訂正有価証券報告書-第152期(2020/04/01-2021/03/31)

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2025/07/31 16:38
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有報資料

(1)経営の基本方針
当グループは、「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」を企業理念として、顧客に対し、より高い価値をもたらす競争力のある製品・サービスを提供することで、一層の発展を遂げることをめざしています。当グループでは、グループ内の多様な経営資源を最大限に活用するとともに、事業の見直しや再編を図ることで、競争力を強化し、グローバル市場での成長を実現し、顧客、株主、従業員を含むステークホルダーの期待に応えることにより、株主価値の向上を図っていくことを基本方針としています。
(2)経営環境及び対処すべき課題
①日立グループの経営環境及び対処すべき課題
現在の世界は、将来の予測が立てにくい時代です。気候変動や資源不足、高齢化による人口構造の変化、都市化の問題など様々な変化が生じており、さらに、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行は、世界規模で社会、経済などに劇的な変化をもたらし、世界各国の経済が深刻な悪影響を受けています。一方で、このような変化により生じた社会課題を解決するためのイノベーションが世界中で起きています。
かかる経営環境において、当グループは、「2021中期経営計画」の下、社会イノベーション事業の提供を通じ、お客さまの社会価値(社会課題の解決)・環境価値(環境負荷軽減)・経済価値(業績向上)の3つの価値を同時に向上させ、人間中心の社会の実現に貢献していきます。
具体的には、以下の施策に注力していきます。
i) お客さまの価値の向上のためのより一層の取り組み
環境、レジリエンス、安心・安全の3つの領域での社会イノベーション事業の提供に注力することで、社会課題の解決と人々のQoLの向上を実現していきます。これらの実現のため、2021年3月に買収を発表した米国GlobalLogic Inc.(以下、「GlobalLogic社」という。)のデジタルエンジニアリング力と協創拠点を成長エンジンとしてLumadaの進化・世界展開を図るとともに、当グループの「OT×IT×プロダクト」に関するノウハウの融合によりサイバー・フィジカルシステムを強化していきます。また、顧客との協創やパートナーとのアライアンスを通じて、顧客が求める価値を起点とした事業の創生を実現していきます。
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ii) 経営基盤強化の継続
「2021中期経営計画」における事業ポートフォリオ改革の集大成として、GlobalLogic社、再編したHitachi ABB Power Grids Ltdや日立Astemo㈱などを十分に活用できる事業体制を確立していく一方で、日立金属㈱の譲渡を決定するなど、次期中計経営計画も見据えた事業体制を築いていきます。
また、当グループ横断で実施しているデジタル技術を活用したオペレーション構築とデータ整備・統合によるコスト構造改革において、ニューノーマル時代への対応を考慮した削減施策を追加するとともに、投下資本利益率(ROIC)を用いた投資収益管理をさらに推進し、引き続き、収益力とキャッシュ創出力のさらなる強化を図っていきます。
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iii) 環境価値向上への取り組み
「環境ビジョン」と「日立環境イノベーション2050」
当グループは、以下のとおり、環境に関する目標・計画を定めて、環境戦略を推進しています。
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2021年4月からは、役員報酬に環境価値を勘案した評価基準を導入し、さらに取り組みを加速しています。
日立カーボンニュートラル2030
脱炭素社会の実現に向けては、2030年度までに自社の事業所(ファクトリー・オフィス)におけるカーボンニュートラルの実現をめざしています。
■日立ハイテクファインシステムズ
すべての電気を再生可能エネルギー由来に切換え、2020年度にカーボンニュートラルを実現しました。
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COP26への参加(プリンシパルパートナー)と外部評価
日立は、日本企業として初めて、2021年11月に英国で開催されるCOP26(注1)を協賛するプリンシパルパートナーに就任しました。COP26とのパートナーシップを通じて、脱炭素化への取り組みと発信をさらに高めていきます。
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また、日立の取組みは、2020年12月に温室効果ガス削減目標のひとつであるSBT(注2)認定を取得するなど、外部からも高い評価を得ています。
(注)1.COP26:United Nations Climate Change Conference(第26回気候変動枠組条約締約国会議)
2.SBT:Science Based Targets(科学と整合した目標設定)
②注力分野における経営環境及び対処すべき課題
注力分野であるIT、エネルギー、インダストリー、モビリティ及びライフの5セクター並びにオートモティブシステムにおける経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりです。
IT
市場環境のデジタル化に対応するため、AI、IoT、ロボティクス等のデジタル技術や次世代通信規格5Gを活用しながら、企業が行うあらゆる経済活動やそれを構成するビジネスモデル及び組織・文化・制度といった企業そのものを変革していくデジタルトランスフォーメーション(DX)が、大きな注目を浴びています。2020年以降にCOVID-19が世界的に拡大すると、世界中で消費活動やサプライチェーンなどビジネスのあり方、価値観が大きく転換し、個人としても生活や働き方が大きく変化しました。このニューノーマル時代においては、リモートや非接触、そして無人化・省人化などの自動化のニーズがさらに高まり、これまで以上にDXが加速しています。
ITセクターでは、Lumadaをはじめとするデジタルの力で国内外のお客さまの期待に応え、持続可能な社会を実現するとともに、グローバルトップクラスのソリューションプロバイダーをめざします。COVID-19拡大の影響から、IT投資の抑制懸念はありますが、デジタル技術で企業経営やビジネスモデルなどの変革を図るDXは、不確実な経済情勢においても、北米・欧州を中心にグローバル全体ですべての業種で堅調に推移しています。そのニーズに応え、金融・社会分野における高度なデジタルソリューションの提供事業を通じて社会価値の向上を図るとともに、製品・サービスのライフサイクル全般における環境効率の向上に努め、環境価値の創出も図ります。
また、ITセクターは、Lumada事業の中核として全事業分野を牽引しています。2021中期経営計画の期間中、Lumadaソリューションは様々な分野へと進展し、成長に向けたITセクターのトランスフォーメーションも段階的に推進してきました。2021年7月末までにクロージングを予定しているGlobalLogic社の買収を通じて、Lumada事業のグローバル展開を加速するとともに、デジタル人財の育成・拡充や先進のデジタル技術の開発により、グローバルでお客さまや社会のDXを支援する事業体へと進化していきます。
エネルギー
人口増加や経済成長に加え、データセンターの規模拡大や産業の電動化、さらにはEV(Electric Vehicle)導入の拡大などの社会イノベーションを背景に、世界のエネルギー需要は拡大し続けています。また、気候変動への対応を背景に、CO2排出量の削減や脱炭素化へ向けた動きが世界的に加速し、日本でも、2050年カーボンニュートラル宣言の発出や、地球温暖化対策推進法、エネルギー基本計画の見直しが進行中です。また、COVID-19の拡大を経て、経済の低迷・設備投資の減退による産業構造の変化(デジタル化)や、グリーン政策と連動した経済回復政策の推進、ニューノーマルとSDGs経営への変革の動きが加速しています。日立は、これらのエネルギーを取り巻く環境への対応や課題解決に向けて、再生可能エネルギーやパワーグリッドをはじめとした事業分野で、「OT×IT×プロダクト」の強みを生かしたエネルギーソリューションで応えていきます。
エネルギーセクターでは、パワーグリッド、再生可能エネルギー発電システム、原子力発電システムなどで、「OT×IT×プロダクト」の強みを生かし、お客さまやパートナーとの協創を通じたエネルギーソリューションの提供により、エネルギー安定供給や効率的な設備管理、CO2排出量の削減、さらには脱炭素社会の実現に貢献していきます。社会イノベーション事業の中核をなす事業として、SDGsの達成に貢献していきます。
具体的には、Lumadaを活用した、エネルギー関連設備における管理の高度化や保守・点検作業の効率化など、日立が培ってきた知見とデジタル技術を生かした高度なエネルギーマネジメントシステムを構築します。また、Hitachi ABB Power Grids Ltdのグローバルでの競争力と、Lumadaを活用したデジタル技術との融合を通じた新たなソリューションにより、社会イノベーション事業をグローバルで成長させ、エネルギー分野のリーダーとして、脱炭素社会の実現やエネルギーの安定供給など、QoLの向上に貢献していきます。
インダストリー
生産年齢人口の減少やグローバル競争の激化、さらには気候変動や資源不足など、産業界では市場がこれまで以上に急速かつ複雑に変化を続けています。さらに、COVID-19の影響によって、人々の生活様式や企業活動は大きく変容し、様々な分野でAI、IoTやロボティクスなどを活用した新たなDXへのニーズがこれまで以上に高まっています。
インダストリーセクターでは、日立グループならではの「OT×IT×プロダクト」を強みに、産業分野のお客さまに対するベストソリューションパートナーをめざします。そして、製造・流通分野における生産性・品質向上に貢献するソリューション提供による「お客さまの生産、サービス提供の効率化」、上下水道インフラや海水淡水化技術による世界中で1日当たり7,000万人に対する「安全・安心な水環境の提供」、プロダクトの省エネルギー化による「CO2排出量削減」を通じて、社会価値・環境価値・経済価値の創出を図ります。
これらの実現に向けて、インダストリーセクターでは、Lumadaを活用し、サイバー空間とリアル空間をデジタルでつなぐことで、経営から現場、サプライチェーンの間に存在する課題を解決し、全体最適化を実現するトータルシームレスソリューションを強化・拡大しています。さらに、2019年にロボティクスSI事業を手掛ける米国のJR Technology Group, LLCを買収するとともに、2020年にインダストリー事業の北米統括会社Hitachi Industrial Holdings Americas, Inc.を再編し、ロボティクスSIとデジタルの融合による事業拡大をめざすなど、グローバル展開も加速しています。
モビリティ
ビルシステム事業においては、昇降機などの新設需要に加えて、保全・リニューアルといったサービスへの需要や、デジタル技術の活用により、ビルの付加価値を高める新規ソリューションへの期待が高まっています。また、鉄道システム事業においては、世界中における人口の増加、都市化、気候変動を背景に、脱炭素モビリティの手段として、長期的な市場の成長が見込まれています。
モビリティセクターでは、より速く、より環境に優しい都市間の移動や、都市部における自動車依存の軽減、高層ビルで人の流れを整流化するスマートソリューションなど、クリーンで効率性の高いスマートシティの構成要素となるソリューションを、世界中の人々に提供しています。安全・安心・快適な移動サービスや、ビルをはじめとする都市空間における課題を解決する製品・サービスの提供を通じて、社会価値を提供すると同時に、環境負荷の低い移動サービスを実現することによって、CO2排出量を削減するなど、環境価値の創出を図っています。
具体的には、ビルシステム事業においては、IoTやAIをはじめとするデジタル技術に関する日立グループ内の強力なリソースを活用し、安全・安心・快適な都市生活を支える信頼性の高い昇降機や、遠隔監視をはじめとする高品質なサービスを提供するとともに、ビル向けのさまざまなLumadaのソリューションを拡充しています。これにより、ビル管理の効率化やビル利用者の利便性向上、さらには感染症リスク軽減や災害に対するレジリエンス向上など、ニューノーマルの時代のニーズに応えていきます。
鉄道システム事業では、鉄道車両より取得したデータを分析して保守サービスの付加価値を高めるとともに、運行管理、無人自動運転などのトータルソリューションにLumadaで貢献することにより、安全・安心・快適な移動サービスを提供しています。また、日本や欧州のほか米州市場へも積極的に投資を進め、既存の製造拠点やサービス・保守のマーケットプレゼンスを活用しながら大型案件等の事業機会の獲得に努め、成長を加速させていきます。
モビリティセクターは、COVID-19による強い逆風の中でも成長を続けており、パンデミック後を見据えて、ビジネスの変革を実現していきます。
ライフ
IoTやAIなどのデジタル技術によって健康寿命の延伸や家事負担の軽減などQoLを向上させるスマートライフへの期待が高まっており、ライフセクターでは、ヘルスケア、半導体製造・検査装置、生活・エコシステムの事業を通じてスマートライフの実現に貢献し、社会価値・環境価値・経済価値を創出しています。
㈱日立ハイテクを中心とした計測分析システム事業のバイオメディカル領域やライフサイエンス領域は、アンメットニーズが多く、関連するサイエンスの進展もめざましいため、今後も高い成長が期待できる分野です。また、5Gやデジタル化を支える同社の半導体製造・検査装置事業は、半導体の需要拡大により継続的に成長している分野です。日立グローバルライフソリューションズ㈱を中心とした生活・エコシステム事業の家電や空調の分野では、COVID-19の流行をきっかけに家で過ごす時間が増える中、より快適な暮らしを支援するコネクテッド家電のニーズが拡大しています。
このような市場の変化や発展に加え、グローバルに関心が高まっている環境課題への取り組みの強化を狙い、今後、ライフセクターは、ヘルスケア、半導体、ホーム、EVの4つの成長分野において、事業の拡大をめざします。具体的には、トップシェア製品をデジタル技術により強化するとともに、顧客との協創によりサービス事業を拡大します。Lumadaのデータ分析技術を活用し、体外診断の革新的技術×AIによる健康寿命延伸への貢献、半導体の性能向上による5G・デジタル化の加速、家庭向けAI・ロボットの応用による豊かな暮らしの実現、自動運転や先進的な運転支援による事故率低下など、成長市場において競争力のあるソリューションを創生し、生活者のさらなるQoL向上をめざします。また、EV車両の運用管理やEV用電池管理の最適化、空調機器の運用最適化などの環境ソリューションの提供を通して、環境負荷低減にも取り組んでいきます。
オートモティブシステム
日立Astemo㈱によるオートモティブシステム事業が手掛ける自動車・二輪車業界では、環境負荷の低減や快適性のさらなる向上、安全性向上による交通事故の低減等の社会ニーズの高まりを背景に、100年に一度と言われる大変革時代を迎えており、自動車のコア技術となってきている電動化、コネクテッド、自動運転等の分野で、競争がさらに激化しています。
こうした中で、オートモティブシステム事業では、パワートレイン&セーフティシステム事業をはじめ、シャシー事業、モーターサイクル事業、ソフトウェア事業、アフターマーケット事業の5つの事業ポートフォリオを軸に、お客さまのニーズにお応えし、世界をリードする先進的なモビリティソリューションの提供を通じて、持続可能な社会とQoLの向上に貢献していきます。具体的には、自動運転や先進運転支援システム、先進シャシー技術で安全性・快適性・QoLを向上させることで社会価値を創出しつつ、排出ガスを低減する高効率な電動化製品と技術でより良い地球環境に貢献する環境価値も創出していきます。また、2025年度の業績目標として、売上収益約2兆円、EBITDA率約15%という経済価値の創出を念頭に、日立Astemo㈱として統合した4社によるシナジー創出を加速させ、経営基盤と企業体質の強化とともに収益拡大に取り組みます。
さらに、Lumadaを活用することで、高度化するお客さまのニーズに応える最先端のデジタルソリューションを提供することはもちろん、将来、クルマの機能をソフトウェアが担うソフトウェア・ディファインド・ビークル化に対応していくため、ソフトウェアの開発力も強化していきます。
(3)中期経営計画における経営指標
2021中期経営計画においては、以下の指標を経営上の業績目標としています。
2021年度目標選定した理由
売上収益年成長率3%超成長性を測る指標として選定
調整後営業利益率(注)110%超収益性を測る指標として選定
営業キャッシュ・フロー(3年間累計)2.5兆円超キャッシュ創出力を測る指標として選定
投下資本利益率(ROIC)(注)210%超投資効率を測る指標として選定
海外売上比率60%超グローバル化を測る指標として選定

(注)1.調整後営業利益は、売上収益から、売上原価並びに販売費及び一般管理費の額を減算して算出した指標であり、調整後営業利益率は、調整後営業利益を売上収益の額で除して算出した指標です。
2.ROIC(Return on invested capital)は、「ROIC=(税引後の調整後営業利益+持分法損益)÷投下資本×100」により算出しています。なお、「税引後の調整後営業利益=調整後営業利益×(1-税金負担率)」、「投下資本=有利子負債+資本の部合計」です。
また、上記の経済価値の提供の他、安全・快適な移動サービスの提供や安心・安全な水環境の提供、イノベーションの加速の支援等による社会価値の提供及びバリューチェーンを通じたCO2の排出削減や水利用効率の改善、資源利用効率の改善等の環境価値の提供を当該中期経営計画の目標としています。

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