有価証券報告書-第76期(令和1年10月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/12/18 9:16
【資料】
PDFをみる
【項目】
155項目

研究開発活動

当社グループは、多様化・高度化を続ける顧客ニーズに的確に応えていくため、研究開発拠点を持つ日本並びに欧米の連結子会社が連携して積極的に情報交換を行うとともに、各々の拠点が持つ技術的特長を活かしながら、グローバルかつ斬新な新製品・新技術の創成、生産システムの最適化、既存製品の改良など、幅広い研究開発活動を行っております。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費の総額は865百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
1 粉体関連事業
当事業に係わる研究開発費は628百万円であります。
当社グループの基幹事業である粉体関連事業においては、ほとんどの産業の生産工程で使用される粉体材料に対し、高機能化を生み出し付加価値向上に寄与できる粉体処理装置並びに省エネ・省力化を実現できる最適なシステムを目指して、研究開発を推進しています。例えば、粉体は粒子サイズを小さくすればするほど、元の粉体とは異なる光学特性、電気特性、反応性などの物理的特性を有することから新素材の創生が可能になりますが、そのためには、高度な粉体処理技術と豊富な経験・データが必要になります。
当連結会計年度では、次世代を担う超微粒子粉砕機や超高速分級機など新たな粉砕・分級システムを継続的に追求するとともに、これらのシステムのIIoT(Industrial Internet of Things)化に向けての開発も精力的に行っております。今後求められる、より高度な自動生産、属人化の解消、エネルギー効率の向上、効率的な保守点検などに関して、粉体処理技術とIIoT技術を融合させることにより、インテリジェントな生産設備への変革に貢献できるように実用化を進めております。
さらに当社は、大型国家プロジェクトで開発した当社独自の機能性ナノ粒子を用いた新しい材料製品の開発にも力を入れています。ナノパーティクルテクノロジーを用いた材料事業展開の一つとして、生体適合性ナノ粒子のPLGA(乳酸・グリコール酸共重合体)に薬物を封入する医薬製剤技術をベースに、機能性化粧品ナノクリスフェアや発毛促進剤ナノインパクトなどのオリジナル製品を開発し、日本国内だけでなく中国をはじめとするアジアへの事業展開を進めています。当連結会計年度は、PLGA技術を応用したB2Bビジネスの形式で、パートナー各社の独自ニーズに沿ったODM製品(納入先商標による化粧品、発毛促進剤)の開発、提供をしています。また、DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)受託研究事業では、PLGAナノ粒子製剤のGMP(医薬品等の製造及び品質管理基準対応)生産プラットフォームの構築を目的として、大手医薬品メーカーとの協業を開始しています。
2 プラスチック薄膜関連事業
当事業に係わる研究開発費は237百万円であります。
当社グループのプラスチック薄膜製造装置は、溶解された種類の異なるプラスチックをノズルから噴出して冷却し、最大11層までの円筒状の積層フィルムを連続的に製造する世界最高レベルの技術を有しており、ネット通販用の包装材のような単層フィルムから医薬品、食品のパッケージや光学用マスキングフィルムなどの高機能多層フィルムまで幅広い市場で使用されています。
近年は、欧米だけでなく中国やインドなどのアジア諸国においても、耐候性と強度に優れた高機能フィルムの需要が着実に伸びており、最適なノズル形状による冷却能力の効率化や高速巻き取り装置による生産性の向上など当社独自の最新技術により、各市場からのニーズに対応しております。