有価証券報告書-第129期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/03/22 12:41
【資料】
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【項目】
61項目

対処すべき課題

当社は「グローバル・メジャー・ブランド」すなわち「最も多くのお客様から信頼されることにより、最も多くの社会貢献をなしうるブランド」となることを長期目標としております。今後も「グローバル・メジャー・ブランド・クボタ」の確立に全身全霊で取り組み、国連の推進する持続可能な開発目標(SDGs)への最大限の貢献と長期にわたる持続的発展をめざします。その実現に向け、あらためて「現場主義」と「お客様第一主義」の徹底を図るとともに、以下の重点施策を推進していきます。
(1) グローバル・メジャー・ブランドに相応しい経営基盤の確立
グローバル・メジャー・ブランドに相応しい経営基盤の確立は急務であり、特に研究開発体制、生産調達体制、情報システムの早期拡充に取り組みます。
研究開発体制については、リソースの強化・拡充を継続するとともに、限られたリソースで最大限の成果を発揮できる体制を構築することにより、開発期間短縮と品質改善を図ります。国内ではグローバル研究開発体制の中核となる研究開発拠点の設立に着手し、分散する拠点の統合・効率化及び成長事業の開発力や先端技術開発の強化を進めます。海外では欧州新開発拠点の運営本格化等、各グローバル研究開発拠点の整備・拡充を継続推進していきます。
生産調達体制については、事業ごとに最も効率的な生産体制の確立に取り組みます。また、品質向上、コスト低減、リードタイム短縮にサプライヤーと一体で取り組むことにより、調達のレベルアップと供給の安定化に努めます。加えて、頻発する自然災害や発生が予想されている大地震に対して、事業継続計画の見直しと対策の徹底を図り、早期の対策完遂をめざします。
情報システムについては、ICTの推進体制を確立し、体質強化、競争力強化及び顧客満足度向上に資する基幹システムの新鋭化やレベルアップに向けた開発を着実に遂行するとともに、IT関連組織のガバナンス強化を図ります。
(2) 機械事業における成長事業の確実な展開と体質強化
農業機械事業では、畑作用大型トラクタの新製品開発と現行機種の競争力・収益力強化による基盤強化を図ります。また、成長原資を創出するため、高い収益力を有する中小型トラクタの拡販と収益極大化、成長製品である芝関連機器やユーティリティビークル(多目的四輪車)のシリーズ拡大にも注力します。新興国市場では、合弁会社によるトラクタの現地生産を決定したインド事業の本格化や新興国向けトラクタのシリーズ拡大に取り組みます。コンバインや田植機については、当面中国事業の再建に集中し、需要が回復しない中でも、ムダの排除とコストダウンの徹底により収益を確保します。併せて成長製品であるホイール・コンバインの採算改善、市場ニーズに適合した新製品の開発、サービスの充実化等により、中期的な成長基盤の強化を図ります。国内農業機械では、シェアアップと体質強化の徹底により収益力の大幅改善をめざすとともに、農業機械の販売のみにとどまらず、周辺機器、整備・サービス、ソリューションまでカバーする「農業総合サービス事業」への進化を加速させます。その一環として、ICT農業機械分野における主導的地位の確立に向け、先行技術開発やICTを活用した農業支援システム(KSAS)のレベルアップ、グローバル精密農業技術の開発及び本機・インプルメントの次世代統合制御システムの構築を推進します。
建設機械事業は、すべての主要市場で躍進し、世界的に存在感のある事業に成長しました。今後も大きな成長が期待される分野として積極的な資源投入を継続します。製品のシリーズ拡充とモデルチェンジを着実に進め、研究開発も加速することにより、事業領域の拡大と事業基盤の強化を推進します。
エンジン事業は、各国の排ガス規制に着実に対応し、顧客の様々な要望に応えうる豊富な製品ラインアップを揃えることで、事業が大きく拡大してきました。今後のさらなる成長に向けて、大型エンジンの開発、クリーン化・エコ化への対応を加速するとともに、需要拡大に対応するため、業界最高水準の生産体制の構築に取り組みます。
(3) 水・環境事業における組織体制見直しと体質強化
水・環境事業は、組織体制をパイプインフラ事業と環境事業に再編し、体質強化の徹底による業績確保に注力します。
パイプインフラ事業は、パイプシステムと素形材・鋼管の一体運営による合理化・効率化を推進し、事業体質の抜本的強化を図ります。ダクタイル鉄管等の国内需要の大幅な縮小に対応するため、製造、物流の工程革新や、営業、工事等も含めた事業全体の刷新を早期に完了させます。また、設計・施工の一括受注や管路更新工事等の業績確保につながるテーマを継続推進し、市場の変化に対応した事業構造改革を実行することで、早期の業績改善をめざします。海外売上が拡大している素形材については、海外生産拠点の抜本的改革を促進します。
環境事業は、「総合環境インフラ企業」のトップブランド確立をめざします。当社の強みを活かして水ソリューション、環境保全、創エネルギー分野での案件創出に努め、福島県における放射能汚染廃棄物の減容化プロジェクト等の進行中の大型案件も着実に推進していきます。また、水・環境分野においてIoT技術を活用し、トータルソリューションサービスを提供するシステム(KSIS)の一層の進化を進め、新たな顧客価値を提供することによりプラント・機器の拡販やメンテナンス事業の効率化と囲い込みを図ります。また、海外事業が拡大しつつある液中膜、浄化槽については、一層の拡販に向けた効率的・効果的な運営体制の構築に注力します。
(4) 収益力向上・体質強化の徹底
売上が順調に拡大する一方で、収益性の改善を果たすことができなかったことは痛恨の極みであり、持続的な企業価値の向上を通じてすべてのステークホルダーに対する責任を果たしていくため、利益拡大重視の方針を一層徹底します。
国内事業の収益力回復に向け、人口減少・高齢化に伴う社会構造の変化に適切に対応し、真のニーズを先取りする製品・サービスの開発、提供を推進するとともに、あらゆる事業コストの抜本的な抑制による収益基盤の強化に努めます。さらに、継続的な需要縮小に対して、事業部間、あるいは国内事業と海外事業間の人員シフトにより、人材配置の最適化を推進します。
クボタ生産方式の展開では、サプライヤーや物流を含む「前工程」からお客様に届くまでの「後工程」を全体最適の視点で改善し、世界トップレベルの高効率な生産体制構築に向けた取り組みを加速します。また、間接部門を含めた全社・全部門への展開では、プロジェクトを通じた不要業務の徹底的削減と業務の標準化・効率化により、付加価値業務の極大化を図ります。
棚卸資産の削減では、一過性要因に左右されない組織的・構造的な削減を推進します。