有価証券報告書-第75期(平成30年10月1日-令和1年9月30日)

【提出】
2019/12/18 9:38
【資料】
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【項目】
153項目

研究開発活動

当社グループは、多様化・高度化を続ける顧客ニーズに的確に応えていくため、研究開発拠点を持つ日本並びに欧米の連結子会社が連携して積極的に情報交換を行うとともに、各々の拠点が持つ技術的特長を活かしながら、グローバルかつ斬新な新製品・新技術の創成、生産システムの最適化、既存製品の改良など、幅広い研究開発活動を行っております。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費の総額は917百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
1 粉体関連事業
当事業に係わる研究開発費は736百万円であります。
当社グループの基幹事業である粉体関連事業においては、ほとんどの産業の生産工程で使用される粉体材料に対し、高機能化を生み出し付加価値向上に寄与できる粉体処理装置並びにシステムの開発を目指して、研究開発を推進しています。例えば、超微粉砕することにより得られた微粒子は、その原料粒子とは異なる反応性、電気特性、光学特性などを有することから、新素材の創成が可能となりますが、その実現には高度な粉砕・分級技術が必要となります。当連結会計年度は、その超微粉の生産性を従来よりも向上させることができる流動層式ジェットミル粉砕システムや超高速回転型分級機の開発を行っており、当社は絶えず最先端のニーズに対して迅速に新技術を生み出す研究開発を続けています。
また、高度な自動生産化、属人化の解消およびエネルギー効率の向上などを達成できる可能性のあるIIoT(Industrial Internet of Things)技術を用い、粉砕、混合、乾燥などの粉体プロセスに関するインテリジェントな生産設備の変革を目指す技術の構築と実用化も進めています。
さらに当社は、機能性ナノ粒子を使った新しい材料製品の開発にも力を入れており、ナノパーティクルテクノロジーを用いた材料事業展開の一つとして、生体適合性ナノ粒子のPLGA(乳酸グリコール酸共重合体)に薬物を封入する医薬技術をベースに、機能性化粧品ナノクリスフェアや育毛剤ナノインパクトなどのオリジナル製品を開発し、日本国内だけでなく中国をはじめとするアジアへの事業展開を進めております。当連結会計年度は、顧客ニーズに具体的に対応する形で、PLGA技術を応用し最新の育毛理論(17型コラーゲンが毛包幹細胞を活性化させる)に従った育毛剤薬用ナノインパクトCo17の開発に成功し発売を開始しています。
2 プラスチック薄膜関連事業
当事業に係わる研究開発費は180百万円であります。
当社グループのプラスチック薄膜製造装置は、溶解された種類の異なるプラスチックをノズルから噴出して冷却し、最大11層までの円筒状の積層フィルムを連続的に製造する世界最高レベルの技術を有しており、ショッピングバッグのような低機能のフィルムから医薬品、食品のパッケージや光学用マスキングフィルムなどの高機能多層フィルムまで幅広い市場で使用されています。
近年は、欧米だけでなくアジア諸国においても、耐候性と強度に優れた高機能フィルムの需要が伸びており、装置の設置や操作性を容易にするための新たな装置設計や生産効率を向上させるプロセス制御など最新技術の開発により、各市場からのニーズに対応しております。