四半期報告書-第155期第2四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/11/06 13:00
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【項目】
35項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①当第2四半期連結累計期間の状況
当第2四半期連結累計期間(2020年4月1日から2020年9月30日まで)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による影響により、厳しい状況が続いていますが、徐々に回復の傾向が見られます。
同様にわが国の経済も依然として厳しい状況ではあるものの、持ち直しつつあります。
このような事業環境の中、当社グループは引き続き、中期経営計画「TOTO WILL2022」に基づき、「日本」「中国・アジア」「米州・欧州」の3つの事業で構成される「グローバル住設事業」と「セラミック」「環境建材」で構成される「新領域事業」の2つの事業軸で活動を推進しました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が2,575億4千6百万円(前年同四半期比13.1%減)、営業利益が106億5百万円(前年同四半期比39.3%減)、経常利益が102億9千2百万円(前年同四半期比42.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が45億6千9百万円(前年同四半期比63.2%減)となりました。
総資産は、前連結会計年度末に比べ、162億6千6百万円増加しました。主な内容は、現金及び預金が157億7千5百万円の増加、商品及び製品が26億6千万円の増加、その他有形固定資産が建設仮勘定の増加等により25億2千2百万円の増加、受取手形及び売掛金が46億3百万円の減少となっています。
また、負債は、前連結会計年度末に比べ、202億9千1百万円増加しました。主な内容は、短期借入金が294億5百万円の増加、支払手形及び買掛金が85億6千4百万円の減少となっています。
②セグメントの業績
セグメントごとの売上高については、外部顧客への売上高を記載しています。
a.グローバル住設事業
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が2,447億6千7百万円(前年同四半期比13.9%減)、営業利益が117億7千万円(前年同四半期比41.2%減)となりました。
<日本住設事業>当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が1,876億7千2百万円(前年同四半期比14.2%減)、営業利益が47億8千6百万円(前年同四半期比63.2%減)となりました。
当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症による影響を受け、消費マインドの低下が見られた中、ショールーム再開後の来館状況などは持ち直してきたものの、リモデル、新築ともに前年を下回る実績となりました。
TOTO、DAIKEN、YKK APでは、これからも安心して暮らせる、人と地球にやさしい家づくりの視点「グリーンリモデル」に基づいて、お客様のさまざまな暮らしの想いをかなえるライフスタイルの提案「十人十家」を推進しています。
当社が創り出した清潔なトイレ文化の世界への発信に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でニーズが高まる衛生的な空間を実現できる商品の提案を強化しています。
<中国・アジア住設事業>(中国)
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が264億7千9百万円(前年同四半期比18.3%減)、営業利益が44億2千8百万円(前年同四半期比5.6%減)となりました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、一時的に事業停止を余儀なくされ、減収減益になりました。
当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症拡大による市場環境や消費者の購買行動の変化などに注視しつつ、高級ブランドとしての強みを活用し、引き続き事業活動を推進しています。
また、中国国内の長期的な市場成長による需要増に対応するため、効率的な生産と最適な供給体制の構築を進めています。
加えて、「ウォシュレット」のプロモーション強化を通じて普及拡大に努めています。
(アジア・オセアニア)
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が131億9千1百万円(前年同四半期比10.8%減)、営業利益が22億7千7百万円(前年同四半期比1.5%増)となりました。
インドで新型コロナウイルス感染症拡大により、一部で事業停止を余儀なくされました。
当社グループにおいては、世界の供給基地としてベトナム、タイでの生産体制を充実させると共に、新興国市場での販売力を強化しています。また、日本発の高級ブランドとしての認知を活かした事業活動を推進しています。
各国の市場成長に合わせて、5スターホテルや高級コンドミニアムなどの著名物件や、個別散在物件の受注強化のため、販売網の強化や積極的なプロモーション展開による「ウォシュレット」の普及、アフターサービス体制の整備に取り組んでいます。
<米州・欧州住設事業>(米州)
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が155億6百万円(前年同四半期比4.9%減)、営業利益が7億1千8百万円(前年同四半期比47.2%増)となりました。
3月以降北米を中心に新型コロナウイルス感染症拡大の影響があったものの、これまでの活動で認知が拡大していた「ウォシュレット」の需要が急増するなど、温水洗浄便座を取り巻く環境が大きく変化しています。
当社グループにおいては、中高級市場における商品優位性や価値伝達によってブランド価値を高め、競合他社との差別化を図っています。
節水便器の高い節水性能(洗浄水量3.8L)や「ウォシュレット」「ネオレスト」の快適性、デザイン性がお客様から評価され、住宅、非住宅ともに採用が増加しています。特に「ウォシュレット」は、新型コロナウイルス感染症拡大を背景とした需要の急増を契機に、本格的な普及段階へと移行しつつあります。ショールーム展示やホームページの充実、eコマースなど、お客様接点の強化や効率的な供給体制を推進しています。
(欧州)
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が19億1千6百万円(前年同四半期比5.1%減)、営業損失が4億4千万円(前年同四半期は営業損失4億3千9百万円)となりました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、一時的に事業活動に制限を受け、販売促進に関わる展示会等のイベントが中止となりましたが、引き続き欧州のお客様の嗜好に沿う高いデザイン性の販売を強化し、ショールーム展示を通じてお客様への価値訴求を強化しています。
当社グループにおいては、ドイツ、フランス、イギリスを中心に、販売チャネルの構築及び著名物件の獲得を進めており、販売代理店におけるショールーム展示の質の向上や、施工店の開拓・拡大に注力しています。「ウォシュレット」や「ネオレスト」など差別化商品の認知が向上し、ホテルなどの高級現場における商品の採用が進んでいます。
b.新領域事業
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が126億4千9百万円(前年同四半期比6.5%増)、営業損失が7千9百万円(前年同四半期は営業損失7億9千2百万円)となりました。
<セラミック事業>当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が98億7百万円(前年同四半期比20.8%増)、営業利益が2億9千6百万円(前年同四半期は営業損失4億9千7百万円)となりました。
当社グループにおいては、半導体・表示デバイス等の先端デバイスの需要が増加したことにより、それらの製造装置に採用されている当社セラミック製品の売上も増加しました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響は限定的となりました。
取引先の需要変化に対応できるよう、もの創りを抜本的に改革し、生産性向上に取り組むことで、強固な事業基盤の構築を目指しています。
<環境建材事業>当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が28億4千1百万円(前年同四半期比24.3%減)、営業損失が3億7千6百万円(前年同四半期は営業損失2億9千5百万円)となりました。
当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により売上は前年より減少しました。
③その他
<社外からの評価について>・ESG投資指標に選定
ESG投資の世界的指数である「FTSE4Good Index Series」の構成銘柄に5年連続で選定されました。
また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によって採用されている4つのESG投資指数である「FTSE Blossom Japan Index」、「S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数」、「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」、及び「MSCI 日本株女性活躍指数(WIN)」にも継続して選定されています。
これらの指標に選定されたことは、当社グループのESGに配慮した事業活動、情報開示が評価されたことによるものです。引き続き、当社グループは「TOTOグローバル環境ビジョン」の活動を通じて、経営とCSRの更なる一体化を図り、企業価値向上を目指していきます。
・「ネオレストNX」が「令和2年度全国発明表彰」の「発明賞」を受賞
2017年8月より生産・販売している「ネオレストNX」の意匠が、公益社団法人発明協会主催の「令和2年度全国発明表彰」において、「発明賞」を受賞しました。
なお、全国発明表彰の受賞は、今回で7回目となります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、1,201億5千9百万円となり、前連結会計年度末の1,017億1千1百万円に比べ、184億4千7百万円の資金増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により101億5千8百万円の収入となりました。これは、税金等調整前四半期純利益81億3千8百万円、減価償却費121億7千7百万円、補償金の受取額54億2千9百万円等の収入と、仕入債務の減少額80億1千3百万円、たな卸資産の増加額54億7千9百万円、法人税等の支払額40億8千6百万円等の支出によるものです。前第2四半期連結累計期間と比較すると、147億5千8百万円の収入減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により186億6千6百万円の支出となりました。これは、定期預金の払戻による収入28億8千1百万円等の収入と、有形固定資産の取得による支出182億8千9百万円、無形固定資産の取得による支出30億6千1百万円等の支出によるものです。前第2四半期連結累計期間と比較すると、14億5千3百万円の支出増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により284億9千3百万円の収入となりました。これは、短期借入金の増加298億5千1百万円、コマーシャル・ペーパーの発行による収入406億円等の収入と、コマーシャル・ペーパーの償還による支出336億円、配当金の支払額76億2千2百万円等の支出によるものです。前第2四半期連結累計期間と比較すると、414億1千1百万円の収入増加となりました。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
[株式会社の支配に関する基本方針について]
①当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの事業特性、並びに当社の企業価値の源泉を十分理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させることができる者であることが必要と考えております。
当社は、1917年の創立以来、一貫して「社会の発展への寄与」を理念とする経営を行ってまいりました。水まわりを中心とした豊かで快適な生活文化創造にあたっては、たゆまぬ研究開発と市場開拓を行い、必要な設備や人財育成に長期的投資を行うことによって、日本市場の中で、「環境配慮」を実現する節電・節水技術の開発、「清潔・快適」「ユニバーサルデザイン」を実現する素材開発、「安心・信頼」を実現するビフォア・アフターサービス体制等、総合的な事業活動による価値の創造と提供を図ってまいりました。現在では、日本市場で築いた事業モデルを活かし、米州・アジアをはじめとする世界の水まわり市場の積極開拓により、一層の価値向上を図る一方、日本の水まわり市場において確固たる地位を築いたことによる供給責任にも応えています。創立以来、長きにわたり、広く社会の発展に寄与し続けたことが、現在の当社の企業価値ひいては株主共同の利益につながっています。
当社は、公開会社として当社株式の自由な売買を認めることは当然のことであり、特定の者又はグループによる大量買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かの最終的な判断は、当社株式を保有する株主の皆様に委ねられるべきものと考えております。しかしながら、当該大量買付行為が、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、必要かつ相当な手段を採ることによって当社の長期的な株主価値を確保することが必要であると考えております。
②基本方針の実現に資する取組み
(ⅰ)社是・企業理念及び中期経営計画
当社グループは、社是「愛業至誠:良品と均質 奉仕と信用 協力と発展」とTOTOグループ企業理念「私たちTOTOグループは、社会の発展に貢献し、世界の人々から信頼される企業を目指します」に基づき、広く社会や地球環境にとって有益な存在であり続けることを目指して企業活動を推進しています。
当社の企業価値の源泉は、①高品質な製品を提供し続けてきた高度な生産技術力、②ユニットバス・ウォシュレット等の新たな生活文化の創造に寄与する商品やネオレスト・ハイドロテクト等の環境配慮商品を創造してきた研究開発力、③お客様の多様なニーズにきめ細やかに対応できる高品質かつ豊富な商品群、④お客様に安心・安全・信頼の証として認知された企業ブランド、⑤取引先との良好かつ長期的なパートナーシップに基づく販売力、⑥前記①~⑤の維持・発展を担う従業員等にあります。
当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保・向上させるため、2017年10月に策定した、2018年度から始まる5ヵ年の中期経営計画「TOTO WILL2022」を推進しています。
「TOTO WILL2022」では、コーポレート・ガバナンスを土台に、「グローバル住設事業」「新領域事業」の2つの事業軸と、「マーケティング革新」「デマンドチェーン革新」「マネジメントリソース革新」の3つの全社横断革新活動により、グローバル推進体制を強化していきます。
これらの事業活動と「TOTOグローバル環境ビジョン」がより一体となり、更なる企業価値向上を目指します。
(ⅱ)コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、経営の客観性・透明性を高め、経営責任を明確にすることによって、ステークホルダーの皆様の満足を実現し、企業価値を永続的に向上させることが企業経営の要であると考えます。
当社のコーポレート・ガバナンス体制につきましては、当社ウェブサイト(https://jp.toto.com/company/profile/governance/index.htm)に記載のとおりです。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、上記の基本方針のもと、2006年4月28日開催の取締役会において「当社株式の大量買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」を導入いたしました。その後、直近では2016年6月29日開催の当社第150期定時株主総会の決議により更新(以下、更新後の買収防衛策を「本プラン」といいます)いたしましたが、本プランの有効期限である、2019年6月25日開催の第153期定時株主総会の終結の時をもって本対応方針を継続しないことを、2019年4月26日開催の取締役会において決議いたしました。
なお、当社は本プラン廃止後も、当社株式の大量買付を行おうとする者に対しては、大量買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
④上記各取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
上記②及び③に記載の取組みは株主共同の利益を確保し、向上させるための取組みであり、上記①の基本方針に沿うものであります。これらの取組みは、株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的としたものではありません。
(4)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、105億8千2百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。