有価証券報告書-第62期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/27 9:44
【資料】
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【項目】
139項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、年度の大半の期間において、新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言又はまん延防止等重点措置が発令され、対個人サービスや宿泊・飲食サービスにとっては厳しい状況が続きました。一方、製造業は、コロナ禍からの経済活動の正常化が進む先進国を中心とした海外需要を背景に輸出は増加基調にあります。今後の先行きについては、半導体をはじめとする部材等の供給制限や、ロシアのウクライナ侵攻の情勢およびそれに伴う資源価格・物価の上昇といった経済へのリスクが数多く存在する状況です。
このような環境の下、当連結会計年度は、外食・小売業における機械化や省人化の動きが加速し、製品需要は高い水準で推移しました。一方、第2四半期連結会計期間より、半導体や部材の供給不足による生産活動への影響が続き、高まる需要への対応を行うため、部材調達先の開拓などを行いました。
国内は、緊急事態宣言又はまん延防止等重点措置の発令により、外食需要は厳しい状況となった一方、引き続き、テイクアウトやデリバリーの拡大、省人化の動きが進みました。業態別では、大手回転寿司チェーンへのテイクアウト向け寿司ロボットの導入、新規出店に伴う寿司ロボットの製品需要が拡大いたしました。加えて、事業者や最終消費者における衛生意識やフードロスへの関心の高まりを背景に、ホテル、旅館、社員食堂、病院といった新たな顧客層からのご飯盛付けロボット(Fuwarica)の製品需要が広がりました。加えて、2021年10月にグループ入りした株式会社日本システムプロジェクトの売上高が当第4四半期連結会計期間より寄与したこともあり、国内売上高は前連結会計年度を上回りました。
海外は、経済活動の再開が進んだことに伴い外食・小売業における人手不足が深刻化し、人の労働力を機械へ置き換える機械化の動きが加速し、製品需要が拡大いたしました。地域別では、特に北米や欧州において、外食事業者やスーパーマーケットにおける寿司ロボットの製品需要の拡大傾向が続きました。足元では、ロシアのウクライナ侵攻による物流機能の停止に伴い欧州向けの販売に影響を受けたものの、海外売上高は前連結会計年度を大きく上回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、115億65百万円(前連結会計年度比21.9%増)と前連結会計年度を上回る結果となりました。国内・海外別の売上高の内訳は、国内売上高が77億29百万円(同6.4%増)、海外売上高が38億36百万円(同72.7%増)となりました。
当連結会計年度の概況
前連結会計年度当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
増減額増減率
金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)(%)
売上高9,486100.011,565100.02,07921.9
国内7,26476.67,72966.84656.4
海外2,22123.43,83633.21,61472.7
売上総利益4,39446.35,68349.11,28929.3
営業利益9199.71,51713.159765.1
経常利益9209.71,54313.362267.7
親会社株主に帰属する当期純利益6837.21,0709.338656.6

利益面につきましては、売上高の増加により、売上総利益は56億83百万円(同29.3%増)、営業利益は15億17百万円(同65.1%増)、経常利益は15億43百万円(同67.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10億70百万円(同56.6%増)と前連結会計年度を大きく上回りました。
財政状態は、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ17億21百万円増加し164億16百万円となりました。これは主に、現金及び預金が9億33百万円、棚卸資産が3億97百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ6億65百万円増加し31億61百万円となりました。
これは主に、長期借入金が1億93百万円、未払法人税等が91百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ10億56百万円増加し132億54百万円となりました。これは主に、利益剰余金が配当金の支払により1億28百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益により10億70百万円増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9億33百万円増加し82億76百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益15億82百万円、減価償却費2億91百万円等による資金の増加の結果、13億40百万円の資金の増加(前連結会計年度比95百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出1億46百万円等による資金の減少の結果、2億68百万円の資金の減少(前連結会計年度比76百万円の増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払1億28百万円、リース債務の返済による支出55百万円等による資金の減少の結果、1億94百万円の資金の減少(前連結会計年度比10百万円の減少)となりました。
③ 生産、受注および販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前年同期比(%)
米飯加工機械関連7,897,756118.0
合計7,897,756118.0

(注) 金額は販売価格によっております。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
米飯加工機械関連11,691,102123.3341,575157.9
合計11,691,102123.3341,575157.9

(注) 金額は販売価格によっております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
米飯加工機械関連11,565,869121.9
合計11,565,869121.9

(注) 金額は販売価格によっております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、『食の「おいしい」や「温かい」を世界の人々へ』をビジョンとして掲げ、2019年11月13日に、2021年3月期を初年度とする5ヵ年の中期経営計画「Growth 2025」を公表し、新たな目標に向けて事業活動に取り組んでまいりました。
a. 財政状態の分析
財政状態の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b. 経営成績の分析
経営成績の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの2021年3月期及び2022年3月期の実績は次のとおりであります。
2021年3月期2022年3月期対前年増減率
売上高94億円115億円21.9%
営業利益9.1億円15.1億円65.1%
営業利益率9.7%13.1%
ROE5.7%8.4%

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社グループの資金需要の主なものは、金型等の設備投資、出資等の長期資金需要と製品製造のための材料・部品購入、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。
(財務政策)
当社グループは、事業活動のための適切な流動性を確保し、事業戦略上必要となる投資等の資金需要に適応できる財務構造の確立を目指しております。また、営業キャッシュ・フローから生み出される資金を中心にして将来必要となる設備資金および運転資金を手当てしてまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
会計方針の適用および会計上の見積りにあたって、特に重要な判断を要する項目は以下のとおりであります。
a.のれん評価
のれんの評価に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
b.棚卸資産の評価損
当社グループは、商品、製品、原材料、仕掛品については総平均法による原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)で、貯蔵品については最終仕入原価法で評価しております。棚卸資産の評価は、棚卸資産が原価法に基づき正しく評価されているかどうかを確認するため、定期的に実施されております。当社グループは、主に長期滞留在庫や収益性の低下した製品在庫などについて、棚卸資産の評価損として計上しております。当社グループの棚卸資産の評価は適正と判断しておりますが、市況や消費者ニーズが当社グループの計画と大きく乖離する場合、棚卸資産評価損の金額は増加し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
c.繰延税金資産
当社グループは、現在、一定期間における回収可能性に基づき相当額の繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の計上は、予測される将来における課税所得の達成の可否により影響を受けます。将来の課税所得の見積りにあたっては、過去の業績やタックス・プランニング等も考慮しております。当社グループの将来の収益性に係る判断は、将来における市場の動向その他の要因により影響を受けます。これらの状況に変化があった場合、繰延税金資産計上額に対して金額的に重要な評価性引当額を計上する可能性があります。繰延税金資産の回収可能性を見込めない場合には、回収不能と見込まれる金額に対して評価性引当額が計上され、損益に悪影響を与える可能性があります。
d.退職給付費用及び債務
当社グループの主要な退職給付制度は、当社における退職一時金制度です。従業員の退職給付費用及び債務は、割引率、退職率、死亡率を含む前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件は年に一度見直しています。割引率は、退職給付費用及び債務を決定する上で、重要な前提条件です。割引率は一定の格付けを有し、安全性の高い長期国債の期末における市場利回りを基礎として決定しています。経営者は、これらの前提条件は適切であると考えていますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。