有価証券報告書-第128期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/23 14:59
【資料】
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【項目】
67項目

対処すべき課題

当社は「グローバル・メジャー・ブランド」すなわち「最も多くのお客様から信頼されることにより、最も多くの社会貢献をなしうるブランド」となることを長期目標としております。その実現に向けて以下の重点施策を推進し、食料・水・環境分野における課題解決力の一層の強化を図っております。当社は国連の推進する持続可能な開発目標(SDGs)への最大限の貢献を図りつつ、「グローバル・メジャー・ブランド」としての持続的発展をめざします。
(1) 事業領域拡大による新たな成長機会の追求
従来は「戦略分野での事業展開の加速」を重点施策に掲げ、同分野での新製品の投入や生産・販売・サービス等事業基盤の構築を進めてきました。現在はそれを「事業領域の拡大による新たな成長機会の追求」へと発展、強化させ、確実に成果に結び付けることをめざしております。
畑作用農業機械事業では、大型トラクタ市場への本格参入を通じて従来とは異なる顧客ニーズや事業課題が明らかになりました。これらへの対応具体策を早急に実行することにより事業の拡大と収益力の向上を図ります。また、インド、東欧、トルコ、メキシコ等の新興国市場やブラジル、ケニア等のフロンティア市場の開拓においても、従来のやり方にとらわれず徹底した現場主義を貫き、各地域の多様なニーズを捉えることにより新たな事業機会を創出していきます。当社はこれらの取り組みを通じて「世界の総合農機トップクラスメーカー」への飛躍をめざします。
海外建設機械事業では、小型建設機械の品揃えに努め、間断なく新機種を投入することにより高い成長を果たしてきました。今後は製品ラインアップの一層の拡充、現地生産の強化、先進新技術の導入等をスピードアップするとともに、ASEANをはじめとする新興市場にも注力します。当社は建設機械事業を農業機械事業と並ぶ主力事業に育てていきます。
エンジン事業は、これまで各地域の排ガス規制を着実にクリアし、ニーズに即した製品開発を行うことにより成長を果たしてきました。その結果、当年度は過去最高の出荷台数を記録するに至りました。今後も大型エンジンの開発、クリーン化・エコ化への対応、小型エンジンのラインアップ拡充等の取り組みを強化し、「200馬力以下で世界No.1の産業用エンジンメーカー」をめざします。
汎用機器事業も一段の飛躍を図ります。生産能力増強を実施した米国拠点を活かして、ラインアップ拡充の進む芝刈機や、2018年に投入する高速ユーティリティ・ビークル(多目的四輪車)を中心に顧客層の大幅拡大を実現していきます。
(2) 収益力向上・体質強化の徹底
年々熾烈さを増す競争を勝ち抜き、持続的な成長を確保するため、収益力向上と体質強化を徹底します。
海外農業機械事業では、主力製造拠点である国内工場での大幅コストダウン及び増産体制を整備した海外工場のフル活用に注力します。また、インプルメントの販売が回復に転じたクバンランド社について、収益力の改善及びグレートプレーンズ社とのさらなるシナジーの発現を推進します。
厳しい市場環境が続く国内農業機械事業では、販売・流通の生産性向上等利益確保を重視した事業運営を徹底します。また、高水準できめ細かなサービスやソリューションの提供による差別化を進めるとともに、農業・農家・農産物に係る様々なニーズの事業化に取り組み、「農業総合サービス事業」への進化を図ります。
水・環境事業では、これまで取り組んできた体質改善や構造改革が成果をあげつつあり、当年度は減収の中でも増益を果たしました。この取り組みを一層強化するとともに、革新的価格の実現による製品力の強化や関連製品間の連携強化を通じて競争力の底上げを図ります。海外では、水処理需要が拡大するアジアにおいて浄化槽や膜等の環境関連事業が軌道に乗りつつあります。グループ会社を含む国内外拠点が一体となった事業運営によりこれを加速させていきます。また、KSIS(水環境分野においてIoT技術を活用し、トータルソリューションサービスを提供するシステム)の活用により、お客様の省エネ・省人、利便性向上等のニーズに応え、「水環境のクボタ」としての新たな価値を創造していきます。
経営効率向上策の一環として、たな卸資産の大幅削減に取り組んでいます。今後は事業所毎に設定した目標の早期達成に向けてグローバル・サプライ・チェーン・マネジメントに立脚した具体策を推進していきます。生産性向上への取り組みも強化しています。製造部門のみにとどまらず、販売部門や間接部門においてもクボタ生産方式の考え方に基づく徹底的な効率化を推進し、生産性の飛躍的向上をめざします。
なお、当年度は自動販売機事業からの撤退を決定しました。グループ全体としての収益力向上を図るうえでやむを得ないものと判断しました。同事業に係る経営資源の再配分を通じて他の事業の成長を一層促進していきます。
(3) 技術開発の能力底上げと効率化
お客様の多様なニーズに応えうる「グローバル・メジャー・ブランド」をめざすには技術開発能力の一層の底上げが不可欠です。北米、タイに続き欧州での体制整備を本格化してグローバル開発体制を進化させます。また、その基盤となる研究開発人員の技術レベル向上に向けた採用・育成プログラムの拡充や、「製品開発プロセス改革プロジェクト」を通じた新製品の開発期間短縮にも取り組みます。
技術面では、戦略分野での先端技術開発に重点をおき、自動運転の拡充・高度化や省エネプラント技術の強化等を通じてお客様のニーズの変化に迅速に対応していきます。
(4) 経営全体のグローバル化
グローバル・メジャー・ブランドにふさわしい経営全体のグローバル化に向け、各種経営機能の一層の高度化に取り組みます。
クボタ生産方式の展開では、基本思想である「徹底的なムダの排除」をすべての事業プロセスに浸透させます。また、リードタイムの短縮と売れたものだけを作る仕組みを実現することによって、世界トップレベルの効率的な生産体制を構築していきます。
IT化の推進では、これまでの取り組みを通じてITインフラの標準化・統合化・一元化に係る思想がグループ全体に浸透し、基幹システムの高度化への道筋も見えてきました。先進的なIT基盤は地域戦略を支え、業務改革を促進するうえで不可欠です。競合他社を凌駕しうるIT基盤の構築に向け、取り組みを加速していきます。