有価証券報告書-第151期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/08/31 15:55
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【項目】
128項目

有報資料

(1)経営の基本方針
当グループは、「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」を企業理念として、顧客に対し、より高い価値をもたらす競争力のある製品・サービスを提供することで、一層の発展を遂げることをめざしています。当グループでは、グループ内の多様な経営資源を最大限に活用するとともに、事業の見直しや再編を図ることで、競争力を強化し、グローバル市場での成長を実現し、顧客、株主、従業員を含むステークホルダーの期待に応えることにより、株主価値の向上を図っていくことを基本方針としています。
(2)経営環境及び対処すべき課題
①日立グループの経営環境及び対処すべき課題
現在の世界は、将来の予測が立てにくい時代です。気候変動や資源不足、高齢化による人口構造の変化、都市化の問題など様々な変化が生じており、さらに、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行は、世界規模で社会、経済などに劇的な変化をもたらし、世界各国の経済が深刻な悪影響を受けています。このような変化により生じた社会課題を解決するためのイノベーションが世界中で起きています。
かかる経営環境において、当グループは、2019年5月に公表した「2021中期経営計画」のもと、引き続き、社会イノベーション事業の提供を通じ、私たちの社会が直面する様々な課題の解決に向けたソリューションを提供することで、お客さまの社会価値・環境価値・経済価値の3つの価値を同時に向上し、人間中心の社会の実現に貢献していきます。
具体的には、以下の施策に注力していきます。
i) 事業活動を通じた社会への貢献
デジタル技術を活用した社会イノベーション事業を通じて、COVID-19がもたらした新たな社会での価値創出を加速していきます。
リモート、非接触、自動化の要請など、社会の急速な変化と新たな課題にいち早く対応し、社会が求める価値の実現を通じて、事業機会の開拓・獲得を図っていきます。
特に、製造業の自動化やサプライチェーンの最適化、公共・社会インフラ・医療分野でのデータの活用、ITを活用したリモートワーク等の働き方改革の支援など、日立グループが強みを持つ分野でソリューション提供を強化します。新たなニーズへの対応においても、デジタル事業の中核をなすLumadaを最大限活用し、事業の拡大をめざします。
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ii)強靭な経営基盤の構築
IT・インダストリーセクターを中心とした投資で獲得したデジタル分野の人財・技術や顧客基盤の活用、エネルギーセクターでのABB, Ltdのパワーグリッド事業の買収などを通じて、事業ポートフォリオ改革を更に進めます。
また、リモートワークに対応した業務プロセスの見直しを図るなど、デジタル技術を活用して、全社レベルで業務の効率化・最適化を推進するとともに、投下資本利益率(ROIC)を用いたセクターごとの投資収益管理や棚卸資産縮減・運転資本圧縮を引き続き推進し、収益性やキャッシュ創出力の向上を図ります。
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iii)社会の信頼確保へのより一層の取組み
当グループにとって、品質・安全・コンプライアンスに対する社会の信頼を確保・維持し続けることが最も重要であることを改めて徹底していきます。このほか、ダイバーシティの推進や働き方改革の加速、環境・地域社会への貢献等、社会・時代の要請に対しても、積極的かつ継続的に取り組んでいきます。
持続可能な社会の実現に貢献するため、「2030年度自社の生産におけるカーボンニュートラル」という先進的な目標を新たに設け、環境価値創出をリードする会社への変革を図ります。製品設計の見直し、製造設備の省エネルギー化などで自社の二酸化炭素排出削減を進めるだけではなく、お客さまや調達パートナーの環境対応も支援して、企業活動全体を通じて、環境価値実現の取組みを加速します。
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②注力分野5セクターにおける経営環境及び対処すべき課題
注力分野であるIT、エネルギー、インダストリー、モビリティ及びライフの5セクターにおける経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりです。
IT
市場環境のデジタル化に対応するため、AI、IoT、ロボティクス等のデジタル技術や次世代通信規格5Gを活用しながら、企業が行うあらゆる経済活動やそれを構成するビジネスモデル並びに組織・文化・制度といった企業そのものを変革していくデジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」という。)が、大きな注目を浴びています。2020年に入り、COVID-19の感染拡大によって、世界中で消費活動やサプライチェーンなどビジネスのあり方、価値観が転換点を迎え、個人としても生活や働き方が大きく変化しました。このニューノーマル(新常態)時代では、リモートや非接触、そして無人化・省人化などの自動化のニーズがさらに高まり、これまで以上にDXが加速すると考えられています。
ITセクターでは、デジタルの力で国内外のお客さまの期待に応え、持続可能な社会を実現するとともに、グローバルトップクラスのソリューションプロバイダーをめざします。COVID-19感染拡大の影響から、IT需要は今後低迷が懸念されますが、デジタル技術で企業経営やビジネスモデルなどの変革を図るDXは、グローバル全体でさらに加速しており、投資の機運は高まっています。そのニーズに応え、高度な金融・社会分野におけるデジタルソリューション事業を通じて社会価値の向上を図るとともに、製品・サービスのライフサイクル全般における環境効率の向上に努め、環境価値の創出も図ります。
また、ITセクターは、Lumada事業の中核として全事業分野を牽引します。2021中期経営計画の期間中、必要な成長投資を継続し、Lumada事業のグローバル展開に向けた体制強化として、人財・拠点などの事業リソース獲得のための買収・提携について検討するとともに、デジタル人財の育成・拡充や、先進のデジタル技術の開発などを推進していきます。
エネルギー
人口増加や経済成長に加え、データセンタの規模拡大や産業の電動化、さらにはEV(電気自動車)導入の拡大などの社会イノベーションを背景に、世界のエネルギー需要は拡大し続けています。また、気候変動への対応を背景に、CO2排出量の削減や脱炭素化へ向けた動きが世界的に加速しています。他方、途上国では、深刻な電力不足により10億人超の人々が電力のない生活を強いられている現実もあります。日立は、これらの課題解決に向けて、再生可能エネルギーやパワーグリッドをはじめとした事業分野で、「OT×IT×プロダクト」の強みを生かしたエネルギーソリューションで応えていきます。
エネルギーセクターでは、原子力発電システム、再生可能エネルギー発電システム、パワーグリッド、設備の予兆診断や遠隔監視サービスなどで、「OT×IT×プロダクト」の強みを生かしたエネルギーソリューションの提供により、お客さまのエネルギー安定供給やCO2排出量の削減、さらには低炭素・脱炭素社会の実現に貢献していきます。社会イノベーション事業の中核をなす事業として、環境価値の創出に寄与していきます。
Lumadaを活用した、エネルギー関連設備における管理の高度化や保守・点検作業の効率化など、日立が培ってきた知見とデジタル技術を活かした高度なエネルギーマネジメントシステムを構築します。また、グローバルトップレベルの技術と実績を有するABB, Ltdのパワーグリッド事業の買収により、Lumadaを活用したグリッドソリューション・サービス事業を強化するとともに、そのノウハウやリソースを活用し、グローバル事業の拡大を加速します。
インダストリー
生産年齢人口の減少やグローバル競争の激化、さらには気候変動や資源不足など、産業界では市場がこれまで以上に急速かつ複雑に変化を続けています。そのような中、COVID-19の影響によって、人々の生活様式や企業活動は大きく変容し、様々な分野でAI、IoTやロボティクスなど先進のデジタル技術を活用した新たなサービスやイノベーションの創出がこれまで以上に期待されています。
インダストリーセクターでは、日立グループならではの「OT×IT×プロダクト」を強みに、産業分野のお客さまに対するベストソリューションパートナーをめざします。そして、製造・流通分野における生産性・品質向上に貢献するソリューション提供による「お客さまの生産、サービス提供の効率化」、上下水道インフラや海水淡水化技術による世界中で1日当たり7,000万人に対する「安全・安心な水環境の提供」、プロダクトの省エネルギー化による「CO2排出量削減」を通じて、社会価値・環境価値・経済価値の創出を図ります。
これらの実現に向けて、インダストリーセクターでは、Lumadaを活用し、経営から現場、さらに調達から製造、物流、販売、サービス、保守に至るバリューチェーンの間にある課題をデジタル技術で解決し、全体最適を図るトータルシームレスソリューションをグローバルに展開していきます。
モビリティ
ビルシステム事業においては、昇降機などの新設需要に加えて、保全・リニューアルといったサービスへの需要や、デジタル技術の活用により、ビルの付加価値を高める新規ソリューションへの期待が高まっています。また、鉄道システム事業においては、世界中における人口の増加、都市化、気候変動を背景に、ビジネスの長期的な成長が見込まれています。
モビリティセクターでは、より速く、より環境に優しい都市間の移動や、都市部における自動車依存の軽減、高層ビルで人の流れを整流化するスマートソリューションなど、クリーンで効率性の高いスマートシティの構成要素となるソリューションを、世界中の人々に提供しています。安全・安心・快適な移動サービスや、ビルをはじめとする都市空間における課題を解決する製品・サービスの提供を通じて、社会価値を提供します。同時に、環境負荷の低い移動サービスを実現することによって、CO2排出量を削減するなど、環境価値の創出を図ります。
具体的には、ビルシステム事業においては、技術力・競争力に優れた昇降機などの製品・サービスをもとに、IoTやAIをはじめとするデジタル技術に関する日立グループ内の強力なリソースを生かし、Lumadaのソリューションを拡充させていきます。鉄道システム事業では、鉄道車両より取得したデータを分析して保守サービスの付加価値を高めるとともに、運行管理、無人自動運転などのトータルソリューションにLumadaで貢献することにより、安全・安心・快適な移動サービスを提供していきます。
ライフ
オートモティブシステム事業が製品・サービスを提供する自動車業界では、環境負荷の低減や快適性のさらなる向上、安全性向上による交通事故の低減等の社会ニーズの高まりを背景に、100年に一度といわれる大変革時代を迎えており、自動車のコア技術となってきている電動化、コネクテッド、自動運転等の分野で、競争がさらに激化しています。また、ヘルスケア事業が手掛けるライフサイエンス領域は、潜在的な未充足ニーズが多く、今後も高い成長が期待できる分野です。
ライフセクターでは、健康、安全、快適をキーワードに、誰もが暮らしやすい街づくりを実現し、人々のQoL向上に貢献することで、社会価値、環境価値、経済価値を創出します。粒子線がん治療システムの提供を通じて、人々が普通の生活を送りながらがん治療を受けられるようにすること、コネクテッド家電の提供を通じて世界中の人々の豊かな暮らしを支えること、自動運転技術を通じて交通事故の撲滅に寄与すること、また、電動化とIoT技術を通じて製品のCO2排出量を削減し、地球温暖化の防止に寄与することをめざします。さらに、事業の入れ替えとオペレーション改革により収益性を改善し、事業構造改革を推進します。
また、上記の通り、自動車、家電、ヘルスケア機器など、生活を支える機器をインターネットにつなぎ、Lumadaのデータ分析技術も活用して、遠隔での運用・管理、更には自動化を実現することで、より便利で豊かな生活に貢献するとともに、都市化が進むアジアのスマートシティ市場を中心にLumada事業の拡大を図ります。かかるLumada事業モデルを確立し、デジタルサービス事業の展開による次なる成長につなげます。
(3)中期経営計画における経営指標
2021中期経営計画においては、以下の指標を経営上の業績目標としています。
2021年度目標選定した理由
売上収益年成長率3%超成長性を測る指標として選定
調整後営業利益率(注)110%超収益性を測る指標として選定
営業キャッシュ・フロー(3年間累計)2.5兆円超キャッシュ総出力を測る指標として選定
投下資本利益率(ROIC)(注)210%超投資効率を測る指標として選定
海外売上比率60%超グローバル化を測る指標として選定

(注)1.調整後営業利益は、売上収益から、売上原価並びに販売費及び一般管理費の額を減算して算出した指標であり、調整後営業利益率は、調整後営業利益を売上収益の額で除して算出した指標です。
2.ROIC(Return on invested capital)は、「ROIC=(税引後の調整後営業利益+持分法損益)÷投下資本×100」により算出しています。なお、「税引後の調整後営業利益=調整後営業利益×(1-税金負担率)」、「投下資本=有利子負債+資本の部合計」です。
また、上記の経済価値の提供の他、安全・快適な移動サービスの提供や安心・安全な水環境の提供、イノベーションの加速の支援等による社会価値の提供及びバリューチェーンを通じたCO2の排出削減や水利用効率の改善、資源利用効率の改善等の環境価値の提供を当該中期経営計画の目標としています。

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