訂正有価証券報告書-第71期(平成26年10月1日-平成27年9月30日)

【提出】
2018/02/05 9:31
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124項目

研究開発活動

当社グループは、常に変化し高度化を続ける顧客ニーズに的確に応えていくために、営業部門との連携強化を図りながら、新製品、新技術を生み出す研究開発を推進しています。特に、近年需要が急増し、高品質化している二次電池や電子部品などの材料、トナー、医薬品、機能性食品などの粉体処理や、環境・エネルギー関連の各種材料処理、ならびにこれらに関連した様々な粉体特性評価のために、たゆまない研究開発による新たなチャレンジに取り組んでいます。
当社グループは、研究開発拠点を持つ日本ならびに欧米の連結子会社が連携して積極的に情報交換などを行うとともに、各々の技術的な特長を生かしながら、研究開発テーマをグローバルに分担しています。具体的には、研究開発テーマは、各社の研究開発担当部門のリーダーで構成される国際研究開発会議で審議され、調整が行われます。
グループの中核企業である当社は、昭和33年に設立された「粉体工学研究所」を中心に研究開発を推進し、新しい粉体技術の創成を目指しております。
Hosokawa Alpine Aktiengesellschaft(ドイツ)は、欧州で有数の老舗の粉体関連装置企業として、超微粉砕装置や空気分級装置の分野で高い技術力を誇っており、同分野の研究開発ならびに装置開発の深耕を図っております。特に最近では、Stage Gate Process という新たな研究開発評価システムを導入し、各ステージでの進捗度を検証しながら実質的かつ効率的な研究開発を進めると共に、画期的な開発を目指して新たにi-teamを設置しました。
一方、本世紀初頭より重点的に取り組んでおりますナノパーティクルテクノロジー関連の研究開発については、当社のマテリアル事業部 製薬・美容科学研究センターを中心として、生分解性ナノ粒子を用いたDDS(薬物送達システム)技術を中軸に据えて、ビジネスに直接結びついた形で製品開発や応用研究を推進しております。
当連結会計年度における研究開発活動の主なものは以下の通りであります。なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は8億9千2百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
1 粉体関連事業
当事業に係わる研究開発費は6億8千7百万円であります。
当社グループの基幹事業である粉体関連事業においては、高機能材料を生み出す粉体処理機械ならびにシステムの開発やその効率化を目指した研究開発を推進すると共に、機能性ナノ粒子を使った化粧品や育毛剤等の新しい材料製品の開発にも力を入れております。
○電子機器関連材料(二次電池材料、磁石、トナー等)
電子部品材料をはじめとする二次電池負極やキャパシタなどに用いる炭素材をはじめ、様々な電子機器関連高機能材料などにおいて微細化や性能向上の目的から、従来よりもさらに微細な原料を求める傾向が強まっております。このニーズに応えるために、カウンタジェットミルAFGの分級機能を強化し、超微細加工による粉体製品の高付加価値化需要に対応した新製品カウンタジェットミルAFG-CRを開発し、販売を開始しました。当装置は、遠心力型気流式分級機を搭載した流動層式対向型ジェットミルAFGの分級部に用いる分級ロータの形状を改良することで分級性能を向上させ、従来機の約2分の1の平均粒子径を持つ微粉製品の製造を可能にしました。
また、高機能粉体製品の一つである電子写真現像剤用トナーの微粉砕を主なターゲットとして一昨年度に上市した高冷却型機械式粉砕機グラシスは、その効率性の高さが評価され、平成26年度(第35回)優秀省エネルギー機器表彰において、日本機械工業連合会会長賞を受賞しました。これは同連合会が昭和55年度より国の省エネルギー推進政策に呼応し、機械工業の立場からこれを推進するため、省エネルギー効果の著しい産業用機器を開発、実用化した企業等を表彰するものです。
二次電池の分野では、粒子設計(球形化)装置ファカルティに新しい分級機構を搭載したファカルティ-Sを開発しました。従来機と比べ分級性能がさらに向上し製品収率が上がると共に、様々な新機構を取り入れることにより処理効率が向上しました。当初トナーの球形化と微粉除去の目的で開発されたこの装置は、粒子の付加価値向上に向けた多機能な粒子設計装置として、電気自動車やハイブリッドカー、あるいはコージェネレーション発電用として今後も大きな市場拡大が見込まれる二次電池電極材料等への処理への用途が広がりつつあります。
○食品・化粧品・医薬関係
食品分野では、Hosokawa Micron B.V.(オランダ)が開発し、医薬、食品市場を中心に展開を図ってきた撹拌型凍結乾燥機アクティブフリーズドライヤAFDについて、日本でも取り扱いを開始することになりました。本装置は、多大な人手と乾燥時間を要していた従来の大型棚型凍結乾燥装置に代わって、湿分を含んだ固体状の様々な原料を単一の装置で、細かくかつ凝集性の低い粉体に加工できる新しい乾燥機です。当装置は凍結工程と昇華による湿分の固体から気体への直接的な乾燥工程の組合せにより、工程の省力化と高度な製品品質を実現し、抗生物質や原薬等の医薬品をはじめ、食品やハーブ抽出物などの食品添加物を含め様々な材料の乾燥に適しています。
化粧品分野では、平成16年より機能性PLGAナノ粒子を使って自社製品の化粧品ならびに育毛剤の開発、上市を図ると共に、これを各種OEM商品の基幹原料として広く使用するほか、製薬企業や医薬ベンチャー企業、大学等からの医薬受託研究事業に活用してまいりました。自社化粧品として育毛剤ナノインパクトで培ってきたPLGAナノ粒子の毛穴への浸透技術を顔肌の毛穴へ応用し、毛穴から生じるニキビ等の肌トラブル改善に適したピュアクネスジェルを開発し、通信販売を開始しました。
医薬分野では、PLGAナノ粒子の医薬向け実用化開発が進むにつれ拡大する需要に応えるため、協業会社に技術使用を許諾し、世界初となる医薬製剤や医療デバイス向け等に使用するPLGAナノ粒子の大規模製造拠点の確立を図り、医薬分野における様々な新薬開発ニーズに的確に対応することを可能としました。
さらに、平成26年9月からは、沖縄県の平成26年度ライフサイエンスネットワーク形成事業に参画し、「沖縄県発の高機能高付加価値の健康食品・医薬品の研究開発」を進めており、今後、DDS技術の応用が期待されます。
○ミネラル関係
ミネラル関連では、炭化物や珪灰石など特に摩耗性の強い材料を処理する分級機の耐摩耗性の向上や、テーブルローラミルを使って粉砕製品を20μm程度以下に微粉砕する際のエネルギー消費量を大幅に削減することなどに焦点を当てた開発を進めています。
○測定装置・システム管理・ラボ装置関係
Hosokawa Alpine Aktiengesellschaft(ドイツ)では、長年にわたって世界中で広く使用されている乾式ふるい分析装置エアジェットシーブの電子制御型e200LSのHMI(Human-Machine Interface)が大幅に刷新されました。大きな画面の新しいタッチパネルは見やすく、さらに応答性が格段に速くなり使いやすくなりました。この改良版は平成27年末から上市される予定で、従来装置に組込みが可能です。
また、一連の卓上小型粉体処理装置をシリーズ化したピコラインについては、この度その制御システムの全面的な革新を図りました。特に気体の流量が重要な因子となる装置においては、新たに開発した圧力・流量計測制御機構により運転の安定性が格段に向上し、また、新設計の動力制御機構により回転部の運転がよりスムーズになりました。これらの装置改良により、乾式・湿式の全てのモジュールを同一のプラットフォームで運転することが出来るようになり、さらに操作性が一段と改善されました。
○集塵・精密空調設備関係
ハザード対応が必要な特殊製剤・粉状危険物を扱う業種への対応として最近開発し製品化した集塵機バグイン・バグアウトパルスジェットコレクタに引き続き、パルスジェットコレクタの原点に立ち戻り、単位体積当たりの濾過面積を大きくしたコンパクトで集塵効率に優れ、使いやすい集塵機の開発に取り組んでおります。
2 プラスチック薄膜関連事業
当事業に係わる研究開発費は1億5千6百万円であります。
Hosokawa Alpine Aktiengesellschaft(ドイツ)では、特許取得済みのX型押し出しヘッドの改良をさらに推し進め、11層構造を持つフィルムまで製造することができるようになりました。粘度が大きく異なる幅広い種類の材料がいずれの押し出し機や層についてもスクリューを変えることなく処理できるようになり、ほとんど無限に近い層構造の実現が可能となりました。
3 製菓関連事業
当事業に係わる研究開発費は4千8百万円であります。
製菓機械については、それぞれの顧客の要求に応じたニッチなアプリケーションについてのテーラメイドの解決策を提供するための開発を進めてまいりましたが、平成27年9月30日に製菓関連事業を営んでおりましたHosokawa Bepex GmbH(ドイツ)の全株式を売却し、同社は連結子会社ではなくなりました。この売却に伴い、製菓関連事業につきましては、当連結会計年度をもってセグメントを廃止し、研究開発活動を終了いたします。