有価証券報告書-第201期(2022/04/01-2023/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
[古河電工グループ理念]
■基本理念
世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。
■経営理念
私たち古河電工グループは、人と地球の未来を見据えながら、
・ 公正と誠実を基本に、常に社会の期待と信頼に応え続けます。
・ お客様の満足のためにグループの知恵を結集し、お客様とともに成長します。
・ 世界をリードする技術革新と、あらゆる企業活動における変革に絶えず挑戦します。
・ 多様な人材を活かし、創造的で活力あふれる企業グループを目指します。
■Core Value(コア・バリュー)
古河電工グループ理念を達成し持続的に成長していく上で、特に大事にし、より強化していきたい価値観として⦅正々堂々⦆⦅革新⦆⦅本質追究⦆⦅主体・迅速⦆⦅共創⦆の5つを定め、「Core Value」としております。
■古河電工グループ ビジョン2030
当社グループの事業を取り巻く環境の急速な変化を捉え、目指す時間軸と事業領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」(以下、「ビジョン2030」という)を策定しております。
ビジョン2030は、「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。」という当社グループの基本理念を踏まえ、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs*)」が 示す社会課題の解決を念頭に置いて、当社グループの2030年におけるありたい姿を描くとともに、そこへ向けて目指す時間軸と領域を明確にしております。
ビジョン2030のもと、情報/エネルギー/モビリティの各領域及びこれらの融合領域において、当社グループは社会課題の解決を目指してまいります。さらに、新領域においても、これまでにない新たな事業の創出を通じた社会課題の解決を目指してまいります。

さらに、当社グループでは、ビジョン2030を達成するために当社グループが対処すべき経営上の重要課題を「マテリアリティ」と定義し、収益機会とリスクの両面で次のとおりマテリアリティを特定しております。これらのマテリアリティに取り組むことにより、ビジョン2030を達成するとともに、SDGsの達成にも寄与してまいります。

*SDGs…国連で採択されたSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称であり、17のゴール・169のターゲットで構成される国際目標
(2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
当社は、ビジョン2030のありたい姿からのバックキャストで中間地点としての2025年の目指す姿を定義し、その達成に向け2025年度を最終年度とする4か年の新中期経営計画「Road to Vision2030-変革と挑戦-」(以下、「25中計」という)を昨年策定し、各施策に取り組んでまいりました。

<経営環境>25中計の前提となる当社を取り巻く経営環境は、今後非連続かつ不可逆的に変化していくものと考えております。例えば、ESG/SDGsが企業の存続に欠かせない経営課題となる、人生100年時代などを踏まえた新たなライフスタイルが広がる、人口減少・高齢化の進展により国内市場が縮小する、DX(Digital Transformation)が急速に進展する、等の変化が想定されます。
このような環境においては、Beyond5G*の実現やカーボンニュートラルの実現、安全・安心・快適に人とモノが移動の自由を享受するための次世代インフラの実現、健康寿命延伸の実現、サーキュラー・エコノミーの実現等の社会課題解決の期待がより高まるものと想定されます。
*Beyond5G…5Gの特徴(高速・大容量、低遅延、多数端末との接続)のさらなる高度化に加えて、空・海・宇宙への利用領域の拡張、超低消費電力、超高信頼などの特徴を備えることが想定されている。6G(第6世代移動通信システム)とも呼ばれる。

<各事業領域における市場環境の見通し>世界経済は、回復傾向をたどるとみられます。しかし、インフレ率は高止まりしているほか、金融環境は不安定な状況にあり、リスクバランスは下振れの方向にあります。先行き不透明な状況が続くと予想されますが、当社グループが重点領域と位置づけているインフラ(情報通信、エネルギー)/自動車分野、また、注力事業と位置づけている半導体に関連する機能製品分野は、中長期では継続的な市場成長が見込まれます。
情報通信分野は、5GやIoTなど、クラウドをベースとしたサービスが様々な分野で成長しておりましたが、それに加えコロナ禍で定着したテレワークとその拡大により、データセンタ関連の光ネットワークの建設が今後も続くと考えられます。足元では世界的な光ファイバ等の需給バランスが悪化しておりますが、中長期では継続的な市場成長が見込まれます。
エネルギー分野は、国内に関しては国のエネルギー政策に伴う洋上風力を中心とする再生可能エネルギーや電力会社のリプレース需要が見込まれ、海外に関しては欧米、新興国での旺盛な需要が継続する見通しであります。
自動車分野は、半導体供給制約が緩和の方向にあるとともに、日系自動車メーカーのBEVシフトが加速するなど、今後も当該分野は継続的に成長する見通しであります。
機能製品分野は、足元ではスマートフォン・パソコン・データセンタ向けの需要が落ち込んでおりますが、中長期的には継続的な市場拡大・成長が見込まれます。
<25中計達成に向けた取組み(対処すべき課題)>25中計のもと、情報/エネルギー/モビリティの各領域及びこれらの融合領域における社会課題解決型事業の強化・創出を掲げ、収益の拡大に向けた取組みとして、「資本効率重視による既存事業の収益最大化」及び「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」を推進してまいります。また、これらを下支えする「ESG経営の基盤強化」に取り組んでまいります。
①資本効率重視による既存事業の収益最大化
収益性・成長性等の観点から事業の位置付けを可視化し、これに則した投資配分の最適化を進め、事業ポートフォリオの見直しを含む、資本コストをより意識した経営管理と意思決定を一層加速してまいります。また、売上における高付加価値製品の比率の向上や付加価値に見合った製品価格の適正化により、収益の改善・拡大を図ってまいります。具体的には、光ファイバ等の需要拡大をとらえ、拡販を進めているローラブルリボンケーブル等の高付加価値製品の売上増を図るとともに、中南米で培ったビジネスモデルの強みを活かしネットワーキングシステム事業をグローバルに拡大してまいります。電力ケーブルシステムについては、製造能力や工事施工能力の増強等を進め、国内での電力網強靭化や再生可能エネルギー向けの海底線及び地中線を主なターゲット領域として事業基盤を確立し、収益成長を図ってまいります。また、EV化の加速に伴う自動車の軽量化ニーズの高まりに応えるため、新車種への搭載を着実に拡大しているアルミワイヤハーネスの優位性を活かし、事業拡大と収益性向上を進めてまいります。さらに、中長期的に半導体需要の拡大が見込まれることから、半導体製造用テープにつきまして、2025年度の量産開始に向け新工場建設を進めており、製造能力の増強による安定的供給及び高性能・高品質な製品の提供により、売上拡大を目指してまいります。
②開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備
当社グループは、素材力を核として長年培ってきた「メタル」「ポリマー」「フォトニクス」「高周波」の4つのコア技術を活用し、新たな社会課題解決型事業創出の基盤整備を図ってまいります。Beyond5G社会に向け情報通信トラフィックの増加が見込まれる中、当社のコア技術であるフォトニクス技術及び高周波技術を活かした高機能なフォトニクス製品の開発力と、光通信市場への幅広い対応力を活かし、オール光ネットワークと高効率エネルギー社会の実現に貢献してまいります。また、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、化石資源によらないグリーンLPガスの開発・製造を進めてまいります。さらに、次世代のエネルギー源として期待される核融合発電に必要な高温超電導線材の開発・製造により、環境に配慮したクリーンな電力の供給に寄与してまいります。引き続き、外部パートナーとの共創を進めるほか、デジタル技術やデータの利活用を推進し、課題解決を起点とした製品・サービスを開発・提供することを通じて、新たな提供価値の創造を目指してまいります。
③ESG経営の基盤強化
25中計では、特定したマテリアリティごとに2025年度の目指す姿を定め、それらを実現する施策を策定するとともに、進捗を測定するサステナビリティ指標・目標値を設定しており、それらの達成を図ることで、ESG経営の基盤を強化してまいります。持続可能な企業へ変革する上で必須となっている気候変動に配慮したビジネス活動を展開するべく、「自社のCO2を出さない・減らす」「社会のCO2を出さない・減らす」「排出されたCO2を溜める・変える」という収益機会の獲得とリスクの低減の両面からの活動により、カーボンニュートラル実現への取組みを加速してまいります。また、人的資本の強化を図るため、人材に対するグループ・グローバル共通の考え方である「古河電工グループPeople Vision」に基づき、2030年のありたい姿として「多様な人材を確保し、挑戦し続けようとする人の成長を支援する」「全員が主役で誇りを持ちワクワク働ける企業グループを目指す」「『チームで徹底的にやりきる』古河電工グループの文化を醸成する」ことを基本方針として、「人材・組織実行力」の強化に取り組んでまいります。具体的には、従業員エンゲージメントの要素を含む人材・組織実行力調査を実施し、これをモニタリングツールとして、ダイバーシティ&インクルージョン推進、リーダーシップ変革活動、経営戦略・事業戦略遂行に資する人材の採用・配置・育成施策など、人材マネジメントに関わる取組みを強化してまいります。人権マネジメントについては、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」の企業の取り組むべき3つの要件に基づき推進してまいります。その中でも「人権デューディリジェンスの実施」としては、従業員と取引先を優先して対応すべきステークホルダーとして、それぞれについて想定される人権上の課題を特定し、課題への改善策や予防策を講じてまいります。具体的には、人権問題に関する教育について当社はもとより国内外グループ会社の管理職にまで拡大し、継続的に実施してまいります。また、サプライチェーンにおける人権を含めたCSR調達実現のため、「古河電工グループCSR調達ガイドライン」に基づく自己評価調査(SAQ)について当社から国内外グループ会社の主要な取引先へと段階的に拡大してまいります。
(3) 目標とする経営指標
25中計において、資本効率を意識した事業の強化と創出を行うため、ROICやROEなどを経営指標として重視し、最終年度である2026年3月期の到達目標水準は、ROIC(税引後)6%以上、ROE11%以上、連結売上高1.1兆円以上、連結営業利益580億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益370億円以上としております。また、25中計では、これらの財務目標に加え、各マテリアリティにおける2025年度の目指す姿を実現するための指標をサステナビリティ指標(温室効果ガス排出量削減率、管理職に占める女性比率、管理職に対する人権リスクに関する教育実施率等)として目標を設定しており、収益機会とリスクの両面から、企業価値向上に向けた取組みを実施し、これらの達成を図ってまいります。
当社グループ経営理念及びビジョン2030の実現に向けて、本中期経営計画を着実に推進してまいります。
2025年度の財務目標値
2025年度のサステナビリティ目標値
(*1) 2022年度に設定したテーマが対象。
(*2) 環境目標2030改定に伴い基準年度と目標値を改定。従来の2017年度基準で△42%に相当。
(*3) 環境目標2030改定に伴い目標値を改定。
(*4) 2022年度に目標値を新たに設定。
(1) 会社の経営の基本方針
[古河電工グループ理念]
■基本理念
世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。
■経営理念
私たち古河電工グループは、人と地球の未来を見据えながら、
・ 公正と誠実を基本に、常に社会の期待と信頼に応え続けます。
・ お客様の満足のためにグループの知恵を結集し、お客様とともに成長します。
・ 世界をリードする技術革新と、あらゆる企業活動における変革に絶えず挑戦します。
・ 多様な人材を活かし、創造的で活力あふれる企業グループを目指します。
■Core Value(コア・バリュー)
古河電工グループ理念を達成し持続的に成長していく上で、特に大事にし、より強化していきたい価値観として⦅正々堂々⦆⦅革新⦆⦅本質追究⦆⦅主体・迅速⦆⦅共創⦆の5つを定め、「Core Value」としております。
■古河電工グループ ビジョン2030
当社グループの事業を取り巻く環境の急速な変化を捉え、目指す時間軸と事業領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」(以下、「ビジョン2030」という)を策定しております。
ビジョン2030は、「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。」という当社グループの基本理念を踏まえ、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs*)」が 示す社会課題の解決を念頭に置いて、当社グループの2030年におけるありたい姿を描くとともに、そこへ向けて目指す時間軸と領域を明確にしております。
ビジョン2030のもと、情報/エネルギー/モビリティの各領域及びこれらの融合領域において、当社グループは社会課題の解決を目指してまいります。さらに、新領域においても、これまでにない新たな事業の創出を通じた社会課題の解決を目指してまいります。

古河電工グループは 「地球環境を守り」「安全・安心・快適な生活を実現する」ため、情報 / エネルギー / モビリティが融合した社会基盤を創る。 |
さらに、当社グループでは、ビジョン2030を達成するために当社グループが対処すべき経営上の重要課題を「マテリアリティ」と定義し、収益機会とリスクの両面で次のとおりマテリアリティを特定しております。これらのマテリアリティに取り組むことにより、ビジョン2030を達成するとともに、SDGsの達成にも寄与してまいります。

*SDGs…国連で採択されたSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称であり、17のゴール・169のターゲットで構成される国際目標
(2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
当社は、ビジョン2030のありたい姿からのバックキャストで中間地点としての2025年の目指す姿を定義し、その達成に向け2025年度を最終年度とする4か年の新中期経営計画「Road to Vision2030-変革と挑戦-」(以下、「25中計」という)を昨年策定し、各施策に取り組んでまいりました。

<経営環境>25中計の前提となる当社を取り巻く経営環境は、今後非連続かつ不可逆的に変化していくものと考えております。例えば、ESG/SDGsが企業の存続に欠かせない経営課題となる、人生100年時代などを踏まえた新たなライフスタイルが広がる、人口減少・高齢化の進展により国内市場が縮小する、DX(Digital Transformation)が急速に進展する、等の変化が想定されます。
このような環境においては、Beyond5G*の実現やカーボンニュートラルの実現、安全・安心・快適に人とモノが移動の自由を享受するための次世代インフラの実現、健康寿命延伸の実現、サーキュラー・エコノミーの実現等の社会課題解決の期待がより高まるものと想定されます。
*Beyond5G…5Gの特徴(高速・大容量、低遅延、多数端末との接続)のさらなる高度化に加えて、空・海・宇宙への利用領域の拡張、超低消費電力、超高信頼などの特徴を備えることが想定されている。6G(第6世代移動通信システム)とも呼ばれる。

<各事業領域における市場環境の見通し>世界経済は、回復傾向をたどるとみられます。しかし、インフレ率は高止まりしているほか、金融環境は不安定な状況にあり、リスクバランスは下振れの方向にあります。先行き不透明な状況が続くと予想されますが、当社グループが重点領域と位置づけているインフラ(情報通信、エネルギー)/自動車分野、また、注力事業と位置づけている半導体に関連する機能製品分野は、中長期では継続的な市場成長が見込まれます。
情報通信分野は、5GやIoTなど、クラウドをベースとしたサービスが様々な分野で成長しておりましたが、それに加えコロナ禍で定着したテレワークとその拡大により、データセンタ関連の光ネットワークの建設が今後も続くと考えられます。足元では世界的な光ファイバ等の需給バランスが悪化しておりますが、中長期では継続的な市場成長が見込まれます。
エネルギー分野は、国内に関しては国のエネルギー政策に伴う洋上風力を中心とする再生可能エネルギーや電力会社のリプレース需要が見込まれ、海外に関しては欧米、新興国での旺盛な需要が継続する見通しであります。
自動車分野は、半導体供給制約が緩和の方向にあるとともに、日系自動車メーカーのBEVシフトが加速するなど、今後も当該分野は継続的に成長する見通しであります。
機能製品分野は、足元ではスマートフォン・パソコン・データセンタ向けの需要が落ち込んでおりますが、中長期的には継続的な市場拡大・成長が見込まれます。
<25中計達成に向けた取組み(対処すべき課題)>25中計のもと、情報/エネルギー/モビリティの各領域及びこれらの融合領域における社会課題解決型事業の強化・創出を掲げ、収益の拡大に向けた取組みとして、「資本効率重視による既存事業の収益最大化」及び「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」を推進してまいります。また、これらを下支えする「ESG経営の基盤強化」に取り組んでまいります。
①資本効率重視による既存事業の収益最大化
収益性・成長性等の観点から事業の位置付けを可視化し、これに則した投資配分の最適化を進め、事業ポートフォリオの見直しを含む、資本コストをより意識した経営管理と意思決定を一層加速してまいります。また、売上における高付加価値製品の比率の向上や付加価値に見合った製品価格の適正化により、収益の改善・拡大を図ってまいります。具体的には、光ファイバ等の需要拡大をとらえ、拡販を進めているローラブルリボンケーブル等の高付加価値製品の売上増を図るとともに、中南米で培ったビジネスモデルの強みを活かしネットワーキングシステム事業をグローバルに拡大してまいります。電力ケーブルシステムについては、製造能力や工事施工能力の増強等を進め、国内での電力網強靭化や再生可能エネルギー向けの海底線及び地中線を主なターゲット領域として事業基盤を確立し、収益成長を図ってまいります。また、EV化の加速に伴う自動車の軽量化ニーズの高まりに応えるため、新車種への搭載を着実に拡大しているアルミワイヤハーネスの優位性を活かし、事業拡大と収益性向上を進めてまいります。さらに、中長期的に半導体需要の拡大が見込まれることから、半導体製造用テープにつきまして、2025年度の量産開始に向け新工場建設を進めており、製造能力の増強による安定的供給及び高性能・高品質な製品の提供により、売上拡大を目指してまいります。
②開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備
当社グループは、素材力を核として長年培ってきた「メタル」「ポリマー」「フォトニクス」「高周波」の4つのコア技術を活用し、新たな社会課題解決型事業創出の基盤整備を図ってまいります。Beyond5G社会に向け情報通信トラフィックの増加が見込まれる中、当社のコア技術であるフォトニクス技術及び高周波技術を活かした高機能なフォトニクス製品の開発力と、光通信市場への幅広い対応力を活かし、オール光ネットワークと高効率エネルギー社会の実現に貢献してまいります。また、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、化石資源によらないグリーンLPガスの開発・製造を進めてまいります。さらに、次世代のエネルギー源として期待される核融合発電に必要な高温超電導線材の開発・製造により、環境に配慮したクリーンな電力の供給に寄与してまいります。引き続き、外部パートナーとの共創を進めるほか、デジタル技術やデータの利活用を推進し、課題解決を起点とした製品・サービスを開発・提供することを通じて、新たな提供価値の創造を目指してまいります。
③ESG経営の基盤強化
25中計では、特定したマテリアリティごとに2025年度の目指す姿を定め、それらを実現する施策を策定するとともに、進捗を測定するサステナビリティ指標・目標値を設定しており、それらの達成を図ることで、ESG経営の基盤を強化してまいります。持続可能な企業へ変革する上で必須となっている気候変動に配慮したビジネス活動を展開するべく、「自社のCO2を出さない・減らす」「社会のCO2を出さない・減らす」「排出されたCO2を溜める・変える」という収益機会の獲得とリスクの低減の両面からの活動により、カーボンニュートラル実現への取組みを加速してまいります。また、人的資本の強化を図るため、人材に対するグループ・グローバル共通の考え方である「古河電工グループPeople Vision」に基づき、2030年のありたい姿として「多様な人材を確保し、挑戦し続けようとする人の成長を支援する」「全員が主役で誇りを持ちワクワク働ける企業グループを目指す」「『チームで徹底的にやりきる』古河電工グループの文化を醸成する」ことを基本方針として、「人材・組織実行力」の強化に取り組んでまいります。具体的には、従業員エンゲージメントの要素を含む人材・組織実行力調査を実施し、これをモニタリングツールとして、ダイバーシティ&インクルージョン推進、リーダーシップ変革活動、経営戦略・事業戦略遂行に資する人材の採用・配置・育成施策など、人材マネジメントに関わる取組みを強化してまいります。人権マネジメントについては、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」の企業の取り組むべき3つの要件に基づき推進してまいります。その中でも「人権デューディリジェンスの実施」としては、従業員と取引先を優先して対応すべきステークホルダーとして、それぞれについて想定される人権上の課題を特定し、課題への改善策や予防策を講じてまいります。具体的には、人権問題に関する教育について当社はもとより国内外グループ会社の管理職にまで拡大し、継続的に実施してまいります。また、サプライチェーンにおける人権を含めたCSR調達実現のため、「古河電工グループCSR調達ガイドライン」に基づく自己評価調査(SAQ)について当社から国内外グループ会社の主要な取引先へと段階的に拡大してまいります。
(3) 目標とする経営指標
25中計において、資本効率を意識した事業の強化と創出を行うため、ROICやROEなどを経営指標として重視し、最終年度である2026年3月期の到達目標水準は、ROIC(税引後)6%以上、ROE11%以上、連結売上高1.1兆円以上、連結営業利益580億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益370億円以上としております。また、25中計では、これらの財務目標に加え、各マテリアリティにおける2025年度の目指す姿を実現するための指標をサステナビリティ指標(温室効果ガス排出量削減率、管理職に占める女性比率、管理職に対する人権リスクに関する教育実施率等)として目標を設定しており、収益機会とリスクの両面から、企業価値向上に向けた取組みを実施し、これらの達成を図ってまいります。
当社グループ経営理念及びビジョン2030の実現に向けて、本中期経営計画を着実に推進してまいります。
2025年度の財務目標値
ROIC(税引後) | 6%以上 |
ROE | 11%以上 |
Net D/Eレシオ | 0.8以下 |
自己資本比率 | 35%以上 |
連結売上高 | 1.1兆円以上 |
連結営業利益 | 580億円以上 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 370億円以上 |
2025年度のサステナビリティ目標値
環境調和製品売上高比率 | 70% |
新事業研究開発費増加率(2021年度基準) | 125% |
事業強化・新事業創出テーマ(*1)に対するIPランドスケープ実施率 | 100% |
温室効果ガス排出量削減率(スコープ1、2)(2021年度基準) | △18.7%(*2) |
電力消費量に占める再生可能エネルギー比率 | 30%(*3) |
(単体)従業員エンゲージメントスコア | 75(*4) |
(単体)管理職層に占める女性比率 | 7% |
(単体)スタッフ新規採用者に占めるキャリア採用比率 | 30% |
全リスク領域に対するリスク管理活動フォロー率 | 100% |
主要取引先に対するCSR調達ガイドラインに基づくSAQ実施率 | グローバル100% |
管理職に対する人権リスクに関する教育実施率 | グローバル100% |
(*1) 2022年度に設定したテーマが対象。
(*2) 環境目標2030改定に伴い基準年度と目標値を改定。従来の2017年度基準で△42%に相当。
(*3) 環境目標2030改定に伴い目標値を改定。
(*4) 2022年度に目標値を新たに設定。