支えてくださったお客様や様々なステークホルダーの皆様への感謝の想いを伝えるとともに、これからもお客様の満足を追求し、世界のお客様から必要とされる企業を目指していきます。

・タイに新たな衛生陶器生産工場を建設
TOTOタイランド(TOTO (THAILAND) CO., LTD.)敷地内に、新たに衛生陶器生産工場(TOTOタイランド第2工場(仮称))を建設します。新工場は平成29年(2017年)5月より着工し、平成31年(2019年)4月からの本格稼動を目指します。
・“グローバル統一モデル”の商品を発表
平成29年5月、国内外の多様なニーズにこたえるために水栓金具10シリーズを発売しました。同8月には、次世代の“グローバル統一モデル”として「ネオレストNX」を日本で発売しました。今後、順次世界で発売していきます。
なお、「ネオレストNX」はドイツで開催されている国際的なデザイン賞である『iFデザイン賞2018』と『レッドドット・デザイン賞2018』(※)をダブル受賞しました。
また、「台付シングル混合水栓ZLシリーズ」「ベッセル式洗面器」が『iFデザイン賞2018』、台付シングル混合水栓「GSシリーズ」「GAシリーズ」が『レッドドット・デザイン賞2018』(※)をそれぞれ受賞しました。

『iFデザイン賞』は5年連続、『レッドドット・デザイン賞』は6年連続の受賞となります。
(※)『レッドドット・デザイン賞』は平成30年4月に受賞しました。
・「ラグビーワールドカップ2019™日本大会」のオフィシャルスポンサーに決定
平成29年9月、「ラグビーワールドカップ2019™日本大会」オフィシャルスポンサーの契約を締結しました。日本で初めての開催となる大会の成功に向け、貢献していきます。
<社外からの評価について>・「光電センサー内蔵自動水栓」が「建築設備技術遺産」に認定
TOTOミュージアム所蔵の「光電センサー内蔵自動水栓」が、一般社団法人建築設備技術者協会より、平成29年度「建築設備技術遺産」に認定されました。
・「自動洗浄小便器」の意匠が「平成29年度全国発明表彰」の「発明賞」を受賞
平成27年4月より生産・販売している「自動洗浄小便器」の意匠が、公益社団法人発明協会主催の「平成29年度全国発明表彰」において、「発明賞」を受賞しました。なお、全国発明表彰の受賞は、今回で6回目となります。
・「FTSE4Good Index Series」に選定
平成29年7月、社会的責任投資(SRI)の世界的指数である「FTSE4Good Index Series」(フッツィ・フォー・グッド・インデックス・シリーズ)の構成銘柄に2年連続で選定されました。
・「Dow Jones Sustainability Indices (DJSI)」における「Asia Pacific」構成銘柄に選定
平成29年9月、世界的な社会的責任投資の指標である「Dow Jones Sustainability Indices (DJSI)」における「Asia Pacific」構成銘柄に9年連続で選定されました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は976億3千7百万円となり、前連結会計年度末の983億8千4百万円に比べ、7億4千6百万円の資金減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により454億8千9百万円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益542億5千4百万円、減価償却費213億5千7百万円等の収入と、法人税等の支払額148億6千9百万円、退職給付に係る負債の減少額131億2千4百万円等の支出によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により363億7千4百万円の支出となりました。これは、有形固定資産の取得351億6千4百万円等の支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により112億4千4百万円の支出となりました。これは、配当金の支払額118億4千万円等の支出によるものです。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
日本359,9880.5
中国94,69916.3
アジア・オセアニア52,98724.6
米州28,4647.8
欧州2,985△6.5
グローバル住設事業計539,1255.4
セラミック事業15,32266.9
環境建材事業7,191△5.8
新領域事業計22,51433.9
報告セグメント計561,6396.3
その他--
合計561,6396.3

(注)1.金額は、売価換算値で表示しています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3.比較対象となる前期の金額は、期中平均相場により円貨に換算した遡及修正後の数値となっています。
(2)受注実績
当社グループは概ね見込生産方式を採っていますので、受注の実績については記載を省略しました。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
日本437,9910.9
中国91,33315.0
アジア・オセアニア50,01712.8
米州30,8358.1
欧州3,614△3.4
グローバル住設事業計613,7924.0
セラミック事業20,03060.2
環境建材事業9,765△5.9
新領域事業計29,79630.2
報告セグメント計643,5885.0
その他311△0.8
内部売上消去等△51,599-
合計592,3014.4

(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
前連結会計年度、当連結会計年度共に販売実績が総販売実績の100分の10以上を占める相手先がないため、記載を省略しました。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3.比較対象となる前期の金額は、期中平均相場により円貨に換算した遡及修正後の数値となっています。