有価証券報告書-第156期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/26 15:36
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有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、連綿と引き継がれる「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」のもと、公正な事業活動を通して社会に貢献していくことを不変の基本方針としています。
この基本方針を堅持し、「公益を重視し、ステークホルダーの皆様との共栄を図る」という「五方よし」*(マルチステークホルダーキャピタリズム)の考え方に基づいて、ステークホルダーとの適切な協働を通じ、適正な
コーポレートガバナンスに基づく経営の透明性・公正性を確保し、その充実に取り組むことにより、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上とともに、これらのゴーイングコンサーンとしての成果については、ステークホルダーの皆様への着実な還元を図ることとしています。
* 「五方よし」:当社経営における「還元・配分」についての基本的な考え方を表現したもの(Goho Yoshi)。
[住友事業精神]
住友の事業は、今から約400年前、銅と銀を吹き分ける「南蛮吹き」と呼ばれる技術による銅精錬事業に遡り、その後別子銅山における鉱山業を中心に発展を遂げてきました。こうした事業の隆盛を支えてきた精神的基盤が「住友事業精神」であり、住友家初代・住友政友が後生に遺した商いの心得『文殊院旨意書』を礎とし、住友の先人により何代にもわたって深化・発展を遂げてきたものです。その要諦は、1891年に改訂された住友家法の中で「営業の要旨」として端的に示されています。
営業の要旨 ※ここでは、住友合資会社社則(1928年制定)より抜粋しました。
第一条 我が住友の営業は、信用を重んじ確実を旨とし、以てその鞏固隆盛を期すべし
第二条 我が住友の営業は、時勢の変遷、理財の得失を計り、弛張興廃することあるべしと雖も、苟も浮利に趨り、軽進すべからず
この他にも、『技術の重視』、『人材の尊重』、『企画の遠大性』、『自利利他、公私一如』といった精神が今に至るまで脈々と受け継がれています。
[住友電工グループ経営理念] ※創業100周年を機に明文化(1997年6月)
住友電工グループは、
・顧客の要望に応え、最も優れた製品・サービスを提供します。
・技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます。
・社会的責任を自覚し、よりよい社会、環境づくりに貢献します。
・高い企業倫理を保持し、常に信頼される会社を目指します。
・自己実現を可能にする、生き生きとした企業風土を育みます。
(2) 経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
<住友電工グループ2030ビジョン>当社グループは、様々な社会変革が起こりつつある中で当社グループの目指す姿を示すため、2030年を節目とする長期ビジョン「住友電工グループ2030ビジョン」を策定し、2022年5月に公表いたしました。ステークホルダーの皆様のご理解のもと、当社グループが一体となり企業価値向上に取り組み、「Glorious Excellent Company*」の企業像実現を目指してまいります。
* Glorious Excellent Company:”Glorious”は「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」という精神的基盤を具現化したあるべき姿、”Excellent”は具体的・定量的な事業目標達成の意を込めています。
住友電工グループ「2030ビジョン」
グリーンな地球と安心・快適な暮らし
- その実現へ技術で挑戦し続けます -
Connect with Innovation

1.経営方針
「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」を堅持し、「事業を通じて公益に資する」という経営哲学のもと、常に公益を重視し、ステークホルダーの皆様との共栄を図っていくことを基本思想としています。そして、この基本思想のもと、これからも「トップテクノロジー」を追求し、グループの総合力とイノベーションにより、世界のインフラ・産業の発展を支えていきたいと考え、当社グループの存在価値(パーパス)を次のように定義しました。
住友電工グループの存在価値(パーパス)
トップテクノロジーを追求し、つなぐ・ささえる技術をイノベーションで進化させ、グループの総合力により、より良い社会の実現に貢献していく

今後も様々なリスクに的確に対応しながら、世界で活躍する当社グループ30万人(2026年3月末現在)の従業員による新たな価値の創造を通じ、グローバル市場の多様なニーズに応え、永続的な企業価値向上に取り組んでいきたいと考えています。
2.2030年の社会像と事業領域
当社グループは「安心」「快適」な社会への貢献に加え、「グリーン」な環境社会の実現に、グループの総力を挙げて取り組みます。そして、この目指す社会像の実現に向けて、これからも幅広く「インフラや産業を支える製品・サービス」を提供します。
3.事業の方向性
「エネルギー」「情報通信」「モビリティ」を3つの注力分野と位置づけ、取り組んでいきます。
また、これらの注力3分野を支える高機能製品の提供や、グリーン化に向けた様々な取組みを展開します。
4.経営基盤と目標
ビジョンの実現に向けて、「的確・迅速・柔軟」に変化に対応できる強い組織づくりを進めるため、3つのグループ共有資本(人的資本・知的資本・財務資本)の充実を図るとともに、3つの推進力(研究開発・サプライチェーン・モノづくり)の強化に取り組み、中長期的な企業価値向上を目指します。
なお、「住友電工グループ2030ビジョン」の詳細については、当社ウェブサイトをご参照ください。(https://sumitomoelectric.com/jp/sites/japan/files/2022-05/download_documents/2030vision.pdf)
<中期経営計画2028>上記の「2030ビジョン」を踏まえ、2026年度から2028年度の3か年の実行計画として「中期経営計画2028」を策定し、2026年5月に公表しました。
「中期経営計画2028」においては、「デジタル・AI」「エネルギー」「モビリティ」を「注力3分野」として位置づけ、それらの「融合領域」も含め、3か年累計で設備投資に1兆円を投じるなどして、技術力に根ざした当社グループの総合力を発揮してグローバルな変化に的確に対応し、GX(グリーントランスフォーメーション)・DX*の需要をとらえて取り組んでまいります。
目標年度の2028年度には「売上高6兆円」として2025年度実績から約1兆円の増収とともに、「営業利益:6,000億円」として2025年度実績から約5割の増益を実現し、当社グループのさらなる成長と同時に「税引前ROIC*:15%以上」を目指して資産効率の一層の向上を図ってまいります。
* DX :デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、デジタル技術を活用し、組織文化などを変革していく取組みを指すもの。
* ROIC:Return on Invested Capital(投下資産利益率)の略。
1.全体構想
「住友事業精神」「住友電工グループ経営理念」を経営のベースとして、「3つの資本」・「3つの推進力」からなる事業基盤をさらに強化するとともに、「注力3分野」及びそれらの「融合領域」を中心に事業を展開してまいります。
0102010_001.png全体構想図
2.事業戦略(「注力3分野」におけるメイントピック)
(1) 「デジタル・AI」分野
高度デジタルインフラをささえる幅広い高性能製品の投入で、北米ハイパーデータセンタ市場向けシェア向上を目指す。
(2) 「エネルギー」分野
グローバルにケーブル製造・施工能力を増強し、“現地の企業”として受注の拡大を図る。
(3) 「モビリティ」分野
ワイヤーハーネス世界シェアトップクラスの強みを活かし、グループ総合力で“グローバル・モビリ
ティ・サプライヤー”へ。
3.数値目標(単位:億円)
0102010_002.png
4.「五方よし」(マルチステークホルダーキャピタリズム)
「五方よし」は、「住友事業精神」「住友電工グループ経営理念」に基づいて、これまでも当社グループの経営において実践されてきた考え方です。
マルチステークホルダー、すなわち、「お客様」「従業員」「お取引先」「地域社会」「株主・投資家」の皆様との共栄を図り、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に取り組んでまいります。
「中期経営計画2028」において、マルチステークホルダーの皆様に対し成果を分配していく上での具体的かつ定量的な以下の目標を掲げ、その実践に取り組んでまいります。
0102010_003.png
なお、「中期経営計画2028」の詳細については、当社ウェブサイトをご参照ください。
(https://sumitomoelectric.com/jp/sites/japan/files/2026-05/download_documents/28m.pdf)
(3) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の世界経済は、中東情勢の緊迫化により、物流・サプライチェーンの混乱、原油価格高騰に伴う原材料・エネルギー価格の上昇が見込まれるほか、米国の通商政策見直しや中国経済の減速なども憂慮材料であり、当社グ
ループを取り巻く事業環境は予断を許さない状況が続くものと予想されます。
このような情勢のもと、当社グループは、ありたい将来像「Glorious Excellent Company」の実現を目指して、長期ビジョン「住友電工グループ2030ビジョン」で掲げている「グリーンな地球と安心・快適な暮らし」の実現に向けて、グループが一体となり企業価値向上に取り組み、その成果をステークホルダーの皆様、すなわち、「お客様」「従業員」「お取引先」「地域社会」「株主・投資家」に着実に還元・配分していくというマルチステークホルダーキャピタリズム(「五方よし」)に基づく経営を実践してまいります。
具体的には、長期ビジョンの実現に向けた第二ステップとして2026年度からスタートする「中期経営計画2028」を策定し、「デジタル・AI」「エネルギー」「モビリティ」の注力3分野及びそれらの融合領域において、グループの総合力を発揮し、グローバルな事業環境動向に的確に対応し、グリーン・デジタル関連需要をとらえることで、2028年度に売上高6兆円、営業利益6,000億円、税引前ROIC15%以上の達成を目指すことを掲げ、各事業においては次の施策を進めてまいります。
環境エネルギー関連事業では、電力ケーブルにおいては、国内の設備更新需要等の捕捉に加え、脱炭素化に貢献する国家・地域間連系線や再生可能エネルギー関連の受注に努めるとともに、欧州での新拠点立上げ、コスト低減、品質向上、新製品開発、プロジェクトマネジメント強化にも注力してまいります。電動車向けのモーター用平角巻線においては、コスト低減による収益力の向上と、電動車の高電圧化に対応する次世代品の開発を進めてまいります。また、日新電機㈱との一層のシナジー創出に取り組むとともに、受変電設備においては国内の設備更新需要の確実な捕捉、生産能力増強、環境配慮製品の開発・提案強化に、イオン注入装置や電子線照射装置においては国内外での拡販に取り組んでまいります。
情報通信関連事業では、生成AIの急速な普及によるデータセンター関連市場の一層の拡大が期待されるなか、この需要を確実に捕捉すべく、光ケーブル、光コネクタ等光配線製品、光デバイス、インジウムリン(InP)基板などの生産能力増強、データ伝送の更なる高速化、低遅延化、及び、低消費電力化を実現する新製品の開発に注力し、事業拡大に努めてまいります。また、海底光ケーブル用の極低損失光ファイバ、世界で初めて量産に成功したマルチコアファイバ、高効率な無線通信用デバイス、新方式採用が進むアクセス系ネットワーク機器など、低消費電力等の環境性能を含めた高機能製品の開発・拡販を継続・加速するとともに、徹底したコスト削減による収益性の改善に努めてまいります。
自動車関連事業では、モビリティの「つなげる」パートナーとして「つながる」ビジネスの拡大を目指し、一層のコスト低減と資産効率化の徹底、軽量化ニーズに対応したアルミハーネスのさらなる拡販、生産自動化やコスト低減に繋がる新設計・新工法の拡充など従来ハーネスの進化に取り組んでまいります。また、グループ内連携、顧客との協業やパートナー関係の深化により、電動車向けの高電圧ハーネス、高速通信用のコネクタなど今後も拡大が見込まれるCASE*市場をとらえた新製品創出・拡販にも努めてまいります。そして、2026年2月に完全子会社化した住友理工㈱とのさらなるシナジー創出に取り組むとともに、自動車用防振ゴム及びホースなどの分野において、既存事業の収益力強化を図り、今後の事業成長に向けては、次世代モビリティ向けの新製品開発に重点をおいて取り組んでまいります。
* CASE:自動車業界のトレンドを表す言葉で、Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとったもの。
エレクトロニクス関連事業では、微細回路形成技術を活かしたFPC製品やCASE対応製品、高周波化に対応した新製品の開発を加速するとともに、徹底したコスト低減を進めてまいります。照射架橋技術を活用した耐熱・高機能電線、熱収縮チューブに加えて、多孔質分離膜製品においても、多様な客先ニーズを捕捉して事業の拡大を図ってまいります。また、㈱テクノアソシエとの連携強化にも取り組んでまいります。
産業素材関連事業では、超硬製品においては、グローバルな営業力の強化により、主力の自動車分野に加えて、建設機械、農業機械、エレクトロニクス分野等での需要を確実に捕捉するとともに、電動車、航空機、半導体、再生可能エネルギー関連などの新規開拓も進め、市場シェアの拡大に努めてまいります。また、タングステン原料の安定調達に向けたリサイクル能力増強にも取り組んでまいります。焼結製品は、電動車や非車載向けの新製品開発・拡販とコスト競争力の一段の強化を図ってまいります。PC鋼材やばね用鋼線は、グローバルな製造販売体制の強化と新製品開発による収益力の向上に取り組んでまいります。
研究開発では、多様な技術創出の「要」となる研究開発の活性化・スピードアップを目指し、DXを活用した材料開発やプロセス開発の高度化・効率化、オープンイノベーション、社外連携に取り組んでまいります。具体的には、現行事業の技術進化として、事業部門・営業部門との密な連携強化を通じた顧客とのパートナーシップ関係を活かし、中期経営計画で掲げた3つの注力分野において、「デジタル・AI」では情報伝送の高速大容量・小型省電力化、「エネルギー」では高効率な長距離送電網と大容量・低損失の送電系統実現、「モビリティ」ではワイヤーハーネスの高機能化などに取り組んでまいります。また、新たな事業領域への挑戦として、脱炭素関連技術、サーキュラーエコノミー関連技術、量子・半導体・ロボティクス関連技術などのテーマにも取り組んでまいります。
最後に、法令遵守や企業倫理の維持は、当社経営の根幹をなすものであり、企業として存続・発展するための絶対的な基盤と考えております。今後とも、住友事業精神の「萬事入精(ばんじにっせい)」「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」*という理念のもと、社会から信頼される公正な企業活動の実践に真摯に取り組んでまいります。また、住友事業精神と住友電工グループ経営理念のもと、サステナビリティを巡る課題である、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等の危機管理を通じて、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。
* 萬事入精:まず一人の人間として、何事にも誠心誠意を尽くすべきとの考え。
信用確実:何よりも信用を重んじること。
不趨浮利:常に公共の利益との一致を求め、一時的な目先の利益、不当な利益の追求を厳に戒めること。

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